Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
Chapter-01
カツン、カツン、カツン、カツン…………
金属の床に靴音を立てて、暗い通路を進んでいく。
「ここしか残っているものがないって、入ってきたけど、一体何があるっていうんだろう」
立香が、それを声に出して言った。
「今の所、見当もつかないな、なぜ此処なのか……」
隣を歩いていたダ・ヴィンチが言う。
やがて、施設の更に内部に続く、重厚な扉の前に辿り着く。
ここは ────
─────────、エリア51。
時間はそれよりいささか遡る。
万国カルデア天文台、管制室。
「あ、戻ってきた」
それを出迎えたのは、ネモ・キャスターからの分身体であるネモ・ガールマリーンの1人だった。
もちろん彼女だけではなく、万国カルデア天文台のスタッフが、モニタールームから出てきて、
「お疲れさまでした」
と、労いの声をかけてくれた。
ただ、その中に立香達と交流のある人物、アニムスフィア姉妹、万華美玉彦といったメンツの姿はない。
「いえ、設備を使わせてもらって、ありがとうございました」
マシュが、万国カルデア天文台のスタッフに礼を言った。
「あ、それでさ、すぐに活動を開始するから、このままストーム・ボーダーの方にって。休憩時間は、ストーム・ボーダーの中で用意するからって」
出迎えのネモ・ガールマリーンは、立香達にそう伝える。
「事実上の連戦だね……大丈夫?」
ブーディカが少しだけ表情を険しくして、立香に問う。
「うん、……大丈夫!」
立香は、弾ませる声を作ってそう言った。
「私や星守さんもついていって、いいんでしょうか?」
ストーム・ボーダーにつながる全閉式のタラップ通路を歩いている最中、玉彦はセレスタに訊ねる。
「あー……まぁ、お願いされた、って言うのもあるけど」
「お願い?」
セレスタの答えに、玉彦は、怪訝そうな表情をして聞き返す。
『
「……って……」
セレスタがそう説明して、玉彦とともに、彼の後ろを歩いていたエスィルトを振り返る。
「エスィルト、君なぁ……そう言うことはまずマスターである私に言い
玉彦は、怒ったように眉を歪ませつつも、どちらかと呆れたように、エスィルトに対してそう言った。
「あはは、えっと、玉彦さんに言っても、私には私の職務があるからー、とか、そんな感じになっちゃうような気がして。ほら、東洋では『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』って言うじゃないですか」
エスィルトは、誤魔化すように笑ってから、そう言った。
「それはそれで所長を馬扱いしているという事で、問題発言なんだが……」
玉彦は、エスィルトにそこまで言った後、視線をセレスタに移す。
「もちろん、あなたに対しては、組織内の指揮権を持つ所長としての正式な命令よ。護衛のサーヴァントを召喚しているスタッフは、私を除けばあなたぐらいしかいないんだから。ここは
セレスタはそう言った。
「星守さんの方は?」
「あっちはもっと単純。元々ノウム・カルデアの案内役としては、小樽に案内して終わり、じゃなかったから。もっとも、タスカが同道を希望しているのは同じっぽいけど」
玉彦が聞くと、セレスタがそう答えた。
「やれやれ」
玉彦は苦笑しつつ、言う。
「自分で言うのもなんですが、私は勇者パーティーに加わる
「そぅお? でも、
セレスタが聞き返すように言う。
すると、玉彦は、自嘲の混じった苦笑になって、
「話は私も聞かせてもらいました。まったく私とは別人ですよ。私はしがない公務員、管理職ですから」
と、言った。
「そこまで卑下することはないと思うんだけどな」
セレスタは、腑に落ちないような表情でそう言った。
「おお、戻ってきたな! 任務達成、よくやってくれた!」
立香達がストーム・ボーダーの管制室に入ると、ゴルドルフが満面の笑みで出迎えてくれた。
ダ・ヴィンチもその場にいる。
「では────」
「まって」
さらに言おうとしたゴルドルフの言葉を、ブーディカが遮った。
「あたしと星麗禰はいいけど、立香達を休ませてやっておくれよ」
ブーディカが言う。
「マシュもだ。だいぶ心に重いことがあったし、サーヴァントでもこれは効く」
「いえ、私は……」
マシュは、反論するかのようにしつつも、曖昧に声に出す。
「む、それは解っているとも」
ゴルドルフが言う。
「だが、個室に戻ってくつろぐという気分でもあるまい。管制室の座席に腰を下ろして休んでいるといい。豪勢な御馳走を用意している余裕はないが、せめてティータイムは入れてもいいだろう」
「は、はい、じゃあ、お言葉に甘えます」
立香がそう言い、マシュと2人して、管制室内のゲスト用シートの場所まで行って、そこに腰を下ろした。
「
身体の力を抜くようにしつつも、立香はそう問いかける。
「あ、ああ、それが気になってたら、落ち着かねーか」
手ずからお茶を準備しに行ったゴルドルフに代わって、ネモ・キャスターが言う。
「外の様子を画面に映してくれ」
ネモ・キャスターがガールマリーン達に指示すると、3Dモニターに万国カルデア天文台の本部施設と、その真上にある、エネルギーが渦巻く目のような存在が映し出される。
そして、その “目” の中心には、冬木では薄っすらとしか見えていなかった、青い宝石のような球体の姿が見えた。
「あれが、カルデアス、なんですか」
マシュが、誰かに訊ねるようにつぶやいた。
「ああ、私達が……汎人類史のカルデア基地の管制室から見ていたカタチとは違うが、シバによる観測結果は一致している」
ダ・ヴィンチがそう言うと、
「こっちでも観測しているわよ」
と、その場に来ていたセレスタが言った。
傍らにはオルガマリー ────
「
「つまり、間違いなく汎人類史のカルデアス、ということだ」
セレスタの言葉を受けて、ダ・ヴィンチが断言した。
続いて、ネモ・キャスターが説明する。
「転移孔は、今の所安定してる。流石はソロモン王の権能でこしらえたものだけのことはあるぜ。もっとも、ずっとこのままっていう保証は無ぇ。今のうちに通るっきゃないが……そっちはプロフェッサー達が電算室で進入法を計算中だ。
ネモ・キャスターの言うネモ・プロフェッサーも、こちらは大きく差異があるわけではないが、ネモ・キャスターの分身体の方だ。
そこへ、お茶の準備を終えたゴルドルフが、トレイに一式を載せて戻ってきた。
「ほら、少しだがスイーツも用意したぞ。甘いものは疲労回復に効くからな」
「あ、いただきます」
立香は、先にお菓子の皿に手を伸ばしてから、お菓子を口に運びつつ、カップを持ち上げる。
「プロフェッサーから報告がありました」
そのゴルドルフのところまでやってきて、ムニエルがそう告げる。
「計算完了、転移孔への突入準備完了だそうです」
「思ったより早かったな」
傍らにいたネモ・キャスターが言う。
「まぁ、これだけ安定してりゃ当然か。あの
それを聞いていたダ・ヴィンチは、
── 世界からの修正力があまりない? 神代の魔術王の
と、心の中で呟いていたが、直後に、ハッと我に返る。
「考え込んでいる場合じゃなかった。ネモ・キャスター、行動開始! 他の皆も席について!」
ダ・ヴィンチが仕切るかのようにそう告げた。
「しかし、カルデアスというのは極小の疑似環境モデルだろう? そこに行くということは、私達も小さくなるということじゃないのかね?」
ゴルドルフが、どこか腑に落ちないといったように問いかける。
「それは違うわ」
オルガマリーが言う。
「汎人類史のカルデアスが地球のコピーだというのなら、ケースの中身はあくまで “そう見えているだけ”。それは遠くの
オルガマリーは、そこまで自信あり気に言ったのだが、
「── で、あってたかしら?」
と、急に不安気な表情になって、そう続けた。
「いや、その説明であっているよ」
ダ・ヴィンチが、まず肯定し、そして説明する。
「空に浮かぶ星は小さいが、その星自体が小さいわけじゃない。実際にあの転移孔、つまりワープゲートを抜けて、その星の場所に辿り着けば、本来の大きさを知覚できる、というワケさ」
「…………」
立香は、自分ではその話のすべてを理解しきれていない気がしていたが、やがてハッとある事に気がつく。
「向こうに……カルデアスに汎人類史のテクスチャが残っているんなら、
「概念的にはありね、それ」
呟くように言った立香の言葉に、セレスタが反応する。
だが、その表情は険しい。
「ただ、それは期待薄。方法や論理じゃなくて、マリスビリーの思想と手段の問題として」
「え…………」
声を漏らした立香だけではなく、ノウム・カルデアの首脳陣が、驚いたようにセレスタを凝視する。
「まぁ、それも、行ってみればはっきりするんじゃないかしら?」
「結局、それが手っ取り早いってことか」
セレスタの言葉に、ネモ・キャスターが言う。
「いいかい、司令官さん?」
ネモ・キャスターは、ゴルドルフに視線を向けて、問いかけた。
「うむ! 異論はない! 我々の世界から奪われたものがあるというのなら、それがどうなっているのか確認する権利はあるはずだ。これよりカルデアスへ向かう!」
「進路確定、ストーム・ボーダー、全速前進!」
ストーム・ボーダーのメインスラスターが全開にされる。
その尖った舳先から、転移孔の目の中に飲み込まれ ────
虚数潜航の時と同じような、時空間の壁を跳躍する時のような感覚があったかと思うと、直後に、明るい空間に出た。
「ちょっと、待てよ……」
どこか憔悴した様子で、ネモ・キャスターが声を出す。
他の、ノウム・カルデアのメンバーは、より強烈に愕然とした様子で、言葉を出せずにいた。
「アンタ達の主張の通りなら、ここには
ネモ・キャスターが言いながら見る外の光景は ──── 海もない漂白された地表から、無数の空想樹が生えているという、汎人類史出身のノウム・カルデアスタッフには信じられないものだった。
「そんな……──── これは……──── どうして…………」
汎人類史の出身者で、最初にどうにか声を漏らしたのは、立香だった。
「我々は確かにカルデアスに降下したな?」
ゴルドルフが、愕然としつつも、立香よりは落ち着いた声を出す。いや、それは現実逃避を試みる言葉なのかもしれないが。
「我々の、元の汎人類史のテクスチャが、カルデアス地球の表面と入れ替わっている、という話だったな?」
そこで、ゴルドルフも感情の堰が切れたかのように、やや荒れた口調に変わる。
「これでは漂白された、白紙の地球と同じではないか! いや、それよりも恐ろしい ──── 見渡す限りに空想樹が生えている! 説明を求む、技術顧問!」
指名されたダ・ヴィンチだったが、
「…………説明が欲しいのは私も同じだ。だって、カルデアス地球の姿がこれだとしたら、2つの地球で行われたことは置換ではなくて……所謂……上書き保存に……」
そこまで、呟くように言ったダ・ヴィンチだったが、
「そうだ……」
と言って、アニムスフィア姉妹の方を振り返る。
「2人なら、なにが起こってるのか……解るんじゃないのかい?」
「…………上書き保存、という貴方の推測はありえない、そうは言えるんだけど……」
怪訝そうな表情をしながら、セレスタが言う。
「そうだね、単純に上書きなんかしたら、白紙化の時に
ダ・ヴィンチはそれを認める。
「…………正直なところを言うわ。私は、汎人類史のテクスチャを、マリスビリーが
セレスタは、説明しつつ、段々と困惑した表情になっていった。そしてそこまで言うと、オルガマリーを振り返る。
「お姉ちゃんは、なにか心当たりたる?」
「そう言われても……私にも、こんなの、説明できるわけないじゃない……」
訊ねられたオルガマリーも、困惑しきった表情でそう言った。
「そうだ……空想樹の様子はどうなってる?」
憔悴を隠しきれないまま、ダ・ヴィンチが問いかける。
「こちらへの反応はありません。内部の熱源は今までの空想樹と変わらないけれど、外皮が完全に硬化していますね」
ムニエルがそう報告し、
「なんか、冷凍冬眠してるみたいに見えまーす」
と、ガールマリーンの1人が付け加えた。
「空想樹は本来、世界を縫い付けておくための針のようなもの……その役目を終えて、石化したって事かしら……どっちにしても、刺激しない方が得策だとは思うけど……」
怪訝そうにモニターを見ながら、セレスタが言った。
「電算室のプロフェッサーから報告があった」
ネモ・キャスターが、険しい表情で言う。
「アンタ達には言いにくいことだが、地表の分析結果……この惑星上に継続している文明はないって事だ。生命の反応も観測されてない」
「つまり、カルデアス地球も完全な “白紙” って事か……」
ダ・ヴィンチが言う。
「立香」
「う、うん、大丈夫」
ブーディカに声をかけられて、立香がそう返す。
「貴方がもし、今の状況に少しでも安堵を覚えてしまった、というのなら、それは別に気に病まなくていいわよ」
ブーディカの声掛けと、立香の反応を見て、セレスタが言った。
「さっきも言った通り、汎人類史のテクスチャが
セレスタはそう言ったが、立香の表情は曇ったままだ。
「一応、まだ文明の名残のようなものは存在していた、らしい。それを今、解析している」
ネモ・キャスターが言った。
「マム! 観測装置に、明らかに……私達の世界に近い土地の……狭い領域の反応が見つかりました」
ガールマリーンの1人が、そう報告してくる。
「よくやった。それで、場所は?」
ネモ・キャスターは、報告の続きを促した。
「北緯37度14分00秒、西経115度48分30秒! 北米大陸……私達の知っている通りなら、ネバダ州がある場所でーす!」
「なんだって? それは本当かい!?」
ガールマリーンの報告を聞いて、ダ・ヴィンチは素っ頓狂な声を出した。
「…………」
「そこに、何かある……あったというの?」
オルガマリーが問いかけてくる。
「ああ、汎人類史では、そこにあったのは ────」
ダ・ヴィンチは頷き、言う。
「アメリカ合衆国、秘密空軍基地、通称エリア51」
ネモ・ガールマリーン
https://x.com/kaonohito2/status/2027826295753871473
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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Discordは「一時メンバー」となりますので、私のオフライン時に来られた方は、「エントランス」及び「一時メンバーの連絡用チャンネル」のアナウンスに従って必要事項を書き残してください。
ネモ・ガールマリーンの衣装について
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原作マリーンと同じ短パン
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スカートにしたら?
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ちょい色気のあるショーパンにならない?