俺は神の駒らしい ―平和のためにコーディネーターを滅ぼすまで― 作:やわらぎ
●:地球連合軍、迎撃に出るも壊滅
地球連合は“衛星軌道で待たない”という悪手を打ち、
ザフト散布部隊の護衛隊に正面から突撃。
MS戦に対応できず、
連合艦艇 多数撃沈
メビウス隊 全滅寸前
指揮系統崩壊
完全敗北する。
残った艦艇が緊急退避する形で戦線離脱。
※OC側の評価
ワッケイン
「……連合は、相変わらず宇宙戦を理解していないな」
フォン・ヘルシング
「むしろ、ここからが我々の本番だ」
■そして、運命の時へ
ユウヤは司令室前の静かな廊下で、手を握りしめながら呟いた。
「……神様。俺を“駒”にするなら、せめて十億の命は救わせてくれ」
返答は、ない。
だが、胸の奥にはひとつだけ確信があった。
――俺が動かねば、地球が死ぬ。
だからユウヤは進む。
“神の意志”にも“修正力”にも抗って。
そしてOC防衛軍は、
史上初の“対ザフト阻止戦”へ出撃する。
C.E.70年4月1日――。
地球圏の歴史は、この日を境に、静かにそして確実に変わり始める。
ザフトが発動した“オペレーション・ウロボロス”。
大量のニュートロンジャマーが地球大気圏へ散布されれば、地球文明は機能停止に追い込まれ、十億単位の民間人が犠牲になる。
その事前リークを受けたOC防衛軍は、ついに独自判断で“対ザフト戦争”へ踏み込んだ。
総指揮は、ワッケイン少将。
「――全艦、対宙戦闘配置。ザフト散布部隊、本隊は間もなく射程圏内だ」
衛星軌道上。
地球を背後に、OC第3艦隊は楔形の陣形を組み、静かに迫り来るザフト艦隊を待ち受けていた。
サラミス改級8隻が前衛を固め、左右両翼にはレパント級ミサイル護衛艦12隻。
最後尾にマゼラン改級1隻と、コロンブス級2隻、コロンブス改級2隻が並ぶ。
そして、後方には、フォン・ヘルシング大佐率いる第十三独立戦隊が控える。
■地球連合艦隊の敗走
一方、ザフト散布部隊護衛隊に対し、地球連合の第5・6・7艦隊は真正面から突撃した。
アガメムノン級宇宙母艦、ネルソン級戦艦、ドレイク級護衛艦……
莫大な艦隊規模ではあったが、
「ジンもシグーも、MAじゃ荷が重すぎる……!」
「距離が詰まらない! 射線が取れない!」
メビウスの主兵装はリニアガン。
対MS戦闘には致命的に不足していた。
ザフト護衛隊のローラシア級20隻、計100機のジン、20機のシグーが、空間を切り裂く。
「うわああああっ!」
「艦橋被弾! 姿勢制御不能――!」
わずか1時間。
地球連合の三艦隊は、全体の四割を失い、散り散りに撤退した。
だが、それは予定されていた。
OC防衛軍が「本命」を受け止めるための時間稼ぎ――。
■ザフト散布部隊 本隊、接近
散布部隊の本隊――ナスカ級高速戦闘艦15隻。
艦載機は、シグー15、ジン・ハイマニューバ75。
高速、高機動、そして高練度。
実質的にプラントが誇る“中核機動部隊”と言えた。
だが、OC防衛軍はすでに構えている。
「ザフト散布部隊、本隊、最終接近距離まで30!」
「ドラッツェ改、全機発艦!」
宇宙空間に60機のドラッツェ改が飛び出していく。
彼らは高機動ではない。
だが大量の実弾兵器とスラスター追加により、奇襲性能は高い。
「ジム・コマンド第1及び第2中隊、続け!」
続いて18機のジム・コマンド(実弾仕様)が発進。
その後ろから、ボールN/K、セイバーフィッシュが補助戦力として広がっていった。
ワッケイン少将は、腹の底から声を出した。
「――OC防衛軍は、全力で散布阻止に当たる! ザフトに地球を好きにはさせん!」
■戦闘開始
ナスカ級から一斉にMSが飛び出す。
『全機、散布装置の護衛に移行する! 敵の主力は右舷側だ!』
ハイマニューバが炎を引き、ジム・コマンドへ突撃する。
宇宙空間に、実弾、ミサイル、バルカンの光が乱舞した。
「ジム2、回避! 後ろにハイマニューバ!」
「ぐ……くそ、押し込まれる……!」
性能差は明確だった。
MS戦では、ザフトが優勢。
OCのドラッツェ改とジムは、必死に撹乱を試みるが、押し負けつつある。
■艦隊戦ではOC優勢
だが――。
「レパント級、対艦ミサイル斉射!」
「全サラミス、散布艦への集中砲撃!」
OCの艦艇は、“対MS迎撃改修”を施されている。
ミサイルの飽和攻撃でハイマニューバの突進を削り取り、艦砲がジンに命中する。
さらに――。
「第十三独立戦隊、進出を開始する」
ヘルシング大佐の旗艦が進む。
艦底から飛び出したのは――
ブルーディスティニー宇宙仕様・高機動タイプ。
ヤザン小隊、ライラ小隊、ブラン小隊。
計9機の“怪物”が宇宙を切り裂き、ジン・ハイマニューバへ突っ込む。
『ブルーディスティニー、行くぞ!』
『こっちはMS戦のプロだ! チンピラ相手に遅れは取らん!』
『ウロボロス阻止のためだ、全機撃破しろ!』
青い残光が、宇宙を走り抜ける。
ザフトの機体が次々とはじけ飛ぶ。
■散布艦への攻撃開始
「散布機の位置を捕捉! 攻撃班、射程内!」
散布装置――ニュートロンジャマーを搭載したポッド。
これを破壊しなければ、地球は終わる。
「主砲、散布艦へ集中。撃ち方――始め!」
マゼラン改の主砲が火を吹き、散布艦の一角を撃ち抜く。
「……! 1基撃破!」
「2基目も沈黙!」
ワッケイン少将が拳を握る。
勝てる――そう誰もが思った。
■ザフト、決死の突撃
しかし、散布部隊隊長から最後の通信が飛ぶ。
『――全散布艦、散布を優先せよ。護衛は全機、軌道へ突入!』
『了解! 突破する!』
次の瞬間、ジン・ハイマニューバの残存機が、隊列を無視して散布ラインへ突撃を開始した。
「ハイマニューバが一気に……!? くそっ、押さえきれない!」
ドラッツェ改とボール隊が次々と撃破される。
彼らはMSの突撃に食いつかれ、防衛線を守りきれない。
「散布艦、加速! 落下軌道に!」
「ダメです、迎撃が間に合いません!」
青い光が閃く。
ブルーディスティニーが何機も追いすがるが――
それでも。
散布ユニットの3割が突破してしまった。
■地球へ落下
OC艦隊のセンサーが悲鳴を上げる。
「ニュートロンジャマー、降下開始!」
「……間に合わなかったか……!」
ワッケイン少将は苦い表情で、静かに目を閉じた。
ユウヤの願いは完全には届かなかった。
それでも――
被害の七割は阻止した。
本来は、地球文明が半壊する規模の散布量だった。
だが、OCが食い止めた。
地球の産業は甚大な被害を受けるが、滅亡は免れる。
■戦闘の終わり
ザフト散布部隊は壊滅。
ナスカ級の半数以上が沈み、護衛部隊もほぼ全滅。
一方、OCは艦隊損失こそ軽微だったが、MSの被害は大きい。
ドラッツェ改は60%損失。
ジム・コマンドは中隊のうち5機が失われ、ブルーディスティニーも3機が大破した。
それでもワッケイン少将は胸を張る。
「――OC防衛軍は、地球を守った。これで良い」
■ユウヤの部屋
戦闘報告が届く。
ユウヤは震える手で紙を掴んだ。
「……守りきれなかった……全部は……」
悔しさが、喉まで込み上げる。
だが、神の声が、室内のスピーカーから静かに響く。
――十分だよ、我が駒。
――君がいなければ、地球は“此処で”終わっていた。
――私としては、許容範囲内だ。
ユウヤは拳を震わせた。
「……俺は、もっと救いたかったんだよ……多くの犠牲なんて、出させたくないんだ……!」
――ならば、まだ動けばいい。
――次は“反撃”だ。
声は冷たく、残酷で、しかし確かにユウヤの背を押す。
ユウヤはゆっくりと立ち上がった。
「……わかった。やるよ。俺はまだ――終わらない」
OCは、ついに全面的な対ザフト戦争へ動き出す。
その第一歩となった戦いは、こうして幕を閉じた。
結果
OCは戦線は保つが、完全な阻止はできず――
散布装置の約3割が地球へ投下・散布されてしまう。
地球の被害は“原作の1/10”程度に減ったが
それでも数千万人以上の犠牲が出ることが確定する。
ユウヤ
「……守りきれなかった……ッ」
だが、地球文明の崩壊は防がれた。
これは“歴史改変としては大成功”に近い。