憧憬の彼方にて   作:お前はトリコ?

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顔合わせ

 

「なるほど。では、貴方が──」

 

「まさか人の身でありながら、己を『崇高』そのものへと変生させた存在がいるとは……いや、貴下の言うところでは『太極』だったか?」

 

「そういうこった!」

 

どうも皆さん、一般通過転生者です(四話目)

 

俺は今現在、『崇高』を目指さんとしている自称「探究者」の集まり──ゲマトリアと呼ばれる謎の変人組織の拠点に招かれています。

 

ま、協力すると言ったから仕方ないよネ(泣)

 

さて、そんな彼らのアジトに招待された俺なのですが……やっぱ彼らは研究者だけあって変人の集まりだなあってのが正直な感想ですね、はい。

 

「……これは思わぬ収穫だ。黒服よ、よくぞ彼を──我らの悲願を観測してくれた。心より礼を言おう」

 

そう語っているのはタキシードを着たマネキンこと、自称芸術家のマエストロ。彼は凄く興味深そうに、有るんだか無いんだか分からないような視線をこっちに向けている。ジロジロ見んな()

 

「なるほど、なるほど。これは興味深い」

 

そして、これまた言葉を発したのは異形……ではない。それはコートを纏った首無しの男に抱えられた額縁の中の絵画。その絵画の名はゴルコンダ、それを抱える男の名はデカルコマニーだ。

 

「しかし『求道神』、または『求道太極』でしたか──己の願いし世界法則を、自身の内側にて永久展開し続ける超越存在。既存の世界法則から独立した『歩く特異点』とは……実に興味深い。森羅万象から孤立した(ゆえ)か、貴方を構成する記号がまるで見えてこない。またどういう形であっても、貴方を解釈することは基本的に不可能なようですね。なるほど、確かに貴方の存在自体が話の信憑性に拍車をかけている。(いず)れにせよ解釈することも、貴方の持つテクストを読み解くことも困難を極めるのですから」

 

「そういうこった!」

 

てか、デカルコマニー声デケェよ(真顔)

 

ゴルコンダ曰く、この声量が通常運転らしい。

いやあ一見すれば、紳士服を纏った気品溢れる人物(?)なのに……蓋を開ければ「そういうこった」bot人間なんだから世の中面白いよね。

 

「クックック……!気に入ってもらえたようで何よりです。お二人に貴方を紹介して正解でしたね」

 

「うむ、実に有意義な時間だ。改めて感謝しよう、黒服。……しかし、今回は緊急招集ということもあり、彼女(・・)は不在だったが──ある意味、彼女がここに居なくて正解だったかもしれん」

 

「ええ。下手にマダムに()の存在のことを明かせば、話が少々厄介な方向に拗れることになるでしょう。本人の前でそれ(・・)を口に出すことは出来かねますが……」

 

「まあ、そういうこった!」

 

【悲報】ベアトリーチェさん、お仲間から死ぬほど嫌われている件について

 

そら、嫌われる要素しかないからな。

まあ仮に彼女が敵対してきたとしても、『太極(オレ)』に敵う道理など何処にもない。あらゆる力を用い、あらゆる策を講じようと全て無意味だしね。

 

「……それはどういうことか?」

 

あらま、口に出てたか?

 

じゃあ言わせてもらうが大前提として、神格には神格でしか対抗することができないのよ。まず、これは絶対の法則だと思ってくれて構わない。

 

「絶対の法則、ですか。それは神格に到達していない存在では、神たる貴方に対抗する術を持てないと──そう認識して構いませんか?」

 

yeah。

 

流石はゴルコンダ、話が早くて助かるよ。

 

喩えるなら、二次元の存在が三次元の存在を害することができないのと同じと考えていいよ。そもそもの話、『太極(かみ)』というのは永久不変の存在だ。しかも、中でも『求道神』という神格は、純粋な耐久面だけでこの宇宙そのものをさえ凌駕する。

 

また『求道神』と対の関係になる『覇道神』よりも、存在としての耐久値だけで言うならば上回ってくるだろう。ハッキリ言って、求道神は「個の究極」とされる存在だ。それに加えて俺自身は転生特典のせいで少々──いや、かなりバグっている。具体的には渇望力の永続強化と、それに比例して上昇し続ける存在強度。おそらく、神性の付与さえもこれによる恩恵だろう。それが転生特典(と呼んでいるモノ)からもたらされているものだ。正直、不気味以外の何物でもないが……。

 

そのせいで今の俺は多分、単純な腕っぷしだけなら座の総軍に匹敵する。『座』に坐った覇道神とも問題なく戦えるだろう──いや、メンゴ。戦闘技術は据え置きだから、普通に経験の差で負けると思う。だからといって仮にベアトリーチェが敵になったとしても負けることは絶対にありえない。

 

それだけは保証します、はい。

 

「いやはや、そなたが規格外であることは理解していたが……そこまでとは」

 

「クックック……それでこそ私達の協力者、ということですよ。マダムがどうかは知りませんが、少なくとも私達三人の味方として彼を引き込むことができた。それは現状、我ら『ゲマトリア』における最大の成果といっても過言ではないでしょう。それは(すなわ)ち、『崇高』への探究がより身近なものに変わったということに他なりません」

 

「ゆえにこそ、私達も()の者へのサポートには全力を尽くさなければなりませんね」

 

「そういうこった!」

 

それは助かるなぁ(呑気)

 

というかベアトリーチェが存在するってことは、時系列的にまだ最終編までは行ってないんだな。そして彼らの話を聞く限り、エデン条約もまだっぽいのよな。「一週間後に〜」って言ってたし。

 

どうしよ、原作に介入してやろうかな?

 

「──ところで黒服、マダムに彼のことを伝えますか?」

 

「……いえ、伝える必要はありません。彼女は現在、エデン条約に向けて『領地』の整備に躍起になっています。ともかく、私達が下手に動いては彼女の神経を逆撫でするだけでしょう」

 

「うむ、彼女はプライドが高いからな。さて、私も『教義』を受肉させるための最終段階にまでは漕ぎ着けたが……ここで()の『崇高』を観測してしまったからな。今になって、どうも気に入らない部分が出てきてしまった。ゆえに──」

 

身体からギギィと音を立て、マエストロはこちらに視線を向けている。……何か嫌な予感が。

 

「──私の『崇高』を完成させるためにも、研究に協力してくれないか?体現者よ」

 

さっそくですかい(白目)

 

いや、断る理由もないから別に良いけどさ。

ただ俺、芸術への理解が人並み以上に疎いからマエストロさんの力になれるかどうか……。

 

「なに、貴下に貸してもらうのは力ではなくその知識だ。安心するといい、芸術全般(それ)は私が担当するゆえに」

 

あー、さいですか。

 

もう、どうなっても知らないからな。俺は忠告したぞ???ということで、よろしく頼んます。

 

「ああ、よろしく頼もう」

 

あー、もう知らね(鼻ほじ)

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