今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。 作:一宮 千歳
TSつよつよ美少女魔法使いには、有望な後進を育てる仕事もある。
まあ、育てるといっても、練達しきっていない魔法の被害を抑えるためのセーフティとして格上が必要なだけで、自己研鑽中に事故死しなければ独学で鍛えてもいいのが魔法なのだが、貴族様が魔法の素養ありとなると話は別だ。
本日(も)私が監督を務める見習い魔法使いは、貴族様も貴族様、第二王女のリン=ダイスロ殿下である。
リン殿下、とにかく可愛い。美少女自認であるわたしも負けを認めざるを得ない。だって私みたいなTS美少女じゃなく本式(なんだそれ)の美少女だもの。
肩まではちみつ色の金の巻き毛がふわふわとかわいらしく、サファイアのようなぱっちりとした青い瞳は国宝級の美しさ。身長が私より高い150cmほどなのとそのくせ年下、13歳なのはきになるが、美少女に「リリアナねえさま」と慕われたら悪い気はしない。てかめちゃ良い気分。美少女王族から慕われるとか怖いけど最高。
場所は王宮の専用練習場。一般向けを貸切にするとかじゃなくて専用のが用意してあんの。すごいね、王族。
「では本日も、はじめは【氷の矢】の魔法を試してみましょう」
「はい、ねえさま!」
リン殿下がむにゃむにゃと念じる事で少しずつ実体化、巨大化していく氷の矢が現れ、ほどほどの大きさになったところでついー、と目標の木人形に向かって飛んでいき、刺さる。
あんまり殺意がこもってない。が、刺さってるからOKだろう。
「やりましたわ!」
「ええ、何もない指先に氷で矢を作り、それを飛ばす、お見事です」
リン殿下の氷の矢の魔法の成功は別に初めてではない。反復練習で「できることはできる」と覚えるのが大事だ。
殺意マシマシ【氷の矢】を生成するなら、バチバチに弦を張った弓から放たれる矢を何度も見てもらう必要はありそうだが。
「では、また【氷の槍】を試しましょう。私のお手本をよくみていてくださいね。」
「はい!」
私がむにゃっと念じると、目標の足元から氷の槍が現れる。
その直後恐るべき勢いで槍は伸び、木人形を八方から串刺しにした。
心の中では「アイススパイク」と呼んでいる、対人串刺し魔法だ。対人相手ならまあよっぽど鍛えたやつ相手でなければころころできる。死ななかったやつ、イグナスぐらいだ。
こんなん教えるの割とどうかしてるが、体から離したところで発動させるのは高度な魔法扱いであり、実用まで時間がかかる。なので、まだ幼いうちから特訓なのだ。
「暗殺者とか来たら自衛できるように(要約)」との王妃陛下の意向なのだが、正直氷の矢を殺意マシマシにすれば事足りる気がするんだよな。
「えい!」
リン殿下がむにゃむにゃ念じ、掛け声と共に突き出たのは……目標と私たちの間に現れまっすぐにのびていく、一本の氷の棒。
「また棒ですわ……」
「かなり離れたところに氷を出している点では成功ですよ」
ニコニコ顔でフォローする。実際問題離れた場所に魔法を発現させるのはかなり高度で、なかなかできる人がいない。槍じゃない、一本しかない、直立している、生成スピードが遅いというのは些細なことである。いや、あんまり些細ではないか。でも、宴会芸としてはこれ以上ない。
……一国の王女の宴会芸というとアレだが、これが棒じゃなく氷の華とかだったら威厳を示すのにぴったりでじゃないか?。あ、そっちも使えるようにさせようか。
「ありがとうございます! 今度は槍の形にしてみせますわ!」
「その意気です、リン殿下」
賛辞のお礼をいうリン殿下の笑顔は眩しく、素晴らしい。この姫が失われるようなことがあってはならんなあ、と思う私であった。
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そのあと何度もリン殿下にアイススパイクの練習をさせたが、今日初めて槍にはなった。が、2本めがどうしても出ない。まあ1本でも生成速度が死んでるので実用に耐えないのだが、おやつの時間になってリン殿下は訓練場から退室とあいなった。
私は片付けを担当。まあ、「片付け〜」でむにゃむにゃするだけで片付くんだけど。魔法の力ってすげー。
リン殿下、才能に溢れてるんだよな。私が指導について何ヶ月かしか経ってないのに、遠距離発動が距離が足りないとはいえ安定してる。つよつよ魔法使いの私といい勝負だ。
そういやリン殿下ポーション作るのかな。リン殿下のポーション飲みてえ! いかんな、とてもはしたない感じがするぞ。そもそもそんな下々の仕事は誰もリン殿下にやらせねえ。
あとリン殿下も魔法使えるようになったとてどこかの国へ嫁ぐのが既定路線なんだよな。
どこの国へ嫁ぐんだろー。一番ありそうなのは魔法大国のポリヘドラかな。最近勢いを増してるルプレイ皇国という線もある。……うーん、同性婚できないかなあ。嫁にしたい。無理か。
片付けが考え事をしながらも完了したら、こんどは私もおやつである。ててーん、柑橘の皮の砂糖漬け〜。日本でもオレンジピールとかで馴染みがあるやつね。これを紅茶と一緒にいただくんですよ。
限界独身男性時代もちょくちょく食べてたんだけど、甘味がお貴族様専用みたいな感じになってるこの世界、たくさん食べるとブルジョワジーな気持ちが味わえますことよ。甘味と酸味が疲れた体にも効く。たまりませんわ〜。
でも殿下ともなると多分砂糖をふんだんに使ったもっといいもん食ってんだよな。ピールではカロリー爆弾のケーキやタルトには及びませんことよ。およよ。
あ、最近毎日困ってた気がするが、今日は困ってない。やったー。