お題16:告白しようとしたら、相手が先に「その前にクイズに答えて」と言い出した。
「あの、話というのは櫛田さん。僕と……」
「その前にクイズに答えて」
「えっ」
高校の校舎裏、一世一代の僕の告白をしようとしたところで、何故かクイズを挟まれた。
「く、クイズ?」
「ええ」
何で、と聞く前に櫛田さんは先に口を開く。
「……今、私たちの会話に聞き耳を立てているのは何人?」
「なっ!?」
彼女の発言に驚いて自分の後ろ、校舎影を見ると、僕の背中を押した友人三人が顔を出しているのが見えた。
「やべっ気づかれた!」
「逃げるぞ!」
「おい、頑張れよ!」
三人はさっさと逃げていった。
「それで、答えは?」
「さ、三人」
「よろしい」
どうやらクイズに正解できたようだ。けれど、僕の疑問は晴れない。
「けど、どうしてこんなクイズを?」
「これから大事な話をするのだから、外野にはいてほしくなかったの」
「え、それって……」
「ほら、……早く言って?」
赤く染まった彼女の頬。もしかしてこれ、期待してもいいのだろうか?
お題17:今日から魔王になるはずだったのに、勇者が先に就職祝いを持ってきた。
初めて座る魔王の座、彼は興奮を抑えきれずにいた。ようやくこの地位を手に入れられた。
「ふむ、若君もとうとう魔王となりましたな」
「ああ」
「そんな貴方様に、どうやら客人のようです」
「誰だ?」
魔王の間に現れたのは、まさかの天敵とも言える存在だった。
「ども、勇者です」
「待てい」
幹部の予言にて、魔王の存在を脅かすと言われていた勇者だった。
「何しに来た勇者よ! まさかリスキル狙いか!?」
「いやいや、ただの就職祝いだよ。魔王誕生のお祝いさ」
「信用できるか!」
背中に見える退魔の剣におびえながらも、魔王の威厳を保とうと必死である。
「まあまあ、今後死闘を繰り広げる相方なんだし。どうぞよろしく」
「ひえっ」
勇者が笑顔でとんでもないことを告げる。魔王は血の気が引いた。
「それじゃ、今日は顔見せだけだから。じゃーなー」
「……魔王様、お気を確かに」
「あいつの方がよっぽど世界の脅威だろ……」
お題18:タイムマシンで過去に戻ったら、なぜか過去の自分が副業の勧誘をしてきた。
もしも、自分の机の引き出しからタイムマシンが出てきたら。そんで、未来の自分が副業の勧誘をしてきたらどう思うだろうか。
「未来の俺って、こんな胡散臭い奴になるの……?」
「待って、話を聞いてくれ!」
俺の答えは、全力で現実逃避をしたくなる、でした。
「だから! 今の時期からちゃんと貯金しときゃ良かった、って今の俺はめっちゃ後悔してるんだ!」
「あのさ、その話を信じるとかじゃないんだよ。まず未来の俺ってところから信じてないんだって」
今ちょっと情報量が多すぎるから、まずどれか一つに絞ってほしいのよ。
「一日一時間、いや十分でもいいから始めてくれ! 短期のやつでもいいんだ!」
「どんだけやって欲しいんだよ……」
必死さは伝わってくるけど、状況が状況なだけに首を縦にはふりづらい。
「ちゃんと貯金があれば、多分佳代子ちゃんとも付き合えたかもしれないんだ!」
「よし話を聞こう」
自分のツボを正確に捕らえられては仕方ない。とにかく話を聞くことにしよう。
お題19:コンビニに行ったら、店員全員がなぜか僕の元カレ(または元カノ)の顔だった。
「はー、すずしー生き返るー」
あまりの暑さにフラっと寄ったコンビニ。家から駅に向かう間にあるからちょうどいいかも。これからちょくちょくよろっかなーっと。
「いらっしゃいませー」
「……は?」
なんで、元カレがここにいるわけ!?
「あんた、こんなところで何してんの? まさかあたしを……」
「え、誰ですかあなた?」
「は?」
名札を見ると、顔は元カレだけど名前は違っていた。軽く謝罪して、買い物に戻る。
「いや、ちょっと待ってよ。元カレの顔してるやつしかいないんだけど……ここ居心地悪すぎね……?」
なんと店員が全員元カレと同じ顔をしていたのだ。
「気味悪……早くでよ」
って、あれ? 出口どこ……?
え、何でみんな整列して、あたしを見てるわけ?
「へへ……全員、お前に騙されちゃったからね。お返しに来たよ……」
これがあたしの、悪夢の始まりだった。
お題20:願いをひとつ叶えるというランプをこすったら、出てきたのが近所のおじさんだった。
「ふふ……お前か、ランプをこすったのは」
「いや通学路でたまに見かけるおじさんじゃねえか」
願いを一つ叶えるという魔法のランプを拾った。けれどこすって出てきたのはランプの青い魔人じゃなくてただのおじさんだった。
「くっそパチモンかぁ……」
「パチモンではない。ちゃんとランプの先から出てきただろうが」
「いやそうだけどさぁ」
なんかこう、心躍らないというか。ただのだらしないおじさんが出てきただけだもの。
「さあ、願いを言え」
「朝見かけるおじさんに話すの嫌なんすけど……」
「いいから、ほら何でもいいんだぞ」
「えー……」
気は引けるけど、言わないとおじさんが引いてくれなさそうだ。
「まあ、言わなくてもわかるけどな。お前さん、最近野球部で成果が出せていないだろ?」
「なっ、なぜそれを!?」
「朝の顔みりゃわかる。ずっと浮かねえ顔してんだろ」
まさかの俺の悩みがバレていた。
「力みすぎなんだよ。ちったぁ肩の力抜いてみろ」
「は、はい……」
「願いはこれで叶う。じゃあな」
そういって去っていった。なんか思ってたのと全部違ったけど、気分は悪くないからまあ良しとしよう。
まさかの一個ホラーになっちゃった。コメディものを書くのが向いているのでは、と自分では思っています。