お題51:**朝起きたら全身が餃子の皮になっていた。**しかも具がまだ入っていないらしい。
「え、なんか体が薄い……手足が無い…」
朝起きたら、自分の身体が餃子の皮になっている。これを脳が理解するまで、30分もの時間を要した。
「寒っ、昨日は寝床で寝たはずなのに。いつの間にか冷蔵庫の中に入れられてるし……いや、餃子の皮としては合ってるのか」
ツッコミどころが多すぎて、全然そこじゃないだろってところからつっこんでしまった。
「よう、皮」
「え、でかいボウルが話しかけてきた」
「違うわ! 今からお前に包まれる中身だよ!」
「ああ、ひき肉とか、白菜とかか?」
「いや、うちはキャベツ派だ」
「うん、しらんけど」
今から本格的に餃子にされる、そんな予感がしているのに危機感が湧いてこない。
「というかにんにく入れすぎじゃないか? 冷蔵庫中匂いがきついんだけど」
「俺に言われても困るぞ! きれいに包んでくれりゃ、俺はそれでいい」
「妙なこだわりだなぁ……」
果たして俺は、きれいに包むことができるのだろうか。というか、食われちゃうのか。え、逃げたい。超逃げたい。
お題52:**世界が突然「語尾にニャ」を義務化した。**反抗した者は全員、猫じゃらし係に配属されるという。
「全ての国民は、語尾にニャをつけることを義務といたします。反抗したものは、猫じゃらし係に強制配属となります」
「はいぃ?」
通勤途中、車内のラジオを聞き流していたら突然、そんな一斉アナウンスが流れてきた。助手席の後輩も違和感しかなかったようで、思い切りしかめっ面をしている。
「はぁ? 今のなんすか?」
「さあな……いたずら電波か何かか?」
「でも今トーンがガチっぽかったっすよ?」
「いやいや、そういうギャグもあるだろ」
普通に考えてそんな事はありえない。仮に真実だったとして、一体誰が得をするというのか。
「あれ、なんか向こうで検問やってるっすよ?」
「マジかよ。あんまり始業に遅れたくないんだがな……」
仕方なく景観の前で車を止める。窓を開けると景観がすみませんにゃーと挨拶してきた。
「はーい、語尾チェックしますニャー」
「は? ふざけてんのか?」
「……あの、ちゃんとつけてくださいにゃ。でないと捕まりますにゃ?」
「おいおい、冗談きついぞ…………にゃ」
あまりの真剣な目つきに、俺も合わせてしまった。横で吹いた後輩よ、後で覚えておけよ。
お題53:**僕の部屋の押し入れから、なぜか毎日大根が1本ずつ生えてくる。**しかも育てた覚えはない。
一体いつからだったか、うちの押入れには一日一本、大根が生えてくる。
別に土や肥料、水も与えていないのに太くて大きい、元気な大根が生えてくる。最初は怪しすぎて捨てていたのだが、試しに食べてみたらこれが美味しいでやんの。
「いや、これ本当なんなんだろうな……」
今日も今日とて、煮付けにして食べている。味噌との相性が素晴らしい、じゃなくて。
「しかも最近、寝付きも良いし腰の痛みも無くなったんだよな……」
この大根、ただの大根かと思いきや、なんだか特殊な効能まであるようで。毎日ランダムで体の悪いところが治っていく。
わからないまま食べ続けていたある日。大根の横に紙がおいてあった。そこには顔写真とコメントが載っていた。
「生産者さんの顔が見えるようにしました!」
「いや知りたいのそこじゃないっす」
生産者いるのかよ。顔に全く見覚えがねえよ。まず産地書いてくれよ。言いたいことが多すぎて、逆に何も言えなかった。紙の裏にあるレビュー欄には、とりあえず星5つけておいた。
お題54:**学校の先生が突然、「今日の授業は空を飛びます」と言って窓から飛び出していった。**誰よりも驚いたのは先生本人だった。
今日も退屈な授業の時間が来た。今回はどうバレないように眠ろうか、なんて事を考えていた。
しかしそんな思考は、先生の一言で打ち切られたのである。
「はい、今日は空を飛びましょう」
「えっ」
なんかとんでもない事言わなかったか。先生の口調は別に普通の事を言っているみたいだった。クラスメイトたちはざわつきが止まらない。良かった俺だけじゃなくて。
「では、窓を開けてください。まずは先生が飛びますので、あとに続いてくださいね」
「待ってください先生。さっきから何を言っているんですか!?」
窓から飛び出そうとする先生を、クラス委員の女子が慌てて止めようとする。しかし、先生はもう既に飛び出してしまった。おいおい、ここ3階だぞ。
ひゅー……べしゃっ。
人が地面に落ちた音が、窓の外から聞こえてきた。もしかして死んじゃったのか、と思い全員が窓の外を見る。
「ちょっと! なんで誰も付いてこないんですか!?」
先生、生徒全員を置き去りにするのやめてもらってもいいですか。あんたが一番道徳の授業ちゃんと受けたほうがいいよ。
お題55:コンビニで買ったおにぎりに話しかけられた。「君はツナマヨを選んだのか…覚えていろ。」
僕はこれまで、周囲に合わせて生きてきた。誰かの恨みを買うと、何一つ良いことが無いと思うからだ。
けれど、そんな僕が初めて、誰かの恨みを買った。そう思わされる出来事が起きてしまったのである。
「君はツナマヨを選んだのか……貴様、覚えていろ」
ただ、その対象がまさかコンビニで買ったおにぎりからだとは、夢にも思わなかったけれど。
「な、なんで?」
「……」
おにぎりは何も言わない。当然である、だっておにぎりなのだから、喋るわけがない。じゃあさっきのは一体なんだったんだ。
「……他の具材なら、まだ助かったかもしれなかったのにな」
そう思っていたら、また喋ってきた。なんでツナマヨが地雷なんだろう。というか君自身ツナマヨだよね、尚更なんでだよ。
「えっと、僕どうなっちゃうんです?」
「……近いうち、貴様は握られることとなるだろう」
「何を!?」
握られるって一体、何されるんだ。僕もおにぎりにされちゃうってことなのか。
一体何回おにぎりに話しかけられたらいいんだ……?