とりあえずの目標達成までもう少し!
お題86:王子の馬が国の政治を実質すべて決めていたことが判明する話
とある国の王子は、政治に対する判断力がとてもすぐれていると、他国にも知れ渡るほどの評判だった。貴族たちも口を揃えてかの王太子に判断を委ねている。
しかしそんな彼には、誰にも言えない秘密があった。深夜、誰もいない馬の宿舎にこっそりと入っていく。
「なあ、この家の動きについてどう思う?」
「……ヒヒィーン」
「ん、やっぱり怪しいのか」
なんと、重大な決断を馬に尋ねていたのだ。人間の言葉を話せるわけでは無いが、理解はできるようで、全ての話を完璧に理解する馬だったのである。
「いやあ、本当に助かっているよ。僕の評判はうなぎ登りだ。けれど、馬である君が政治を握っていると誰かに知られたら、どうなることやら」
「ヒィーン……」
後日、この馬が実は数千年前に滅びたとされていた神獣だったと知る事になる。なんだったら、馬に政治を握られていた事よりも驚かれていたのだった。
お題87:“夢の中専門の探偵”が、寝落ち癖のせいで事件をめちゃくちゃにする話
寝て起きる間に事件の謎を解くと言われている、通称、夢探偵。彼の事件簿は今日も唐突に起こる。
「こ、これは! 女将が死んでいるぞ!」
町並み外れた場所にある温泉旅館。そこで事件は起こった。警察が駆けつけた頃には、湯上がりだった被害者もすっかり冷たくなっている。
「お、おい。被害者の上に被さって寝ているのは……夢探偵、また君かね」
「んぅ……? あ、おはようございます」
夢探偵の欠点は、どんなところでも急に寝落ちしてしまうことである。今回は血溜まりでうつ伏せに倒れている被害者の、上に被さって寝てしまっていたのである。
「おい君! 殺人現場で寝返りをうつんじゃない! 血が付いた足跡がわからなくなってしまったじゃないか!」
「あー、これ指紋まで消えたっすね……警部、もうこいつ逮捕で良いんじゃないっすか?」
「むにゃむにゃ……すいませんでしたね警部。しかし、犯人の目星は、もうついているのですよ」
今日も彼は、事件現場を荒らし放題である。けれど、最終的にはどんな事件も夢を追って解決してしまうのが、彼が名探偵たる所以なのだ。
お題88:海の底で開催される、魚たちのファッションショーに人間が迷い込む話
海底2000マイルの、本来なら太陽の光すら届かないほど深く暗い海水の底。そこはあるはずのない眩しいほどの光に包まれている。
「それでは、本日のファッションショーに参加するのは、この御魚たちです!」
毎年恒例、魚たちによるファッションショーが開催されていたのである。控えには海藻やサンゴ礁などで前進を装った魚たちが待機している。
「本日は、なんとスペシャルゲストも来ております! どうぞ!」
「あ、どうも……」
そこに現れたのは、なんと人間。彼は偶然、海底調査中にこの催しに巻き込まれた人物である。会場に連れて行かれた途端、水圧に耐えられる防護服を剥がされてしまった。防護服の下は、ユニクロの普段着だった。
死を覚悟した彼だったが、なぜか息ができるし水圧にも耐えられることに驚いた。
「見て、あの服装。なんか逆におしゃれじゃない?」
「えー、でも不自然なところに穴があるわよ?」
「私たちと違って、手足があるものね。私たちじゃ、あれは着れないわね」
彼の服装は、ややウケで終わった。そして何事もなく、水上に返されたのであった。玉手箱とかは無いらしいです。
お題89:魔法の薬を飲んだら、なぜかずっと“だじゃれ”しか喋れなくなる話
魔法の薬。それは普通に考えたら叶うはずのない願いを、何かを代償とすることで叶えてしまうという、常識破りの力を持った代物である。
とある洞窟にて、そんな魔法の薬を求めた青年が、魔女に薬を譲り受けたのである。
「ああ、これでやっと解放される……」
「ひっひっひ。私は止めたからね、どうなろうと知らないよ」
男は迷わず薬を飲んだ。どうなってしまうのかは、魔女にもわからなかった。
「……ところで、この薬を飲めて、クスリと笑えたよ」
「はい?」
「なんか、みかんの味がしたんですけど。この洞窟じゃみっかんないなあ……」
「……なるほどねぇ。そんな代償は予想外だったよ」
彼の代償。それは、だじゃれしか喋れなくなるという奇天烈な効果だった。男は口を噤むが、思いついたら全て声に出てしまう。
「こんなダジャレを思いつくのはダレジャ!!」
「やれやれ、冷え性を治す代償としては、可愛い方かねぇ。ヒッヒッヒ」
魔女は男の動揺ぶりに笑っていた。決して、ダジャレに笑っているわけではない。
お題90:空から降ってきたのがUFOではなく、巨大な忘れ物リストだった話
オカルト研究部の夜は長い。とある噂を聞きつけて、彼らは夜の山頂でヤマを張っていた。
「情報によりますと、このあたりで奇妙な光を見たとのことでしたな」
「ああ、なんとしても真相を突き止めようぞ!」
クラスでも浮いている青年たちは、一歩間違えれば補導されてしまいそうだ。
「ムッ、あの光はなんだ!」
「あ、あれは! 地球のものとは思えない怪しい光を発している!」
間違いない、あれが噂の怪しい光だ。研究部員たちは興奮を抑えきれず、光に向かって走り出した。光は、彼らの下にゆっくりと落ちてくる。
そして、茂みに落ちたそれを、彼らは拾い上げた。その紙は、近くの木ほどの大きさだった。
「なんだ……? 天の川の湧き水、衛生の皮、だと?」
「これ、もしかして」
部員たちの脳裏に浮かんだ、買い物とかでよく使う、買い物リスト。まさか、これは宇宙人にとってのそれなのか。上に忘れ物リストと書かれたリストには、まだ続きがある。
「地球のオゾン層を一欠片?」
「それは駄目だろう!?」
「こうなったら、我らで食い止めなくては!」
オカルト研究部の、誰も知らない戦いが始まった瞬間だった。
ラップに続いてダジャレまでやらせてくるとは、なかなか手厳しいです。