今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。 作:一宮 千歳
「ヴィサーラさん、早速女同士で今夜、夕食をご一緒いたしませんか?」
「行きません」
ああ、コミュニケーションを重視しないタイプだよね。
じゃあ。
「場所は『黄金の御手』、全額私の奢りで」
「行きます」
だよね。
「ヴィサーラ……」
イグナスが頭を抱えている。部下が現金すぎて言葉を失ってるのだろうな。そこに
「『黄金の御手』って、王宮で聞きました。一見さんお断りの、超高級料理店ですよね」
「はい、はじめてなので、とても楽しみです」
ヴィサーラ、上機嫌だ。女の子が機嫌いいとこっちまで嬉しくなるね。
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「約束通り、奢ります」
「奢られます」
『黄金の御手』、その個室。地味顔ながら引っ込んでるところは引っ込んでる、ばいんばいんの女の子と
「では、この大人用お子様ランチ(小盛)を」
「……ほかにも美味しい料理はたくさんありますよ?」
すき焼きとか。
「お子様ランチという名前からして、子供向け。それを大人向けとして提供し、さらに小盛にするというのは、非合理で面白いです」
独特の価値観を持っているなあ。ちなみに実態は日本の普通のお子様ランチだ。チキンライスに旗が立っていて、ハンバーグとポテトとエビフライとナポリタンが小盛り。さらにプリン(カラメルなし)がついてきてお得。なんで知ってるかって? 私も気になって頼んだことあるから。
「……なるほど。まあ、注文は他にもしていいですから、お好きになさいませ?」
「それと、お酒をメニューの上から全部、ボトルキープします」
「まって。」
思わず口に出た。遠慮がなさすぎる。首を傾げるヴィサーラ。
「今日は、すべて、奢りだ、と言いましたよね?」
「……ええ、二言はありませんわ」
こいつ
「金銭でわたしの関心を買う、とても合理的です。褒められたのも相まって、メロメロです」
「そう、喜んでいただけて何よりですわ」
やりやすいけどやりにくいなあ。
たぶん、いい財布と認識されただろう。貯金が死ぬ。
でもまあ、かわいいからいいか。
ほどなくして私のオーダーしたガーリックライスとサイコロステーキ、そしてお子様ランチが運ばれてきた。
……私用の果実水と、山盛りの酒のボトルとコップも一緒に。この世界、冷蔵庫がなく冷蔵といえば
ヴィサーラはしばらく悩んだ末、ほかではなかなか飲めない、
「何に乾杯します?」
「リリアナ様のおさいふに」
「……はあ。お財布に」
「乾杯」
こん、と木製のコップが触れ合う音がする。
……おい! ポン酒をコップ一杯とはいえイッキするな!
「……危険ですわよ?」
眉を顰める私に、ヴィサーラは平然と返す。
「くちをつけたらおいしかったので、つい……危険というのは、何処でお知りになりましたか?」
え、この程度でなんか看破してくるのか。こわ。
「……ああ、酒精はよいもの、でしたね。
「……ふむ、転生者でしたか。なるほど」
あえて少し水を向ければ、すぱんと真正面を撃ち抜いてきた。やっぱ超優秀じゃん。
「……ファーロン副団長は知っているのですが、他の方、特に勇者様には内緒にしてくださいませんか?」
「言った方が良い時には言いますよ?」
それでいい、と答えれば、手酌で次の一杯を注ぎ始めた。こいつぅ。
「ところでなぜ、転生者と? 答え合わせ……いえ、他でボロが出るのを避けたく思います」
「異世界転生者を自称する幼馴染が、その昔お父さまに『
あー、過去に。でも飲むのやめないのね。三杯目注いでるし。
「良いものだと聞いていた幼少のみぎりの私には衝撃でした。なぜ?と聞いたらアルコール分は体に良くないと。アルコール分ってなに、と聞いたらお酒に含まれる、と」
すんげえざっくりした説明だな。ちょっと気になるぞその幼馴染。
「異世界転生者って仰いましたけど、その幼馴染は?」
「冒険者になって死にました。弱かったみたいです」
「それは……なるほど」
その幼馴染は、一歩間違えた私の姿かもしれない。
冒険者の親に拾われて、魔法と剣の訓練を叩き込まれていなければ? ぞっとする。
「私は彼女と勇者様を見て、異世界から来た方はこの世界の常識外にいる、と思っています。リリアナ様もそうですか?」
「そう見える?」
「魔法以外は、
「そう、それは良かった」
転生者バレはしたが、前世男バレまではしてない、か。ならよし。
「私の秘密を知ってしまった」ことについて、どう考えてるのかな。
「秘密を暴いてしまうことは、多々ありました。その度に叱られたので、なるべく暴かない方がいいとは思っています、すみませんでした」
「そうですね、そこは私も同意いたします」
私が再度頷くと、ヴィサーラは黙々とお子様ランチをつまみに酒を飲み出した。
仲良くなりたいな、という目的だけでご飯に誘ったけど、転生者であることがバレたのは想定外だった。まあでも観察眼が優れてることはわかったから、実質プラスかな。
そんなことを考えていると、じっとこちらを見てから、ヴィサーラが口を開く。
「申し遅れましたが」
「なあに?」
「私は男の子にエッチな目で見られるのはもちろん、女の子にそう見られるのもバッチリオッケーです。美少女ならなおのこと、です。うっふん」
……一瞬脈絡がわかんなかったが、イグナスと
「ではヴィサーラさん、これからたまにえっちな目で見ますわね」
「伝えた甲斐がありました。存分に欲情してください、あっはん」
ノッた私も悪いが、言い方。爆弾放り投げないと気が済まないの?
でもコミュ障だったわ。当然か……。