今異世界転生TSつよつよ美少女魔法使いなんだけど、若い頃の自分に告白されて困ってる。   作:一宮 千歳

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第5話

勇者(おれ)くん訓練は順調……とは言い難いらしい。なんか「リリアナちゃんに応援してもらいたい……」とか言い出したと。

 

勘弁しろ。

 

真面目に仕事してんだぞこっちは。お前の応援してる間にポーションいくつ作れると思ってるんだ。金にもならん自分の応援とか誰がするか、ぺっ。

 

って思ってたら、私の訓練見学は王命になったんですって。ほな従うしかないか……。

一応昼以降に見てやってくれとのこと。そしたらそこまでは気合い入れてポーション作りますか。

 

青、青、青緑、青、青、青、青、青緑、青、青緑、青、青。

 

軽傷治癒9、重傷治癒3。

えーと、ダメじゃね? 

……あーそうだ、リン殿下のことでも考えながら作るか。

 

青緑、青、青、青緑、青緑、青、青、青緑、青、青緑、青、青。

 

すると軽傷治癒7、重傷治癒5。

これはいけてる気がする。やっぱりリン殿下は最高だぜ!

 

「ヘーゼル嬢、いるかいー?」

 

あ、イグナスだ。人目があるかもしれないからお清楚モードで対応よ。がちゃりとドアを開け、「あらファーロンさん」みたいな顔で応対する。

 

「なんでしょう?」

「昼、街へ食べに出ないか? うちの騎士団の連中がどうしてもって言っててな……」

「お誘いありがとうございます。ですが昼は軽く済ませる予定なのです。午後から勇者様の訓練の応援をすることになっておりまして……」

 

イグナス、マジかーという顔。まあ騎士団の(美少女を見せて)ガス抜き(やる気を回復させよう)という意図だと思うんだ。アテが外れたよな。ごめんな。しょんぼり困り顔を喰らえ。そしてその顔からすまなそうに代案を繰り出してやる。乗れ……乗れ……!

 

「代わりと言ってはなんですが、遅くならない程度になら今夜夕食をご一緒させてもらっても?」

「……うーーーん、酒は?」

 

未成年のいる場で酒を飲もうとするな馬鹿者。

まあ精神年齢はぜんぜん未成年じゃないので許すけど。

 

「私は飲めませんが、ありで良いのではないかと」

 

私のにっこりスマイル。

社会通念上、酒は私ぐらいの年齢でもぜんぜん飲む。法で規制されてなければそりゃ飲むよ、いい気分になるもん。

私が飲まない理由は二つあって、体がちっちゃい分アルコールの影響が大きいのが一つ、魔法行使に酔いが邪魔なので飲まないのが一つ。後者は重要で、特にいつなんどき魔法を使わないといけなくなるかわからない魔法使いは基本あまり酒を飲まない。

 

「わかった、それじゃあうちの連中にはそれで声かけてみる。済まない、恩に着る」

「お食事で恩なんて感じなくてもよろしいのに……それでは、楽しみにしておりますわ」

 

ぎぃ、ぱたん。そういうことで話に決着がつき、ドアは閉じられた。

騎士団の連中、性欲のこもった目を向けてこないんだよな。少なくとも私から見える範囲では純然たるファンって感じで好感が持てる。それに比べて勇者(おれ)くんはさあ……。

いかんいかん、すぐ愚痴になってしまう。美少女はにこにこしてこその美少女だというのに。あ、でもアンニュイな表情の美少女もいいよな。

 

……はっ。あまりにも応援が嫌すぎて現実逃避してしまった。でもだって嫌なものは嫌だよ。自分のこといじめてくる奴が甲子園出場して全校で応援しなきゃいけないのと同等ぐらいには嫌だよ。

 

ポーション作り、もうちょっとやるか。

 

青緑、青緑、青緑、青緑。

 

すごいぞ四連チャン。今日五分超えてない? あいや、そんなことない……でもだいぶ調子いい、リン殿下パワーすごい。これからリン殿下のことだけ考えて生きていきます。そうもいかんか。

 

そうこうしてると、昼の鐘が鳴った。キリがいいのでポーション作りはここまでにして、王宮の食堂にご飯を食べに行こう。今日のご飯はなーにっかなー。

 

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黒パンとチーズと豆アンドトマトのスープにしました。あと紅茶とくだもの。

サラダと肉もあったんだけど、この美少女ボディでいっぱい食べるのはちときつい。サラダは味気ない。肉はもってのほか。乳製品は取りたい。スープはパン食べるのにいる。ということでこうなった。

チーズ、おそらく職人技で作られており決して安くないのだが昼と夜にはほぼ確実に出してくれてて大変ありがたい。どこで作ってるんだろうね。

 

「おや、今日は食堂かえ?」

 

黒パンをスープに浸し、もむもむと食べていると、魔法使いの同僚に話しかけられた。名前はマギータおじいちゃん。某作品の白いおじいちゃんみてえなんだよなこの人。

 

「これはマギータ様。ええ、午後から勇者様の訓練を見学することになっておりまして。街に食べに出ると時間がなくなりますので、こちらで」

「ほっほ、勇者殿の訓練を。たしかリリアナ嬢は魔王討伐の勇者パーティに配属を希望されておりましたな?」

「ええ、そうですわ」

 

マギータおじいちゃんはスープオンリーみたい。お腹持つのかしら。中年になってからの食事はもちろん前世で体験したけど、豆のスープだけは流石にお腹空くレベルなんだよな。おじいちゃんになると豆のスープだけでいいのかなー? それともマギータおじいちゃん固有魔法で飯食わなくてもいいとか?。マギータおじいちゃんならありそう。

さておき。

 

「リリアナ嬢だからこそ言うておくのですがな、わしのみた限り、勇者殿の訓練、ちーとばかし上手く行っとらんように思うんですじゃ」

 

なんか気になることを言い出した。

 

「はあ……それはまた、どうして?」

「何、勇者殿、今は騎士に揉まれておりますじゃろ。しかし騎士というのは複数で戦列を組みますな。一方で勇者というのは一人敵に立ち向かうと、英雄譚で書かれるもの。騎士の訓練が勇者の訓練になるかというと、ちと不安がありましてな」

 

あーーー……。一理、あるな?

 

「すると、既に実戦をした方が良いと?」

「さよう。幸いというべきか、不幸というべきか、勇者殿はギフトによって傷を負いにくい身。さすれば実戦、はたまた実戦形式で勘を養うのも、また正道ではないかとじじいは思いますのじゃ」

 

うーーーーーん。どうしよう、確かにほぼ正論だ。

 

「それと、これはリリアナ嬢のことなのですがな。最近、ポーションの出来が良くないのでは?」

「う」

 

ばれてらー……。まあマギータおじいちゃんは自ら身を引いたといえこう見えて実力的に宮廷魔法使い筆頭格、納品してるポーションの内訳とか、知ってるに決まってるよなあ。

 

「ほっほっほ。それについても、わしは勇者殿への心配もあると見ました。ここは一度、上手くいくところを見て安心なされてはいかがかな?」

「貴重なご助言ありがとうございますわ、マギータ様」

 

……助言もらったはいいけど、第一騎士団の面々から引き剥がして実戦訓練? わたしが主導でぇ?

 

実戦で勘を養うべき、というのは確かに正しい。しかも、ポーション作成時の重傷治癒率が下がってるのは紛れもない事実。おちんぎんが減れば生活レベルを下げざるを得ないし、いずれ来たる魔王討伐の旅路のための路銀にも支障が出かねない。

 

うおーん。まじか。私主導ってなったらアイツ「俺のために特別メニューを考えてくれた…キュン!」とかなっちゃわない!? いやまあ一目惚れするレベルのウルトラスーパーデラックス美少女だからここから多少プラスされたところでとも思わなくもないけど、プラスされることそのものが結構ヤだよ! でもアドバイス受けた以上は何かしら行動すべき! くそッ、地獄への道は善意で舗装されている!

 

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