大きくは変わって無さそうですが、これでやってみようと思います。
お題41:朝起きたら、左足だけ筋肉ムキムキになっていて、右足がすねていた。
朝、起きた俺は両足に強烈な違和感が走った。明らかに、左足がムッキムキになっている。逆に右足はほっそりとしてしまっていた。
「なんだこりゃ!?」
どうしてこうなったのか、心当たりがない。そういえば昨日の夜は飲み会後で酔っ払ったまま寝てしまった。
「ふん、左足ばっかりひいきするあんたなんか知らないっ」
「はい?」
なんか、右足が拗ねていた。ただでさえ混乱してるんだから、さらに困惑させないでくれ俺の右足。というか喋ったら全然性格違うのかよ。
「なあ左足、昨日何があったんだ?」
「おいおい。まさか君、あんなに激しく僕を使ってくれていたのに、覚えていないのかい?」
「えぇ……?」
左足もまた違う性格、しかもちょっとナルシスト入ってる。何で両足とも俺の苦手なタイプなんだ。俺の体なのに。
「昔サッカー部だったからって、酔って調子に乗るからこういう目にあうんすよー」
「全く、だらしないわね」
「右手と左手までしゃべりだしたぞおい!?」
俺の体、一体どうなってしまったんだ。
お題42:冷蔵庫を開けたら、バナナが“会議中”の札をかけていた。
僕はバナナが好きだ。どのくらい好きかというと、毎日3本は必ず食べるくらいだ。今日も冷蔵庫にストックしてあるバナナを取り出そうとした。
「か、会議中……?」
いつも産地とかが書いてあるバナナについている紙。しかし今見たら札に変わっており、別の言葉が書いてあったのだ。
「バナバナバナ……」
「だめだ全然何言ってるかわからん」
バナナ語?を喋っているバナナたちの言葉はわからない。そもそも会議中の時点で異常事態だ。
おそらくしているのであろう会議の成り行きを見守っていると、札の文字が書き変わった。
「そんなに食うなら、サブスクのほうがお得」
「え、バナナのサブスクとかあるの?」
なんと、バナナ自身から自分たちを食べる際のお得情報を教えてきた。僕にとってはうれしい話だけど、バナナの話を信じていいのだろうか?
「ん、札に何か書き足されて……ってサブスクのURL!?」
バナナたちの指示通りURLを踏んだら、ちゃんとサブスクに登録できた。ありがとうバナナ会議。
お題43:祖父のひげが突然独立を宣言し、家族会議が緊急招集された。
ある日突然、祖父のひげがごっそりと抜け落ちた。それだけでなく、一塊になってもぞもぞと動き出した。恐怖である。
「我ラ、独立ヲ宣言ス」
ひげ達が文字の形に並び、祖父含む家族全員に、そう意思表示をしてきた。
「こわ……」
家族皆、最初はこの言葉しか出てこなかった。
「で、これどうする?」
時間をおいて冷静になった父は、家族を集めて会議を始めた。
「ねえお父さん、じいちゃんのひげがどっか行ったところで、別にどうでもよくない?」
「……確かにそうだな」
「ふむ、わしもそろそろ剃ろうと思っていたところじゃしな」
「じゃあ、ほっときましょ」
僕の言葉に父、母、そして祖父自身も納得した。会議が終わりそうな空気の中、ひげ達はなぜか不満な様子。
「マテ、モットコウ、ナイノカ?」
「え、引きとめてほしいのかこれ」
未練がましいひげ達に、妹が語り掛けた。
「……ねえ。おじいちゃんから生えていないひげってさ、それは果たしてひげと呼べるの?」
「ナ、ナナナナナ」
妹の一言によって、ひげ達はアイデンティティを失った。そしてただの毛に戻り、あえなく母の掃除機に全て吸い込まれていったのだった。
お題44:知らないおじさんから『あなたの影、貸してもらえません?』と頼まれた。
朝のジョギング中に、前に知らないおじさんが立ちはだかってきた。
「突然で失礼なのですが、あなたの影を貸してもらえません?」
「失礼とか以前に意味がわからないので嫌です」
彼が不躾に断るのも当然である。影を貸す、とはどういうことなのだろうか。
「じゃあこれで……」
「お待ちください! ほんの、ほんの10分だけでいいんです!」
「更に意味わからなくなったんですけど。影を10分だけ借りるって何なんですか」
影の貸し借りなんてしたことが無いから、不安でしかない。あとおじさんが必至過ぎて恐怖である。彼の影にしがみついているおじさんの姿は、子供には見せられないだろう。
「本当にちょっとだけでいいんですよ! 後で倍にして返しますんで」
「影がどう倍になるんですか……」
「大きさと濃さが増やせますよ?」
「いらないです」
金じゃあるまいし、影が倍になったところで不気味でしかないのである。
お題45:空から降ってきたのはUFOでも隕石でもなく、私の体育教師だった。
「うわぁ~ん! 転校初日から寝坊しちゃうなんてーっ!」
転校生の少女は非常に慌てて全力疾走していた。目的地である学校まであともう少し。
ドゴォーンッ!
唐突な物体の着弾音と、少女の目の前に広がる衝撃派に、思わず足を止めた。
「ええぇっ!? 何なんなのぉ!?」
煙が晴れた後、そこに立っていたのは一人、ジャージ姿の先生らしき男性だった。
「うむ、君は確かうちの転校生だったな!」
「へっ!? あ、はい……」
「しかし、今の君のラップタイムでは始業時間に間に合わん! 体の重心が乱れているぞ!」
「え、えっ?」
体育教師であり、陸上部顧問である彼は、転校生の走りの悪いところを指摘し始めた。
「良し、取り急ぎフォームを修正しつつピッチを上げるぞ! さあついてこい!」
「ちょっ、その前に先生なんで空から――ひゃあああぁぁっ!」
先生に爆速で手を引かれた転校生は、初日から音速に引っ張られるという衝撃体験をしたのであった。そのうえ先生が飛んでいた理由は聞けなかった。
ちなみに始業時間には間に合ったらしい。
いやバナナのサブスクって何。