アリウスの象徴は今日も死んだ顔で仕事をしている   作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。

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お久しブルアカ☆(気さくな挨拶)

シリアス風味のリオifルート、2,3話で終わる想定だったのにまだ終わりそうもないです。そっちばかり更新してすまない。セクシーセイアですまない。多分こっちを待っていた人も多いでしょう。
え?そもそも更新が遅いって?
……。
ちょっと何言ってるか分からない。


感動の再会なんて、できる方が珍しい

目の前に立つ彼女の殆ど変化しない表情を見ているだけで胸が締め付けられる。光の灯らない、見ているこちらが飲み込まれてしまうような瞳から思わず目を背けてしまいたくなる。我々大人の罪をまざまざと見せつけられている気がして。

 

助けたい。なんとかしてあげたい。

 

そう思っていた。

 

彼女の置かれた境遇を考えれば、きっと誰だってそう思うはずだ。

 

自由に生きる権利も存在の証明も何もかもを奪われて、汚い大人に良いように利用され続ける人生。

 

そんなもの誰が望むものか。誰がそれを許せるものか。

 

 

 

 

 

 

 

だけど、私は忘れていたんだ。

 

黒服の言葉を。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

会話……話し合いねぇ……。正直話すことなんてあるか?って感じなんだが。スクワッド達とは前回の戦闘を除けばもう長いこと接触してないし、そこのバーサーカーは話が通じないし、先生も前回が初顔合わせだぜ?話すことないぞ?

 

なら、何か向こうから用があるはずだ。だから探してたんだろ?俺の方からは無いし、さっさと話を聞いて帰らせてもらおう。

 

「……それで、要件は?」

 

「要件、だと?」

 

「チッ、何それ。アンタふざけてんの?」

 

おっと、なんかスクワッドの地雷を踏んだようだ……いや待て待て待て!そっちから会話しようって言ってきたんだろうが!要件を聞くのは当然だろ!

 

クソッ!アレか!?女の子特有の『会話そのものを楽しむんだよ』ってヤツか!?要件だけを聞いて会話を終わらせようとする俺がギルティ!?お前ら昔はそんなんじゃ無かったのに!面倒くさい方向に染まりやがって!

 

「いや、そうだな。要件はある」

 

そう言いながら、サオリは一歩前に出て頭を下げた。

 

「すまなかった」

 

……ん?

 

「三日前、私達はマダムから姫を救出するために'――'と戦った。姫の所に辿り着くために'――'を瓦礫の下敷きにした。時間が無いからと早々に説得も諦めて、話も何も聞かずに」

 

おん、そんなこともあったな。こっちも事情は知ってたし、別に五体満足元気ハツラツつよつよフィジカルだからなぁ。そんな思い詰めなくてもいいのに。むしろ姫ちゃんを無事に救出できてよかったね。

 

まあそれはそれとして……ちゃんと謝れて偉いぞサオリィ!!お前、そんな感じで素直に謝れたっけ!?昔はもっとこう、余裕無くて相手のことをちゃんと見れてないことが多かったよな!!成長している!!俺の知らない間にサオリが成長している!!

 

うう、感激だぁ。これが娘の成長を実感した時の親の気持ちなのか?

 

「それはかつての仲間を私達の障害と見なしたと同義、謝って済むことでは無いだろう。元々薄れていた縁を私達が断ち切ったようなものだ。でも、私は、また'――'と……」

 

辛そうに、悔いるように告げるサオリの横では姫ちゃんやミサキ、ヒヨリまでもが俺の顔色を伺っている。

 

ふむ。これさ、普通にさ、俺を始末しに追いかけてきていた訳では無いのでは?マダムの次はお前だ理論、破綻してる?要らぬ心配してた感じ?

 

え、てことは俺意味もなくコイツらから逃げてたってこと?

 

アホかな?

 

「本当に、すまなかった」

 

ざ、罪悪感がすごい。やめて、頭下げないで。その隣で他のみんなも謝りながら頭下げてくるのやめてね。全部俺の早とちりだからさ、スクワッドは悪くないからさ。ガン逃げした俺が悪いっていうかなんていうか……。

 

「……謝る必要はない。全て私の責任だから」

 

「どこに責任がある?それは何に対してだ?」

 

「……」

 

えーっとぉ、か、勘違いして逃げてたことに対してですかねぇ?

 

「そうやって何もかもを抱えるのは'――'の悪いクセだ」

 

????????

 

な、なんの話????????

 

「……抱えたことなんて、ない」

 

「……」

 

黙るな。おい。せめて何か実例でも出して反論してくれない?俺が何も理解できてないんだって。そっちで完結するのやめろ。俺にも情報プリーズ。

 

「で、でも……'――'さんは、わ、私達の代わりに、マダムの所に……」

 

????????

 

代わりって何????????

 

「……代わりになんて、なってない」

 

「アンタは、どこまで……」

 

だからさァ!ちゃんと教えてくれないと分かんないんだって!俺なんかやった!?スクワッドの代わりにやったこととかあった!?無いよね!?俺は俺のために仕事してたぞ!こうして話すのだって久し振りだろうが!

 

「もう、いいんだ。一人で全てを抱え込まなくていい。これからは昔みたいに私達と一緒に生きていこう。もう私達は'――'に守られてばかりじゃないはずだ」

 

「……」

 

だからもうさっきから何を言ってんだ!そもそもお前らがマダムを倒しちまうから俺はっ……!

 

……いや、違う。コイツらは知らないんだ、マダムの意図を。

 

スクワッドはアリウスの中では立場が上だが俺のようにマダムのお膝元って訳では無いから俺程優遇されていない。だからマダムと接触する機会も少なかったはず。それに加えて俺には大人としての視点がある。その違いによって俺だけがマダムの意図に気付けた。

 

クソロボットとの戦争、将来に向けた戦力の増強、それらはクソロボットとの争いが世間で見向きもされていないから誰にも理解されていないんだ。この数日間、俺が目にした奴等は誰もそんなこと気にしていなかった。

 

スクワッドはまだ子供。むしろ、姫ちゃんを攫われたスクワッドの立場からしたら仕方のないことなのかもしれない。コイツらに罪はない。この大人も、何も知らずにスクワッドを助けるために動いてたってことだ。

 

なら、誰も悪くない。

 

今からマダムのことを伝えるか?

 

いや、やめだ。勘違いでマダムをぶっ倒したなんてわざわざ教えるようなものじゃない。知らなくていいことはこの世に沢山あるのだから。

 

まあそれはそれとして、それならなんでコイツらが俺を追いかけてきてるのかが分からん。謝るためか?律儀すぎない?もしかして不手際があったら相手の会社に出向いて頭を下げてこいって教わったのかな。流石はマダムだ、しっかりと社会人の基本を教えている。

 

心の中で感心していると、ずっと無言だった俺に痺れを切らしたのか先生が口を開いた。

 

"君には少し聞きたいことがあるんだけど、いいかな"

 

まあ、いいけど。これ断ったらどうなるんだろう。素直に諦めたりするのかな。そんなことする意味はないんだけどさ。

 

"私達と戦ったあの日、どうして君はあの場から去ったんだい?マダムの命令で私達の前に立ちはだかったのなら私達を追いかけてくるはずだ。動く体力があった君にはそれが出来たはずだ。でも、君は居なくなった。いったいどうして……"

 

なんだ、そんなことか。もっとこう、あるだろ?って思ったけど俺はアンタに前回初めて会ったんだったわ。質問することも無いよな。俺も無いもん。聞くとしたら先生って給料はどれくらいなんかなってくらいだわ。

 

どう答えるべきか。俺、普通に戦闘音のする方に向かって追いかけてたぞ?『追いかけたけどアンタらがバケモノ状態のマダムぶっ倒してるのを見て怖くなったから逃げたぜ☆』とか言うの?嫌だよ?

 

どうしよ。いい感じの言い訳が思いつかない。うーん、うーん……と、取り敢えず当時の状況を説明しながら時間を稼ごう。コレは俺の十八番だ。改めて情報を振り返りますね、みたいなコト言ってれば新しいこと言わなくても時間稼げるんだぜ。会議でも大活躍。

 

よし、その間に何かいい感じの言い訳を考えなくては。

 

「……マダムはあの日、姫に対して何かしようとしていた」

 

他の任務があったってのは流石に無理があるな。当時の最優先事項を捻じ曲げてまですることってなんだよ。別の場所に行くような理由を考えることは難しそうだ。

 

「……どうにかしてあげたかったけど、でも……」

 

怪我の手当をしてたってのはどうだ?瓦礫の下敷きになってある程度は怪我したし。いや、重大な怪我ならその場を動けないし軽度な怪我なら追いかけれただろうってことになるのか。これも却下だな。

 

ふむ、困った。なんて言おう。

 

「……そんな時に貴方達が来た。だから、ゆうj――」

 

っ、っぶねぇ!!今何も考えずに『友情と仕事で判断を迷って』って言いそうになったぞオイ!!

 

「……」

 

本人目の前にしてそれは言えるわけねぇって!!仕事と私どっちが大事なの理論を振りかざしてくる性別の人にそんなこと言えない!!意識が別のとこ行ってたせいか余計なこと口走りそうだった!!

 

ま、マズい!!突然言葉に詰まった俺に皆が注目している!!どうしよう!!時間稼ぎの話のハズだったのに新たな問題が発生している!!この場をやり過ごす方法も考えなくては!!

 

"まさか、あの後私達を追ってこなかったのは……!!"

 

――ん?

 

「私達を、姫の所へ向かわせるためだったのか!?」

 

ん?ん?ん?ん?ん?

 

……。

 

あー、うん。

 

ソウダヨ。ソウ。ソウイウコト。ハジメカラソノツモリダッタンダヨー。

 

「ではなぜ逃げる!?私達からどうして遠ざかる!?私達はただ、また皆で一緒に居たいだけなんだ!!」

 

"そうだ、これ以上一人で頑張らなくてもいいんだよ。学籍とかの問題は残っているけど、皆と一緒に居ることはできるだろう?私だって全面的に協力するよ"

 

あれ、これもしかして面倒くさいやつ?謎に乗り切ったと思ったら二人の熱量エグいな。なんか怖いぞコイツら。俺、別にそういうのいいんすけど……今が十分充実してるし、俺のキャリアは俺が決めるって言うか……。

 

ぶっちゃけ今のスクワッドに俺が合流するのは気まずいどころの騒ぎじゃないんだよな。元は同じチームだったとはいえその中で俺だけがマダムの側近につかせてもらって特別扱いされてきたし、数年経ってるから接し方もよく分からんし。

 

正直な話、先輩達とワチャワチャ仕事してる方が楽しい。

 

申し訳ないが、適当に煙に巻かせてもらおう。バッサリ切り捨てるのはかわいそうだし、遠回しに拒否するか。

 

「……私だけじゃない」

 

「な、何が……」

 

「……あの日居場所を、行き場を失ったのは、私だけじゃない」

 

「!!」

 

マジで。これマジだから。つよつよフィジカルを全員持ってると思うなよ。スクワッドより弱い奴等なんて大量にいるんだからな。俺も含めてお前らはアリウスで上澄みだってこと理解してる?

 

「……マダムが居なくなって、あの子達はどうなった?分からない。スクワッドは裏切った。私は逃げた。もう、あの子達に支柱は存在しない」

 

マジでかわいそう。社長も俺もスクワッドも、上役がまるっと抜けたらてんやわんやだろ。今どうなってんだろな。

 

「……私達だけ平和に暮らす?新たな大人の庇護下で?私より、もっと見るべきところがある」

 

「……」

 

俺に構うな!先に行け!俺は俺で質素にコツコツとお金貯めてっから!出来やしないだろうが、アリウスの子達を救ってから来いよな!人数もまあまあいるし出来やしないだろうが!

 

そもそも俺は普通に稼げるし、こんなよく分からない出会って二日の大人の庇護下とか冗談じゃない。そんなことになったら自由に動けるかも怪しいぞ。お前らだって普通に稼いで生きていけるだろ。

 

スクワッドはともかく、先生は俺に構う時間があるなら他の生徒を救ってやれよ。先生なんだろ?俺じゃなくてもっと助けるべき相手(弱者)はいるだろうが。

 

あとは、そうだな。

 

「……それに私は、マダムを憎んではいない」

 

「なっ、なぜだ!'――'が一番、マダムの……」

 

「……私は、マダムに拾われたから」

 

「「「「"!!"」」」」

 

「……マダムが居なければ、そのまま死んでいたかもしれない」

 

マダムの教育によってコイツらは世界を恨んでいた。けれど、何かがあってそれがひっくり返ったのだろう。反旗を翻し、マダムをぶっ倒した。憎む相手が世界からマダムになってしまったわけだ。多分。知らんけど。反応的には多分合ってる。

 

なら、マダムを憎んでいない俺とは一緒になれないよね。だから俺を解放して?今から逃げていい?

 

"だからって、だからって君の扱いは同じ大人として見過ごせない"

 

俺の扱い?

 

"君が()()()()()()()()()原因を作ったのはマダムなんだよ?それに、危険な仕事では君を酷使していたとも聞いている。辛くはなかったのかい?"

 

そりゃあ辛かったよ、基本ソロ活動だったし。でも俺レベルで動けるヤツがアリウスに居ないからソロ活動なのも俺を酷使するのも仕方ないっちゃ仕方ないんだよな。

 

なんかよく分からん機械まみれの施設とか、戦闘用ロボットが占拠してる基地とか、真面目にヤバそうな所に潜入したり破壊したりしてたんだぜ?

 

そんなとこに下手に弱いヤツを引き連れて行ってソイツが怪我したら責任は俺が取るんだぞ?監督不行き届きってな。だから寧ろ一人で行かせてほしいってマダムに伝えてあったし。

 

俺は自分の判断と力量で仕事ができて楽、マダムは俺一人で仕事が済むからコスト削減できて楽。しかも任務達成すればマダムはウキウキ、そんなマダムからたっぷり報酬をもらって俺もウキウキ。今思い返してもお互いwin-winの素晴らしい構成だったな。

 

「……それが、一番合理的だった」

 

「合理的?危険な任務を全て一人で背負うのが合理的って言ってるの!?」

 

ミサキがご乱心である。今にもキレだしそうなんだが。というかキレてる。ウマい仕事を独占してすまない。もしかしてスクワッドの仕事が減って怒ってたのか?いやぁ、そこまで気が回ってなかった。でも、スクワッドより俺の方が強いからな。

 

スクワッドとアズサの五人だとどうしても潜入とか難しいだろうし、実際一人の方が小回りがきく。正面からぶっ倒しに行くわけじゃないんだし、少数精鋭、極論一人の方がいいと思う。

 

「……私が、一番強いから」

 

「は?」

 

「無理についていっても私達は足手まといにしかならなかった。そういうことでしょ?」

 

「……チッ」

 

「は?」じゃないが。顔が怖いねんて。姫ちゃんはめっちゃ分かってる感じだけど。姫ちゃん、頼むからそこのミサキが暴れないように見といてください。

 

「わ、私達、ずっと、守ってもらってばかりで……なにも……」

 

そうか、ヒヨリはそう捉えるのか。危険な仕事をやってもらってるって感じるんだな。たしかに他より怖がりだし、率先して仕事に取り組むようには見えない。俺のやってた仕事なんてやりたがらないだろう。

 

「……気にしなくていい」

 

「そ、そんなの……私……」

 

ヒヨリはいい子だなぁ、見ててほっこりする。昔からそうだった。サオリとミサキも見習え。ヒヨリの小動物感、いいよね。ご飯分けてあげるとすっごい喜ぶんだ。懐かしい。

 

"君は、みんなのために一人で……"

 

「……?」

 

お前はお前で何言ってんだ。

 

"もう、そんなことしなくていいんだ。マダムの支配は終わった。一人じゃなくてもいいのに、どうして……"

 

一人じゃなくてもいいって言われてもな。その理屈だと一人でもいいだろ。どうしてじゃねぇよ。

 

"黒服にも目を付けられているんだろう?このまま一人だと危ない"

 

黒服おじさんがどうした?目を付けられている?危ない?何言ってんの?

 

"また大人の都合で利用されてしまう。もしかして、黒服に何か言われたのかい?だから皆と離れて一人でいるのかい?"

 

は?

 

"大丈夫だよ、今度は私達が君を守ってみせるから。だから――"

 

なんだ、コイツ……。

 

"――、――――"

 

何か、話している。でも分からない。話が読めない。頭に入ってこない。寄り添おうとしている風なのは分かる。なのにどうしてここまで胸がざわつく?話を聞いてるだけで不快感が押し寄せてくる。異様なまでの苛立ちは、いったい……。

 

コイツの話していることは何だ?俺ではない。話題は俺のはずなのに、内容はどこかズレている。なぜか俺が置いてけぼりになっている。なんだよ、なんなんだよ。

 

"――私は、君を助けたくて――"

 

不意に聞こえてきた言葉に己の耳を疑った。

 

は?助ける?何を?俺を?何から?どうやって?

 

コイツは俺に何を見ている?何を考えている?俺を襲う俺の知らない脅威、それから俺を守ろうとする出会って二日のよく知らない大人、一方的につらつらと情報と善意を押し付けてくるその姿。

 

……そうか、なんとなく分かった。この湧き上がる嫌悪感と苛立ちの正体が。

 

「……うるさい」

 

"え?"

 

どこか見覚えがあるなって思ってたんだわ。やっと分かった。コイツ、宗教勧誘のババア共と同じだ。

 

「……さっきから、誰の話をしているの?」

 

"な、何を言って……私は、君のことを……"

 

「……私?違う。貴方は私を見ていない。貴方が見ているのは愚かで、惨めで、どうしようもなくて、救われるべき(人間)

 

"なっ、そ、そんなつもりじゃ――"

 

何から何まで俺を弱者だと決めつけやがって。何も出来ない憐れな人間だと決めつけやがって。何が神だ。何が救われるだ。人並みに働いて人としての生活が出来ている俺は救われてないってか?俺は神に縋るしかないってか?

 

クソ信者野郎がヒトサマの人生決めつけやがって。そんなんだから小中学校前で子供をターゲットに配布した聖書をクソガキのおもちゃにされんだよ。

 

「……もういい、話はこれで終わり」

 

俺は帰る。お前らも帰れ。

 

「'――'、私達は、今でも足手まといか?」

 

「……」

 

なんだその質問。足手まといって、別にもう同じ組織で仕事してる訳でもあるまいし。まあ、どうなんだろうな。共に仕事するってなったら結局そうなのかもしれないな。この間戦った時みたいな強さをあの大人に頼らずに出せたのなら話は別だろうけど。

 

「いや、いい。その沈黙が答えなんだろう」

 

「……」

 

「すまない。これまでも、何もかも。あの日から私達はただ何も出来ないままだった。守られてばかりで共に立つことすら出来ない。でも、いつか、また……」

 

尻すぼみになっていくサオリの言葉を最後まで聞き、誰からも声が上がってこないのを把握してから踵を返す。そうして一歩前へ進んだ途端、背後から声が聞こえてきた。

 

「まっ、待って!」

 

おん?なんだよ、バーサーカーじゃん。バーサーカーにしては結構な時間静かだったな。話し合いが終わったしここらで一発戦ろうってか?意外と配慮できるんだな。でも俺は逃げるぞ!

 

「君に!君に謝りたくて!」

 

……はい?

 

「ごめんなさい。私の思い込みで、一方的に攻撃して……君の話も聞かずに……君にも事情があったのに……」

 

なんだぁ、謝罪の言葉かぁ。ふーん……。

 

お前、マジで大丈夫か?突然襲いかかってきて散々追いかけ回して、その直後に謝罪?思考回路とかどうなってんの?プッツンしたら自我を保ってられないの?病院行く?流石に怖い通り越して心配なんだが。まだ襲いかかってきた方が納得できるぞ。

 

おい、そこの大人。俺より救いが必要そうなヤバいヤツすぐ近くにいるぞ。救ってやってくれよ。メンタルケア必須だろこんなの。

 

「……いいよ、別に。もう襲ってこなければ、それで」

 

いつメンタルが不調になるか分かんねぇし俺は帰る。もう帰る。絶対帰る。

 

「待っ、」

 

うるせぇ!誰が待つか!謝罪は受け入れたんだからもう関わってくんな!追いかけてくるときの執着エグいしお前の弾普通に痛いんだよ!許すから許せ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシノが更に言葉を紡ごうとしたその時には、既に彼女は背を向けて歩き出していた。思わず伸びた手はその背に届かず、重力に逆らうこと無くだらんと下げられた。

 

ホシノも、スクワッドも、先生も、遠ざかるその背中をただ見つめていることしか出来なかった。見えなくなるまで、ずっと。







なお、今回の話し合いが良い雰囲気で終わらなかった原因はロクに思っていることを口にしない社畜。お前、もっと喋れよ。





再会して会話して別れて、章分けしたらちょうど一章が終わるくらいですかね。一区切りついたと思うので、次の更新があるとしたらリオifルートだと思います。といいつつ普通に次の話かもしれません。私にも私のことが分からないんです。許して。

感想とか評価をくれると喜びます。なんかもう無くなりかけてるモチベに繋がります。もう更新の遅さで気付いてる人いるよね。次の更新がなかったらそういうこと。
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