お題56:**転校生の名前が『ドラゴン桜井123号』だった。**どう見てもただの人間だ。
「はい。ドラゴン桜井123号です! あだ名は鬼龍院大宇宙! 趣味は盆栽! 将来の夢は考古学者です!」
今朝から投稿してきた転校生の掴みが、あまりにも盛りすぎていてクラス全員が困惑した。先生も顔が引きつっている。
「えーと、ドラゴン君?」
「はい、なんでしょう!」
呼び方はドラゴン君でいいんだ。あんまり呼びたくはないな。
「クラスのみんなと仲良くなりたいのはよくわかったわ。けれど、一遍に色々言っちゃうと皆置いていかれちゃうのよ」
「そうでしたか! これは失敬!」
ずっと癖が強いな。いつも率先して質問していくクラスのお調子者も、怒涛の勢いに押されて唖然としている。
「……それじゃあ皆さん、仲良くしてくださいね。ではドラゴン君、席は奥の空いている席ね」
あ、相手するのを生徒たちに投げたな。そんでうわ、俺の隣かよ。あの癖スゴ転校生である、しかも女の相手なんかどうすりゃいいんだよ。ああやめて、きらきらした目でこっち見ないでくれ。
お題57:**目が覚めたら、隣で寝ていたのが巨大なカエルだった。**しかもパジャマを着ていた。
「ふあぁ……ちょっと昼寝しすぎたかな……」
「ンゲコォ……」
「は?」
目が覚めると外は夕暮れの赤色が部屋に差し込んでいた。けどそんなこと言ってる場合じゃない。
私の事を丸のみ出来ちゃうくらいでけえカエルが、私の横で寝ているのだ。怖すぎる。
カエルが目を覚ました。体が大きいからか地鳴りのように低い声でゲコゲコと鳴いている。心臓がバクバクして止まらない。今の私は蛇に睨まれたカエルならぬ、カエルに睨まれたヒトである。
「ゲゴォ」
カエルはあくびをするために大きく口を開ける。カエルが爬虫類だと感じさせるような冷たさと口内の暗さに背筋が凍る。あれ、私食われちゃうのかな。顔が青ざめ、涙目になってしまう。
そしてカエルは、突如しゃべりだした。
「もう、布団かけずに寝たら風邪ひくゲコ……」
「え、あっ、……あざす」
なんか意外とやさしそうだった。カエルとの同居、案外何とかなるかも?
お題58:国王からの命令はただひとつ――今日中に最高に面白いくしゃみを発明せよ、であった。
私は、自分の耳を疑った。自身がこれまで身を粉にして仕えてきた国王が、そんな事を仰るはずがないと。しかし王は、間違いなく、こう言ったのだ。
「今日中に、最高に面白いくしゃみをせよ」
思わず「はぁ?」という不敬な返事をしてしまった事は、幸い水に流していただけた。
「ほれ、ここに最高級のこよりを用意してある」
「どこに金かけてるんですか」
「余の退屈を凌ぐためだ、致し方あるまい」
今の王は、かなり酒に酔われておられる。とはいえ、これほどまでに意味不明な発言をするお方だっただろうか。どうしたものかと頭を悩ませる。
「ふむ、出来ないというのであれば投獄……」
「やらせていただきます!」
逃げ道がふさがれてしまった。とにかくくしゃみをするしかない、こよりを手に取り、鼻に入れる。あ、そろそろ出そう……。
じっ……。
玉座の間で、王や騎士達全員から真剣なまなざしで見つめられる。ちょっと、こんな緊迫した状況じゃ……。
スン。
くしゃみの気が、収まった。
「はい、投獄」
「そんなぁっ!?」
翌日、酔いが覚めた王が牢から出してくれた。はー焦ったほんと。
お題59:**駅前に突然、宇宙人専用のパン屋がオープンした。**看板には「人間立入禁止(例外:パン好き)」と書いてあった。
**駅前に突然、宇宙人専用のパン屋がオープンした。**看板には「人間立入禁止(例外:パン好き)」と書いてあった。
「あれ、なんか新しい店出来てない?」
「ほんとだー、ずいぶん奇抜なデザインね」
OL2人での帰り道。駅前に見覚えのないパン屋ができていたのである。店の前には店構えと同じく、独特すぎる色使いの看板が置いてある。
「えーとなになに……宇宙人専用?」
「うわー、ちょっと痛い系の店なんかな」
渋谷や原宿でも見かけないような世界観の店に、ちょっと引いてしまう。さらに看板を読み進めようと思っていたら、緑色の巨大猫っぽいキャラクターが話しかけてきた。
「イラッシャイ、ニンゲンハオコトワリダゾ」
「うわ、変な声~」
「ヘリウムガスでも吸ってんのかな」
店員が看板を指さした先には、人間立入禁止(例外:パン好き)と書かれていた。
「あのー、私たちパン好きなんですけど」
「オウ! ホナラカンゲイデッセ!」
「いやキャラ付けキモ……」
離れようとしたのだが、香ってきたパンの良い香りに2人して吸い込まれてしまうのだった。
お題60:愛犬が急に人間の言葉をしゃべりだしてこう言った。「まずは聞いてくれ、俺は転生者だ。」
転生者、web小説等を普段読んでいる人にとってはなじみ深い単語かもしれない。俺も読んでいるのでよく知っている。
「オーケイ、まずは聞いてくれ。俺は転生者だ」
「わかった。通報でいいんだよな?」
「違うだろ!?」
但し、その言ってくる相手が愛犬のポピーだとは、さすがに予想できなかったし、とてもうろたえている。……そして何より。
「俺のポピーはどこへ行ったんだよ!?」
「まあ落ち着いてくれ、ポピーの魂は俺と同じくここにいる。俺はあくまで、間借りさせてもらっている状態なんだ」
「犬の肉体を間借りって、表現合ってるのか……?」
とにかくポピーは消えていない、それが知れて一安心だ。
「しかし、何でポピーに転生しちゃったんだよ」
「それは俺にもわからん。けど、一応犬の気持ちがわかるって能力はもらえたんだ」
「マジか。じゃあポピーは俺に何か言っているかわかったりするの?」
「ああ。『もっとかっこいい名前が良かった』だとさ」
「あ、そうすか……」
ごめんポピー。名前考え直すわ。
「いや待て! 俺について後回しにするなよ!」
面白いくしゃみを強いられて投獄させられる流れ、頭の中に「利根川カッター!」「制裁!」が浮かんでいました。