ふたりの間にようやく落ち着きが戻ったころ、アラタは咳ばらいひとつして、脱線した話を元へと戻そうとした。
「まあ、今しゃべったんがハーメルンの基礎知識やな。細かいとこ言い出したらキリないけど、とりあえずはこれだけ把握しとったらええわ」
ユウマはうんうんと頷く。
「つまり……お気に入りと投票が大事ってことやな」
「まあ、まとめたらそうなるな。で、その前提でカナの小説、ちょっと見てみぃ」
アラタがスマホを指差すと、そこには『瀬戸くんは、春風でできている。』の小説情報ページが映っていた。
お気に入り 2件
…
評価 投票者数:2人
⭐︎10:
⭐︎9:1 □
⭐︎8:1 □
「これが、掘り師の仕事や」
アラタは妙に誇らしげに言った。
「おお〜……って言うても、これ、スコッパーとは限らんのちゃう? たまたま見つけて読んだ人とかかもしれんで?」
「まあ確かにゼロとは言わんけどな。でも今回は多分ちゃうわ。お気に入りとか投票してる人んとこ、青文字でリンクついとるやろ? あれ押したら誰が投票したか分かるねん。ほら、試しに押してみ?」
「お、ほんまや……えっと——《爆裂マカロン》さんと、《洗濯バサミΩ》さん、らしいで」
「ほな、その人の名前押して、マイページ飛んでみ。いちばん下までスクロールしたら評価分布ってセクションが出てくるやろ?」
「おお、でてきたで。……で、数字とか並んどるな」
「せや、それがその人の投票した数やな。それ、何件って書いてある?」
「368」
「ああ、爆裂マカロンさんの方やな。368件やで、多いやろ?」
ユウマは首をかしげる。
「いや、それが多いんか少ないんか、ようわからんわ」
「平均的に見たら多い方やと思うで。そもそも投票とか全然せえへん読者もおるし、ほんま気に入った作品にだけ投票するタイプも多いねん。そん中で368件は、かなりの熱量や」
「……言われると多い気がしてきたわ」
「せやろ。ほんならもう一人、洗濯バサミΩさんも見てみ?」
「ちょい待って……え……3412件って……兄貴、これヤバない? 次元ちゃうやん」
アラタは得意げに腕を組む。
「ヤバいんやって。しかもハーメルンって、連続でバンバン投票しにくい仕様なんよ。クールタイム挟まるから」
「……必殺技みたいな?」
「必殺技みたいな」
「そんなんで3412件って、どうやってんねん」
「そらもう、毎日コツコツ積み上げていくしかないわな」
ユウマは思わず天井を見上げた。
「……兄貴が剛の者って言うてた意味、今わかったわ」
「こういう投票数めっちゃ多い人は、ほんまに好きな作品を何百何千も持ってるって可能性も否定できへんけど、だいたいはスコッパーやと思ってええ。評価分布も見てみ? ⭐︎9 とか ⭐︎10 だけやなくて、わりと満遍なく散らばってるやろ。これはとりあえずおもろそうなやつ全部チェックするタイプの特徴や」
「……なあ兄貴、おもろいけどさ、このサイトってそもそもそういう楽しみ方するもんなん? なんかストーカーみたいやん。投票者の傾向追うとか」
「……いや、これほんまは多分作者さん向けの機能なんやと思う。作者さんやったら、読者層の分析とかに使うんちゃうの。ただ、読者目線でおもろいんは、スコッパーっぽい人のマイページ行って、投票された作品を高得点順に並べんねん。そしたら、やっぱ読んでる母数が違うから、知らんタイトルでもめっちゃおもろい小説が見つかったりする。何読もかな〜って迷ったときはええで」
ユウマは呆れ顔でつぶやく。
「……人ん家のゴミ袋漁るみたいな楽しみ方やな……」
「ちゃうわ! これは仕様や! 運営さんが見てええんやでって言うてるからできんねん! 見られたくない人は投票非公開にできるし……いや多分……知らんけど」
「知らんのかい……」
そこで、ふとユウマは画面を指さした。
「せやったら、このお気に入りと投票の数って、カナ的にはどうなん? 順調?」
アラタは少しだけ考え込むそぶりをしてから答えた。
「……ん〜……まあ、普通やな。なんかの拍子で跳ねる可能性はあるけど、今んとこ波風ない感じ。ハーメルンではあんま見ん設定やし、投票者5人の壁越えられたら、まあ。今後の展開次第で、見たことないタイプの小説読みたい思う層には刺さるかもしれん」
「へえ……小説って、やっぱ難しいんやな」
「せやな。俺にはよう書けんわ」
そう言った瞬間、ユウマが急に声を上げた。
「って、兄貴! カナの第3話、上がっとるで!」
「……は!? 嘘やろ!?」
ふたりがあわててページを開くと、そこには——
瀬戸くんは、春風でできている。
オリジナル:現代/恋愛
タグ:青春 恋
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春野文音、中学二年。
地味で、真面目で、新聞部で。
いつもクラスの片隅から世界を眺めることに慣れていた。
そんなある日、風といっしょに瀬戸くんが転校してくる。
朝の廊下、光の中で笑った彼の横顔が、文音の心臓を忙しくした。
記事には書けない胸の音。
新聞部のペン先が追いかけるのは、いつの間にか、彼の笑顔になっていく──。
これは、恋なんて知らん中学生の、最初のきらめきの物語。
第1話 転校生が風と一緒にやってきた日
第2話 いや、そうはならんやろ!
第3話 いや待って、そんなん、あかんて……
「「………………」」
ふたりの間に、言葉の置き場もないような沈黙が落ちた。
空気だけがじわじわ重くなっていき、互いに視線も合わせられない。
耐えきれなくなったのか、アラタが突然立ち上がった。
「……コーヒーのおかわり買ってくるわ」
その声だけ妙に明るく、足取りは逃げ出すように軽い。
ユウマだけが席に取り残され、眉間を指で押さえながら顔を机に伏せた。
そんな空気の中、アラタはカウンターでコーヒーを受け取り、戻ってきた。
だが席についても、ふたりの間には相変わらず沈黙が居座っていた。
やがて、沈黙の重さに耐えかねたのか、ユウマがぽつりと切り出した。
「……なあ。これ、タイトルがそういう感じに見えてまうんって……やっぱ、俺の心が汚れとるからなんかな」
その瞬間、アラタのツッコミが電光石火の速さで飛ぶ。
「はいアウト! お前、カナの小説どんな目で見てんねん! 最低やぞこら!!」
「いや、兄貴も絶対一瞬思ったやろ!? なあ!? え、カナちゃんどしたん!?とか、瀬戸の野郎、手ぇ早すぎん!? とか思ったやろ!?」
「いや、全く思ってへんで。あ、喉乾いたなー、ってそれだけや」
「いやいや、でもコーヒーまだ残っとったやん」
「……」
「……」
「これ……入れた後やんな?」
「え、前ちゃう?」
「いやいやいや、そんなんなる?」
「いや、逆にならんの?」
「「………………」」
ふたりの沈黙だけが、また机の上にぽとりと落ちる。
会話が危ない方向に転がりかけたところで、アラタが天井を向きながら呟いた。
「……なあ、ユウマ」
「なんや?」
「俺、怖すぎてもう画面見れん。代わりに見てほしいんやけどさ……カナの小説の、タグのとこあるやん」
「タグ? ……ああ、あるなあ」
「そこん中にさ、青字やなくて……赤字のタグって、あったりする?」
ユウマはスマホを覗き込み、数秒だけ間を置いて——
「……おお、あるで」
「嘘やろ!?!?!?」
「嘘や」
アラタは思わず天を仰ぐ。
「…………」
「いつもの仕返しやってん。そんな怒らんといてや」
「…………」
アラタの沈黙がじわじわ重くなる。
気まずさに負けたのか、今度はユウマが仕切り直した。
「で、兄貴。その赤字のタグってなんなん?」
「必須タグって言うてな。普通のタグと違って、その小説がそこに当てはまるなら、必ずつけなあかんタグや」
「普通のとどう違うん?」
「んー……まあ主な目的は、地雷避けやろな」
アラタは腕を組み、例え話を探すように目を泳がせる。
「たとえばやな。ユウマが好きな漫画の二次小説があって、読むとするやん」
「おん」
「で、読んでたら、いきなり男キャラ同士が濃厚な絡み始めたらどう思う?」
ユウマは真顔で言った。
「え……『キャラ同士の感情の流れが丁寧で良かったです』?」
「……いや、そうやけど」
「兄貴が前に言うてたやつやん」
「……そうやけど!!」
「で、何が言いたいん?」
アラタはとうとう例え話を放棄した。
「もう直球でいくわ。要するに、R指定の作品には必須タグとしてその旨をつけなあかん、って話や。R-15とかR-18とかな」
ユウマは素直に頷いた。
「なるほどな。なら、カナの小説にRついとらんかったら……セーフってことか?」
「そのはずや」
「なあ兄貴、そのRタグって、自動でつくん?」
「いや、基本的には作者が自分でつけるんやで」
「え、それやったらカナ、つけ忘れたとか……そもそも知らんかったって可能性ないん?」
「……まさか……必須タグを、ご存じでない!?」
「いや、R-18は流石に気づくと思うで。でもな、R-15ってなんやねん。R-18はわかる。本番やん。ほなR-15はなんなんや? リハーサルか? てかリハーサルってなんや、それの方がむしろえっちちゃうんか??」
「落ち着け。確かにR-15の基準は俺もようわからんけど……よう考えたら、さすがに3話でその展開はないやろ。瀬戸くん早すぎやって」
「時期早漏(ボソッ)」
「……なあ、それうまいこと言ったつもりなん? ほんまにうまいこと言ったつもりなん?」
「……ごめんて」
ユウマは頭をかきながら、あらためて口を開いた。
「でもさ、そういうシーンやないって思うたら、どんなタイミングでこのセリフ出てくるん?」
ユウマは眉をひそめ、文章を指で示す。
「ドキドキはしとるんやないか? この『そんなん』と『あかんて』の間の読点、あれ息継ぎやろ」
「いや、兄貴が解説すればするほど、逆にえっちなシーンに見えてくるんやけど」
「いやいや、3話でいきなりそんな展開なる少女漫画なんて……いや、よう考えたらちょくちょくあるな。いやでも、文音ちゃん中学生やで。舞台もまだ学校やで。そんなんもうエロ同人やん」
「でも、他に考えられへんくない?」
ユウマの指摘に、アラタは腕を組んで黙り込む。
数秒後、ぽんっと手を打った。
「……いや、わかった。わかってもうた。これは逆にカナちゃんの罠やわ」
「罠?」
「そうや。タイトルがちょっとした仕掛けになっとんねん」
「え、どういうこと?」
「このタイトル見たら、ちょっとえっちな感じなんかな?って思うやん」
「まあ、思うな」
「でも!! そのセリフが出るシーンは他にもあんねん」
「たとえば?」
「笑ったときや。笑いすぎて、息できんくなったときに言うんや、『こんなんあかんて……!』って」
ユウマは「ああ〜〜」と深く頷いた。
「なるほどな。確かに笑いすぎたら、こんな感じなるわ」
「せやろ! で、前回の話でちょっとギャグ路線入っとったやん?」
「それでカナちゃんが爆笑するって流れか!!」
「せや!! それしかない!!」
「すげー……やっぱ兄貴、賢いなあ」
アラタは鼻を高くし、得意満面でコーヒーをすすった。
「やろ? いや、自分でもよぉ気づいたな思うわ。これは冴えたわ」
そんなアラタを横目に、ユウマはもう一度スマホを取り出す。
なにげなく画面を更新したその瞬間——
「あれ……兄貴。よう見たら、第2話の感想……とっくに返信ついとるで」
ユウマの声は、わずかに震えていた。
その一言で、アラタの親指はスマホの画面上でぴたりと止まる。
「……マジで?」
アラタがゆっくり顔を上げる。
ふたりのあいだに、さっきまでとは違う種類の沈黙が落ちた。
緊張と期待が、妙に入り混じった空気。
「ほな……第3話行く前に、先にカナちゃんの返信、確認しとくか」
アラタが息をのむように言う。
「せやな。俺も——どんぐり饅頭先生の感想、気になるわ……」
ユウマも画面を覗き込みながら、そっと唾を飲み込んだ。
ふたりの指が、同時にスマホの画面へ伸びていく。
第2話、じっくり読ませていただきました。
第1話で描かれた瀬戸くんは、どちらかと言えば春の象徴のような存在でした。
廊下に差し込む光、ふわりと吹く風、きれいな手首、丁寧な笑顔──そこに人間的な弱さや癖はまだ見えておらず、文音の視線を通して見える「理想の転校生像」が中心にあったと思います。
それが第2話では一転して、
・Yahoo!知恵袋に相談した結果、カレーうどんになろうとする
・見事にスベって教室全体がフリーズする
・本気で「関西の学校で馴染めなかったらどうしよう」と怯える
という、非常に中学生らしい不器用さが前面に出てきました。
このギャップがとても良かったです。
特に、教室全体が沈黙に包まれる描写は絶妙でした。
「あれ、学校って、こんなに静かになれるんや……?」
と文音が感じる瞬間は、読んでいる側にも同じ静寂が降りてきます。
窓を閉める音だけやたら大きく響いたり、先生が外を見て固まったり、誰もその場を処理できない空気が淡々と描かれていて、読者には痛いのに笑ってしまうあの独特の時間の長さがよく伝わってきました。
さらに、瀬戸くんが素直に事情を打ち明ける場面も印象的でした。
・関西では面白くないといじめられるといった、ネットで拾った偏った情報を信じてしまう幼さ。
・それをどうにかしようとして無理に面白くなろうとする、その姿勢の健気さ。
・そして失敗したあと、真っ赤な顔で誠実に謝る等身大の弱さ。
第1話の春風のような転校生像と、今回のスベることを恐れる普通の中学生像が重なったことで、瀬戸葵というキャラクターが一気に立体的に感じられました。
また、文音自身は今回あくまで「観察者」として教室の出来事を見ているのですが、その距離の取り方がとても良かったです。
文音の心のツッコミ「いや、そうはならんやろ!」は、彼女の視点を借りた読者の感情そのもので、自然にタイトル回収につながっているところに心地よさがありました。
最後の一文、
「文音の忙しない春は、思わぬ展開に向かうのだった。」
という締めは、第1話の「心臓が忙しい日々」という表現と呼応していますね。
恋の始まりの煌めきだけではなく、春の面倒くささやドタバタごとを抱える成長の物語になるのでは……という予感を、柔らかく、しかし確かに示しているように思えました。
総じて、第1話で丁寧に積み上げた王道のきらめきを、第2話で上手く崩しつつ、むしろその崩れ方によってキャラクターへの理解と親しみが深まる構成になっている点が素晴らしかったです。
瀬戸くんというキャラクターは、この二面性──美しい春風のような表情と、不器用で必死な等身大の弱さ──があるからこそ、読者に長く愛されるのだろうと強く感じました。
続きも、とても楽しみにしています。
(Good:0/Bad:0) 2話 報告
感想ありがとうございます……!!
めっちゃ丁寧に読んでくださってて、スマホ持つ手ふるえました……!
第1話の瀬戸くんの描写、そこまで読み取ってもらえてすごく嬉しいです。
あのときの文音は転校生=春の象徴みたいに見えてるので、あえて人間味を薄めにしてたんですけど、その意図を拾ってもらえたの、本当に励みになります。
そして第2話のギャップ……!
はい、まさにそこを描きたかったので、「良かった」と言ってもらえて救われました。
・カレーうどんになろうとする
・スベって教室フリーズ
・本気で怯える
このへんは、瀬戸くんの中学生らしい痛さと必死さをどう描くかめっちゃ悩んだので、そう感じてもらえたなら、がんばった甲斐がありました……!
教室が静まりかえるシーンも、
「この沈黙ってどうやったら伝わるんやろ……」
と何度も書き直した部分だったので、あの痛いのに笑える時間を共有してもらえたのが本当に嬉しいです。
それから、瀬戸くんが事情を話す場面も、読んでくださった方が「幼さ」や「健気さ」をちゃんと感じられるように……と気をつけたので、そう言ってもらえてほっとしました。
文音のツッコミについての感想もありがとうございます!
読者さんの視線と重ねていただけたのがすごく嬉しいです。
最後の一文についても触れてもらえて……!
あそこは、第1話の「心臓が忙しい日々」と対になる言葉をどうしても入れたくて書いたので、気づいてもらえて感激しました。
瀬戸くんの二面性をこんなに丁寧に読み解いていただけるとは思ってなかったので、もう……書き手としてほんまにありがたすぎます。
続きもがんばって書きます!
次回はちょっとだけドキッとする展開を入れる予定なので、また読んでもらえたら嬉しいです……!
本当にありがとうございました……!!
先日は酔った勢いで拙い文章をお送りしてしまい、お目汚しを失礼いたしました。
ご気分を悪くさせてしまっていないかと、少し心配しておりました。
第2話、拝読しました。
とても楽しく読ませていただきましたし、予想外の方向へ物語が進んでいく面白さに、思わずページを戻して読み返してしまいました。
まず、瀬戸くんの「将来の夢」に関するシーンは、本当に印象的でした。
「将来の夢は、カレーうどんになることです!」
読んだ瞬間、一度きれいに思考が停止してしまって、
その後の教室全体の沈黙が、そのまま目の前で起こっているように感じられました。
文章から伝わる気まずさと静けさがとても生々しくて、思わず笑ってしまうと同時に、胸が少し痛くなるような感覚もありました。
ただ、そこで終わらないのが、このお話の魅力だと感じています。
瀬戸くんが、
「関西では、面白くないといじめられるとネットで読んだ」
と正直に話す場面は、少し切なくて、でもどこか共感を誘うものでした。
中学生の頃の自分自身を思い出すような、不安の向け方や情報の信じ方が、とても丁寧に描かれていると思います。
そして、彼が勇気を振り絞って披露した関西でウケるはずのネタが大きく外れてしまい、
その後のクラス全体の反応──
天井を向いたまま固まる瀬戸くん、
見て見ぬふりをするクラスメイトたち、
窓を閉める音だけが響く静かな空気──
これらが一連の流れとして非常に自然で、読みながら思わず「わかるなぁ」と頷いてしまいました。
また、今回特に印象に残ったのは、瀬戸くんがただの完璧な転校生ではなく、
不器用さや弱さを持った「等身大の中学生」として描かれはじめている点です。
第1話では、文音ちゃんの目を通して、
光や風のようにきれいで、どこか遠い存在として描かれていましたが、
第2話で見せた姿は、その印象をやわらかく崩し、
読者が彼に親しみを感じるきっかけになったように思います。
そして、個人的には山下先生の存在がとても好きでした。
・彼なりに瀬戸くんをフォローしようとするところ
・最後の言葉がチャイムに遮られてしまうところ
・クラス全体の空気に巻き込まれてしまう感じ
こうした描写が、作品の空気を柔らかくしつつ、リアリティも生んでいると感じました。
第2話全体から伝わってくるのは、
「春風のような優しさ」と「春先の少し不器用な軽さ」が、同時に動き出している物語
という印象です。
文音ちゃんにとっても、読者にとっても、
これから忙しい春が始まる予感がして、とても続きが楽しみになりました。
次の更新も、楽しみにしています。
(Good:0/Bad:0) 2話 報告
感想ありがとうございます……!
そして前回の件も、そんなにお気になさらないでくださいね。
むしろあんなに丁寧に読んでもらえて、めちゃくちゃ嬉しかったので……!
今回も読んでくださって、本当にありがとうございます……!
第2話、楽しんでもらえたみたいで安心しました。
しかも「ページ戻って読み返した」って……!
そんな贅沢な読み方してもらえるとは思ってなかったので、読んでて胸がきゅーってなりました。
瀬戸くんの「将来の夢=カレーうどん」シーン、印象に残ったと言っていただけて嬉しいです。
あそこは完全に読者さんも一緒に思考停止してほしいっていう気持ちで書いた部分だったので、
教室の沈黙まで一緒に感じてもらえたの、ほんまにありがたいです……!
そして、あのあと瀬戸くんが打ち明ける場面も丁寧に読んでもらえて、泣きそうになりました。
中学生の頃の自分自身を思い出すような、不安の向け方や情報の信じ方
まさにそこを描きたかったので、そう言ってもらえるのは救いみたいな気持ちです。
瀬戸くんの痛さも健気さも愛してもらえたなら、本望すぎます……!
クラス全体の反応のくだりも丁寧に触れてくださってありがとうございます。
天井向いて固まる瀬戸くんとか、窓閉める音がやたら響く感じとか、
「あの時間の長さ」をなんとか文章で出したかったので、
「わかるなぁ」って頷いてもらえたのが本当に嬉しいです。
それから、山下先生……!
まさかこんなに拾ってもらえるとは思ってませんでした……!
・フォローしようとして空回りするところ
・肝心なところでチャイムに遮られるところ
・教室の空気に巻き込まれる感じ
このあたり、すべて伝わってて感動しました。
山下先生、めっちゃ喜んでると思います……(作者の脳内で)
そして、
「春風のような優しさ」と「春先の少し不器用な軽さ」
この表現、本当に素敵で……!
読んだ瞬間、「あ、私が描きたかった春ってこれや……!」って思いました。
文音にも瀬戸くんにも、ちょっと慌ただしくて、でも優しい春が来るようにしたいので、
そんなふうに読んでもらえたことが嬉しすぎます。
続きも楽しみにしてもらえるなんて、書き手としていちばんの励みです。
これからも文音と瀬戸くんの春を、大事に描いていきますね。
次回は、ちょっとドキッ……とするような場面を入れる予定なので、よかったらまた覗きに来てください。
本当にありがとうございました!
ふたりはそろってスマホ画面を伏せたまま、そっと机に置いた。
沈黙が、ゆっくりと場を支配する。
店内のBGMだけが、やけに遠く聞こえた。
ユウマがぽつりとつぶやく。
「なあ、兄貴……ちょっとドキッて、どれくらいや?」
アラタは腕を組み、重々しく答える。
「……リハーサル、くらいちゃうか」
「いや、だからリハーサルってなんなん? てかあかんで兄貴。これ、ほんまに第3話はカナちゃんが爆笑する話なんよな??」
「いや俺も知らんて。せやなかったら、急にどえらいえっちな小説になってまうやん。カナがそんなん書くわけ……」
と、そこでアラタの言葉が急に止まった。
その瞬間、
昨日の本屋での光景が、電撃のように脳裏を駆け抜ける。
——江戸川乱歩傑作選
——カナの笑顔
——『芋虫』
——四肢を失った男を犯す女
——それを嬉しそうに語るカナ
——最後のあの展開
アラタは震えながら呟いた。
「……いや、あるんかもしれん」
「嘘やろ!?!?」
ユウマが机を叩く勢いで身を乗り出す。
アラタは遠い目をしながら、ゆっくりと言った。
「……瀬戸くんはもう、ダメかもしれんな」