オラリオの黄金鳥   作:逆戲愛薙

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今回はすこし少なめです。


7話

 

 

あれから私達は地上に一時帰還した。

女はハシャーナ殺害の犯人として、【ガネーシャ・ファミリア】から指名手配がかかるらしい。

 

フィン達は金策の為にもう一度ダンジョンに行くらしい。私は減った貯金を取り戻しに行こうとしただけなのでまた今度と断った。

その時、涙目のアイズとタダをこねるティオナと一悶着あった。

 

 

「また今度ね」

 

 

そういってアイズの頭をナデナデしてあげる事で回避した。

 

それはそうと、私は少し気にかかることがある。あの女のLvは間違いなく6か7に近い。そんな冒険者はあの容姿でこのオラリオに存在していない。

そんな冒険者が存在しているならもっと有名でなくてはおかしい。

 

 

『この技、奴等か?』

 

 

なぜ残光を知っている?

 

男神と女神の眷属達以降この技を保持しているのは私とオッタル、そしてレオンの3人だけだ。

15年以前を知る眷属もいるにはいるがこの技を見た事のある眷属はそういない。

表の眷属でなく、残光を知る程昔から生きている眷属。

 

 

「闇派閥か、、」

 

 

15年以上前でLv5以上だと【アパテー・ファミリア】【アレクト・ファミリア】そして、【オシリス・ファミリア】

 

 

「いや、あの大抗争で軒並み壊滅させたはず。今更第一級を出せるほどの戦力は無いはず、、」

 

 

フィンほど頭の良くない私は、今手元にあるカードだけでは確信に近づけない。

 

右腕の痛みもそう。アイズ以上の痛み、アイズとあの化け物共に共通している点?

 

人間、違う。なら化け物であった理由にならない。

化け物とアイズの関係、、、分からない。

どこを切り取っても関係性なんて見えてこない。

 

この頭の隅に引っかかる靄が解けない。

街ゆく人々の中思考だけが宙ぶらりんになる。

 

 

「私だけで悩んでも仕方ないか」

 

 

今は思考を切り捨てる。

とりあえず目の前の重要事項を終わらせてからだ。

 

足取りを少し早めにホームに帰還する。

 

ロキの名前を呼びながらホーム内を徘徊しているといつもなら2回ほど呼べば、はぁはぁと淫らな顔をした馬鹿が走ってくるはずなんだけど。

 

何やら珍しい。今日はそういう日ではないらしい。

どうしたものかと止まるところを見失ってしまった私の足は歩き続けている。

そうすると先から見知った2人が歩いてくるのが目に入る。

 

 

「あれ?フェリアさん?」

 

「あ、フェリアさんじゃないっすか?団長達とダンジョンに言ってたんじゃないっすか?」

 

 

おぉ、いい所に超凡夫と貴猫がいた。

 

 

「、、、」

 

 

「あぁ、ロキは今なんか用事かなんかでギルドに向かったっすよ」

 

 

「あんた、なんで今ので分かんのよ」

 

 

「いや、フェリアさん。いつもこんな感じじゃないっすか」

 

 

「そ、そうだったような?」

 

 

なんで、分かんだよ。

私もびっくりだよ。

 

 

「そう、ならロキが帰ってきたら呼んでたって伝えてくれる?」

 

 

「了解っす」

 

 

よし、これでいいや。となると暇になった。

何処に行くあてもなくホームの中をぶらぶらしていると中庭にベートを見つけた。

 

 

「何してんの?」

 

 

「あぁ?てめぇに関係ねぇだろ」

 

 

相変わらず可愛げのない狼だ。

 

 

「私ロキが帰ってくるまで暇なの久々にどう?」

 

 

そう言うとピクピクと耳が動く。

ほら釣れた。

 

先輩として久々に修行を付けてあげたっていい。

そう私は先輩だから狼にも優しくしてあげるのだ。昔はよく私に突っかかってはボコボコにして地面に埋めたものだ。

最近はそのなりも潜んで大人しくなってしまったことは少し寂しさも感じていたところだ。

 

 

「何処からでもいい、、よっ!」

 

 

狼の拳をツクヨミの鞘で受け止める。衝撃がツクヨミを通して私の全身に伝わり立っている地面に亀裂が入る。

研鑽は怠ってなかったみたいだ。重くなってる。

 

 

「やるなら全力だ」

 

 

ベートがそう口を開く。

自分の位置を再確認するかのように、その琥珀の瞳は私をしっかりと見つめている。熱く熱の篭った瞳だ。

 

 

「抜かせてみなよ」

 

 

私も精一杯の笑みを作りながら答える。

 

 

「グルぁ!!」

 

 

速攻、踏み出した狼はその一歩で空中にその身を浮かせ神速の蹴りを放つ。それをなんなく反応してツクヨミで振り払う。

ツクヨミの重さで少し遠くに飛ばされながらも空中で体制を立て直しすぐさま加速、フェリアに組み付くことはなく一撃、二撃と一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)を繰り広げる。

 

 

「よく学んでいるね」

 

 

私との戦いを良く心得ている。万力を持つ私と接近戦闘ができるのはガレスとオッタルぐらいだ。近接職ならば一撃離脱が基本になってくる。どれだけ私の間合いに入らないかが勝負を分けるカギだ。

 

でも、私は師匠とは真逆でね。

 

 

「ベート、私は防御は得意だって知ってるでしょ?」

 

 

受け流すのは得意だ。正直攻撃よりも私は防御の方が得意だったりする。

第二級冒険者ではもはや目で追うことすら不可能な速度で繰り出される連撃を蹴りを、拳をそれもまた神速を持って対応する。蹴りを受け止め拳を流す。

 

目まぐるしく交差する爪牙と刀が庭の原型を極力破壊しない程度に立ち回りながら力と力をぶつけていく。

 

己の実力を確かめるように。そして、より高め合うように。

 

 

「チッ、、」

 

 

こいつ、前よりも強くなってやがる。

 

そう心に零しながら走る足をさらに加速させる。

 

あの【猛者】にも匹敵するほどの冴が今のフェリアから感じる。

 

強ぇ。

こんなにも強ぇ奴がいることが彼の心の熱をさらに加速させる。

少しは追いついたと思った。Lv5になって同じ第一級冒険者として前線で戦い。初めて会った時、あの酒場で唯一俺を見てすらいなかったあの女は、今俺を見てる。底がまるで見えやしない深淵とは違って今は捉えることができる。

 

それでも、ベートの手を通して感じる力の差はまるで断崖絶壁を彷彿させるほどに離れていた。

 

何故強い。

何故そこまで強い。

 

あの時代を生き抜いてきた傑物。ベートも知りえない先達達の時代から名声が途切れれる事なく生き続けている英雄。

 

剣神とも呼ばれる彼女はただ強く。強すぎた。まるでかの英雄達を彷彿とさせるようにその背中だけでファミリアを彼を熱という名の冒険に駆り立て続けた。

 

また、彼のギアが上がる。

 

どんどんと加速していく景色と思考がベートに無数の手の中で最前手を選択させる。

 

 

「決めに来るか」

 

 

ベートの加速が、熱が最高潮に達した瞬間。

直角に曲がり正面から突っ込んでくる。

 

今までにない最速で最高の一撃。

 

蹴りに合わせる形でこちらもツクヨミを前に出す。

 

受けて斬る。

 

蹴りをツクヨミの鞘で受け止めようとした時だ。

 

 

「なっ!」

 

 

蹴りだと思っていた右足はその爪先でツクヨミを引っ掛けると内側に引っ張るように加速させる。

 

ツクヨミを足場に再加速!

 

身をひねり回転の動作でフェリアの脳天目掛けて左足が振り下ろされる。

初めてフェリアの防御を崩した瞬間だった。

 

 

バギィンンン!!!

 

 

鉄と鉄の重なり合う音と共にフェリアの頭上で火花が散る。

 

 

「危な、、あ」

 

 

ツクヨミを足場に変えられた時点で頭上からの攻撃を読んでいたフェリアはツクヨミでベートのフロスヴェルトを受け止めた。

弾き返されたベートはなんなく着地する。

 

 

「抜いたな」

 

 

「強くなったね」

 

 

その目は強者と認めた眼だった。

 

そしてまた、ベートは自身と自分の差をはっきりと自覚する。

 

刀を抜いたこいつは、、やっぱり底が見えねぇ。

勝てるのか勝てないのか、そんな次元ではない。戦うこともバカバカしくなるほどの不気味さと強さをその刀とフェリアから感じる。

 

 

「うるせぇ、お前は俺が超えてやる」

 

 

「期待してる」

 

 

「なんやぁ?フェリアたんダンジョン行ってたんちゃうの?」

 

 

「ロキおかえり」

 

 

少し荒れた庭を見てロキがあぁ、これまたママに怒られるでぇ〜といいならその緋色の髪が風でなびくのを抑えながら帰ってきた。

 

 

「ラウルが呼んどったから来たけど」

 

 

「うん、少しやりたいことがあって」

 

「なんやぁ?とうとうランクアップする気なったんか?」

 

 

「うん、昇るよLv7に」

 

 

「分かってるわかってる。遠征終わってからやろって、、、、え?」

 

 

「は?」

 

 

その場で聞いていたベートも驚きの声をあげる。

そういえば、私がランクアップできることはファミリアには内緒にしていたんだった。

 

 

「ふぉおおおおおおお!!!!フェリアたん!Lv7来ちゃぁああああああああああああ!!

 

 

「うるせぇぞ!ロキ」

 

 

 

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