クソみたいな世界で、俺は   作:月山 白影

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否定しないという一番吐き気のする優しさ

 

 

 

 

 

 「……」

 

俺は何回このベッドで目覚めればいいのだろうか…?

 

 「はぁ…」

 

俺は立ち上がる。

クソが…

本当にクソだ…

銃…

それに服…

チッ…自由の次は日常品まで奪われるのか…

クソが…

俺は拳を握り、壁を殴る。

壁には拳サイズの穴が開いたが、ここはトリニティ、壊しても何ら問題もない。

 

 「あん?」

 

突然、扉が開く。

誰だ?こいつ…?

 

 『貴方がアトラさんですね?』

 

チッ…またクソ面倒くさそうな野郎来やがった…!

俺は警戒する。

目の前の奴が何を持っているのか、何をしてくるか分からないからだ。

 

 『私は蒼森ミネです。貴方の監視役兼先生の代理役です。よろしくお願いします。』

 「お前もあの薄汚い大人の被洗脳者か…!」

 『……』

 『被洗脳者ではないです。私は、先生を信頼しているからです。貴方の状況も、環境も全て分かっています。だから、信用しろ等と言うことはしません。』

 「っ……そうかよ…」

 

なんだこいつ…

妙に安心感がある奴だな……

だが、警戒はしておくべきだ…

蒼森ミネは安心感があるだけで信用できるわけではない。

だから、警戒はするべきだ…

 

 『それでは、貴方の治療をしますね。』

 「……は?」

 

俺は逃げる間もなくベッドに押し倒される。

 

 「こ、このっ…!!」

 

俺は抵抗しようとするが、蒼森ミネは手慣れた手つきで俺の四肢を拘束する。

こ、こいつ…なんて力…!

クソ…!警戒しててもダメだった…!!

クソクソクソ…!!!

なんでこのトリニティ(ゴミの掃き溜め)みたいな場所にこんな強いやつらが沢山()んだよ…!!

クソが…

俺はそんな事を思っていると、蒼森ミネは俺が羽織っていた布の様な服を捲り、お腹に手を伸ばしてき――

 

 「――ひゃぃぃっ!?」

 『っ…!?』

 「こ…この…クソ変態野郎が…!!」

 「このゴミの掃き溜めには変態しか居ねぇな…!!」

 

俺は怒りと恥ずかしさで満たされる。

しかし、拘束され、何もできずただ、怒りばかりが募るばかりだった。

蒼森ミネは気にせず、お腹を触る。

その手は冷たく、すべすべの手だった。

 

 「撫っ、でるなぁ…!」

 『……特に内臓などに損傷はないですね。擽りが感じれるのなら。』

 

蒼森ミネは手を引っ込める。

俺の息は荒かった。

多分、擽りで呼吸が上手くできていなかったのだろう。

 

 『内出血もその内治るので心配はいりませんね。』

 『何か必要な物はありますか?』

 「……」

 「…なんで、そこまで優しくするんだ。お前らは。」

 『なんで、と言われても…ただ、そこに困っている人が居るから…ですかね…』

 「……困っている奴が居たら助けるのか?」

 『えぇ…まぁ…私は救護騎士団団長ですから…』

 「そうか…」

 

……

考えられないな…

いや、ただこいつだけがそうなのかもしれない…

人を信用するなんて、考えられないな…

結局人はいつか、醜い部分(本性)を表すのだからな…

信用できないな…

俺は、今の俺で居よう…

先の俺はない…

過去の俺しか居ない…

俺に先の未来なんてないのだからな…

クソが…

……そうだ…

こいつにも教えてやろう…

あの薄汚い大人のやり方を…

 

 「蒼森ミネ…知っているか?あの大人のやり方を…」

 『先生のやり方…?』

 「あの大人は、ベアトリーチェと同じだ。」

 『違――』

 「――違くない。ベアトリーチェもあの大人も、子供を使って戦っているんだ…!!」

 「そのくせ、自分は戦わず、指示を出す…理不尽だ…!!」

 「だから、同じだ。」

 「大人は汚い生物なんだよ…!!」

 

俺の声が、部屋に反響して消える。

叫んだはずなのに、胸の奥は少しも軽くならなかった。

 

 『……』

 

蒼森ミネは、何も言わなかった。

否定もしない。

怒りもしない。

ただ、俺を見ている。

それが、俺を妙に苛つかせる。

 

 「……何だよ。黙ってこっち見やがって…!」

 「反論しないのか?それとも、できないのか?」

 「できたとしてもどうせ、正しいこと言って俺を丸め込むんだろ?」

 『しませんよ。』

 

即答だった。

 

 『私は、先生と同じ考えではありません。』

 『でも、貴方の言葉を否定もしません。』

 「……は?」

 『子供が戦って、大人が指示を出す。』

 『それが歪んでいる、という感覚は……間違っていないと思います。』

 

一瞬、頭が追いつかなかった。

否定されると思っていた。

だから、反論の言葉を用意していた。

だが、それは行き場を失った。

 

 「……じゃあ、なんでお前はここに居やがんだ?」

 「なんで、あの大人の“代理”なんかしてやがる…?」

 

蒼森ミネは、少しだけ視線を落とす。

ほんの一瞬だ。

 

 『……私には、戦えない人を放っておく理由がありません。』

 『それだけです。』

 「そんなの綺麗事だ…!口だけは何とでも言えんだよ…!」

 『えぇ。そうです。誰もができることです。結局は綺麗事なんですよ。』

 

なんでこいつはあっさり認めんだよ…

俺は心の中でそう思う。

 

 「どうせ、その綺麗事もいつか裏切る。」

 「大人は皆そうだ。」

 「ベアトリーチェだって最初は優しかった。あの大人のようにな。でも、段々と本性を現しやがった。」

 『……それでも。』

 

蒼森ミネは、ゆっくりと拘束を解いた。

手首、足首、順番に。

簡単に攻撃できる距離なのに、蒼森ミネは下がらない。

 

 『それでも私は、目の前の怪我人を治療します。』

 『信じられなくても構いません。』

 『憎んでも構いません。』

 『それでも、貴方は“放置される存在”ではない』

 

その言葉が、胸に引っかかった。

放置される。

その単語だけが、やけに重い。

 

 「……」

 

俺は起き上がり、視線を逸らす。

これ以上、顔を見ていると――

何か、余計なものまで見えそうだった。消したい無駄な過去まで…

 

 「……勘違いするな。」

 「俺は、お前を信用してない。」

 『分かっています。』

 「だから、攻撃しようと思えばいつでも攻撃できるんだぞ…!」

 『それでも大丈夫です。』

 

……なんなんだ。

こいつは…

 

大きな声で言っても、突き放しても、勝手に「役割」を果たそうとする。

まるで、今の俺の話している事すらも…

 

 『今日はここまでにしましょう。』

 『貴方は外出は禁止です。』

 「……子供までも…俺の自由を奪うのか…?」

 『注意です。』

 

言い換えやがった。

こいつ…いつか殺してやる…!

 

 「……チッ。」

 

蒼森ミネは、扉の前で一度だけ立ち止まった。

 

 『アトラさん。』

 「……」

 『貴方が大人を嫌う理由を私は、理解しようとは思いません。』

 『でも、貴方がこれ以上嫌う様な事は阻止します。』

 

蒼森ミネはそう言い残し、扉開けた。

扉が閉まる。

 

静かになった部屋で、俺は天井を睨んだまま、動けなかった。

信用なんてしない。

未来なんてない。

大人は汚い。

……なのに。

 

 「……クソが。」

 

胸の奥に残ったあの引っかかりだけが、どうしても消えてくれなかった。




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えーと、簡単に言わせてもらうと何個か作品を絞ってきました。続けてほしい作品に投票してください。1位から3位までの投票数が多かった作品を書きます。 あ、因みに、その3つしか書かないというわけではありません。ただ、受験勉強などで時間が無く、書ける時間がないからです。高校に合格したらまた今みたいに続けます。 この中から選んでください。

  • 呪言師のブルーアーカイブ
  • スイーツ!?食べる!!
  • あ゙ー…どうも、普通のキヴォトス人です…
  • クソみたいな世界で、俺は
  • やあ皆、俺だ。
  • シロコと俺
  • 先生に塩対応してたら殺されそうなんだが
  • 探究心は無くならない
  • おかん
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