今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。 作:一宮 千歳
戦場の敵はどうでもいいゴミだと思うことが私の基本であり、そのように
「ライオン獣人はどうやら指揮をとる事に意欲的で、レベリアへの追撃隊もどうやら自ら指揮を取るようなそぶりを見せていました」
ヴィサーラの報告に対して、強そうな相手と戦うのは不安、みたいな表情を見せる
「てことは、僕とイグナスさんが対処に当たることになるんですか……」
私も違った意味で不安だなあ。……メスライオン獣人、多分嫁、悪く見ても家族とかだろ。戦場に家族ぐるみでくるのはどうかと思うが、それを逆手にとってこられると、
「私は敵を効果的に吹き飛ばすタイミングを計るため、陣地跡の偵察に行きます。ヴィサーラさんは二人を支援してあげて」
「はい」
「ヴィサーラ、僕はいい。マエミチくんを支援してやってくれ」
「お願いします……」
まあ、三人仲良くやってくれ。私は隠密する。
「では、後程会いましょう。【姿隠し】【音消し】【匂い紛れ】」
「うわ、目の前にいるはずなのにわからない」
「実際に効果のほどを目にするとすごいですね……」
三人を背に、すたすたと歩いていく私。
褒めてるところ悪いが、そこに私はいません。
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雷雨は足跡を消す。ワーウルフの鼻も効かなくなる。
こっちにとって有利な天候と言える。
ヴィサーラの報告にあった、顔全体に鬣をたなびかせる猫の獣人、推定ライオン獣人も、ケモノの類であることは確かで、鼻が効くはず。それを無効化できているのは心強い。
遭遇しないよう万が一を考えて大回りし、レベリアの撤退したルートを避け、陣地のあった場所へと向かいながら、この戦闘の問題点を考えるとする。
まず目下の問題は、ライオン獣人の戦闘能力がいかほどか、というところだ。
こればっかりは戦ってみないとわからない。初見の敵なんて相手したくないんだけどなあ。何年間もゴブリンとワーウルフづくしだったから、そのままゴブリンとワーウルフ、あと一部での
今さらになってなのはもう一つ、魔族連中、ゴブリンとワーウルフ(と
たとえば勇者召喚に隠されたリスクがあるとしたら、どうだろう。実は魔族には勇者を呼んだことがバレる、とか。
……流石に突飛すぎる、内通者の方がまだあり得る。
しかし内通者という線も薄そうだし、この線はない、か?
あるいは、相手の質的変化が起きることがわかっていて、勇者召喚を行った? ああ、こっちの方があり得るかもしれない。
王国には最大のブラックボックスがある。王家の所有する、王族のみが閲覧できる文献がそれだ。そこに過去の勇者召喚、魔族の侵攻について書かれているというのは、いかにもあり得る話だ。勇者関連の文献、少なくとも三十冊はあるってリン殿下は言ってたな?
その中に、勇者召喚のデメリット、過去の魔族の侵攻の情報が書かれてたら?あー、否定しきれん。この戦闘が終わったら、リン殿下を
いかん、思考が逸れてたな。この推測が正しかったとして今この戦場には何ら影響しない。
今必要なのは……火力と、タイミングだ。
思考を巡らせていると、レベリア陣地跡近くに到達した。
なんと、敵さん既に陣地跡に侵入しつつある。意外と進軍、早かったな?
魔族はいそいそと陣地跡の確認を進めているようだ。
言葉が通じないワーウルフやゴブリン連中が何を考えているか直接はわからないが、一般的な兵士の思考であればわかる。罠がないか、だろう。陣地跡、あまりにも綺麗すぎるもんな。残念、今調べても何もありません。
陣地跡は陣幕こそ少々残っているが、そのほか、食料や水、薪などの物資については何にもない。これはレベリア側が残さず持ち去ったことによる。ワーウルフやゴブリンは気にしないだろうが、指揮官クラスは必ず意図した、整然とした退却を読み取るだろう。
この陣地は規模としては広めだ。一万五千の軍を進軍させているなら、小休憩なり大休憩なり取らせたいところだろう。「何もない」ことが確認できれば、追撃隊を出して、それ以外にはここで休憩を取らせるに違いない。それがタイミング。
火力については、想像力の問題だ。私が巻き込まれず、あの陣地跡に集う一万五千体の魔族ががまとめて吹き飛ぶ、そんな都合のいい魔法の創造。……んー、【招雷】を大規模にするか。
まず【招雷】のイメージを膨らませる。中心の魔族に落雷し、なおも勢いを失わずに周りの魔族にも感電させるようなやつ。それが連続で落ちる。……ちょっと人類に都合が良すぎて魔法使いの関与を疑われるだろうか? だが、そのぐらい広範囲に被害を及ぼせるような現象が、あんまり。爆発は論外だ。火薬がまだ軍事利用されていないために、不自然な現象すぎる。
……あー、地を這う雷、ならいけるか? いわゆるライトニングボルトの発生源を敵を中心とする。これでいいか。イメージを具体化させよう。天から降る、地を揺るがすほどの強い雷と、横方向に広がる電撃。これだ、これだ。
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