聖園ミカのヒーローアカデミア   作:Erlösung

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委員長とマスコミ

 

「オールマイトの授業はどうですか!?」

 

 

 

『えっと…実践的で分かりやすくって…厳しくも優しい先生だよ☆』

 

 

 

 登校時間。雄英の校門の前に居座る集団――マスコミ。

 

 その内の一つからの質問にミカは足を止めずに答え、そのまま校内へと入っていった。

 

――が、後ろの方では生徒達の声が未だ多く聞こえ、このままでは登校の妨害で遅刻者がでるだろう。

 

 そう思っていたが、数人の先生達とすれ違った事でそれは心配なさそうだと思い、ミカは自販機に寄り道してから教室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。爆豪、お前もうガキみたいなマネするな。緑谷、個性の制御が出来ないから仕方ないじゃ通さねえぞ。俺は同じ事言うのが嫌いだ。個性の制御さえ出来ればやれる事は多い。焦れよ緑谷」

 

 

 

 相澤は朝のHRが始まると、爆豪の行動と緑谷の個性の制御に対して苦言を呈した。相澤の言葉に爆豪は俯いて、緑谷は焦燥感に駆られながらも返事をする。

 

 他にも峰田を筆頭にだらしなかった生徒たちに対して小言を言いたい相澤だったが、それはオールマイトからの指摘を受けた本人たちも理解しているだろう。そんな生徒は睨み付けるだけで済ませ、HRの本題を切り出した。

 

 

 

「急で悪いが、今日は君らに学級委員長を決めてもらう」

 

 

「「「「学校っぽいの来たぁぁぁぁ!!!」」」」

 

 

 

 前日の実戦演習の説教から始まった授業。

 

――しかしそこからのどんでん返し。学校らしい課題が始まった。

 

 

 

 そして同時に始まる自己推薦の嵐。

 

 普通ならば誰もやりたがらないが、ここはヒーロー科。

 

 集団を導くと言う大事な役目があり、トップヒーローに必要な力を磨けるのだ。

皆が自己推薦ばかりで、他者を推薦する者はいない。

これでは絶対に決まる訳がなく、また面倒ごとになりそうだと思った時だ。

 

 

 

「静粛にしたまえ!! “多”を導く大変な仕事だぞ! それをただやりたいからと、簡単に決めて良い筈がない。――今こそ! 信頼えるリーダーを決める為、投票を行うべきだ!!」

 

「そびえ立ってんじゃねーか!何故発案した!?」

 

 

 クラス内での選挙を提案しながらも、右手を高々と挙げていた天哉君にツッコミが入る。しかし、その提案自体は真っ当なモノであり、相澤の『時間内に決まれば何でもいい』という発言も受けて学級委員長を決める投票が行われた。

そして投票の結果、ほぼ全員が自分に票を入れる結果となった。唯一票が割れたのはそれぞれ三票と二票入った出久ちゃんと八百万ちゃんだった。

 

 

 

 

 

「はぁ!?何でデクに!?」

 

 

 

『少なくともかっちゃんに入れる人はいないじゃんね☆』

 

 

「んだと、聖園もっぺん言ってみろや!」

 

 

「………一票……一体誰が………」

 

 

「他人に入れたのね」

 

 

「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ」

 

 

「じゃあ、委員長は緑谷、副委員長は八百万だ。決まり」

 

 

 投票で出た結果で仕方ないとは言え八百万ちゃんは悔しがらずにはいられなかった。

午前中の授業も無事に終わり、ミカ達は昼食の為に大食堂に移動していた。

皆で昼食を食べてる時、葉隠ちゃんが話しかけてきた

 

「そういえば、ミカちゃんの票ゼロだったけど誰かに入れたの?」

 

 

『うん、私は天哉君に入れたよ。』

 

「あれは聖園さんだったのか…」

 

 

『うん…あの時、天哉君だけがクラスをコントロールして投票の流れに持って行ってたし…クラスをまとめるのに適していると感じたからね』

 

 

 

「ありがとう聖園さん……でも“僕”は緑谷君が相応しいと思ったんだ」

 

 

 

『僕?』

 

 

「あ、いや、それは……」

 

 

「もしや飯田君、坊ちゃんなの?」

 

 

ストレートに言われた天哉君も動揺を隠せなかった。

 

「ぼっ……!?そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが…俺の家は代々ヒーロー一家でその次男なんだ。ターボヒーローインゲニウムは知ってるかい?」

 

 

『知ってるよ。東京の事務所に65人ものサイドキックを雇っているトップヒーローだよね♪』

 

「そう!それが俺の兄さ!」

 

 天哉君は立ち上がりながら胸を張った。

 

「規律を重んじ、人を導くヒーロー。俺はそんな兄に憧れてここに来た!」

 

「なんか…初めて笑ったかもね。飯田君」

 

「え、そ、そうか!? 笑うぞ、俺は!」

 

その時、出久ちゃんの頭に肘をぶつけようとする奴が居たので手を後ろにして受け止める。

 

 

『ふ〜ん、ずいぶんなご挨拶じゃんね』

 

 

 

「なっ!?…ふっ…そこにいる彼の頭が大きいから当たりそうだっただけだよ」

 

 

 

『……謝罪もしないんだね…』

 

振り返ると金髪な優男が立っていた。

 

 「お〜怖、君、本当に入試トップなの?目つき悪」

 

 明らかに敵意むき出しで笑いながら煽ってくる。

 

 

 

「いきなり何だ君は!?失礼にも程があるぞ!」

 

 

天哉君が注意をするが笑って無視する。

 

 

 

 「そういえば君達A組だけが入学式にいなかったよね。あれ〜、これってA組だけハブられているんじゃないかな~。入学式ってさ、何回も経験できるものじゃないよね。それを逃すなんてさ君らは疫病神なんじゃないかな。あ〜やだ、その不運さで敵を引き寄せたりしないでおくれよ。迷惑だ『ねぇ、いい加減にしなよ』ヒィ!?」

 

『黙って聞いてたら言いたい放題言ってさ……私は……“私”達は楽しく談笑しながら昼飯を食べていたのに、それなのに笑いながら土足で踏み荒らしてさ。』

 

 

睨みつけるミカに優男は顔を青くしながら膝が震えていた。

 

 

 

「「いい加減にしろ!」」

 

 

 

「おふっ!?」

 

 

 

後ろからオレンジ髪の少女に首筋辺りに手刀を、黒髪の少女に頭を殴られ気絶する優男。

 

『あっ、ツルギちゃん!』

 

「すまんミカ、コイツは性格がアレなんでな」

 

『うん、大丈夫だよ…それよりその子は?』

 

「私と同じB組の生徒だ」

 

 「拳藤一佳だ、よろしく。」

 

『よろしくね拳藤ちゃん♪』

 

 

優男を適当な席に座らせた後、ツルギと拳藤が優男の事で謝るがそれはツルギ達のせいではないとミカ達は気にしなかった。

そのまま雑談をしてると……突然、大音量のサイレンが大食堂、いや校舎全体に鳴り響いた

 

 

 

 

 

『緊急警報発令!!――“セキュリティ3”が突破されました。生徒の皆さんは屋外へと避難してください。これは訓練ではありません。――繰り返します――』

 

 

 

校内に警報が鳴り響く。同時に放送されるセキュリティ3の突破。

同時に無駄に広い校内でも聞こえる叫び声。――典型的なパニックだ。

 

 

「セキリュティ3って何ですか?」

 

 

 

「校舎内に誰か侵入してきたって事だよ! 3年間でこんなこと初めてだ! 君達も早く避難しろ!」

 

 

飯田が近くのテーブルにいた3年生に状況を教えてもらうが既に避難しようとする学生で入り口は完全に塞がっている。

 

 

「どうしよ…!」

 

「とにかく避難だ!」

 

『一体何が侵入したの!?』

 

雄英に何が侵入してきたのかを確認する為にミカとツルギは窓の外を見る

 

『ツルギちゃん見て!今朝のマスコミがいる!』

 

「あぁ、ミカの言う通りだ!外にマスコミが集まっている!」

 

「何だと!? 何かと思えばただのマスコミ!?」

 

ミカとツルギが窓を見た事により侵入したのがマスコミだと判明し、切島が驚愕する

天哉君もそれを聞いたようで、混乱を収めようと叫ぼうとしたが

 

「皆さん落ち着……あッ痛!!!」

 

『天哉君っ!? 大丈夫!?』

 

「ああ……! 俺はまだ問題ない……が、切島くん! 上鳴くんも! くっ……!!」

 

「この混乱マジでやべーぞ! 下手するとケガ人が出る!」

 

「くっ、どうすりゃ…!」

 

『(このままじゃ確実にケガ人がでちゃう)』

 

どうする、どうすれば──────

 

 

 

「麗日くん!! 俺を……浮かせろ!!」

 

「へっ!? う、うん!」

 

 

 

ミカが方法を模索していると、それよりも『速く』行動した男がいた、飯田だ。

決意の眼差しを浮かべ、眼鏡すら弾け落ちるほどの速度で麗日ちゃんの個性を用いて浮き……空中を目立つように個性で加速。

みんなの視線が集中する非常口看板の上に突き刺さり、そして

 

 

 

「皆さん……大丈ー夫!!! ただのマスコミです!! 何もパニックになることはありません!!」

 

 

大きな声で、短く、端的に、それでいて大胆に。

見事な一喝で混乱する生徒たちの注目を集め、パニックを収めることに成功したのだ。

生徒達が落ち着いているなかミカとツルギは…

 

『……妙だよね』

 

「ミカも気づいたか。」

 

ミカとツルギは妙な違和感を抱いた。

雄英のセキュリティ。それは並みのヴィランでは歯が立たない驚異のセキュリティ。

勿論、それは勤務しているプロヒーローの先生達を含めての話だが、やはり侵入は銀行の金庫よりも難しく、しかも突破できる“強個性”が必要。

この個性の無断使用が禁止されている世の中で、オールマイトの取材の為とはいえ、そんな個性を持ち、ここまでするマスコミがいるだろうか?

 

『いくらなんでもマスコミがここまでやるかな、それにこんな事したら逮捕される事くらいマスコミも分かってる筈。』

 

「……逮捕を承知の上で警備システムに何かしたのか?」

 

違和感は残る。だが、それを考えるのは自分達の仕事ではない。

結局、ミカとツルギの二人が答えを知る事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、追い出したマスコミを警察に預けた雄英の先生達は入口に集結していた。

 

 何重にも施された警備扉。“だった物”を前にして。

 

 

「マスコミは利用されたね。邪な者が入り込んだか……宣戦布告か。どちらにしろ、生徒達に被害を出させる訳にはいかない。先生達は当分、気を抜かないでもらいたい」

 

根津校長の言葉に、頷かない者は誰もいなかった。

 

 

 

 

放課後のHR、学級委員長の緑谷はその任を辞退し、新たな委員長として飯田を指名した。どうやら食堂で活躍したらしく、自分よりも飯田の方が適任であると判断したという。ミカや切島、上鳴などその様子を見ていたクラスメイトもそれに賛同し、反対意見も無かった為、緑谷に代わり飯田が正式な学級委員長となった。

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