「……揃ったな。これから個性把握テストを行う」
「「「「「個性把握テストォ!?」」」」」
「ええ!?入学式は!?ガイダンスは!?」
いきなりの発言にグラウンドに集まったばかりの生徒たちはざわめく。麗日が皆の心の内を代弁して疑問を投げ掛けるが相澤はそっぽを向いて、そんな悠長な時間は無いと言いきった。
「ヒーローになるなら、そんな悠長なことをしている時間はないよ。雄英は自由な校風が売り文句で、それは先生側もまた然り」
相澤先生の言葉通り、担任によって入学式すら参加の有無があるらしい。
(でもいくらなんでも自由すぎじゃないかな?でも納得するしかないよね?それに…)
『“Plus Ultra”――良き受難を…ね』
ミカは入試説明で言ったプレゼント・マイクの言葉を思い出し、気付けば呟いていた。
「そういう事だ……取り敢えず見せた方が早い。――確か入試1位だったのは……聖園か。聖園、ちょっと来い」
『は〜い』
取り敢えず呼ばれたミカは相澤の傍に行くが、入試1位という言葉を聞いた瞬間、周囲から敵意に近い感情を向けられた。
特に爆豪から
だがミカは特に気にせず、何やら“特殊感”があるボールを相澤から投げ渡されてキャッチする。
『えっと…ボール?』
「ソフトボール投げだ。今からやるのは“体力テスト”と同じ内容。ただし――“個性解禁”のな。」
『個性解禁……!?』
相澤の言葉に、再び周りがざわつき始める。
しかし当然と言えば当然の反応。
街中での“個性”の無断使用が禁止されている世の中。
中学の体力テストも“個性”の使用は当然禁止。素の身体能力のテストだった故に、相澤の言葉は新鮮どころか理解に苦しむ者もすらいた。
「うるさいよ。さっきも言ったろ……時間は有限。――因みに聖園、中学時代の記録は?」
周りに注意しては、すぐに己の方へ首だけ動かす相澤の言葉に対し、ここで変な事を言う程にミカも空気が読めない訳ではない。
『258mだよ☆』
「…個性無しだぞ?」
『個性無しでだよ♪』
当然である。なぜならミカは試験で0P仮想敵を拳で木っ端微塵に出来る位パワーがある。個性を使わなくても余裕で200mを超えられる、なんならこの記録でさえかなり手加減して投げたのである。そうしないとボールがミカのパワーに耐えられず、投げた瞬間消滅してしまう。
ちなみにミカは中学時代の時、そのあまりのパワーにドッチボールはもちろん野球、サッカーなど球技系の体育は参戦させてもらえなかったのである。
理由は簡単、相手が死ぬからである。
先程も言ったようにミカはものすごいパワーがある、そのパワーで投げたボールが顔面に当たってみろ、リアルアンパンマンが起きてしまう。
仮に顔面に当たらなくても身体の何処かに当たれば大怪我では済まないのだ。
「そうか、なら今回は個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいい。早よ。思いっきりな」
『は〜い♪』
そう言われたミカは個性を発動し、神秘で身体を強化し、ボールを全力で空に向かって投げた。
『それ〜☆』
ブオォォォオン!!!
投げられたボールは周りの雲を消し飛ばしながら飛んでいき直ぐに見えなくなった。
しばらくすると相澤先生の持つ端末から音が鳴り響くと、その端末を皆に向ける。
記録【無限】
「と言う訳で、まずは自分の“最大限”を知れ」
ミカが出した記録。それは生身では絶対に出せない飛距離。
それは“個性解禁”を自覚させられる事になり、同時にその記録が彼等を刺激した。
「なんだこれ……すげぇ面白そう!!」
「てか無限って凄いな!?」
「個性が使えるってすげぇよ! 流石ヒーロー科だ!」
重りでも外されたのか、一気に騒ぎ始めるクラスメイト。
「面白そう……か。――ヒーローになる為の三年間を、そんな腹づもりで過ごす気なのかい?」
相澤の言葉に全員の動きが止まる。
何故か、迫力が今までとは違うと感じたから。
だが気づいたところでもう遅い。相澤は次にとんでもないことを口にした。
「良し……ならトータル成績最下位は見込みなしと判断。
“除籍処分”にしよう」
「「「はあぁぁぁぁぁぁ!!?」」」
相澤の言葉にクラスメイトが叫んだ。
それもそのはずあの倍率を勝ち抜き、その学校の入学式に除籍処分の危機に陥るなどと、誰が想像できただろう。
まず無理であり、いくら何でも横暴としか感じない。
「そんな、入学初日ですよ!? いや初日じゃなくても、理不尽すぎる!」
「理不尽、ねえ。……自然災害、大事故、身勝手なヴィランども。世の中ってのは理不尽に満ちてる。
そいつを覆すのがヒーローだ。これから3年間、雄英は君たちに苦難を与え続ける。"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えてこい」
そうして個性把握テストが始まった。