はい、、
本当に暇な人が読んでくれたらと思います。
英雄の『斬光』を見た。
『余さず喰らえ。喰らった上で化け物共を断ち切る糧に変えてやる』
英雄のその背を見た。
『哭け!聖鐘楼。ジェノス・アンジェラス』
英雄達の死を見た。
『来い!雛ども!』
その意思を
その使命を
その覚悟を
『『英雄になれ』』
全部、全部、全部
その背中に乗せて
*
「今日も朝早くから振っているのか」
「、、、」
透き通る声、まるで高貴なハイエルフを思い浮かばせる。
声をかけられた本人の回答は無慈悲なるフル無視。
それを分かっているかのようにやれやれと首をすくめながら庭に備え付けれたベンチに腰を下ろしまるで、自分の愛娘を見るような慈悲深い目で極限まで高められた集中力で何もない空間と対峙する彼女を見る。
肩越しまで伸びた白銀の髪が風になびく、早朝の肌寒い風が袴の上からでも彼女の体温を下げる。大きすぎずされど小さすぎない胸の膨らみが締め付けられる袴によって少し強調されている。道化の紋章が刻まれた羽織が風に煽られて波のように揺れる。
手に握られている漆黒の刀身は光さえ映さず静かにその時を待つ。
見開かれた翡翠の双眸が目の前の何かから目を離さない。それは獣が獲物を仕留めるために息を潜め機会を伺うように相手の一挙手一投足を見逃さないように。
動く。
「シッ!!」
攻防にして17。
黒い軌跡を残しながら刹那の瞬間に振るわれたそれは第一級冒険者の動体視力でなければ刀身が振るわれたことすら認識することは難しい。
たった17。
刀を振るった彼女は滝のように汗を流してまた元の構えを取っていた。
「は、は、は、ふぅ、、」
「まだ届かないかフェリア」
「、、、!!」
リヴェリアが話しかけると彼女、フェリアはビクッと飛び上がると驚きの顔と共に振り返る。
「い、居たんだリヴェリア。声掛けてくれたら良かったのにびっくりする」
抗議の顔なのだろう少し膨れさせた頬を見せながら近づいてきた彼女の膨れた頬を両の手で潰しながらリヴェリアは微笑む。
「いや、声はかけた。お前はいつも集中すると声すら聞こえないだろう」
「う、、そっか、、ごめん」
しゅんと申し訳なさそうにしょんぼりする彼女。フェリアはロキファミリアでも数人しかいない第一級冒険者。
Lv6でありながらあの都市最強の『猛者』にも届きうると神々が認めるほどの都市最強の剣士。
都市外で活動するLv7。学区の『ナイト・オブ・ナイト』でさえも唸るほどの圧倒的な剣技と技術を持って
「で、届いたのか?」
「ううん、、17手目で私が死んだ」
「そうか、、」
17、それは彼女が幻の中の眷属達と死闘を繰り広げた結果。
自分が死ぬまでの手数だ。
「でも、前は15手だった成長!」
あまり表情を変えずにVサインをするフェリアに少し笑う。
「あまり、気負いすぎるな遠征も終わったんだ。今日の夜は打ち上げだぞ遅れるなよ」
「うん、私もあそこのご飯は好き。絶対いく」
そう言ってリヴェリアは手を振りながらホームに戻っていく。
それを見届けたフェリアは自身の刀を仕舞うと先程まで刀を構えていた方を見る。
薄く、陽炎のように輪郭がぼやけた剣士がまだそこにいる。
鎧に身を包み身の丈ほどの大剣を携えた最強のファミリアの眷属。
(まだまだだな)
そう、言われた気がした。
「、、、チッ」
またひとつ、彼女の中に刻まれた導を強く意識する。
「世界は英雄を欲している」
そう呟いた彼女は汗だくになった袴を着崩しながら風呂場に向かうのだった。
*
「ミア母ちゃーん!来たで〜」
遠征後の宴が始まる。
「今回は遅刻しなかったようだなフェリア」
「うん、流石に3回目はロキに泣かれそうだし」
「1回目から泣いてたよ?」
「え?」
「あんたフェリアに毎回抱きつくの辞めなさいよ」
「なに?羨ましいの〜?」
「あんたはっ倒すわよ?」
ティオナが横からフェリアに抱きつきながら言う。
そうなの?と少しドン引きしたような顔をしたフェリア。
それにしてもアマゾネスの服装は露出が高い。抱きつかれると体温が直で伝わってきてなんかドキマギする。
自分は極東の出身ではないが師匠がよく着ていた袴を気に入っている。
ティオナとティオネの服装はもはや裸だ。だってほぼ大事な部分しか隠れていないじゃないか、1度袴を着てみたいと言っていたティオナに着せてみたが凄く似合っていたのに動きにくいとすぐに脱いでしまった。
まぁ、ゴタゴタと言ったけれど、私の袴もロキが駄々をこねるせいでスカートぐらいの長さになっていてほぼ私も生足だ。冬は寒くて叶わない。
師匠が今の私を見たら笑ってころげ回るだろう。
(馬子にも衣装ってのはこの事をいうんだなwww)
考えたらイライラしてきたな。
「今日は宴やぁ!!飲めぇ!」
ロキの号令と共にグラスを掲げる。
ワイワイガヤガヤと食事が始まる中、私は少し離れるようにリヴェリアの後ろに隠れながら食事を開始した。
昔から大人数で食事を囲むことは得意ではなかったのでこういった宴などは少し苦手なのだ。
今でこそフィン達やロキの教育、もとい矯正の元こうしてみんなの前に出てこれる程にまでなったが昔はこういった宴は全てブッチしていた。
「リヴェリア様、フェリアさん、これどうぞ」
運ばれてくる料理を取り分けて渡してくれる山吹色の髪を揺らすエルフの少女。レフィーヤが私の料理もよそってくれる。
なんて出来た可愛い後輩だろう。
「すまない」
「ありがとうレフィーヤ」
「いえ、いえいえ!いつも助けていただいてますしこういう時くらいしか」
こういった行事が嫌いと知ってからレフィーヤが他の団員からフェリアをガードしてくれるようになったりこうして席を一緒にして気を使わないようにしてくれたりと。
レフィーヤにはいつも助けられている。
「ううん、レフィーヤにはいつも助けられてるよ今も」
「は、はぅぅぅぅ!」
「フェリア、私は?」
「ん?」
レフィーヤに感謝を伝えると隣から私の袴の裾を引っ張ってくるアイズが顔を覗かせてくる。
なんだ、また可愛い後輩か。
「はいはい、アイズにも助けられてますよ」
そう言って覗き込んできたアイズの頭を撫でてあげる。
相変わらずサラサラの髪と艶のある肌だこと。
「むふぅ」
「あぁ!ず、ずるいですぅ、、」
そんなこんなで食も進んだ頃だ。
「フェリア今回の遠征、何か感じたことはあるか?」
ふとそう聞いてきたリヴェリアと目が合う。
隣でガチャガチャとガレスとロキの酒飲み対決が始まる中、三毛猫のウエイトレスさんに交換してもらった飲み物をチビチビと飲みながら考える。
新種のモンスターの出現によって私達ロキファミリアは撤退を余儀なくされた。物量もそうだが武器破壊が厄介だった。
それに、、、
「右手が凄く反応した。こんな事は今までになかった、、威嚇、、?に近かったかも?」
「、、、、そうか」
チビチビとグラスを傾けるフェリアの右腕は肘先から指先に至るまできつく包帯が巻かれている。
それを見たリヴェリアが苦虫を噛み潰したような顔をしてしまった。
あぁ、この顔を見るのは心が苦しくなる。あれは仕方なかった事故だしリヴェリア達のせいじゃないのに今もこんな顔をさせてしまう。
発現してしまった忌むべきスキル。
そうしてそんな私は、この恨むべきで憎むべきスキルに今も生かされている。
スキルによって命を脅かされ、そのスキルによって生かされている。
私とは切っても切れないスキル。
「また何かあったらリヴェリアに言うね」
「あぁ、頼む」
「そうだ、アイズ! お前のあの話を聞かせてやれよ!」
そんな会話をしていると何やらベートが遠征帰りに起きたイレギュラーについて話し始めた。
筋書きはこうだ、私達が逃がしてしまったミノタウロスに殺されそうになっていた少年をアイズが一刀両断したさいに鮮血を浴びてトマトのように真っ赤になってしまいましたとさちゃんちゃん。
という話らしい。
なんともどうでもいい話だ。何が面白いというのかくだらない。
リヴェリアが抗議の声を上げるがベートは止まらない。
そんな事で止まるような小さな男なら奴は第一級冒険者になどなっていないだろう。
まぁ、この話を聞いて心を折られてしまう程度であるならば早急に冒険者は引退しておいて損は無いだろう。
生半可な気持ちではいつか訪れる試練に押しつぶされてしまう。
日々様々な者が夢を見て明日を見てここ迷宮都市オラリオを尋ねてくる。腕に自信がある者、英雄に憧れて来る者、目的は多種多様だが皆が自分の中に眠る才能や何かを信じてやってくる。
その中には心を折られ夢も忘れ明日さえも見失ってきた者を星の数ほど私は見てきた。
Lvの壁につぶされた者、迷宮に呑まれた者。
道半ばで倒れた同胞達の姿は今でもフェリアの瞳に焼き付いて離れない。
私達を生かす為に先だった先駆者達。
私を強くあれと洗礼を浴びせ続けた英雄達も例外ではない。
オラリオに住まう者ならば誰しもが知っていること、『冒険者に絶対はない』
かくいう私自身も日々呑まれぬように抗い続けている。
フェリアの瞳の先、今も震える白髪の少年を射止めながら。
グラスに入ったジュースを揺らす。
「雑魚じゃぁ、アイズ・ヴァレンシュタインに釣り合わねぇ」
直後、少年は店を飛び出した。
その後を追いかけるアイズがダンジョンの方角、バベルに向いているのをみてフェリアは笑みを浮かべた。
少年は立ち上がった。涙で頬を濡らしながら家に飛び帰るのでもなく、何もせずただテーブルで俯き自分を卑下する会話を胸の内に封じ込めておく訳でもなく。
彼は試練を選んだのだ。
それを知っただけでフェリアは火照る体と重いまぶたが視界を遮る中笑いが込み上げる。
「ははは!いいぞ少年」
「あの、、フェリアさん?大丈夫ですか?」
「ん?らいじょぶですよ、、、すこしねむたいれす、、が」
「「、、、!!」」
「おい、フェリアそれは酒だ。何故気が付かなかった?誰だ酒と取り替えたのは」
「えぇ!フェリアさんお酒弱かったんですか!?」
お酒?あぁ、彼の行動に火照った訳ではなかったらしい。物理的にフェリアの体がアルコールによってポカポカしていたのだ。
心地の良いその温かさに身を委ねながらリヴェリアにもたれ掛かる。
「あぁ、ようこそ少年。英雄の都へ」
急に終わっちゃうかも、、感想とか下さい。
こんな話も見たいとかネタをくれると嬉しいです。