今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。   作:一宮 千歳

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第36話

「子を産んだ覚えも、産むような事をした覚えもないのですが……」

「産むような事の覚えって……リリアナさん……」

 

勇者くん(アホ)が何か言ってるが無視するとして。

ピチピチの処女(おとめ)捕まえて何を言うてるんだろうねこの少女(ロリ)は。

 

「ママ! ママがママ!」

 

どうすんだこれ。

 

「私はママじゃないわよ……?」

「いいにおいするからママ!」

 

なんちゅう理論だ。少女(ロリ)はとてとてと近寄ってきて、腕を広げる。

 

「だっこ!」

 

私は少女を無視してヴィサーラに尋ねる。

 

「ヴィサーラ、どう思う?」

「彼女は魔族であると思われます。このようなところに人間の子供が一人でいるはずがありません」

 

そうだよね、こんな最前線に近い森の中。

 

「ママ、さがしにきたら、いけなかった?」

 

【鑑定】発動。結論、夢魔。ちなみにステータスは見事な点。成長の余地ありまくりだ。

 

「夢魔ですわね、この娘」

「敵ですか?」

「ならば切るか?」

「それにしては、敵意がなさすぎますよ」

 

ヴィサーラとイグナスは好戦的、勇者(おれ)くんは様子見ってところかな。

 

「ママはわたしのみかただもんね?」

 

夢魔の少女はにこーっと微笑む。うーん、かわいい。じゃなくて。

 

「絆されそうです」

「気を強く持ってください!」

「ママがママなのー!」

 

ヴィサーラが私をがくがくと揺するが、いうて私ロリコンだからな。かわいい子供にあげる手はあんまり持ってないぞ。オレのそばに近寄るなぁーッ! とか言えるはずもない。

 

「ママ……」

 

ついにしがみつかれてしまった。ほわんと少女特有の甘い香りがする。いかん、ほおが緩む。

 

「ママですよ〜」

 

抱っこしてあげた。もう負けでいいや。これがラスボスだったとしても可愛いは正義だもの。

そんで、ヴィサーラとイグナスがすごい顔してる。まあそうだよな、魔族だもんな。

 

「あの、本気ですか?」

「以前夢魔について聞いたが、もしや魅了にやられたのか……?」

 

まあ魅了されたって言うならされてるよね、この子可愛いもん。

 

「じゃあえーと、【魅了を無効化する魔法】。ほら、(かどわ)かされてはいませんわよ」

「くちゃいおじちゃん、うたぐりぶかい?」

「くちゃいおじちゃんはそういうお仕事してるからね〜」

 

膝から崩れ落ちるイグナス。なんだどうした。

 

「ヘーゼル嬢までくちゃいおじちゃんって言わなくてもいいじゃないか!」

「ファーロン副団長、覚えておきなさい。ママは子供の言いなりなのです」

「あの、本当にこれからどうするおつもりですか?」

 

ヴィサーラが心配そうな顔で質問してくる。

 

「害意のない魔族というのはこれまで人類が関わったことのない希少な存在です。これが本来の親の影響であれば、魔族にも融和派、あるいはそのようなものがいるということにもなるでしょう? 融和が世迷言でない事の証明として、この子は連れて帰ります」

「あ、まともな判断力も残ってましたね」

 

ヴィサーラがひどい。

 

「あとはまあ、かわいいからですわね」

「わたし、かわいい?」

「とってもかわいいですわよ!」

「えへへ!」

 

あかんかわいい。私はなんとしてもこの子を守るぞ!

そういえば、この子の名前を聞いていない。あるのかな、名前。

 

「ねえお嬢ちゃん、あなたのおなまえは?」

「ない! つけて!」

 

ないかー。

 

「じゃあ、ファーロン副団長。案をください」

「ええ、いきなり……アイリスなんてどうだ?」

「くちゃいおじちゃんのかんがえたなまえ、やだ!」

 

イグナスは たおれた!

勇者(おれ)くんも たおれた!

 

「あら、困ったわね。じゃあ、ヴィサーラの考えた名前は?」

「ヴィサーラならいい。くちゃくない。むみむしゅー」

「味は知りませんよね?」

「たべていい?」

「だめです」

 

ヴィサーラと夢魔ちゃんの間でほのぼのやりとりが発生している。よきかな。

 

「さておき、リリアナ様の子を自称するなら、慎み深い名前がいいと思います」

「つつしみ? わたしむま(夢魔)だから、つつしまないほうがいい!」

 

どうしよう、娘(仮)がはしたない。叱るか。

 

「よくないですわよ。めー」

「ママがめーっていうならつつしむ……」

「まあ! 聞きました!? とても聞き分けの良いいい子ですよ!?」

「短時間でずいぶん親バカになったな……」

 

かわいいんだもん、しょうがなかろ。ところで名前を思いついたぞ。

 

「今ふと思いつきました。ヴェンという名前にしましょうか」

「不思議な響きですね……意味は?」

「ありません。私はこの子に意味を求めない。そう決めましたので」

「あの、さっき仰ってた融和云々は」

「忘れました」

「ヴェン! ヴェン! すてきななまえ! ママ、ありがとう!」

 

ヴェンちゃんかわゆすなあ。

 

「まあさておき、融和のきっかけとして、ヴェンちゃんの本当の親探しも必要ですわよね。行きがかり上とはいえ、ちょっと困難ですわ……」

「あ、正気に戻った」

 

くちゃいおじちゃん(イグナス)の茶々は無視するとして。

 

「ヴェンのママはママだけだよ!」

「あらあらうふふ」

「ヘーゼル嬢のとても珍しいデレデレ笑顔だ。マエミチ、よく見ておけ」

「そ、そんな……あっ……リリアナさんかわいい……」

 

勇者(おれ)くんに性的な目で見られるのはとてもキツイがヴェンちゃんが可愛くて緩む顔を抑えることができないのでやむを得ない。ヴェンちゃんの可愛さに感謝するんだな!

 

「では、ヴェンちゃんを連れてダイスロに戻るとしますか。

【脚力強化】」

 

ヴェンちゃんを強く抱きしめ、【脚力強化】をかけ直す。森も半ばまで来ているはずだし、まっすぐ走れば帰れるはずだ。

 

「抱っこしたまま……戻るんですか?」

「愛の力はすべての苦難を乗り越えますわ!」

「あっそれちょっと言ってみたい!」

 

かくして我々は、ダイスロ王国に帰還するのであった。

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