今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。   作:一宮 千歳

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第15話

ヴィサーラとの顔合わせと衝撃的な(金銭的にも!)おゆはんの翌日、木曜日である。

私は朝早くからポーション作りに勤しんでいる。

 

青緑のポーションが、に、よん、ろく、はち、きゅう。

青のポーションが、さん。

 

十二個中九個が重傷治癒というのは、短期的な過去最高記録の更新だ。

ヴィサーラが内面もえっちなのが良かったのではないか説が私の中で根強い。

でもなー。私のこと性的な目で見てる勇者(おれ)くんとなにが違うん? と考えると自己嫌悪。

なにも違わないなあ。はあ。

 

そして自己嫌悪のままポーションを作ると、今度は重傷治癒は十二個中三個。これは調子が悪い時によくある数字。

 

「ふーむ、今日はことさら浮き沈みが激しい様子。やはり、気分が晴れない理由を取り除くしかないですぞ」

「マギータ様……」

「それでも十二個作るうちの三つ、重傷治癒ができてるんですね。アタシなんて、重傷治癒ができたことさえほとんどないのに……」

 

今日は草くさい部屋でマギータおじいちゃんと、若手の魔法使い女子と3人でポーション作り。私が午後に勇者(おれ)くんの訓練の手伝いをしに行ってポーション生産数が減っているので、ポーション部屋に詰める魔法使いが過密気味になるスケジュールが組まれている。

 

「キャスリンさんは、ポーション作りにまだ慣れていませんから。慣れで結構変わるものですよ」

「ううう、ほんとですかあ……?」

「リリアナ嬢の言うことは信じない方がいいのう」

「「そんなあ!」」

 

さんにんでけらけらと笑う。作業の合間に雑談を挟みながらのポーション作りは、結構楽しい。

 

……楽しいと思うと順調にいくもので、結局重傷治癒ポーション率は三.五割ほどで悪くなかった。午後は気が重い、勇者(おれ)くんの特訓の手伝いだ。

 

「はー」

「隣、いいですか」

「どうぞ」

 

騎士訓練場に近いので、特別に許可を得、騎士用食堂でもっちゃもっちゃと黒パンをスープに浸しながら食べていると、ボインキュバインが隣に座ってきた。なんだ、ヴィサーラじゃん。

 

「今日の午後は勇者様の特訓を観察して思ったことをリリアナ様に伝えてくれ、とイグナスさんが」

「まあ、構いませんが……」

「(こそこそ)成長の謎を探れ、ということです。騎士や兵の鍛錬にも応用が効かないか、と上が」

「(ひそひそ)無理だよ。原理がわからない」

「(こそこそ)そこをなんとかするのがわたしの役割です……わたし、がんばります」

 

ほどほどにね、と伝えると、ヴィサーラも黒パンを食べ始めた。スープに浸さず齧っている。歯、丈夫だな……。

 

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ゴリマッチョ団長が指示を出している。

きょうは【挑発】と【威嚇】の特訓。昨日時点で能力値は25%に届いたのが出ており、一人前の騎士と同等の役割は果たせるはず、と言う評価だった。

なので「引きつけ、足止め」という実戦での役割を果たせるかのテストを行うことになったようだ。

 

「それと、襲撃役はわしと、第二から借りた騎士ヴィサーラが固定で入る。二人とも他より踏み込みが早いので、猶予はないぞ」

 

ゴリマッチョ団長はにい、と笑う。人間卒業試験やるのかな?

 

一度目。初手【挑発】のセオリーを捨ててゴリマッチョ団長とヴィサーラに【威嚇】を放ち、これを足止め。遅れた騎士3人を【挑発】でギリギリ引き寄せ、かろうじて成功。

 

「守られる役からすると、ちょっと危ないと感じましたわ」

「すみません! でも、【威嚇】は確実に効果が出るので、足が速いとわかっている二人を止めた方が確実かと思って」

「……考えがあったのなら、まあいいのですが……」

 

二度目。ヴィサーラが【挑発】の範囲を避けるように、ワンテンポ踏み出しをずらしてから私に突撃。あえなく失敗。ヴィサーラの剣が触れそうどころかヴィサーラが私に密着。あと、耳ふーってされた。「なんでえっちなことするの」「好きかと思って」嫌いじゃないけどさあ! 困る!

 

三度目。ゴリマッチョ団長とヴィサーラの全力、ほぼ最速の踏み出し。これを見事に【挑発】で捉える。そして騎士も後から【挑発】で引き寄せ、成功。

 

四度目。予告なく二人増えるが、あえて一歩引いてなんとか【挑発】しきる。成功。

 

「……七人の足止めに成功ですか」

「合格で良いだろうな。皆、ご苦労だった!」

 

勇者(おれ)くんは騎士たちにやったなこの、とか揉みくちゃにされてる。そっか、一人前として認められたんだ、アレ。

……んー。確かに、努力だけは、ちょっとだけ、認めてやらんでもない、かな。

ちょっとしんみりしていると、ヴィサーラが寄ってきた。

 

「……勇者様の成長率ですが、一つわかったことがあります」

「ほんとうですか?」

「今の私では、何もわかりません、ということが、わかりました」

 

……これ結構重大だな。

 

「愛の力、では、ないのですね?」

「……勇者様はリリアナ様を強く意識しています。そこは間違いないですが、こと成長にそれが影響しているかというと、不明で……すみません」

「いや、ヴィサーラは考えられる最高の成果を出していますよ。ご褒美のキスをしてもいいです」

「! してください。口に。濃いやつ」

「冗談ですよ。……ねえちょっと待って顔を寄せてこないで」

「【隠密】スキルをオンにしました。ほら、バレませんから。ぐいっと」

「なんか高度な技術を無駄に使ってるねえ!?」

「ふふ、焦るリリアナ様、かわいい」

 

あーもーしょうがない。

ちゅっ。

 

「ほっぺでいいでしょ! もう!」

「ふふふ、ありがとうございます……いつものリリアナ様も素敵ですが、今のリリアナ様も好きですよ」

 

なんか本当に嬉しそうな色っぽい声でそんなこと言われた。

好きですよとか、メロつかせんなー!

 

だが、ふと違和感に気付き、背筋が凍る。

 

「……いつものリリアナ様、とおっしゃいましたね」

「あら、戻ってしまいましたか」

 

……え、猫被ってるの、バレたっぽい?

 

「リリアナ様、にゃーん。ふふふ」

 

ヴィサーラがにこにこしながらにゃーんとか言ってる。

バレたな。とても困る。

ていうか、気付きたくなかったが、ヴィサーラと勇者(おれ)くん、私に向けてる性欲の程度が同じじゃないか? なんならヴィサーラの方がちょっと濃いまであるわ。

 

と、とてもとても困る。ちょっと一人では抱えきれそうにない。たすけてイグナスえもん!

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