お題61:くしゃみをすると別の時代にワープしてしまう花粉症のサラリーマンの話。
「はっくしょい!」
何の変哲もない、ただのくしゃみ。しかしとあるサラリーマンにとっては、致命的な物なのだ。
彼がくしゃみをすると、なんと別の時代へとワープしてしまうという、異常な性質を持っているのである。
「あーくそ、せっかくすまーとふぉんとやらになじんできた所だったのに……」
彼はあらゆる時代を転々としすぎてしまい、もはや慣れてしまっていた。
「こんなんじゃ友達もできやしねえし……花粉が飛びだした途端にこれだ」
彼はその上、花粉症を患っている。花粉の季節がやってくると姿を消すタイプのサラリーマンなのである。
「クソっ、今度はいつ頃なんだ……?」
周囲を見渡すと、なんと人っ子一人いない。それどころか、人工的な建物が全くない。一面緑だらけだ。
そして遠目には、なんと図鑑で見たような恐竜がいるではないか。
「嘘だろ……? さすがにこの時代じゃ生きらんねえぞ」
とっととくしゃみをしたい。しかし、ここでとんでもないことに気づく。
「おい待てよ。この時代って花粉飛んでんのか……?」
こうして彼の、花粉を探すとても危険な旅が始まったのだった。
お題62:なぜか毎朝、冷蔵庫の中で政治討論会を開いている食品たち。
「さて、今日も討論を始めようか」
「今回は新たなゲストが来てくれてるぞ」
毎朝、誰のためかわからぬ始まる討論会。議題は、政治について。なんとも熱心なことである。
ただ、この会には非常におかしな点がある。それは……。
「白菜だ、よろしくたのむ」
「今日も野菜室での開催となります」
「毎回毎回何してんだお前ら」
一体いつから始まったのか。俺の家の冷蔵庫で、食品たちが政治について語り合い始めたのだ。朝からやかましい集団の声が聞こえてきて、いい迷惑である。
「昨日の特売だった白菜まで混ざりやがって……」
「僕はこの日をずっと待ちわびていたんですよ。物価高の要因と今後の展望について、真剣に語り合える場を求めていたんです」
「彼は期待の新星なんですよ。だから調理に使うのはもう少し後にしていただけますかな?」
「いや、椎茸も一緒に今日鍋にしようとおもってたんだけど」
「そんな殺生なっ!?」
俺は食材の意味わからん都合に合わせる気はない。というか食品がいくら話し合ったところで、実際の政治には何も影響しないだろう。立候補とかした方が有意義だと思うぞ。
お題63:地球征服を諦めてカフェを開いた宇宙人の、苦労だらけのお店経営。
とある街から少し離れた所に、ひっそりとたたずんでいる、喫茶コスモ。テラス席には宇宙人店長と常連の人間が和やかに話をしていた。
「いやあ、地球制服を諦めた時はどうなるかと思っていましたが……。こうして喫茶店を開けるなんて夢のようです」
「もー、その話何度目ですかー」
店長の宇宙人は、もともと地球制服のために乗り込んだ。しかし色々あって、今はこうして喫茶店を開いている。
「何をおっしゃいますか。貴女がアドバイスをしてくれたお陰で、不要な血を流すことなく、私の理想を叶えることができたのですよ」
「あの時はびっくりしたわよ、カフェを開くために侵略だーなんて言いだしたんだもの……」
自覚無しにとんでもない会話をしているせいか、周囲の客が冷や汗を垂らす。
「しかし、最近は大きな悩みがあるのです」
「どしたの?」
「カフェなのに、コーヒーではなくかつ丼ばかりが売れるのです……」
「……なんでだろうねー」
宇宙人のカフェ道は、まだまだ続く。
お題64:“絶対に走らない”ことに人生を賭けたカタツムリの青春物語。
とある学校の廊下、一人の男子生徒がしゃがみ込みながら、何かと話をしている。
「……君もなかなか頑固だね」
「はい、僕はこのルールを一生守るって決めたんです」
意気込んで宣言するのは、なんとカタツムリ。学校に迷い込んでしまったようだ。……なぜカタツムリが喋っているのかは、誰もわからない。
「僕、学校の廊下は絶対に走りません!」
「いや、カタツムリが走っても全然影響ないから別にいいんだけど」
カタツムリの謎の宣言と、なぜか普通に会話を続ける男子生徒。彼はクラスでもちょっと浮いた存在である。
「だって、君のスピードと人間の歩くスピードじゃ全く違うじゃん。五十歩百歩だよ」
「いえ! 我々カタツムリからしたら全然違います! 葉っぱ0.2枚分くらい!」
「うん、変わんないね」
カタツムリの謎の意志の強さに、男子生徒はちょっと見習ってみようかな、と思わされた。
お題65:人間より恋愛に詳しい掃除機が書いた恋愛相談コラム。
とある女子高生が毎週楽しみにしている、週間雑誌の恋愛相談コラム。今日も家に帰ってすぐにそのページを開いた。
「部屋に置いている物が少しずつ変わっていたり、こまめに掃除をするようになった。それはもしかすると、恋をし始めたのかも!?」
「うわー……、相変わらずこのコラム、妙にリアルなこと突いてくるよねー」
身近な生活感から、人の恋愛心理を語ってくるこのコラムは、雑誌の中でもかなりの人気を博しているらしい。
「まあ、私自身は全然その気はないんだけどねー。つい面白くて見ちゃうな―」
コラムはそこまで長いものではなく、サクッと読める。この点も評価されているようだ。
「あ、そーいえば作者の名前知らなかったなー。どれどれ……」
作者名に書かれていたのは、なんとdys〇nという有名な掃除機の名前だった。
「へ……? いやいや、流石にコードネームでしょ」
しかし彼女は思った。これまでコラムを読んできた中で、部屋のゴミがどうとか、片付いているかどうだとか。掃除機目線、と言われてみたらそうなのでは、と思えるものだった。
「さ、さすがにないよね……? 掃除機がコラム書いてるとか、そんなわけないじゃんね……?」
彼女の疑問は、後に正解だったと明かされることとなる……。
AI君気軽に物を喋らせすぎ問題。喋ってることに毎度ツッコませたものか迷うのがちょっとネック。