憧憬の彼方にて 作:お前はトリコ?
一般通過オリ主くん inキヴォトス
「ちょ、ちょっと!なんで料金が倍になってるのよ!!今回は普通に食事してただけじゃない!!!」
「いえ、そうは言われましても……規則は規則ですので。申し訳ありませんが、この値段で支払ってもらわないと、こちらとしても困ります」
とある世界の、とあるチェーン店にて。
学生と思わしき四人の少女達、そして店の従業員と思わしき者が激しく口論を交わしている。それは店中に響き渡る怒号であり、食事を終えた少女達は従業員に烈火の如く怒りを燃やしていた。
「……ふむ、確かに
その内の一人、悪魔のような黒い尻尾を有した少女が静かに声を上げる。その言葉に賛同するように、他の少女達も彼女の意見に首肯した。
「そ、そうは言われましても。一分とはいえ制限時間は過ぎておりますゆえ、お支払い頂けないとヴァルキューレの方々へ通報しないといけなくなります。どうか、そうならない内にお客様には代金をお支払い頂きたく……」
少女達の怒りに気圧されたのか、従業員はたじたじとした様子で答える。そうして一連の怒号を聞きつけた他の来店客達は、何だ何だと野次馬のような視線を彼女達の方へと向けた。
「なるほど、それは困りますわね」
「では、代金の方を……」
「……どうしますか?ハルナさん、ここはやっぱり──」
「ええ、決まっていますわ」
金髪に悪魔のような角の生えた少女が、尻尾の生えた少女に声を掛ける。そうしてその少女は閉じていた瞼を開き、また静かに言葉を発した。
「たかが一分程度の時間超過にも厳しく、店のレベルやサービスも私達が定めた基準には到底達しない。ただ、全体的に料理の味が良いことだけは評価させて頂きますわ。しかしながら……」
少女はそう言葉を口にし、ゴソゴソと自分のポケットを弄る。そうして取り出した物は──
「不合格、ですわ♡」
「ひぃっ……!ま、まさか貴方は……!?」
爆弾を作動させる為の起爆スイッチだった。
彼女はそのスイッチの真上に親指を置き、それに徐々に力を入れていく。そして語る言葉はこれで最後とばかりに、彼女は口上を述べる。
「とても残念でしたわ。味は素晴らしかったのに、肝心の接客やサービスのせいで全てが台無し。次に店を開く時には、それを改善なさった方がよろしいかと。では皆さん、御機嫌よう──」
そうした一連の流れで彼女が放つ、その異質さに漸く気付いたのか、他の客達も慌てふためく。だが、もう遅いとばかりに彼女はスイッチを押し、店ごと一帯を爆破した──その瞬間だった。
一人の客がボックス席から腕を横に突き出し、その掌を紅蓮に染め上げる。それはいかなる力か、その手が虚空を握ると、空間が罅割れたかのようにぐしゃりと握りつぶされ、爆発という現象そのものが消え失せた。まるで何も起きなかったかのように辺りは静寂を取り戻したのだ。
「……へ?」
「……はい?」
少女と従業員は間の抜けた声を上げた。
その様子に四人の少女達は呆然と立ち尽くし、従業員は尻餅をついて口をパクパクと開ける。いったい、何が起きたのか。それを理解できないとばかりに、彼女らは目を大きく見開いているのだ。
少女や従業員、無関係な客でさえもが茫然自失としている中、一人の青年が徐ろに立ち上がる。そうして彼は伝票を手に取り、少女達と従業員の横を通り過ぎてレジの前まで向かった。
しかし──
「お、お待ちください!」
真っ先に我に返り、青年を呼び止めたのは爆弾を起爆したハルナと呼ばれる少女だった。
彼女は自身の銃に手をかけ、それを手に持ち上げては、ゆっくりと青年に銃口を向ける。
「……貴方は今、何をされたのですか?」
彼女は鋭い視線で青年を見るが、彼はそれを気にも留めていないのか、横目で銃を向けるハルナの姿を見つめ返すだけだった。
「貴方が私達の活動の邪魔をした理由もお聞きしたいですが、それ以上にあの爆弾の起爆を何故止められたのか……私にはそれが不思議でなりません。可能であれば、返答は今すぐにでも」
だが、ハルナの問いに青年は答えない。
いや、おそらくはそれに答える必要性すら感じていないのだろう。それどころか彼は空気を読まずに何度も欠伸をし、その目を眠そうに閉じては開くのを延々と繰り返している。
「そうですか、答えるつもりはないと──」
そう彼女が口にすると、今度は後ろに控えていた三人の少女達が青年に己が銃を向ける。
「──では皆さん、参りますわ!」
そうして四人は青年に向け、発砲を開始した。
◇
どうも皆さん、一般通過転生者です(二話目)
ということで遥々、やってきたぜぃ異世界に!
新しい空、新しい大地に胸が躍りますねぇ。
そうして転移して早々、胸いっぱいに新鮮な空気を吸おうと空を見上げたら……幾つもの巨大な輪っかが天に浮かんでいました。え、これフラグ?
しかも高層ビルが立ち並ぶ景色に混じってですよ?……私、何故だか既視感を感じます()
まま、ええわ(適当)
そして人通りの多い方へと歩き出し、行き交う人々の姿をしばらく観察していると、そこで俺はある事実に気づいたわけですよ。それは──
──ここ、
そう、そうなんです。
俺が転移した世界の正体はなんと!
「
……いや、ね?
行き交う人々の姿に混じっている、頭上に
しっかし、まさか別次元にも跳躍できるとは。
世の中、何があるか分からないですね(鼻ほじ)
そんなことはさておき……お腹が空くことはないけど、とりま街に繰り出して、暇潰しついでにその辺の店で食事を楽しむことにしたのですよ。
そんで、食事をしてたんですけど──
ズドドドドドドドドドンッ!!
ドガァァアアアアアアアアアアアン!!!
「もうっ、何で銃が効かないのよ!?」
そこで運悪く
とりあえず彼女らが店を爆破しようとしてたんで、それを軽く阻止。結果、難癖をつけてきた美食研究会の相手をすることになりました。
いやん、対処が面倒くさいですわ♡
「──いい加減、倒れてってば!!!」
(それは)ないです。
というか絶対原則──神格は神格にしか
そもそも
逆の場合は赤子の手を捻るよりも簡単ですが。
……ま、だからといって俺からは何も
「……っ……?い、今なんか背中が凄くゾワッてしたんだけど!?これって気の所為……?」
「いえ、私も微かにですが悪寒を感じましたわ……」
「うぅ、何か気持ち悪いよぉ……」
「確かにそうですね。……それにしてもあの方、私達の攻撃がまるで効いていないように見えますね。いっそ、不可解なほどに。なにかカラクリがあるのでしょうか?」
おっと、失敬。
こちらが心の内で浮かべていた暗黒微笑が、彼女らの精神を軽く汚染しかけたみたいですね。
申し訳ない。
さて、このまま攻撃を受け続けるのは良いんだけど……あんまり長引かせるのもいけないしな。やっぱ、そろそろ終わりにするか。ということでバイビーだぜ、ゲヘナの
「……!?皆さん、何かが来ますわっ!!!周囲の障害物に身をか、く……し……?」
──そして、おやすみなさい。