Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order   作:神谷萌

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Chapter-12

「──── まぁ」

 セレスタは説明を続ける。

「同じカルデアと言っても、私達は武装組織の性格を持たない。提供するのはあくまで情報と手段であって、対処する主体はあくまで主権国家」

 ──── 汎人類史カルデアも、別に武装組織であることを前提にした存在ではない。とは言え、汎人類史においてはサーヴァントが軍事的脅威として認識される中で、カルデアはマスター適性のある人材を集めていた。それは、国際連合の監視を受けるほどのものだ。

「でも、それだとすると、カルデアの情報や技術を、自国の利益に使おうとする国が出てくるんじゃ……」

「そうね、それは否定しない」

 立香が困惑の表情をしながらも反論すると、セレスタは即答する。

「現実には日本が中心になって回してて、3大国の残り2ヶ国と、3準大国がそれを牽制してるっていうのは事実。でも ────」

 そこまで言って、セレスタは、首を傾げるようにして、立香の顔を覗き込んだ。

「汎人類史では、そうではなかったと言い切れる?」

「それは……────」

 立香は、視線をセレスタから逸し、泳がせてしまう。

 確かに、カルデアの活動は国連の監視下にある。 ──── 今となってはマリスビリーはそれを欺いたかたちだが、そう言う名目だった。

 では、その国連とは? 中立的な存在か? ──── 否、だろう。安全保障理事会常任理事国5ヶ国が特権を与えられているに等しく、そのために機能不全になることがしばしばある。オマケに発祥が発祥のため度々日本とドイツに不条理な判断を下すことがある。

 立香はそのすべてを理解しているわけではないが、実際には戦争ひとつ止められない事実はあまりにシンプルにその機関の性質を表していた。

「大差ない、と、判断していいわね、その表情」

「はい……」

 セレスタの問いかけるような言葉に、立香は、視線を逸したまま答えたが、ふっと気付いたように、一瞬、キョトン、として、

「その、3大国と3準大国、について、聞いてもいいですか?」

 と、アニムスフィア姉妹に問いかけた。

「具現化人格軍艦、についての説明は大丈夫なのよね?」

 オルガマリーの方が、問い返すように言う。

「はい」

「……この世界の強さの指標はそれがどれくらい強いか ──── 正しくは、強い具現化人格軍艦の要素をどれだけ持っているかで力関係が決まる。もっとも、具現化人格軍艦をもつ国は “紳士たれ(noblesse oblige)” が求められるけれど……とにかく、そう言うことで、抜きん出て強いのが、日本、連合王国(イギリス)、ソビエト連邦の3大国。それに続くとされるのが、ドイツ、イタリア、フランスの3準大国 ────」

 具現化人格軍艦の()()()が国の強さの指標だというのなら、汎人類史に当てはめれば、ブッちぎりでアメリカ合衆国は大国のひとつになるのだろうが、この世界にはアメリカ合衆国は存在しない。

「── それと、3大国、3準大国に対して地域を代表して強く意見を通せる国として、タイ王国があるわね」

「ソビエト連邦、が続いているんですね」

 説明を聞いて、立香が率直に言葉に発した。

「…………? ああ、汎人類史ではなにか、政変でもあったのね」

「はい。1991年に崩壊しました。 ──── 1990年だったかな?」

 言いつつ、普段、こうしたベース知識をマシュ任せにしているのは悪いクセになってるな、と、立香は内省した。

「まぁ、それについてはこっちのソ連が、この世界の感覚でもかなり変わってるから……半世紀ばかりの暫定君主社会主義時代があるし…………」

「君主社会主義時代……!?」

 流石にこれは立香でもおかしいと感じる。すべての特権階級を排除するというのが()()の社会主義・共産主義国家で、君主を戴くなど普通はありえない。 …………社会主義勢力に肩入れした国王というのは過去に実在したりしているが。

「そう。まぁ経緯的には無理からぬ所があって……日本の昭和ヒト桁頃、共産主義とは名ばかりの独裁を敷いていた人物がいたんだけど、産業監理の失政をして大量の餓死者を出した。それで、その時の政府首脳が粛清されて、代わりに()()()()()()を戴いていたわ」

 困ったもんだ、という顔でオルガマリーは説明した。

「そう言えば……」

『具現化人格軍艦を形骸的存在にして、独裁を目論んだ()()なら、外国に何人かいたけどね』

 立香は、大和のその言葉を思い出す。あの時思い浮かんだのはドイツのチョビ髭だったが。

「その後、日本でなら昭和60年頃ね。改革が進んで皇帝の時代は終わり、となってミハイル・ゴルバチョフ初代大統領に移行したんだけど……3人目の大統領がちょーっとやらかしちゃって、つい3年前からまた帝政。と言っても、もう全体主義的社会主義は返上してるから、今の称号は()()()()()()、だけど」

「話が脱線したかしら?」

 ソ連 ──── 現・ソビエト()()()()共和国連邦についてざっとの説明をしてしまったところで、セレスタがそう言って苦笑した。

「はいはーい。ボクたち、ボクたちの説明をしないと」

 アストルフォが手を上げて、そう言った。

「ええ……えーっと……ざっとしたところをお願いしてもいい?」

 オルガマリーは、アストルフォに視線を向けて、そう言った。

「おまかせー!」

 アストルフォはそう言って立ち上がり、

「コホン」

 と、わざとらしく咳払いをした。

「ボク達の方から感覚的に説明しとかなきゃいけないのは、立香が訊いてた『サーヴァントがホイホイ街中にいる』ってことと、そのボク達が『なんで私の事を知ってるの』ってところだね。で、まず最初の方から言うと、これは立香の感覚の問題だと思う。この世界でも別にコンビニでサーヴァントの素とか売ってるってワケじゃないし」

「へ?」

 アストルフォの説明に、立香が短く声を漏らす。

「ちょっと例えが極端すぎて、私達の方が何を説明してるのかわからないわよ」

 真剣ではないにせよ嗜める苦笑になって、オルガマリーが言った。

「つまりですね、汎人類史は魔力リソースが希少なんです。なので、サーヴァントはそうですね、よほど特殊な状況でなければ、そもそも召喚自体不可能に近いです」

 デオンが、セレスタの隣に腰掛けたまま、手振りを交えつつそう説明した。

「へーっ……て、ああ、そう言うことね。なるほど」

 オルガマリーは理解したように言うと、視線を立香に向ける。

「確かに、今デオンが説明した通りの状況だとしたら、この世界にはサーヴァントがすごく多いように感じるのかも知れない。ただ、それは相対的な話ね。実際には令呪の入手が難しいから、 ……ああ、そうね、アストルフォが言ったみたいに、誰でも気軽に()べるってワケじゃない」

「それと、多分お姉ちゃんとアストルフォ、私とデオン、と、立て続けだったから、そう感じたところもあるのかも」

 オルガマリーの説明に、セレスタが付け加えた。

「言われてみれば……そうですね」

 自分の早合点も含まれていたと感じて、立香は少し気恥ずかしそうに言う。

「で、ボク達が立香の事を覚えている件ね」

 アストルフォが、次の題を説明する。

「これは逆に、マリーとセレスタに先に言うと、汎人類史ではサーヴァントは、基本的に召喚されていた間の記憶を持ち越すことはできない」

「え、そうなの?」

 オルガマリーが、軽く驚いた様子で、訊き返すように言う。

「うん。わかりやすく言っちゃうと、向こうのサーヴァントは使い捨てに近いから」

「勿体ないわね……」

 苦い顔で言うオルガマリーを余所に、アストルフォは立香の方へ視線を向ける。

「えーっと、この世界では、魔力(よう)の、情報の載ったエネルギーが集まってくるんだけど……そのあたりのややこしい説明から必要?」

 そこをどう説明したものか、と、アストルフォが彼にしては珍しく()()()に、逡巡しつつのやや困惑気な表情をしながら、問いかけるように言う。

「あ、それならざっとだけど訊いた。具現化人格軍艦の時に」

「そ、なら簡単だ。サーヴァントも同じなわけ。()()()()()()に、情報の載った魔力(マナ)エネルギーが流れ込んでるから、サーヴァントは基本、過去の召喚の事を覚えているし、なんなら並行世界の事だって覚えてる」

「情報が膨大で、そのすべてを常に自覚しているわけではありませんが」

 アストルフォの説明に、デオンが付け加える。

「えっと、つまり?」

 立香が、イマイチ理解しきれていない様子で訊き返すと、アストルフォが軽くギョッとしたような表情になる。

「あれ? いまので解らなかった?」

「あ、ううん、大体は解ったんだけど、その、すべてを常に自覚しているわけじゃない、って下り」

「ああ……だからさ、例えば今回ボクは、立香の姿を見たから立香のことを思い出したわけであって、他の人が召喚した直後に『そう言えば、立香はどうしてるかな~』って考えるような事はあんまりないってこと」

 立香の疑問に答えようと、アストルフォが説明を付け加えるが、立香は、

「うーん、解ったような、解らないような?」

 と、腑に落ちないような表情をした。

「例えば、 “魔術” という単語の意味を知っていたとしても、四六時中そればっかり考えてるわけじゃないでしょう? そう言うことよ」

 セレスタが更に付け加える。

「それと、この世界ではサーヴァントって基本的に、短期間だけの存在じゃないって事も、立香の世界との違いかな」

 アストルフォがそう説明した。

「魔力が濃い分、安定して存在できるから、基本は召喚者のその後の人生に寄り添うぐらいの扱いで喚ばれる事が多いね」

「最初からそのつもりで契約して、令呪で送り返すってケースはあるにはあるけど……逆に言うと、わざわざ送り返すのが必要なのよ」

 アストルフォの説明に、セレスタが続いた。

「流石に主目的ということはないですが、副次的な目的として、召喚者が伴侶になりたいってある程度見据えて媒介を選んだりしますし」

 デオンがそう言うと、

「ボク達がそうだしねー」

「ちょっ」

「おま」

 と、アストルフォのお気楽な言葉に、オルガマリーとセレスタが、顔を赤くしながら慌てた声を出した。

(しょ)ch……オルガマリーさんとアストルフォは、なんとなく解ってましたけど……」

 気まずそうに口元で笑いつつ、立香は言う。

「そう?」

 アストルフォが訊き返した。

「うん。アストルフォ、私を気遣ってたけど、そればっかりになってると思って電車の中で声あげたじゃない」

「あ、 ──── あー、そんなこともあったっけ」

 立香の指摘に、アストルフォは後頭部に手を当てる仕種をしながら、そう言った。

 アニムスフィア姉妹は、2人とも顔を赤らめて、視線を伏せてしまっている。

「でも、 …………私」

「?」

 立香は言って、自分の、令呪の入っている右手の甲を見る。

「私、サーヴァントとの付き合いが短い間だけって、考えたこともなかった。誰かと……誰かがそばにいる、カルデアでの日常がずっと続くって……そんな感覚になってたなぁって、今、思った」

 どこか哀しげな笑顔になりながら、立香がそう言った。

 立香が浸れるかのように、僅かに沈黙を挟んで、

「…………立香さんに不都合がないのなら、誰か、喚び出した方がいいかも知れませんね」

 と、デオンが言う。

「え?」

 立香が、短い声とともに視線を向けると、デオンの表情は真摯、かつ、若干の憂慮を伴うものだった。

「うん、ボクもその方がいいと思うな」

 アストルフォも言う。笑顔を消した表情になっている。

「マリーが令呪自体は希少だって言ったでしょ? モグリの魔術師に狙われる可能性が、あるにはあるんだ。増して立香の令呪は、公的機関に登録されていないものってことになるから、特にね」

「どうでしょう? セレスタ、オルガマリー」

 デオンが、アニムスフィア姉妹の方を交互に見て、言う。

「そうね……日本にいる間は滅多なことはないと思うけど、100%とは言い切れないし」

 そう言って、セレスタが軽くため息をつく。

「必要なものがあったら貸す程度のことはやってもいい……よね? お姉ちゃん?」

「そうね」

 セレスタが、言いながら視線を立香からオルガマリーに移すと、オルガマリーはどこか素っ気なくしつつも、肯定の返事をした。

 立香は再度、今度は真顔で、自身の右手の甲を見た。

 

 

 東京湾 ──── ストーム・ボーダー。

「よし、もう1回やってみて」

「はい……オルテナウス、起動、展開!!」

 マシュは、霊基外骨骼を身に着け、円卓の盾を手に、口でそう唱える。

 だが、オルテナウスのシステムは、マシュの起動の命令に(こた)えず、沈黙したままだった。

「これは……根本的に霊基が起動していない感じですね」

 ダ・ヴィンチとともに、この場で解析に当たっていたネモ・プロフェッサーが、緊張感のない口調で言った。

「オルテナウスに不具合があるわけじゃないです。それに、マシュさんの霊基が損傷しているわけでもないです。ただ、存在しているはずのその霊基が起動しない、と表現するしかないですね」

「…………」

 ダ・ヴィンチが、言葉も出せない、といった様子の表情で、マシュを一瞥する

「そんな……私……、これじゃ、何の役にもたてなくなっちゃう……」

「そんなことはない……ないけど、これは……っ」

 嘆きの声を上げるマシュに、ダ・ヴィンチはその言葉を否定するも、それ以上の戦慄を感じた表情をしている。

「……現状、言わないわけには、いかないか」

 ダ・ヴィンチは、苦い顔をして、管制室のある方向に視線を向けた。

 

 





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カドックとのカップリングは……

  • アナスタシア以外考えられない
  • 譲っても立香♀まで
  • 既存の型月キャラなら、まぁ……
  • 別に型月キャラでもオリキャラでも
  • 逆にやるならいっそオリキャラの方が良い
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