憧憬の彼方にて   作:お前はトリコ?

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不穏なる影(CV.坂◯学)

 

──はい、掃討完了っと。

 

その言葉を皮切りに、今の今まで茫然自失としていた周囲の客は、疎らに歓喜の声を上げている。

 

……やっぱキヴォトスってヤバいわね。

 

流石に美少女版GTAと称されるだけはある。

この世界が銃社会である時点で既に恐ろしいけど、己の評価云々で気に入らない店一帯を爆破しようとする美食研究会(テロリスト)の存在は特に。これと並ぶほどの問題児である、温泉開発部って一体……?

 

流石に銃なんかに慣れてる一般キヴォトス市民でも、店に爆弾仕掛けられてりゃ焦るわな。

 

「あ、あの……!」

 

ん、あーさっきの従業員さん。

 

どうもお疲れ様です。怪我はありませんか?

 

「い、いえ!私は全然平気です。それよりも店と他のお客様を守っていただき、本当にありがとうございます。お客様には何とお礼をすればよいやら……」

 

いえいえ、お気になさらず。

 

それよりも大丈夫ですかね?

さっきの銃撃戦で店内がかなり損傷しちゃってますけど、私の方から修繕費を出しましょうか?

 

「そんな、滅相もない!私どもを守ってくださったお客様に対して修繕費を請求するなど──」

 

そうですか?

 

……ふむ。では、こちらで気絶させた美食研究会の面々はどうしましょうか。ヴァルキューレに通報するのも構いませんが、どうせなら風紀委員会へ連絡した方が何かと都合もよさそうですが。

 

「そう、ですね。矯正局に放り込むよりも効果的でしょうし、こちらから風紀委員会の方々に連絡してみようと思います。お客様、改めて本当にありがとうございました……!」

 

はい。では、私はこれで失礼させて頂きます。

 

「は、はい!またのご来店、心からお待ちしております……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ、あの従業員さん。なかなかどうして、良識のある方だったから本当に助かったな。キヴォトスの大人なら、普通にふっかけてきてもおかしくないと思ってたけど……これはラッキー?

 

……にしても、初っ端から美食研究会と遭遇するとは思わなかったな。あのテロリスト集団、現実でいざ目の当たりにすると本当にヤベェ……。

食に対するイカレ具合というか何というか、もう倫理観も終わってるし全部がおかしい(白目)

 

ゲヘナってこんな奴ばっかなのか……?

 

ま、いっか。

 

それにしてもキヴォトスに来たはいいけど、今って時系列的には何時(いつ)なんだろうか。対策委員会編なのか、パヴァーヌ編なのか、はたまたエデン条約辺りなのか。どうせなら原作キャラに関わっていきたいよね。美食研究会(テロリスト)は例外として(迫真)

 

勿論、他の温泉開発部(テロリスト)も駄目です。

 

てか、まずシャーレや先生が存在するのかが問題だよね。プレ先世界線や先生の居ない世界線だったら、この世界は何らかの要因で確実に滅びるだろうし。やっぱり本来子供を守るべき大人が歪んでいることに加え、その子供が社会を治める今の世が確実におかしいと言わざるを得ないな。何というか……本当にご愁傷さまとしか言えん。

 

──スタッ。

 

ま、そんなこんなで人に道を尋ねながら歩いていたら着いたわけだ。ここがミレニアムか。

 

テーマパークに来たみたいだぜ

テンション上がるな〜

 

ホログラムやら何やらが至るところで浮かんでいるし、これぞ近未来!って感じがしてワクワク……いや、ドキがムネムネするぜぇ!

 

では早速、ミレニアムサイエンススクールを見学しに行ってみよーか。レッツラゴー!!!

 

「──ダメです」

 

駄目でした(白目)

 

………………。

 

……いやいやいやっ!?

 

いや、即落ち2コマじゃねぇか!おいおい姉ちゃん、何で入れねぇのか理由を教えてもらおうか。

もしそっちに教える気がねぇってんなら、ここから一歩も動くつもりはねーぞ俺ァよォ!?

 

「えぇ……(ドン引き)。いや、まずですね──」

 

おう、何だよ()

 

「本校を見学するにあたって所定の手続き、アポイントメントは取られましたか?」

 

……………………あ。

 

「そういった正式な手順を踏んでいただかないと、本校への見学はできかねますゆえ……どうか、ご理解いただければ幸いです」

 

マ、マヌケは見つかったようだな(震え声)

 

「……その様子を見るに、分かっていただけたようですね。それでは私はこれで──」

 

はい、また来ます……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?

 

涙目敗走だよ畜生ッ!!!

 

はい、今回は流石にこちらの浅はかが過ぎました。そりゃあ、アポ取ってなきゃ門前払いもされますわ。学校側として当然の対応でしたもん。

 

だけどね。我、神ぞ???

 

もうちっと対応の仕方があったんじゃないかって神、思うの……理由になってないって?分かってるわい、そんなこと。だけど、今回のは流石に常識知らず過ぎて思っきし恥かいたんだもん。

 

もんもん(うるさ)いって?それはごめん(スンッ

 

……はあ。さて、やることもないんでベンチに座っているわけですが。これからどうしたもんべか。いっそ「廃墟」にでも行ってみるか……?

 

──クックック……。

 

……あと何か個人的に凄く嫌な予感と、聞き覚えのある(ボイス)が後ろから聞こえてきたな。できることなら、俺の気の所為であってほしいんだが?

 

「……途中から声に出ていましたよ?」

 

おや、そいつは失敬。

 

で、アンタは何者だい。もしかして:坂◯学?

 

「ふむ。誰のことを仰っているのかは分かりませんが、まあいいでしょう。初めまして、名も知れぬ『崇高』の体現者よ。私の名は──そうですね。黒服、とでも覚えていただければ。クックック……この世界における仮称ではありますが、とても気に入っていましてね?」

 

はあ……で、私に何か重要な用でも?

 

「ええ、とても重要な用です。……まずは私の話に耳を傾けていただき、ありがとうございます。大いなる(ソラ)の申し子、『崇高』の体現者に感謝を」

 

へいへい、御託は良いからさっさと本題に移ってくれんかね?今、俺はミレニアムへ学校見学に行こうとしたら、門前払いをされて少々ノイローゼ気味なんだよ。用なら早くしてくれぃ。

 

てかコイツ(黒服)、俺の正体に気付いてやがるな?流石、ゲマトリア。この分だと他の連中にも俺のことは知れ渡っていると見て良さそうだけど──ただしベアトリーチェ、テメェは許さん(憤怒)

 

「すぐに終わりますよ。……唐突ですが、貴方に『お願い』があります」

 

……お願い?

 

そりゃ随分とまあ、らしくない言い方だな。お前さんのことだから、てっきり「貴方にとって魅力的な提案が〜」とでも言うと思ったんだが。……そんで?アンタの話を聞こうじゃないの。

 

「……何故、貴方が私について詳しいのか些か疑問ではありますが──そうですね。らしくない自覚はありますよ。端的に言えば、これから貴方にする『お願い』と提示する報酬(メリット)の釣り合いが取れていないことが原因です。ですから──」

 

別に良いよ。

 

「──今、なんと?」

 

いや、だから別に良いよ?

 

どうせアンタのことだから、俺のことについて調べさせてくれとかでしょ?それで君達が得られるモノ(・・)は莫大だけど、俺に提示できる報酬が少ないから若干躊躇していると。ま、そんなところか?

 

……貴方達のそれ(・・)は大人としての矜持かな?

 

「いやはや、観測した時から理解はしていましたが……如何(いかん)ともし(がた)い方だ、貴方は。我々の思想や在り方を見抜いた上で、それでも関係を築こうというのですから──」

 

それはお互い様でしょう。

 

それと、一部勘違いしてるようなので訂正をば。別に俺は『崇高』自体に到達したわけではありません。……まあ、俺が至った太極()の一部に『崇高』の概念は混ざっているのかもしれないけど。

 

「太極、ですか?それは陰陽道における万物の原始、もしくは宇宙の根源を指す概念であると認識していますが……?」

 

概ね正しいかな。

 

ただ、俺の言う「太極」は……うーん。究極的には陰陽道のそれ(・・)で合っているんだけど、厳密には『己の渇望によって世界を塗り潰す力/己の渇望によって万象を型に嵌める力』というのが正解。

 

……何なら「太極」は陰と陽にも属さない技術の、その枠外にある超越の理なんだけどね。とはいえ黒服さん、貴方は陰陽道も知ってるんだね?

 

「私達が『崇高』に至るためのアプローチとして、最も始めの段階でその概念を用いましたから。……実験こそ失敗に終わりましたが、有意義な結果は得られたとだけ──」

 

なるほろ。

 

だが、貴方達はもう『崇高』を観測するのに自分達のリソースを割かなくてもよくなった。要は俺という『崇高』はもう観測できたから、あとはそれに到達するために力を貸せばいいと。

 

「そういうことです。そしてここからが肝心の、貴方に提示する報酬(メリット)なのですが……」

 

ほう?

 

………………なるほどね。了解、それは助かるよ。では今後、何かあったらゲマトリアに頼らせてもらうとするよ。よろしくね、黒服さん。

 

「クックック……ええ、勿論。実験への協力もありますから、全力でサポートさせていただきますよ。今後とも、よろしくお願いします」

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