……
はぁ…俺らしくねぇな…
クソが…
俺は起き上がる。
こんなクソみたいな場所からとっととおさらばしてぇな…
突然、俺の脳裏に嫌な記憶が浮かび上がってきた。
記憶の内容はマダムはアリウスを捨てた事の記憶だった。
……マダムが去って俺は自由になれると思ってた。
けど、次に俺を縛ったのはあの大人…
いつまで経っても自由は指先すらも当たらない程、遠くにある。
あの大人を殺したら…自由に……!
あの大人をいつか…殺してやる……!
俺はそう決める。
俺はベッドから降り、扉へと近づく。
とりあえず、ここから脱出して、銃を調達するか…
俺は扉を開ける。
俺は左の道を歩く。
色々な奴らがゴミを見るような目で見てくる。
チッ…クソが…
そっちが先に迫害したんだろ…!
クソが…
俺は苛つきを抑えながら歩き続ける。
……
そうだ、飛び降りるか…
俺は窓を開け、勢い良く飛び出る。
しかし、思った以上に俺の居た所は高かったらしく、死を感じ取る。
「クソッ…!!高さを見誤った!!」
俺はすぐに地面に叩きつけられるかのように落ちる。
激しい痛みが俺の全身を駆け巡る。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙…!!」
俺は痛みに悶える。
しかし、そんな暇は無く、俺は立ち上がる。
幸運な事に、ここはどうやら裏口らしい。
ここには今俺しか居なかった。
俺は変な方向に曲がった左脚を引き摺りながら歩く。
感覚は全てある…
まだ、行けるな…
俺はあの時と同じように出口を目指す。
しかし、今回は違う。
もう出口は目の前にある。
「やった…やったぞ…この門を越えれば――いや、この自治区を越えたらだ…まだ浮かれるな俺。」
俺は浮かれる自分を落ち着かせながら歩く。
ただ、痛みに耐えながら歩く。
そして、第1関門の出口を越える。
次に目指すはこの自治区から無事に出ることだ…
しかし、無事では済まないだろうな…
チッ……
俺はこの自治区に関しては知識が全くない。
だから、出るのに時間がかかりそうだ…
どうする…?
スマホも地図もない…
あるとしてもアリウスの外でこっそり拾って貯めた貯金のみ…
俺は財布を取り出し、中を見る。
中は十円や五十円だらけ…
あったとしても百円が5枚…
お札等というものは1枚もない…
チッ…
公共機関を使ってもいいが……
見つかる可能性が高いな…
クソが…
俺はいつの間にか止まっていた足を動かす。
とりあえず、目指すのは駅だ。
駅でどうするか――いや、アビドスだ。
アビドスを目指そう。
アビドスなら見つかる可能性が無い…!
あったとしてもかなり低い…!
決まりだ。
目的地はアビドスだ。
……チッ…よくよく考えてから行動に移すべきだったな。
そうすればあっさり…
いや、そもそも、地図なんて読んでいる時点で脱出するって勘付かれるのがオチだな。
まぁ、こっちのほうがまだマシって事か。
右の門を曲がり、左の門を曲がりと、知らない道を進み続ける。
ただ、進む。
俺は歩く。
正確には、歩いているつもりで、引きずっているだけだ。
……クソ。
いつまで経っても左脚が言うことを聞かない。
それもそうだ。折れているのだから。
一歩踏み出すたびに、頭の奥が嫌な熱を持つ。
それでも止まれない。
止まったら、終わりだ。
「……まだだ。」
俺は呟く。
声は思ったより掠れていた。
周囲はやけに静かだった。
人の気配がない。
なのに、見られている気がする。
……気のせいだ。
そう思おうとした瞬間、遠くで何かが鳴った。
反射的に身を強張らせる。
心臓が跳ねる。
サイレンじゃない。
ただの機械音だ。
それだけなのに、背中に冷たい汗が滲む。
クソが……
身体より、頭のほうが先に壊れそうだ。
俺は路地に身を寄せる。
壁に手をつき、呼吸を整える。
……ダメだ。
考えるな。
考えたら、戻れなくなる。
俺は顔を上げる。
前を見る。
ただ、それだけだ。
アビドス…あそこなら隠れれる。
この怪我が癒えるまで…
今の俺には休憩が必要だ…
「……行くぞ。」
自分に言い聞かせるように呟いて、再び足を出す。
痛みはもう無視する。
途中、何度か人影を見た。
そのたびに心臓が縮み上がり、反射的に道を変えた。
逃げる。
隠れる。
また進む。
……まるで、ずっとこうして生きてきたみたいだ――いや、そうだったろ。なに勘違いしてんだ、俺。
俺はいっつも隠れて生きてきただろ。
ふと、胸の奥がざわつく。
理由の分からない、不快な感覚。
――もし、見つかったら?
考えが浮かんだ瞬間、俺はそれを振り払う。
違う。
考えるな。
進め。
俺は歯を食いしばり、真昼の住宅街へと紛れ込んでいく。
この足が動かなくなる、その時まで。
逃げ切れるかなんて、分からない。
それでも俺は止まらない。
さっきから俺は気づいていなかった。
正確に言えば、気づかないようにしていた。
背中が、妙に落ち着かない。
寒いわけでもないのに、首の後ろがひりつく。
……クソ。
まただ。
俺は歩き続ける。
振り返らない。
振り返ったら、何かが壊れる気がした。
遠く。
かなり離れた場所。
ビルの人影。
そこに誰かがいた。
動かない。
発泡しない。
ただ、こちらをスコープで見ているだけ。
足を引きずる俺の姿を。
逃げる方向を失っている俺を。
まるで、「逃げる価値があるか」を量るみたいに。
俺は知らない。
知らないまま、角を曲がる。
視線はまだ俺から離れない。
俺が止まるとそのスコープの反射光も俺の方向で止まる。
俺が進むと反射光も進む。
……気づけ。
本当なら、そう言われている気がした。
でも、俺は気づかないふりをする。
考えたら負けだ。
認識したら、終わりだ。
アビドスに行くんだ。
アビドスで、準備を…
右の門から、死角から、影が伸びてくる。
そして、影は重なった。
俺の影ともう一つの影が。
背中が凍る。
……頼む…トリニティの奴らでないでくれ…
遠くの“誰か”は、相変わらず何もしてこなかった。
ただ、俺がどこへ行くのかを見届けるつもりでいるかのように。
俺は知らない。
その視線が敵なのか、味方なのか。
ただ一つだけ分かる。
この逃走は、失敗する可能性だけが高いということを。
門から影の正体が見えた。
「スバル…先輩…?」
『アトラ…?』
「スバル先輩…!」
『貴方、こんなところで何して…』
「スバル先輩こそ…!」
『スバル?どうしたの?』
『あっ、先生。この子はアリウスの特殊精鋭兵だった
『え…?なんでアト――』
「――お前は…お前は……スバル先輩までも洗脳しやがったのか!!」
『ア、アトラ君…?』
「スバル先輩!!この大人はベアトリーチェと同じだ!!」
「子供を兵のように従わせ、戦わせるベアトリーチェと同じクズなんだよ!!!」
『アトラ君…?よく聞い――』
「――このクソ野郎がぁ…!!!!」
俺は大人に向かって拳を振ろうと拳を天高く上げる。
この距離なら…!!当たる…!!!
俺の拳は、振り下ろされる直前で止まった。
いや、止められた。
「――っ!」
俺は誰かに後ろから手首を掴まれる。
強くもない。
だけど、確実に逃げられない力。
『やめろ、アトラ。』
聞き覚えのある声が俺に呼びかける。
「離せ……!!」
俺は腕を振りほどこうとする。
だが、脚がついてこない。
体勢が崩れ、前のめりになる。
『アトラ、落ち着け。』
「うるせぇ……!!」
息が荒い。
視界が揺れる。
クソ……なんでだ……
殴るだけだろ……
それだけなのに……
『一度私の目を見て落ち着け。』
俺は無理矢理振り向かされる。
しかし、予想もしなかった。
俺の手を掴んでいたのはサオリだった。
身体の力が抜けていく感じがする。
「サオリ……」
声が弱い。
自分でも分かる。
さっきまでの勢いが、嘘みたいだ。
『今は落ち着け。』
「……」
俺は落ち着く。
地面に伸びた影が、二つ重なっている。
「どうせ……どうせサオリも洗脳されてるんだ…!!」
拳が、震える。
怒りなのか、悔しさなのか、自分でも分からない。
「あの大人は子供を命令して、従わせて……」
「都合が悪くなったら、捨てるんだろ……」
『それは違う。』
即答だった。
迷いのない声。
それが、腹立たしかった。
「何が違うんだよ…!サオリ…!!」
顔を上げる。
目の前にいるサオリを見る。
「サオリも……あの大人はベアトリーチェと同じ目をしてる事が分かるだろ…!!」
「自己満足で正しいことをしてるって顔だ……!」
一瞬、沈黙。
『……そう見えるなら、今はそれでいい。』
その言葉で、俺の中の何かが引っかかる。
否定しない。
怒らない。
言い返さない。
それが、逆に気味が悪かった。
『でも、今のアトラは逃げてきた。』
「……っ」
『追われて、傷ついて、それでも止まらなかった。』
『それは、命令じゃない。』
「……」
『自分で決めた行動だ。』
心臓が、嫌な音を立てる。
違う。
違うはずだ。
俺は、追い込まれただけだ。
だから、無理矢理環境が選択させた…!!
『選べる余地がなかったとしても。』
『それでも、アトラは生きる方を選んだ。』
……クソが
胸の奥が、熱くなる。
息が詰まる。
「……俺は…」
言葉が上手く思いつかない。
反論すら…俺は……
『今は殴らなくていい。』
その声は、命令じゃなかった。
お願いでもなかった。
ただの事実みたいに、俺の目の前に落ちてきた。
『倒れる前に、座れ。』
足の力が、抜ける。
俺は抵抗する気力を失い、その場に崩れ落ちた。
視界の端で、遠くのビルが見える。
もう、スコープの反射光はなかった。
……いつの間にか、消えていた。
俺は知らない。
あれが監視だったのか。
保護だったのか。
ただ一つだけ、確かなことがある。
俺は逃げ切れていない。
いや、逃げれない。
そして、この場所はまだ「安全」でも「檻」でもない。
その境目に、俺は座り込んでいた。
「……」
『先生、アトラは私が預かってもいいか?』
『それはまた…どうしてだい?』
『アトラに謝罪したり、アトラへの罪を償いたいんだ。』
俺に対しての罪…?
『……いいよ。』
『ありがとう、先生。』
今度は…サオリに自由を奪われるのか…?
もう…誰も…信じられねぇよ…
クソが…
フォールフォールさんお気に入り登録ありがとうございますご感想などお待ちしておりますこれからも温かい目で見てちょ。
ファイヤー後藤さんお気に入り登録ありがとうございますご感想などお待ちしておりますこれからも温かい目で見てちょ。
ですごさんお気に入り登録ありがとうございますご感想などお待ちしておりますこれからも温かい目で見てちょ。
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ノウスさんお気に入り登録ありがとうございますご感想などお待ちしておりますこれからも温かい目で見てちょ。
えーと、簡単に言わせてもらうと何個か作品を絞ってきました。続けてほしい作品に投票してください。1位から3位までの投票数が多かった作品を書きます。 あ、因みに、その3つしか書かないというわけではありません。ただ、受験勉強などで時間が無く、書ける時間がないからです。高校に合格したらまた今みたいに続けます。 この中から選んでください。
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