またまた駄作ですが心優しく見てくださいな。
「で、なんでこうなってるの?」
「いいじゃないか、たまにはこういうことも」
「偶然だ、としか言いようがないな」
「奇遇だね!私達もダンジョンに用があったんだ〜」
ロキと別れ、自分の装備をある程度整えたフェリアはちょうど昼過ぎにバベルに到着した。
するとどこからともなくティオナが飛んできてあれよあれよと手を引かれるまま今に至る。
私、押しに弱いかもしれない。
そう思いながら上層をリヴェリアの後ろをついて歩いていると腕にティオナが抱きついてくる。
「久々だね!フェリアとダンジョン潜るの!」
「この間まで遠征で一緒だったでしょ」
「久々だね!フェリアとダンジョン潜るの!」
「いやだから、遠征で」
「久々だね!フェリアとダンジョン潜るの!」
「だから、えんせ」
「久々だね!フェリアとダンジョン潜るの!」
「うん、、そうだね」
無敵かこの女。
「はぁ〜」
少し長い溜め息を吐きながら飛んでくるゴブリンの頭を鷲掴みしたあと握りつぶす。
「フェリア、、私とは嫌?」
「フェリアさん、、そんなに嫌ですか?」
そんなフェリアの顔を見たアイズが少し悲しそうにしながら私の顔を覗き込んでくる。
その後ろでレフィーヤが申し訳なさそうな顔をしているのが目に入る。
好き。
本当にこの後輩達はけしからん。
そんな顔をされたら断れないし断らないだろうに。
「ううん、楽しいよ。ところでどうしてみんなでダンジョンなんかに来てるの?」
「う、、」
「あだぁ!」
ゴン!!という効果音と共にアイズとティオナの頭の上にとんでもないヴァリスの数字が落ちてくる。
フェリアとあって一時でも忘れていた現実という名の借金がアイズ達の肩を叩く。
ガタガタと今にもヴァリスの石像に押しつぶされそうになっているミニアイズ。
「あぁ、アイズはメンテナンスの時借りてた剣、壊しちゃったもんね」
「うん、、、4000万……」
「私も、ウルガ壊しちゃった……」
「ふふ、大丈夫私2億ヴァリスだし一緒に稼ご」
「「「2億!?」」」
フェリアの口から出たとんでもない数字にレフィーヤは自分の貯金と照らし合わせ、アイズは2億ヴァリスでじゃが丸君何個分なのか頭の中でミニアイズが数え始めティオナは「じゃあ私はまだ大丈夫だね!」とポジティブに考えたところを姉のティオネにしばかれていた。
「みな、それぞれの目的があるようだね。なら急いで下層まで行こうか」
フィンを先頭に歩く一同。
アイズはこっそりむんと気合を入れなおす。
それを見ていた私は何この可愛い生物と心の中で思いながら後に続く。
「あの、フェリアさん」
「ん?どうしたの?」
「あの、、もし体調が優れない時はすぐに言ってくださいね!」
こちらもむんと胸に杖を持ち気合いを入れ直しているレフィーヤが私の横に並ぶ。
何故こうも気合いが入っているのかと思っているとフィンの少し後ろを歩くリヴェリアがこちらに視線を向けているのがわかる。
あぁ、私の話をレフィーヤにしたのか。
これは、確かに最初の頃は苦労させられた。
このスキルは耐異常の貫通と状態異常の併発。
そして一番厄介だったのが『状態変化に対しての絶対防御』これだけを見ると魅了や呪い(カース)といった外法の技を防御できると思うだろうが。その実、仲間の魔法支援や回復魔法といった状態変化に対しても発動してしまう。
これはポーションを取っても同じことだった。
だからこそ私は後衛のバックアップを十全に受けれない。
長時間の戦闘は私の死を意味している。
何度、死を身近に体験したか分からない。
スキルで常に体力と精神力は回復し続けるが緩やかに回復していくので致命傷になればなるほど治るのは遅い。
正直いうと戦闘に入れば増える量より減る量の方が断然多い。
まぁ、今では昔ほどこのスキルに振り回されていない。
アルフィア姉さんのように強引に我慢している。
それほどにLv6は無理が効いてしまう。
第一級冒険者とは人外の集まりとはよく言ったものだ。
まぁ、、その通りだしね。
「ありがと、その時は頼るね」
「は、はい!任せてください!」
「私も、、助けるよ?」
「はいはーい!私も助けるよフェリア」
そんな私達の会話を聞いていた2人も手を挙げながら私の周りを囲むようにする。
はぁ、可愛いからあまり近づかないで欲しい。
「うん、お願いね」
そう言ってあまり変わらない表情で話すフェリアを遠目でリヴェリア達も見ている。
「ふん」
「おや、ママも子離れは寂しいかい?」
「黙れフィン。だが、娘の成長を嬉しく思わない者はいない」
*
で、なんやかんや皆で楽しくダンジョン探索が始まったわけだが。
何やらリヴィラの街で人殺しが起きたようだ。
街の様子がおかしい事に気がついたリヴェリアの声の元、フィンが素早く情報収集を初め導かれるように殺人現場にまでたどり着いた。
もう既にフェリアの鼻には血の匂いがへばりついているのではないかと思うくらいには臭い。
自分だけ鼻に手を当てながらその現場となる帳を手で除けながら踏み込んでいく。
「……っ!」
部屋の散々たる有様を目に息を呑むアイズはその光景が純粋無垢なエルフの目に入らぬように瞬時に目を塞ぎ背後に追いやる。
「ぐろ、」
「、、、」
こんな光景はあいつらがいた時代は結構日常的に目にしていたので私はなんてことは無い。
目にした部屋の惨状を隅々まで把握しようとフェリアが視線を動かしていると。
「けっ、ものは言いようだなぁ、フィン。てめえ等といい【フレイヤ・ファミリア】といい、強ぇ奴等はそれだけで何でもできると威張り散らしやがる」
なにやらボールスとフィンが話している。
そのボールスとふと目が合う。
「げぇ、
「、、、?」
私と目を合わせたボールスは怪訝そうな顔をする。
「おい、【夜の黄金鳥】頼むからその刀はこの街で振り回すんじゃねぇぞ」
「振り回さないよ。私の事なんだと思ってるの?」
「信用するわけねぇだろ。もう既に2回も街をぶっ壊してんだからよぉ」
「「え?」」
人聞きの悪いことを言わないで欲しい。
あれは致し方なかった事故じゃないか。
ほら見た事か、可愛い後輩達二人が「え、そんなことしてたの?」みたいな顔で見てくるじゃないか。
理由もないのにツクヨミを抜くようなことは決してない。
あの、ヒューマンの皮を被ったアマゾネスの寄せ集め集団だったヘラの眷属共と一緒にしないで欲しい。
ただ、あの時は私にセクハラしようとした奴を成敗しようとだね街を半分吹き飛ばしたが。
裁判長あれは、私の正当防衛を主張します。
「あれは仕方なかった」
「仕方ねぇで済む範囲を超えてただろうが!」
怒鳴られるフェリアは、「ヨヨヨ、、、」と珍しく小さくなっている。
「その辺にしてやってくれボールス」
「ちっ、まぁあれはウチの街のバカのせいでもあるのは事実だしな」
リヴェリアママに助けてもらい事なきを得た。
そんな、どうでもいい話をしている間に死んだ冒険者の身元が【ガネーシャ・ファミリア】のLv4
ということは、、
「第一級冒険者に相当する犯人がいるということ、、ですか?」
レフィーヤの行き着いた答えに、私達の間に凍てつくような戦慄が走る。
その後も、毒を盛られた可能性は耐異常がG評価であることから考えずらく【イシュタル・ファミリア】だのなんだのと話していると、室内にいた取り巻きの一人がこの第一級冒険者相当の殺人鬼の存在に半狂乱でフェリア達に指を向ける。
「そ、それらしいこと言ってるけどっ!! 今ちょうど街にやって来たって顔をして、本当はお前等の誰かがやったんじゃ、、むごっ!?」
「ば、、!馬鹿野郎!」
ボールスがそのバカの発言を許してしまった。
その発言の後急いでその取り巻き一人の口を無理やり塞ぎにかかる。
その言葉は今はまずい。
フィン達だけならまだ良かった。そつなく流してスルーしてくれるだろう。だが、今は彼女がいる。
誰よりもフィン達を、【ロキ・ファミリア】を愛してやまない獣がいる。
動いたのはボールスだけでは無い。レフィーヤを覗いた全員が瞬時に動き出す。
ボールスは仲間が死なないように。
ロキファミリアは仲間の人殺しを止めるために。
ドゴッンンンンンン!!!!
凄まじい轟音と衝撃がボールス達とその野次馬達を襲う。
何人かLvの低いものは吹き飛ばされるほどの衝撃を作り出した張本人。
フェリア・アーディライトが神速で抜き放ち考えるのもバカバカしい戯言を発言したゴミの存在を抹消する為に振るわれるツクヨミ。
それを同じく神速をもって止めに入る【ロキ・ファミリア】
フェリアと同じLv6であるリヴェリアとフェンがその異変にいち早く反応し杖と槍がツクヨミを交差するように抑え込む。
それでも少し押される二人にティオナのウルガをもってこれを阻止する。
「ちょっと!フェリア!!」
「だめ!」
遅れてククリナイフ、そしてデスぺレートがフェリアの動きを阻害するように突き出される。
そして、ようやく止まったフェリアから放たれる殺気の圧力にその発言をした取り巻きは泡を吹いて倒れ込んでいた。
「……あー、ボールス。ご覧の通り、僕達には彼を殺すほどの理由も、利益もない」
ギチギチと今もツクヨミを止めるために槍に全力を注ぐフェンがボールスに振り向きながら伏し目がちにそういった。
「お、おう。こっちこそバカが悪かった」
そういって退散していくボールス達を最後まで睨み続けるフェリアをリヴェリアの杖が頭を叩く。
ゴス!
「むぎゅ!」
と凶悪な音と共にフェリアの頭に落とされる雷にフェリアが涙目で頭をさする。
「気持ちは分かるが、抑えろバカ者が」
「その気持ちはありがたいけど、余計な揉め事を増やすのはいただけないね」
「、、、ごめん」
「びっくりしたよ〜」
「ごめんなさい、私反応もできなくて、、」
「まぁ、フェリアがやんなくても私がぶちのめしてたわよ」
各々が武器をしまいながらフェリアにフォローを入れる。
疑われた仲間の為に剣を取ったことは間違いではないが、こうも喧嘩っぱやいところは見てきた大人が悪かったのだろうとリヴェリアだけが頭に手を当て渋い顔をしている。
「さて、僕達もここを拠点にダンジョンに潜るんだ。早期解決を目指そう」
「「「「「おー!」」」」」
*
「【夜の黄金鳥】様〜」
「ずるい!私が先よ!」
「お姫様抱っこしてくださいー!」
「あの、やめて、ほんとに、あの、、、」
絶賛、フェリアのファンを名乗る女の子達にもみくちゃにされている私はなんでさっさと離れなかったのかと数分前の私を呪っている。
事の発端は、ハナーシャの顔の皮を被っているのだろうと当たりを付けたフィンはリヴェラに滞在している人間を集め身体検査をすることになった。
女性の冒険者はリヴェリアを含めた数人でするとの事なので私はお役御免だと離れようとしたのだがもう既に時遅し。
聞きつけた私のファンを名乗る女性達に囲まれ逃げ道を塞がれていた。
リヴェリアに助けを求めるのも間に合わず呑み込まれるように連れていかれて今に至る。
「フェリアさんって、あんなに人気があるんですね」
「そりゃあね。都市最強の剣士で彼氏にしたい冒険者ランキングで毎回2位か3位に食い込むらしいわよ」
なにそれ、知らない。
そんなランキングが存在していたなんて、てか早く助けて。
「あーね。私の知り合いも。戦闘中の凛々しい顔がスコってよくわかんないこと言ってた」
「はぁ、待っていろフェリア今出してやる」
やれやれと、リヴェリアが人の波を強引にパワーで掻き分けながら私を救い出す。
あぁ、私の女神はここにいたんだね。
後はよろしく、ね、、、カク
「馬鹿なことをやっているな、お前は私の後ろにでも隠れていろ」
過剰な人間の摂取、フェリアの許容量を1日どころか1ヶ月分くらい超過してしまったため白く灰のようになっていくフェリアをリヴェリアが自分の後ろに庇う。
流石にここにいればハイエルフを押しのけてフェリアに触ろうとする命知らずはそうそう現れないだろう。
リヴェリアに手を出せばオラリオ中のエルフを敵に回すことになるからだ。
私のファンの中にもエルフが何人かいたが、私がリヴェリアに救出される様を見て。
「え、なにあれ。リヴェフェリてえてえ」
「私が間違っていました。私が間違っていました。私が間違っていました」
「あぁ、姫を救い出す王子様……私書きます!」
などの訳の分からない会話が聞こえてきたが、リヴェリアの後ろに隠れた私は服の隙間から睨みを効かせるだけしか出来ない。
そんなこんなしているうちにフィンが次は襲われ、その対応にティオナと私で羽交い締めにしたり。
急にリヴェリアに対してのエルフ達よ礼拝が始まり、「え、リヴェリアって聖女だったの?」と驚いたり。
え、リヴェリアって歩く教会じゃんと言っ頭に杖を落とされたりした。
そんな締りのない雰囲気の中身体検査を続けていた。
そして、
「何の成果も、、得られませんでした」
苦悶に満ちた表情で俯き、涙を流しそうな声色でリヴェリアの前で崩れる私。
あんな、地獄を見たのに損をした気分だ。
「大方お前のは、あんな事があったのに意味が無かったせいで損をした気分になるなっているだけだろう」
「ねぇ、やめて心を覗くの」
やっぱりリヴェリアはエスパーか何かだ。
昔も家出をすれば数分で見つかり、少しお高いお店に連れてってもらった時も私の食べたいものを注文してくれるしお腹がすいた時は察したようにお菓子をくれた。
何もかも口に出しにくい私の為に何でもしてくれたリヴェリアは私の人生で必要不可欠な存在でもある。
「あんたそれ、もうお母さんじゃなくて介護じゃない」
ここにもエスパーがいた。
やめて私はまだ30になってない。
まだ……
年齢に関しては私は公言していない。
年齢は乙女の秘密だと昔リヴェリアも言っていた。
私は昔から見た目の変化がさほどなく。アイズと並べばお姉ちゃんと間違われるくらいの外見をしている。
神々の間ではフェリア10代説や、いや、男神と女神の時代からいるんだから30歳以上説、既婚者説が日や戦争しているらしい。
知らんけど。
まぁ、私にとってはクソほどどうでもいい話だが。
そんなくだらない思考をしていると、私の眼が遠く離れた場所にいるアイズ達を捉える。
リヴェリア達よりも少し視力がいい私はなにやら獣人っぽい女の子とレフィーヤの三人で話しているのが分かる。
「リヴェリア、、少し離れるね」
「分かった。ここは任せろ」
跳躍。
リヴェラの街の屋根に飛び移るり最短距離でアイズ達の所まで走る。
その時だ。
ズキン!!
「ーーー!!」
右腕に鋭い痛みが走る。
走る足は止めぬまま右腕を凝視する。『あの時』と同じ痛みが右腕を襲う、『アイズはまだ魔法を使っていない』それはここからでも確認できる。
吠えているような威嚇しているようなこの毒の根源がその存在を認識して疼いている。
「なに?何に反応してるの?」
*
「ーーーー!」
「アイズさん!?」
地面に膝をつき、手の上の宝玉が転がり落ちる。
「……っ!」
アイズの異常を喚起する源を察し、レフィーヤは飛び付くように緑色の宝玉を拾い上げ、彼女から一歩距離を置く。
その直後だった。
長大な体軀を持つ食人花のモンスターが街を襲っているのが目に入るのは。
もはや数えるのが億劫なほど至るところから現れ。突破するまでもなく街壁を蛇のごとく這って越え、断崖からもぞろぞろと湧き出でくる。
あまりにも多すぎて、今や黄緑の色が街の光景の半分を占めるのではないかと錯覚するほどだ。
あらゆるものに蹂躙を働いた。
途切れることのない阿鼻叫喚の悲鳴に、レフィーヤの紺碧色の瞳が震える
リヴェリアの魔法の爆発が幾重も重なりアイズ達の目と耳に届く。
戦っている。
仲間がモンスターの蹂躙から街を人を守っているのが分かる。
「急いで合流しましょう!」
走り出した矢先だった。
一つの影が、レフィーヤ達の前に現れた。
「「「ーーーー!」」」
誰よりも先に、動いたのはレフィーヤだった。
「と、止まってくださ、、
そして次の瞬間、、男の姿はかき消えた。
反応することすら出来なかったレフィーヤが懐に踏み込まれ、片腕で首を捕まれ掴みあげられる。
締め上げる指がレフィーヤの皮膚に食い込みそのか細い首の骨に指をかける。
間に合わない、助け出せとアイズ達が実行に移す前にその剛腕はレフィーヤの首を圧縮する事だろう。
「がっーー!?」
死。
その文字がアイズの頭に浮かんだ。
その時だ。
「ねぇ、何してるの?」
*
修羅がいた。
悪鬼羅刹とはきっとこの瞬間、彼女のことをいうのだろう。
その顔を見たルルネ・ルーイはこう語る。
「人の皮を被った階層主がいたんだよ!信じてよ!ねぇ、そんな胡散臭そうな顔をしないでよ!アスフィー!」
閑話休題。
人の姿をした階層主がいる。その場の誰もが駆けつけてきたフェリアの顔を見た時そう感じた。
光の線が、、『飛ぶ』
優に10M以上離れたいるフェリアは一歩も動くことはなくその場で鞘に手をかけ抜きはたれたツクヨミが神速をもって振るわれ今もレフィーヤの首を絞め続ける右腕を切り飛ばす。
「げほっ、げほっ!?」
死の圧力から開放されたレフィーヤをアイズとルルネが瞬時に回収する。
「ちっ、めんどうな」
そう言いなが男の皮を被った女は斬り飛ばされた腕を拾い上げると綺麗な切断面に押し付けるとみるみるうちに修復されくっついてしまう。
何度か手を閉じたり開いたりしながら感触を確かめ腰に刺してある長剣に手をかける。
「お前は殺す」
今までに見たことの無いほどの『威圧』を感じる。
睨み合うのは一瞬。
激突する。
最早、レフィーヤですら反応どころか目で追うことすら叶わぬ人外のスピードで疾走し長剣とツクヨミがぶつかり合う。
「……っ!?」
またしても、拮抗は一瞬と持たない。
苦悶の声が上がったのは長剣を持つ女の方だ。
ぶつかりあった直後、押される形で後方にぶっ飛んでいく。
それもそのはずで、ただでさえ超重量(ウルガ越え)のツクヨミをLv6の最高スピードで振りかぶれば大抵の場合、競り合うことなど不可能なのだ。今回のようにぶつかった方がぶっ飛んでいく。
何度も木々を薙ぎ倒し、巨大な水晶にぶち当たることでその身を止める。
「、、、強いな」
ツクヨミを握る腕が少し痺れる。
(潜在能力はLv6...いや、ステイタスだけならLv7に届くか)
「お前、、強いなLv6か、、7か?」
吹き飛んだ衝撃で鎧は砕け落ち、男の真似事をしていた皮は吹き飛ぶ過程で半分が吹き飛んで白い女の肌が現れる。
ズルリと奇跡的に剥がれ落ちないでいた皮を取り払い赤髪の目つきが鋭い美女が現れる。
「もう分かった」
「……っ!?」
今度はフェリアの声だった。
超速度で間合いを詰めた女の振り下ろす長剣をツクヨミがはじき返す。
速度が上がった。
(さっきまでは全力じゃなかったのか?!)
埒外のスピードで舞い続ける剣と剣。漆黒の剣閃と銀色の斬閃が宙を何度も行き交う。
地形の全てを生かすように立ち回る女に対してフェリアはほぼ動くことなくその全ての剣戟に応戦する。
まるで決して崩れない城壁のように必要最低限の動きと角度でその全てを相殺する。
ーーー強い!!
双方が心の中で呟く。
フェリアが突き詰められた理であるならば女の剣戟はまるで獣のそれだ。
濁流の如く剣の中に拳や蹴り、その場の石まで全てを使った全力は壮絶を極めた。
互いが互いに受ければ致命傷の攻撃を放ち続ける。
「【狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】!」
歌が聞こえた。
アイズでさえも介入を許されないほどの激攻の中、エルフの少女は自分に出来る最適解を選んでいた。
敵の力量はフェリアと五分、ということは女は前衛壁役を務めるフェリアを無視できない。
「【アルクス・レイ】!!」
山吹色の魔法陣が色濃く魔力を放ち、臨界を迎え打ち出される光の矢。
それに合わせて今まで受けの姿勢を貫いていたフェリアが攻めに転ずる。瞬間加速においてオラリオでフェリアの右に出るものはいない。
今も地形を使い高速移動を続ける女の懐に瞬間移動と見紛うほどの速度で懐に突っ込んでいく。
「ーーー!」
初めて女の『受け』が遅れる。
ツクヨミを女の真下から振り上げる。
それを正面から受けた女は衝撃を逃がすことが出来ずそのまま地面か2つの足が離れる。
無防備。
例え、Lv6の耐久を持ってしても『バカ魔力』のレフィーヤの放つ魔法を正面から受ければ致命傷は免れない。
直撃コース。
驀進してくる光の矢に、女の冒険者は左眼を細め片腕を突き出し受け止め、そのまま強引に力で捻じ曲げ真下にいるフェリアに軌道を変える。
何て強引な奴なんだ。
そう思わざるおえなかった。
レフィーヤの魔法はフェリアの『万力』を持ってしてもこんな芸当は出来ない。その馬鹿げた耐久に一瞬ガレスを想像してしまうほどだ。
「でも、、」
私も負けていない。
捻じ曲げられた光の矢を振り上げたツクヨミで正面から受け止める。
衝撃と
レフィーヤの『バカ魔力』で練られた【アルクス・レイ】は受け止めた手から伝わる衝撃に驚くほどの威力があることがわかる。
それと同時に後ろに跳躍することで光の矢の威力を殺しながら光の矢の側面に力の向きを変えつつ水の流れのように後ろに流す。
女の腕力による強引な軌道変更もおかしいがこちらも大概だ。
一歩間違えれば肩から先が蒸発していてもおかしくない。力の向き、タイミング、コンマ1秒の誤差も許されない極技だ。
「ふぅ、、」
まぁ、少し遠くに飛ばされてしまったが一足で戻れる距離で。
ズギリ!!
またしても右腕が疼く。
過去今までで一番の反応に、流石のフェリアの表情に少しの歪みが生まれる。
そして、その疼きの原因に目を向ける。
「貴方、、、誰?」
そう訪ねたフェリアの眼前。
黒のローブを纏った得体の知れない存在がそちらを見ていた。
感想くださると、私頑張ります!
また、お会いしましょう〜!