Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order   作:神谷萌

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注意
 オリキャラによる原作キャラ説教回です


Chapter-02

「何よ……アンタは……」

 通信越しに睨むような視線を相手に向けながら、オルガマリーが問い質すように言う。

『私は異聞(こっちの)世界のカルデアの長、セレスタ・II(2)型・ヒストプルーフリッド・アニムスフィア』

「アニムスフィア……」

 それを聞かされて、オルガマリーが少し驚いたような顔になる。

 瞳の片方が翠色のオッドアイであること以外、自身を幼くしたような容姿をしているセレスタを凝視しつつ、息を呑むようにして言葉を失ってしまう。

「よく、通信が繋がりましたね?」

 オルガマリーが僅かに沈黙したところへ、マシュがセレスタに問いかける。

「ここへ送り込めるのは私と先輩だけというぐらいとなると、通信をつなぐのも困難だと思うのですが」

『ああ、それは、そこの彼女がいてくれたから』

 セレスタは、苦笑のような表情で言う。

『汎人類史のオルガマリーの要素がそこにあったから、それと同位のお姉ちゃんと縁を繋げば、この通りってわけ』

「私が、私が異聞世界(そっち)にもいる?」

 オルガマリーがはっとして言い、視線を合わせ直した。

『いるわよ。代わろうか?』

 セレスタがそう言うと、通信に映し出される姿が、セレスタから、異聞世界のオルガマリーへと代わった。

『はじめまして、異世界の私』

「あ……あ……」

 顔貌(かおかたち)はほとんど同一に見えるのに、常に表情から険が取れない様子の目の前のオルガマリーに対して、異聞世界のオルガマリーはずっと温厚そうに感じられる。

『あなたの言い分は解るわ。人類文明の継続は本来、アニムスフィア家の存在意義そのものだものね』

 そこまで、穏やかな口調で言った異聞世界のオルガマリーだったが、そこでキッ、と視線を鋭くする。ただ、それでもなお、こちら側にいるオルガマリーよりも、感情に余裕があるように感じられた。

『でも、それは私達も同じ。父は失脚して零落したとは言っても、全てが霧散したわけじゃない。私達の今いる世界を継続する義務も権利も意義もある』

「それが解っているなら! 私が譲れない事ぐらい解るでしょう!?」

 毅然と言い切った異聞世界のオルガマリーに対し、こちらのオルガマリーが言い返す。

 すると、

『それは、なんのために?』

 と、通信に映る相手が再びセレスタになり、何かを見透かしたようにニヤニヤ笑いながら、そう言った。

「それは、決まってるじゃない、人理の継続。この惑星(ほし)の人類史の保障がアニムスフィアの使命なんだから」

『そうじゃない』

 きっぱりと言ったオルガマリーの言葉に、セレスタは笑みを消し、立香達がこれまで見なかったような、酷薄そうな表情になった。

『誰かに認めてもらいたい。自分がその地位にあることを認めさせたい。自分の背負うものの大きさを解ってもらいたい……もちろん、最初の言い分が(うそ)だとは言わない。でも、あなたの本心の裏側には、ずっとこの感情が渦巻いてる。違う?』

「それのなにが悪いっていうのよ!」

 オルガマリーが言い返す。

「誰も私を認めてくれない! 誰も私を解ってくれない! 誰も私を求めてくれない!」

『じゃあなんで他者を認めない!? 他者を解ろうとしない!? 他者の判断を尊重しない!?』

 ヒステリックに高い声を出すオルガマリーに、セレスタは憤怒の混じったような表情と口調で言い返す。

『他者を見下しながら他者に怯えてる、それで他人が自分を理解してくれるわけないじゃない』

 最後は呆れたように、セレスタは言って、小さくため息を()いた。

「別に……レフや……お父様だって……」

『それは “理解” じゃなくて “依存”』

 自身の右腕を抱きかかえるようにしながら、今にも泣き出しそうな表情で言うオルガマリーに対して、セレスタはあっさりと言い返す。

「あの、ちょっと、言い過ぎなんじゃ……」

 見かねたかのように、立香が言う。

『……まぁ、ちょっと、私も感情的になりすぎたか』

 セレスタは、決まり悪そうに言い、頬を掻く仕種をした。

『亡霊みたいなものにここまで熱くなっても仕方ないんだけど』

「亡霊?」

 立香が声に出し、マシュとともに顔色を変える。

『だって、汎人類史のオルガマリー・アニムスフィアは、そこで死んだんでしょう?』

 セレスタは、済ました表情で言う。

『そこにいるのは、特異点に刻みつけるような形で残った、オルガマリーの記憶の一片。できることと言えば、 “かつてあったこと” をなぞるぐらい』

「…………」

 セレスタの言葉に、オルガマリーはただ苦い顔をしている。

『その刻まれた情報があったから、異聞世界のオルガマリー(お姉ちゃん)との縁を使って通信を繋げられたのは有り難いことだけど』

 そこまで言って、セレスタは、ふぅ、と息を()いた。

『今は、汎人類史が、異聞世界が、とやっている状況じゃないの。人類そのものが、いえ、地球そのものがどうにかなる段階なのよ』

 セレスタは、オルガマリーに諭すように言う。

「…………」

 オルガマリーは、苦い顔をしたままだった。

『その特異点の、そう、攻略、と言うわね。特異点のオルガマリー。あなたはそこの情報をリピートしているから、そこの案内役には最適なんだけど……あなたが立香を容認できないならいいわ。アシストは困難だけど私がなんとかするから、あなたは黙ってついてきて』

「…………やる……」

「えっ?」

 セレスタに言われて、ようやく絞り出したようなオルガマリーの言葉に、立香が反応する。

「やるわよ! ここの案内役(ナビ)!」

「いいんですか?」

 立香と共に驚いたような顔をしつつ、マシュが訊き返す。

「…………抵抗はあるけど……でも……せめて……綺麗な記憶(ゆめ)で終わりたいから」

「その、じゃあ?」

 気持ちを吐露するオルガマリーに、立香が訊ねる。

「ええ、あなた達が無事に大聖杯のところまで辿り着けるよう、完璧な案内役(ナビ)を、異聞世界(そっち)のアニムスフィアの姉妹に見せつけてやるわよ」

 そう言って、オルガマリーは顔を上げて、一瞬、通信越しのセレスタを見た。

 

「さて……」

 立香が言い、気を取り直して、行動を開始する。

「目指す場所は、西であることは間違いないんだけど……」

 大通りを、西へ向かって移動しようとするも ────

「あ、塞がっちゃってる」

 ビルの瓦礫が大通りを完全に塞いでしまい、しかも、炎がそれを覆っている。

「炎の勢いもかなりあるよ。サーヴァントならまだしも、立香が突っ切るのは無理じゃない?」

 ブーディカが言った。

「ああ、時間帯が変わって、ビルが崩れてきちゃったのね」

 オルガマリーがそう言った。

「炎が強いところは濃い魔力溜まりにもなっているわ。立香の魔力汚染への対応は礼装頼みでしょ?」

「あ、はい……」

 立香は答える。

 科学文明に対応して変質している異聞世界の魔力(マナとオド)と異なり、この場所で撒き散らされた魔力は、現代の人間を侵食する。

「イケニの女王の言う通り、強行突破はやめた方がいいわね。迂回路を案内するわ。できるだけ安全な最短経路を行きましょう」

 オルガマリーがそう言うと、

「さすがオルガマリー所長です。時間帯での変化を記憶してらっしゃるんですね」

 と、マシュが感心したように声を出す。

「それぐらいしかできないって……いえ」

 ついつい、険のある表情で言いかけたオルガマリーだったが、言い直す。

「あなた達には認められて終わりたいから」

 オルガマリーが先導する形で、5人は燃える冬木の街の中を、炎と瓦礫を避けて歩いていく。

「あ……」

 路地の跡を歩いていくと、進行方向から少し逸れたビルの残骸の前に、2人の人影が見えた。

「今のは、ソロモンと……」

「マリスビリー氏の姿に見えましたが……」

 立香とマシュが、そう言って、オルガマリーの方を見る。

「そうみたいね。とは言え、害はないわ。あれも幻……この特異点で起きた出来事のひとつ、いえ、厳密にはここが特異点Xとして観測される、その直前の冬木での出来事、マリスビリー(お父様)がソロモン王を召喚、契約して勝ち残った『2004年の聖杯戦争』。その情報の一部が再現されているみたいね」

『ちょっと待って、今の本当!?』

 オルガマリーが2人に説明していると、それを聞いて、セレスタが通信越しに割り込んできた。

「ええ、本当。……ああ、これは今、初めて触れる情報だったのかしら?」

 戸惑ったような声を出したセレスタに対して、オルガマリーは、それを冷笑するような、あるいは自嘲するような、笑みで答え、訊き返すような言葉を出した。

異聞(こちらの)世界では、事実上の日本の国家プロジェクトとして成り立ったカルデアを、どうして汎人類史ではマリスビリーが私物化できたのか謎だったけど……そう、聖杯戦争を使ったのね』

「そういうことよ」

 セレスタが言葉に出すと、オルガマリーはそれを肯定した。

「さぁ、幻に囚われている必要はないわ。行きましょう」

 

「!」

 オルガマリーが、険しい視線を前に向けて、立ち止まる。

「敵が近づいてきたわよ」

「!」

 オルガマリーの言葉に、立香達の表情も引き締まる。

「サーヴァントが接近してきます……ですが……これは……」

 マシュが、どこか呆然としたように、道路の先に視線を向けている。

 その、道路の先から、1人の人影が、一見、歩いて接近してくる。

 それは、黒い靄のような存在ではなく……────

「シャドウサーヴァント、では、ない?」

「そうみたいだね」

 マシュが唖然としたように言うと、ブーディカがそう言いながら、立香とマシュ、それにオルガマリーを追い越すようにして、最前に出る。

「ブーディカ! それって……」

「うん」

 立香が背後から声をかけると、ブーディカは、一瞬、苦笑しながら立香を振り返った。

「悪いけど、とりあえずあたし1人に任せてくれないかな」

 目の前に近づいてくる存在に視線を向け直して、言う。

「でも……」

「話し合い、とか考えてないでしょうね?」

 ブーディカの背中に、更に声をかけようとする立香に、オルガマリーがそれを咎めるかのような声を出した。

「もともと、ここは聖杯戦争の現場。サーヴァントとマスターが殺し合いも辞さずに争奪戦を繰り広げる場所」

 オルガマリーの言葉を聞きつつ、立香が、気落ちしたような、ハラハラしたような、そんな顔でブーディカの背中を見る。

「まして汚染情報でまみれたこの場にいるサーヴァントに、話なんか通じるわけがない」

 オルガマリーがそう言う間にも、ブーディカは正面のサーヴァントに向かって歩いていく。

 その、正面のサーヴァントは、女性の姿をしているが ──── 黒い、自らを戒めるかのような、無数のベルトで構成された衣装を身に着けている。

 そして、その顔は ────

「あたしがそんなに強くないのは解ってたけど、こう、鏡を突きつけられると、本当に情けないねぇ……」

 そう言って、ブーディカは立ち止まり、自嘲するかのように、口元で苦笑しながら言う。

 その視線の先には、霊装以外、同じ顔と姿の、黒いライダー。

「こんな悪性情報に侵されて、そんな姿になって……そのくせ、復讐者(アヴェンジャー)にまでは堕ちきることもできない半端な存在」

 ブーディカがそう言い、その一瞬の後。

 ヒュッ

 ブーディカと黒いライダーは、お互いに相手に向かって飛び出し、一気に間合いを詰める。

 霊基(クラス)の差か、黒いライダーの方が素早く、ランサー・ブーディカの懐へ飛び込んでくる。

「舐める、なぁっ!」

 一気に腰を落として、黒いライダーが持つ細身の剣の斬撃を躱すと、そのまま下から上へ向かって鋭く蹴り上げる。

 黒いライダーの方は仰け反ってそれを回避する。追いかけるようにブーディカの槍の一撃が繰り出されるが、そのときには黒いライダーは、大きく間合いを取り直していた。

「お前が! お前(わたし)が言うんじゃない!!」

 黒いライダーが声を上げる。

「憎しみを無理矢理に閉じ込めているのはお前だって同じだろう! 誤魔化しても見えるんだ! その槍の中に、憎悪の炎を隠してるってね!」

 同じ顔でありながら、怒り顔でも狂気に駆られたようなそれで、黒いライダーは言う。

「別に、隠してるつもりはなかったんだけどね」

 ブーディカはそう言いながら、間合いを探りつつ構え直す。

「私は! 私は憎しみで戦わないと……この姿は、それを戒めるためのものだ!」

 黒いライダーは叫ぶ。

「だから、アヴェンジャーはもちろん、セイバーの召喚も()って、私は!」

 ブーディカの方から仕掛ける。

「その槍で、この守りを貫かせるものか! 『約束されざる守護の車輪(チャリオット・オブ・ブディカ)』!!」

 黒いライダーの宝具、戦車の車輪の概念が防壁となって、黒いライダーを包み込む。

「憎しみを封じるなんて、耳ざわりはいいけど、そんなのいつか潰れるに決まってるじゃないか!」

 迫りながら、ブーディカが口にする。

「この炎は確かに憎しみの具現化だ! でも、それを前に向けるか後ろに向けるかは、それこそあたし自身が決める!!」

 銀色の槍から、赤黒い炎が吹き出し、太くも鋭い騎兵槍(ランス)を形成する。

「その宝具(わざ)で護るって言うんなら、シャーマンのジョン・ゴーマンにでも教えを乞うて来い! 『母后の勝利槍(ヴィクトリアス・マトリアーク)』!!」

 概念の防壁を、鋭い炎の槍は多少削がれつつも、破壊して貫いた。そのまま、炎の穂先が黒いライダーを呑み込み ──── そのすべてを霧散させた。

 

「先輩」

 マシュの制止する声も構わず、立香はおずおずと近寄っていく。

「終わった、の?」

 立香が問いかける声を出す。

「うん……なんとか。恥ずかしいもの、見せちゃったかな?」

 ブーディカが立香を振り返り、苦笑しながら答えた。

「その、大丈夫?」

 立香は、心配したような、不安なような、そんな表情で問いかける。

「え? ……ああ、大丈夫大丈夫。お姉さんを信じなさーい」

 ブーディカは、笑顔になりながらそう言って、立香の額を軽く叩いた。

「さ、また状況が悪くなる前にここを抜けちゃおうよ」

「う、うん」

 

 





ブーディカさん、敵ではアヴェンジャーだったこと何度かあるのは知ってます
でも、基本イベント時空だし、奏章IIのは巌窟王の作り出したものだし、こう解釈してもいいかなと。

具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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ネモ・ガールマリーンの衣装について

  • 原作マリーンと同じ短パン
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