ジャスティスの会のキョウヤ 作:セダ
傷の手当てが終わると、キョウヤはそのままシローの部屋へ連れて行かれ、椅子に座るよう促された。どうやら今回のことを詳しく聞きたいらしい。
「なるほど……。オヤブンがワイルドゾーンの外にまで出てきたのですね……」
シローが腕を組み、眉間に皺を寄せる。
「──キョウヤさん、大怪我にならず本当に良かったです。ムクもよく気づいてくれました」
「べ、別に……。たまたま大きい音がしたから様子を見にいっただけ。それだけ……」
ムクは指先で前髪をくるくる弄び、どこか照れくさそうに答えた。
「キョウヤさん、今日は隣の部屋に寝床を用意します。そこでしっかり休んでください」
「それで問題なければ、明日からはミアレを楽しんでください。この街で嫌な思い出ばかり抱えて帰ってほしくありませんからね」
「……はい。ありがとうございます」
俺は言われるまま隣室に向かうと布団がひかれていた。落としてきたと思っていた荷物も部屋に置かれている。ムクが運ぶついでに拾ってくれていたのだろう。
(……明日、改めてちゃんとお礼を言わないとな)
そう思いながら布団に入るとドッと眠気が襲ってきてそのまま眠ってしまった。
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翌朝。
コン、コン、と軽いノックの音がして目が覚めた。
「おはよう、キョウヤ」
ドアを開けると、帽子を被っていないムクが立っていた。
「おはようございます、ムクさん」
「昨日は眠れた? ……ご飯、作ったから。準備できたらシローの部屋に来て」
「本当ですか!? すぐ行きます!」
ムクは軽く頷くと、くるりと背を向けて歩いていく。
急いで身なりを整え、シローさんの部屋をノックすると「どうぞ」と返事があり、中に入る。
部屋の奥からコンソメのいい香りがしていた。
テーブルの上には三人分の朝食が並び、先に座っていた二人がこちらを見た。
「おはようございます。すみません、お待たせしました」
「おはようございます! 体は痛みませんか?」
「はい。ほとんど痛みはないです」
「それは良かった! じゃあ、栄養つけて早く怪我を治しましょう!」
「……キョウヤ、こっち。シローの隣だと……たまに怪力が飛んでくるから」
「そこまでではないぞ」
けれどどこか照れたような表情をしているシローは否定しきれていなかった。もしかしたら何度か物を壊したりしているのかもしれない。
三人揃って「いただきます」と手を合わせる。
「ムクさん、いつもシローさんの朝食も作ってるんですか?」
「違う。シローは起きる時間も生活もバラバラだから。今日はキョウヤがいるから……ついでに作っただけ」
「そうですね。自分は朝練だったりロワイヤルで徹夜したりする事もあるので……。朝、寮でムクに会えることなんて週に一回あるかどうかですよ」
「昨日は本当にお世話になったのに……朝ごはんまで……。本当にありがとうございます。このお礼は……いつか必ず返します」
そう言うと、ムクはほんの少しだけ視線をそらし、
スープをひとくち飲んでから、ぽつりと言った。
「……別に返さなくてもいい。困ってたら助けるのは普通だから」
それだけ言って黙ってしまったが、耳がうっすら赤い。照れくさいようだった。
静かで温かい朝が広がっていた。