今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。   作:一宮 千歳

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第13話

勇者(おれ)くんの能力値の脅威的な伸びが上で話題になったのか、きょう水曜日に、私・イグナス・勇者(おれ)くんと斥候役との顔合わせが行われることになった。勇者パーティの旅立ちについてはのんびり半年後を計画していたところに勇者の急成長だ、内務はてんやわんやの大騒ぎだろう。その間、時間を無駄にしないようにコミュニケーションを取っておけ、と言う趣旨のようだ。

 

紹介された彼女の名前はヴィサーラ。家名はなく、平民。

珍しい女性の騎士団員らしい。

所属は第二で、もともとイグナスの部下にあたる。

しかもイグナスによれば索敵、罠解除、生存術(サバイバルスキル)に長けた優秀な斥候だそうだ。ただ一つの欠点を除けば。

 

「何か一言、あるか?」

 

イグナスが促すと、ヴィサーラは首を傾げ、少し考え込むようにしてから、口に出した。

 

「……可愛さと、強さは、関係ないと思います」

 

おい、完全にこっち向いて言ったなそれ。

……しかし、敵意は感じない。あくまで、思ったことを言っただけの様子。なんならある程度の敬意すら感じる。えー。欠点って、もしかして、コミュ障?

 

視線を返し、じっと見つめる。

髪は赤毛のベリーショートで、瞳も紅。身長は160cmってところか。

そしてうん、なんというか、喪女顔。別にこれはこれで嫌いではない、中一の頃の初恋の女の子も顔は地味系だった。……と、ふと目線を下にやると、とんでもないものが目に入った。

 

うお、デッカ……ほっそ……でっか……。

 

何て武器持ってやがる。クソ、首から下が大量殺人兵器じゃねえか。

実に美しいプロポーションは上から108-130-95-80-85-102って感じだ。

間違えた。これはスリーサイズじゃない。

 

「おい、別の言い方があるだろう」

「女性としての魅力は……強さに関係ない……?」

 

しかも天然臭いぞ。バフデバフ無効ですか、やりますね。

 

……冷静になれ、ビークール。

動いてない敵は問題ない。動く敵が問題だ。どうだ?

 

ゆさっ。

 

私はもうダメかもしれない。

ていうかイグナスはこれが部下で大丈夫だったのか? とか、これで騎士は無理でしょ。とかの感想が無限に湧いてきていけない。

イグナスが説教してるが、その間ちょっと勇者(おれ)くんの様子を見よう。これはむしろ籠絡に使えるかもしれない。

 

勇者(おれ)くんは大量破壊兵器には無反応に見える……が、内心動揺してるだろうな。だって私だもん。こんなん高校生が見たら性癖歪むで。

 

「(こそこそ)……気になりますか、ヴィサーラさんが」

「(こそこそ)な、何がですか?」

 

気にしてら。まあ健全な男子としてはしょうがないですよ。そう、君の欲望を肯定してやろう。

 

「(こそこそ)お胸。気になるんでしょう? ……実は私もです」

 

勇者くんは驚きに目を見開く。

 

「(こそこそ)えっ」

「(こそこそ)女性として、魅力的な肢体をお持ちですね……」

 

これぞ籠絡術「あなたと同じ目線を私は持ってますよの法」である。

 

「(こそこそ)は、はあ……」

「あー、くっついて仲がいいのはいいが、顔合わせ中だからな?」

 

あ、イグナスの説教が終わって注意された。そっと勇者(おれ)くんと離れる。籠絡術の効果がわからないままだぜ。

 

「すまない、待たせたな。ヴィサーラはこの通り、対人関係を円滑にこなすのに少々問題がある。とくに、悪気はないんだが、思ったことをそのまま口にするクセがある。それが通常の人間関係では致命的な欠点であり、しかし斥候としては最高の才能とも言えるが故に、タチが悪い……」

 

斥候として最高? 思ったことをそのまま口にすることが? ……あーいや、予断を挟まない、ということか。それは確かに強みだ。

 

ちょっといたずら心が湧いた。ヴィサーラがどのくらい思ったことを口にするのか、試してみよう。

 

「ファーロン副団長と勇者様、付き合うなら?」

「イグナスさんです」

 

即答。しれっと名前呼びまでした。

 

「「ちょっと?」」

「どのあたりが好き?」

「顔です。王国にこれほどの顔はなかなかいません」

 

再度の即答。男二人は置いといて、なるほど、思ったことをそのまま言うから返答が早い。これも利点だ。

 

「よくわかりました。優秀ですのね」

「ありがとうございます。初対面で褒められたのは初めてです。嬉しいです」

 

ヴィサーラがにこりと笑うと、それは思っていたよりも可愛い笑顔だった。私は大きくうなずく。うん、大量破壊兵器で周りの理性を蒸散させない限り、いい斥候役になってくれると思う。

 

「……女同士で通じ合ってない?」

「イグナスさん、俺女が怖くなりそうです」

 

男の反応はさておき。

 

「さて。斥候役というか、これまで騎士団で作戦に従事してきて、魔族相手には私たち四人でどう当たればいいと思いますの?」

 

本題だ。斥候役から見た我々はどんな行動を取るべき集団なのか。

 

「リリアナ様は姿隠しと音消しの魔法は使えますか?」

「ええ」

「では隠密行動を常とし、敵将の暗殺を主行動とすべきです。魔族の特筆すべき長所は数と多様性。それを活かされる、騎士や一般兵の行うような野戦は下策となります」

 

そうなるよね。

 

「とはいえ拠点に詰めている敵将を暗殺は難しいのでは?」

「はい。なので、味方の交戦している軍団の長を背後から襲う、一撃離脱で戦功を積むべきかと」

 

ふーん。ざっくり私の考えてた作戦と同じじゃん、好感が持てる。と思っていると、イグナスが怒ったような口調で口を挟んできた。

 

「ヴィサーラ。それは騎士の戦いでもなければ勇者の戦いでもない。許されざる行為だ!」

「ですが人類の勝率を上げるためには最適です」

「ヴィサーラ!」

 

声を荒げるイグナスを私が制止する。

 

「ファーロン副団長、彼女はあなたが優秀だと言った斥候。戦力分析に誤りはないはずでしょう?」

「そうだが……」

「私やファーロン副団長、勇者様はその道の専門ではないのです。ヴィサーラさんの言を取り入れ、敵将暗殺と退却の戦術を練ることにいたしましょう。ね?」

 

そこで勇者(おれ)くんが手を挙げた。

 

「どうされました?」

「あの、俺、実際の戦闘はまだわかんないですけど、勝率が高い方がいいです。名誉とかはどうでもいいので」

 

勇者(おれ)くんの言葉に、イグナスが折れる。

 

「勝つことが(もと)にて候、か……。わかった。そのようにしよう」

 

わりとあっさりパーティ方針が決まった。

それにしてもヴィサーラ、超がつくほど優秀じゃない? なんか、国に対する忠誠心とかがないなら、手駒として確保しておきたいくらいなんだけど。

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