『知らない天井じゃんね』
白い天井。消毒液と、どこか冷たい薬品の混じった匂い。
視界がゆっくりと焦点を結んでいくと、見慣れない天井のシミや、規則正しく響く心電図の電子音が耳に届いた。ここは病院のようだ。
その時、聖園ミカの病室のドアが開き、看護師の方が入ってきて
「『あっ』」
目が合った。
「先生!!聖園さんが目を覚ましました!!!」
そして大声を出しながら大慌てで去っていった。
此処は病院何だからそんなに大声出したらダメだと思うよ?
数分後…
白衣を着た医者が病室に入ってくる。
「体は大丈夫なのかね?」
『はい、特に問題ないです。』
「1週間は目覚めないと思っていたんだが…まさか丸一日で目覚めるとはね…」
『こう見えてかなり頑丈なので』
聖園ミカの自身が持っている回復能力の高さと神秘による回復で一日でほぼ完治した
そうして軽い診断を受けて、医者は部屋から出ていった。そして静寂が訪れる。
『守れて良かった。』
聖園ミカはクラスの皆と先生を守れたことによる安堵でそう呟いた
数日後・・・・
『皆おはよ〜♪』
「「「「聖園さん!?」」」」
クラスメイトは聖園ミカの登校に驚いた
「聖園さん怪我は!?」
「もう登校して大丈夫なの!?」
『大丈夫だよ♪もう治ったから。』
「治るの早くね!?」
『昔から傷の治りが早いから〜』
聖園達が会話していると
「お早う」
「「「相澤先生復帰早えええ!?」」」
無傷の相澤先生が登校
「先生怪我は!?」
「聖園に治してもらった、聖園…俺と13号の治療、ご苦労だった。回復できる個性は有用だ、その辺も伸ばしていけ」
『わかりました。』
「そんでもって、まだ戦いは終わってねえ」
相澤の告げる言葉に、一瞬で教室内が緊迫した空気に包まれる
――またヴィランが!?
――まさか今度は本校に!?
生徒が緊張と恐怖が込み上げる中、相澤は一呼吸置き……
「――“雄英体育祭”が迫っている」
『クソ学校ぽいのきたぁぁぁぁぁぁ!!!』
入学式当日から除籍を掛けたテストをした故に、A組の学校らしい行事への意力は大きい。
「ヴィランが来た後だってのに……よくやれるなぁ」
不安そうな表情を浮かべるのは峰田だ。一般人や報道も万単位で入る。最悪、再びヴィランが襲撃する可能性も高いと誰もが思う事だ。しかし、相澤はそれを否定する。
「逆だ。――開催する事で盤石な事を示すつもりだ。警備も去年の5倍……何より、最大の“チャンス”を無くさせる訳にはいかん」
雄英体育祭は、かつてのスポーツの祭典と呼ばれたオリンピックが、個性の登場によって競技人口が激減し下火となった現代で、人々が熱狂するものとして台頭してきた。個性をフルに使った、ヒーロー候補生たちの競技は見ている者の心を盛り上げる。
全国に中継されるこの催しは、当然プロヒーローも見る。それも、スカウトを目的として。これこそが相澤の言う"チャンス"だ。
活躍すれば、より名のあるヒーローからスカウトされる可能性が高い。有名なヒーローは相応の仕事をしているので、学べることも多く高密度になるのだ。
「開催まで2週間。時間は短いが、より多くの活躍ができるよう、やれることはやっておけ。いいな」
『「「はいっ!」」』
告げられたビッグイベント。これまでテレビ越しに見ていた舞台に立ち、更には将来へと繋がるとあって、生徒たちはやる気に満ちていた。
浮足立ってしまわないあたりが、難関校に合格した所以だろうか。
放課後……
「何事だぁ!!!?」
ザワザワと1-Aの教室前で生徒が大量に集まり、大渋滞となっている。敵襲撃事件は雄英の全校生徒に知らされている。メディアにも取り上げられているし、知らない人は殆どいないだろう。自分達と年が変わらない学生が敵の襲撃に耐え抜いたのだ。興味を持つのは当然だろう。
「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ!」
「敵情視察だろザコ。体育祭前にヴィランと戦ったっつー連中見に来たんだろ、意味ねぇからどけモブ共。」
「知らない人のことをとりあえずモブっていうのやめなよ!!」
『かっちゃん、流石にモブ呼ばわりはやめたほうがいいよ?』
聖園と飯田が注意していると
人混みを押し退け、気だるげな顔つき生徒が前に出てきた
「噂のA組、どんなもんかと見に来たが随分と偉そうだな。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのか?」
『違うよ?こんな性格してるの多分かっちゃんだけだよ?』
「ンだとこら聖園!」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。」
「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ、知ってる?
体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ……
敵情視察?少なくともおれは調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
(へぇ、こんな堂々とヒーロー科の教室の前で全員に宣戦布告するなんて)
聖園が感心していると
「隣のB組のモンだけどよ!!敵と戦ったっつうから話聞こうと思っていたんだがよ!!俺達がいることも忘れんなよ!ヒーロー科はB組もいるんだからな!!」
((また不敵な人キタ!!))
「ちょっと鉄哲!前見えないだろ」
「すまない鉄哲少しどいてくれ」
鉄哲の前にツルギと拳藤が割り込んでくる。ツルギは聖園の両肩を掴みながら揺らしてくる。
「聖園…とりあえず、姿見れて安心した」
『心配かけてゴメンねツルギちゃん…見ての通り怪我はないよ』
聖園達が話していると爆豪の方は興味がないのか、そのまま無視して人混みを掻き分けていく。
「……ってオォイ! 待てコラどうしてくれんだ! オメーのせいでヘイト集まりまくってんじゃねえか!」
「関係ねえよ。上に上がりゃ、関係ねえ」
「くっ……! シンプルで男らしいじゃねえか……!」
「オイ騙されんな! 無駄に敵増やしただけだぞ!」
「切島ちゃん、そのうち壺とか買わされそうね」
そんなクラスの喧騒など知ったこっちゃないと、爆豪はそのまま教室を出て行ってしまう。