お題76:願いを1つ叶える代わりに、24時間ずっと“語尾にニャをつけろ”と強要してくる謎の石像。
願いをかなえる魔法の……、と聞けば、様々な答えが返ってくるだろう。僕は今、猫の石像に語り掛けられていた。
「さあ、願いを1つなんでも叶えてやるニャ。その代わり、今から24時間語尾にニャを付けてもらうにゃ」
「めんどくさ……」
「ニャッ!? お前その態度は何ニャ!?」
急に願いをかなえてやろうと言われても、すぐに浮かばない。その上、石像の表情が僕を煽っているように見えて腹立つ。
「なんでもいいニャ。大金持ちでもなんでも、我に叶えられない願いなどないニャ!」
「そもそも、なんでニャを付けたら願い叶えてくれるんだ?」
「それは、企業秘密ニャ」
「企業なの!?」
僕がニャを付けることで、どんな利益が見込めるのだろうか。
「ちなみに24時間って、ずっと寝ててもいいの?」
「いんや、寝言にもニャとつけてもらうニャ」
「無理ゲーじゃねえか」
寝言にニャをつけるとか、出来るわけがない。解散、解散です。
お題77:世界を救う鍵が、たった1粒だけ残った“ポテトチップスの粉”にあった。
「もうすぐ世界が崩壊してしまう! 選ばれし勇者よ、早く鍵を見つけるんだ!」
「急展開過ぎるだろ!?」
現在、魔王の最後の抵抗により世界が崩壊しそう。正直細かい説明をしている場合じゃない。
「鍵っていっても、俺にそんな心当たりなんか……」
「ほら見て! あの石板、かけている部分があるでしょ!?」
「あ、あぁ……でもそれがどうしたんだ? 石板の欠片なんて持ってないぞ?」
勇者である俺にずっとついてきた精霊が、俺に何かを伝えようとしてくる。
「違うよ! ほら、あの形! 思い出して!」
「うーん……」
いや、本当に見覚えが無い。というか精霊、気づいてんならもったいぶらずに教えてよ。時間ないんだってば。
「あーもー、わかったよ! 君が転生してきたときに食べていたものがあったでしょ!」
「あ、あぁ……ポテチな」
「その袋に残っていた最後のひとかけら! あれが石板の欠けたところと全く同じ形なんだよ!」
「そんなことある!?!?」
まさかの、ポテチが最後の鍵だった。どうにかして持ってきたポテチの欠片をはめたら、世界は崩壊せずにすんだ。ありがとう湖〇屋。
お題78:突然、地球上のすべてのカエルが“ラップバトルでしか会話しない”世界になった。
地球上の全てのカエルがマイクを持ち始めた昨今、人々の暮らしは……特に変わってはいなかった。
「ゲコッゲコッ」
「ゲーコッ」
ただ、ちょっと道歩くときにうるさいなと思う頻度が増えたぐらいである。
俺としては、ただ川辺を歩くのを避けるだけだった。しかし最近、奇妙なことに気づいてしまった。
「Yo! 我らヒキガエル! 何度やられたって生き返る!」
「Wackな連中はただ騒ぐ、俺らはただ淘汰するだけのWork!」
なんか、めっちゃラップバトルしてる。なんでそんなノリノリで、かつ人間の言葉で競い合ってんのよ。
「Hey! そこの兄ちゃんも混ざんなよ!」
「げっ、巻き込まれた……」
まさかカエルの舌戦に巻き込まれるなんて、好奇心で川辺に行くんじゃなかった。
お題79:吹くと必ず“微妙な気まずさ”が発生する呪われたホラ貝を手に入れてしまった男。
ある日、クラスの友人が学校にいきなりホラ貝を持ってきた。私は思わず聞きたくなって声をかけた。
「え、何でそんなもん持ってきてんの」
「それがな、朝起きたら俺の隣で寝ていたんだ」
「いや怖、冗談でしょ?」
どうも冗談ではないらしく、本人曰くこのホラ貝はどうも呪われているのだという。
「呪われてるって、パッと見普通のホラ貝じゃん」
「ああ、見た目はな。けど……」
「え、ちょっと。教室で吹こうとしないでよ」
ぶおおぉぉぉー……。
大音量で鳴り響いたホラ貝の音に、クラス中が静まり返った。しばしの沈黙のあと、彼はホラ貝を置いてこういった。
「ほらな?」
「いや何が」
「何って、これは間違いなく呪われている。吹くと必ず、気まずい空気になるんだ」
「ほぼあんたのタイミングの問題じゃね?」
真剣に聞いて損したわ、と肩を落とす。
「んで、どーすんのそれ」
「とりあえず、吹奏楽部に入部してみようと思う」
「絶対違うでしょ。吹奏楽部困らせるだけだから止めときなよ」
お題80:未来から来た自分が言うには、「とにかく今日の昼食だけは絶対にうどんにしろ」というが理由を教えてくれない。
今日の僕は上機嫌だ。なぜなら学校の購買で、珍しく限定焼きそばパンが買えたからだ。いつも売り切れちゃうのに、実に運が良かった。
「いただきまー」
「待ってくれ!」
「え、何!?」
背後から突然叫ばれたせいで、うっかり焼きそばパンを落としかけた。あぶなー……。
「誰なの!? せっかくの楽しみを落とすところだったじゃないか!」
「それどころじゃないんだよ! 過去の僕、今日の昼食だけは絶対うどんにしてくれ!」
「はぁ? 何を言うんだよ、せっかく買えたのに……って、過去の僕?」
「ああ、そうだよ! 僕は10年後の僕だ!」
さっきまでお腹が空いて仕方がなかったのに、目の前の少し背が伸びた未来の僕の登場で、食欲がどこかに行ってしまいそうだった。
「よし、まだ食べていないんだね! よかった間に合ったー……」
「えーと、それでなんだっけ。うどんにしろって……」
「そ、そうなんだよ! 理由は言えないんだけど、これは絶対なんだ!」
「理由は聞きたかったなぁ……」
あまりにも必死な形相だったから、焼きそばパンをしまい、もう一度購買に行って焼きうどんパンを買って食べることにした。焼きうどんパンでもいいんだ……。
僕の10年後ってどうなってるんだろう。長く太く生きられてるといいんだけど。
即興小説でラップバトル書け、はビビるって……。