Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
Chapter-01
──── インド洋南方上空。
ストーム・ボーダーは、南極の万国カルデア天文台本部に向けて飛行している。そこは、汎人類史において、人理継続保障機関フィニス・カルデアのそれがあった場所と全くの同一座標だ。
管制室。
「ここまで妨害がないのは拍子抜けだな」
操縦席に座っていたムニエルが、意外そうな表情をしてそう言った。
「まぁ、ないならないに越したことないじゃん」
ネモ・キャスターが歯を見せる笑顔で言う。
ノウム・カルデアのメンバーである方のネモ、ネモ・キャプテンは、今は霊基回復ポッドの中にいる。これでシオンの霊子ハックから逃れられるとは思えないが、ストーム・ボーダーをネモ・キャスターに渡すまでの消耗を回復し、突然には消えたりしないように。
「しかし油断は禁物です。警戒は、怠らないほうがいいでしょう」
大和に代わり、護衛として同行している翔鶴が言う。
「そうですね……」
ムニエルが言い、ため息を
「今までもさんざん、 “まさか” の連続だったからなぁ」
それを聞いて、
「そう言う事なら」
と、ネモ・キャスターが少し決まり悪そうにしながら、帽子をかぶり直す仕種をする。
「シバの観測に頼りすぎるな、艦の警戒装置からも目を離すなよ」
「イエス、マム!」
ネモ・キャスターの言葉に、観測機器のモニターに張り付いているネモ・ガールマリーンが返した。
一方 ────
ポーン
インターフォンの音が鳴る。
「はい、どなた?」
与えられている個室の中、セレスタはそう問いかける。
『私です。立香です。入ってもよろしいでしょうか?』
その声に、セレスタは一瞬、キョトン、としてから、
「ええ、いいわよ」
と、答えた。
扉が開き、立香が個室内に入ってくる。
「何か、私に聞きたいことがあるの? この世界のカルデアの事とか?」
セレスタは、ベッドに腰掛けたままそう訊ねるが、すぐに、
「ああ、どうぞ、座って」
と、立香に椅子を勧める。
「失礼します」
立香はそう言って、椅子に腰掛けるものの、緊張したような表情をセレスタに向けている。
「あの、ずっと気になってたんですが」
立香が問いかける。
「ん?」
「セレスタさんは、本当にオルガマリーさんの妹なんですか?」
「…………」
立香の質問を聞いて、セレスタは、一瞬、動きを止め、僅かに沈黙する。
「どうしてそんなことを訊くのかしら?」
セレスタは、すぐには答えず、質問の意図を問い返した。
「なんとなく、ですけど。見ていて、セレスタさんの方がオルガマリーさんより、年上に見えることがよくあって」
立香は、深刻そうな表情で言ったのだが、セレスタは呆れと困惑の混じった苦笑になる。
「それって、この見た目の割には、って修飾語つくんじゃないかしら?」
「う……そ、それは、否定できません、けど」
セレスタに言われて、立香はセレスタに向けていた視線を一度伏せ、焦ったように声を出す。
「そこは否定して欲しかった」
セレスタも、後頭部に汗をかくような感触を覚えながら、まずそう言い返す。
「でも、あなた鋭いわ。うん……────」
セレスタは、口元で笑んで、言う。
「── 間違いなく、私は妹。オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアのね」
「でも ────」
「ただ」
セレスタの答えに、立香が更に問い質そうとした言葉を、セレスタは遮る。
「── 私は普通の生まれ方をしていない。だから、あなたの違和感は正しい」
自分の胸に手を当てながら、セレスタはそう言った。
「え…………」
立香が、一瞬絶句する。
「……藩王位の話は聞いた事があるかしら?」
セレスタが、立香に問いかける。
「マグダレーナさん、の事ですよね?」
「ああ、そっか。ええ、そうよ」
立香が確認すると、セレスタは自分の言い方に不足があった事を感じながら、肯定する。
「確か、霊子体人形なんだとか……」
立香は、そう言ってから、ハッとしたようにセレスタを凝視する。
「もしかして、セレスタさん、も……」
立香の言葉に、セレスタは頷く。
「霊子体人形とホムンクルスの中間みたいな存在……そう思ってくれていいわ。私は、元々この世界のカルデアスと魂を共有する為に造られた……そう言うことよ」
そこまで、その事に誇りがあるかのように言ったセレスタだったが、急に苦笑の表情になって、
「お姉ちゃんには悪いんだけどね、
と、頬を掻く仕種をしながらそう言った。
「だから、名前もそんな感じに……」
「ええ……不自然に感じるわよね。ここだけ日本語だし」
立香の言葉に、セレスタは苦笑のまま返した。
「でも、お2人は、その……カルデアスになる事を、嫌だとか思ったことはないんですね?」
意外そうな表情をして、立香が問い返す。
「もちろん。だってアニムスフィア家最高の秘蹟そのものになるんだし、これ以上の栄誉はないわ」
セレスタは、自信有り気な笑顔で言う。
「ああ、でも勘違いしないで。それは別に “セレスタ” を諦める事じゃないから」
「え?」
セレスタの言葉に、立香が、一瞬、キョトン、とする。
「ちゃーんと人間の私としても人生謳歌してるもの。私の趣味の話だってしたでしょ」
「あ」
セレスタの言葉に、立香は、短く声を出し、そして、苦笑した。
「今もちょっと職権濫用してたりするし」
「えっ?」
セレスタがニヤニヤと笑いながら言うと、立香は軽く驚いたように訊き返す。
すると、セレスタはMCフォンを取り出し、画像の中から、赤い昭和末期のハッチバック車の写真を見せた。
「L30系最終型カローラ
「あははは……それは……」
妙にウキウキとした様子のセレスタに対し、立香は乾いた笑いをする。
ヴィンテージコンパクトカーのコレクション、それがセレスタの趣味だ。
「できればターセルやコルサじゃなくてカローラIIで欲しいし。私の名前的に。あ、もちろん無理やりに頼んでる話じゃないわよ? ジャンル違いではあるけどクルマの話できる人に頼んでるし。そうじゃないと意味ないし」
「そうなん……ですね」
セレスタの語りや、やや弁明気味に言う言葉の間も、立香は乾いた笑いのままだった。
「こういうのを思う存分やるためにも、汎人類史のマリスビリーの思惑は阻止しないと」
「!」
セレスタの笑み混じりの言葉に、立香の表情が急に引き締まる。
「さっきはアニムスフィア家のって言ってましたけど、お父さんの件は……」
「家系に誇りを持つことと、その誤りを正すことは矛盾しないわ」
立香が言いにくそうに言った言葉に、セレスタは、口元では笑みつつも表情を真摯なものにして答える。
「そもそもにしてね、アニムスフィア家の冠位指定に瑕疵があるのよ ────」
星の形。宙の形。神の形。我の形。天体は空洞なり。空洞は虚空なり。虚空には神ありき。
Stars Cosmos Gods Animus Antrum Unbirth Anima Animusphere.
天は巡らず、地は動かず。
「── それを初代が受け取った時に意図を違えたのか、
「…………私にはよくわかりませんが……そうなんですね……」
立香は、セレスタの言い分は完全には理解できなかったが、険しい表情で言う。
「だから私は、汎人類史のマリスビリーの行動を利用して、それを正しいかたちに上書きしてやる。これはアニムスフィアとしての、私とお姉ちゃんがやらなければならないことだから。 …………大丈夫、その時になったらあなたにも理解できるわ。あなたは汎人類史とは言え、日本人だから」
「日本人だから、ですか」
セレスタの言葉に、立香は、眉を
「うん、自然と理解できると思う」
セレスタは、笑顔になってそう言った。
「でも、汎人類史の……その……────」
立香が言いかけ、言葉を選びかけると、
「呼び捨てでいいわよー。なんなら『あンのバカ親父』でも」
と、セレスタが言う。
「はい……ええと、汎人類史のマリスビリー……の行動を利用すると言っても、どうやって?」
「汎人類史でも、カルデアスが設置されていたのは南極でしょ?」
立香の質問に対し、セレスタは確認するかのように言う。
「だとしたら、行動の起点は南極になるはず。だとすれば、その異変はこの世界のカルデアの施設、それに、私の異体であるカルデアスが、真っ先に捉えるはず」
「あ、なるほど!」
セレスタの説明を聞いて、立香も納得の声を出した。
セレスタは不敵に笑う。
「そこから一気に勝負をかけてやるわ」
南極。
標高6,000mの山脈に位置する、万国カルデア天文台に、ストーム・ボーダーは接舷した。
ノウム・カルデアのメンバーがタラップの出入り台に立つと、その出入り口の左右に、セレスタとオルガマリー、それに、総務長である万華美玉彦が立った。
「ようこそ、万国カルデア天文台へ。歓迎致します」
玉彦が言い、そして、扉が開いた。
扉が開き、立香達はその館内へと歩みを進める。
セレスタを先頭に、通路をゆくと、 ────
「どこか、懐かしいような、新鮮なような気がするねぇ」
と、ノウム・カルデアのメンバーがキョロキョロとしている中、ダ・ヴィンチちゃん、がそう言った。
「!」
万国カルデア天文台の職員と思しき2人の男性が、小走りにかけてくる。なにやら大きなダンボール箱を抱えていた。
「あたっ」
カタンッ!
「あ、す、すみません!」
1人の男性の肩が、ムニエルにぶつかった。その拍子に、ダンボールの中身のひとつが、通路の床に落下した。
オルガマリーが、それを拾い上げる。
「……ビデオテープ?」
それは、Digital Betaのビデオカセットテープだった。ラベルには、鉛筆で「平27.8.10~8.17」とだけ書かれていた。
「す、すみません、オルガマリーお嬢様」
「わざわざお嬢様、なんて言わなくていいって」
相手の謝罪の言葉に対し、オルガマリーはそう言いながら、拾ったビデオテープを差し出す。相手は、どこか慌てた様子で、そのテープを受け取った。
「今は初来訪者を迎えたところなんだし、片付けなんてそこまで優先しなくていいわよ?」
何故かセレスタには背中を向けようとするその態度に、怪訝そうな表情をしつつ、セレスタはそう言った。
「は、はい! これだけ片付けたら、歓迎の準備の方に戻りますので!」
職員のその言葉に、セレスタは腕組みをしつつ、わざとらしく口元をへの字にした。
「そ、それでは!」
そう言って、2人の職員は、ダンボール箱を抱えて小走りに去っていこうとする。
「走ると危ないですよ。急ぐより、安全優先で」
玉彦がその背後にそう声をかけるが、
「は、はいっ!」
と、そうは答えるものの、やはりそそくさと小走りに去っていってしまった。
玉彦はセレスタと顔を見合わせる。なんなのだろうか、といった様子の玉彦に対し、セレスタも肩を竦めて手を広げた。
「ああ、すみません、皆さん。見苦しいところを見せてしまいまして」
玉彦が気が付き、立香達ノウム・カルデアのメンバーにそう言う。
「まぁ仕方ないだろう、我々の方も “急なお客様” だったろうからな」
ゴルドルフが、自身の髭を手悪戯しながらそう言った。
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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ネモ・ガールマリーンの衣装について
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原作マリーンと同じ短パン
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スカートにしたら?
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ちょい色気のあるショーパンにならない?