Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
「一体何が起こってるっていうんだ?」
カドックがアナスタシア・オルタと共に管制室に入ってきて、誰にとは言わずに、問い質すように言った。
「カドックさん、その……」
マシュが状況を説明しようとする。
「私達は、確実にカルデアスに来たはずです。汎人類史の……でも、なぜか、こうなっていて」
「カルデアスが白紙化されていて、空想樹がびっしりか。もう通路の窓から見てきたさ」
カドックはそう言って、忌々しそうなため息を吐いた。
「そうだ……カドック、君は空想樹のことは多少は知っているだろう? 何か解ることはないかい?」
ダ・ヴィンチが問いかける。
「残念ながら……僕達クリプターも、基本的には、空想樹は異聞帯を育てるためのもの、としか認識していなかったんだ」
カドックが言う。
「
そこまで言って、一拍置いてから、
「あの様子だと、デイビットはなにか知っていたのかもしれないけどな」
と、思い出すようにしながら、カドックはそう言った。
「それで、こんな状態で今、どこへ向かってるんだ?」
「今は唯一地形の残滓が残っている、北米大陸のネバダ州に向かってる。汎人類史ではエリア51という秘密基地があったという場所だよ」
カドックの問いかけに、ネモ・キャスターが答えた。
「エリア51か……確か、地球の白紙化はそこから始まったんだ。確かに何かはあるかもしれないな」
カドックはまず、呟くように自分の見解を述べた。そして、
「それで、立香達が冬木の特異点で知った情報については、もう聞いたのか?
と、視線を立香に向けて、そう言った。
「えっと、それは……」
立香の傍らに立っていたブーディカが、戸惑ったように声を出すが、
「大丈夫だよ、うん」
と、立香は、まずブーディカに対して、安心させるようにそう言った。
「それなら、聞かせて欲しいな」
ダ・ヴィンチが、立香に促す。
「はい、えっと……────」
……………………
…………
……
「なるほど、ね」
立香とマシュ、時折ブーディカも混ざって、その話を聞いて、ダ・ヴィンチはそう言葉を出した。
「元々冬木の聖杯戦争の勝者は、カルデアの……汎人類史のカルデアの記録では『セイバーが順当に勝利した』だった」
そこまで言ってから、視線をアニムスフィア姉妹に向ける。
「これは、
「ええ、キャスターは勝者じゃなかった」
セレスタが答える。
「つまり、本来マリスビリーは冬木の聖杯戦争に参加していたわけじゃなかった。後から『自分が聖杯戦争に参加していた異聞』を作り、それを汎人類史の2004年に貼り付けた。これによって、冬木は最初の特異点Xになった」
「そして、その事実を知られては都合が悪いと考えたマリスビリーめは、本来記念すべきレイシフトによる最初の特異点消去を『冬木の聖杯戦争』にして、誰にも知られないまま証拠を消そうとしたのだな。おのれ、いけしゃあしゃあと……」
ダ・ヴィンチの言葉に、憤怒の様子のゴルドルフが続いた。
「マリスビリーは汎人類史では死んだことになっていたけど、レイシフトが可能になった時点で、シバが特異点Xを発見できるように仕込んでいたんだろうね」
ダ・ヴィンチが言う。
「だが、想定外の事故が起こった」
「ゲーティアの人理焼却……ですか?」
立香が問いかける。
「いや、それは致命的じゃない」
ダ・ヴィンチが僅かに表情を険しくした。
「魔神王は2017年以降の人類史はないと知って、2016年以前の人類史を焼却した。一方、マリスビリーは2017年以降の世界を白紙化した。この2つは、バッティングしていない」
そこまで言ったダ・ヴィンチだったが、そこでちらり、と、立香とブーディカの顔を見た。
その視線が立香の感情にかかる事だと気付いて、ブーディカは立香と手をつないだ。
「大丈夫です、その……レフが、オルガマリー所長をカルデアスに突き落とした事、ですよね?」
立香はそう言い、問いかける。
「そう。これはまったく、魔神王、ではなくレフ・ライノールの行いだった」
ダ・ヴィンチが言う。
「その残虐な行為を許す事はできない。ただ、それがマリスビリーの計画になにかの
その言葉が出たとき、立香は、ぎゅ、とブーディカの手を握り返していた。
ダ・ヴィンチは続ける。
「これには何らかの意味を持っているんだ。それが何かはまだはっきりしないけど、私はそう考えるよ」
「…………」
「…………」
カドックが、若干険しい視線を、セレスタに向ける。
「その他にも、気になることがあるんじゃないか?」
カドックが言う。
「え?」
声を出したのは、立香だった。
「お前、
セレスタに視線を向けたまま、カドックが問い質すように言った。
「カドック? セレスタさんは……」
「立香はとっくに気付いてただろ?」
立香が戸惑った声を出しかけたが、カドックはそれを遮って、そう言った。
「それは……えっと……」
「こいつ、マリスビリーについて詳しすぎるんだ。不自然にな」
カドックは、追求するかのような視線を向けたまま、言った。
「別に……
セレスタが言う。
「……もしかして…………」
立香が声に出す。
「
「な、何を言い出すのかと思えば、それは……そんなだいそれた事を企んでいるというのか」
ゴルドルフが、憔悴と憤怒の入り混じった表情と口調で言う。
「あれ、説明したと思ってたけど、不完全だったかしら」
記憶をたどるようにしつつ、難しい表情をして、セレスタはそう言った。
「私が聞いたのは、マリスビリーの行動を利用する、としか。ただ、その行動がなんなのかは、冬木で見た事がそうなんじゃないかと」
立香は、自身の記憶を遡り、言った。
「マリスビリーが理想の世界を上書きしようとしている、とは聞いていたけど、もしそうだとするなら、これは異聞帯や特異点を貼り付けるような程度のものじゃない。そんなものは、人類史と呼べないじゃないか!」
ダ・ヴィンチが、切羽詰まったような表情になって、声を上げた。
「それは、一体どうやって始まるのか、解っているのか?」
カドックがセレスタに問いかける。
「残念ながら、そこまでは……
セレスタは、決まり悪そうに難しい顔をして、そう答えた。
「とにかくは、情報を集めるしかない、ってコトなのかな」
立香が言った。
「ここへ来てもどかしいし、焦りも感じるが、そうするしかないな」
ゴルドルフが、若干忌々しそうな表情をしながら、そう言った。
そこへ、
「じゃあ、その収集された情報についてだ」
と、ネモ・キャスターが声をかけてきた。
「プロフェッサーから、文明の残滓の解析結果が報告されてる。内容は少し複雑だから、直接説明させるよ」
そういうと、管制室中央の3Dモニターに、電算室に篭もっているネモ・プロフェッサーの姿が映し出された。
『はい。文明の残滓から観測された物質や、大気に含まれる成分から、このカルデアス地球の文明がどのようなものだったのかを解析しました』
「勿体つけなくていい、今は何でも教えてくれ!」
ネモ・プロフェッサーの少しのんびりした口調に、ゴルドルフが焦れたと言うか、切羽詰まったような声を出した。
『はい。カルデアス地球の人類は、西暦2015年から西暦2117年にかけて、私達が想定する形とはまったく別の、特異的な進化を遂げていました。トリスメギストス
「汎人類史とも、
カドックが呟く。
「いや、そんな都合のいい異聞帯なんか、存在しなかったんだが……」
ネモ・プロフェッサーの説明は続く。
『それは、どちらの世界にも存在しないナノ繊維。これが新しいエネルギー源と情報処理の技術の開発を可能にしたようです。これにより、100年間、カルデアス地球の文明は、…………あの、ちょっと、私も信じられないんですが、 “地球全体、全人類に
「そんな事が……可能なの?」
と、怪訝そうな声を上げたのは、オルガマリーだった。濃い魔力により、エネルギー問題は汎人類史よりは恵まれているだろう
『ええと、続きよろしいでしょうか?』
モニターの向こうのネモ・プロフェッサーが、戸惑ったように言う。
「ああ、ごめんなさい。どうぞ続けて」
少し慌てたように、オルガマリーが、モニターの向こうのネモ・プロフェッサーに言った。
『そうして発展したこのカルデアス地球ですが、西暦2118年にすべてのインフラが崩壊。同時に発生した “宇宙人の侵略” によって、カルデアス地球は漂白され、人類は滅亡した』
「“宇宙人の侵略” ……えっ、でも、そんなことってあり得るんですか!?」
反芻するように呟きかけた立香だが、急に、何かに気付いて、軽く驚いたように声を上げる。
「カルデアスって、宇宙にそのまま浮いてるんですか? 宇宙人の侵略って……」
「目の付け所はいいわね」
立香の言葉を聞いて、セレスタが言う。
「正しく答えると、地球で起き得るイベントはカルデアスでも起き得る。宇宙人の侵略なんて、一般人には荒唐無稽のものでもね」
「それで、そのエネルギー源になったものがなんだったのか、それは解ったのかい?」
ダ・ヴィンチが、ネモ・プロフェッサーに問いかけた。
『はい、エネルギー源となるだけではなく、その伝達も保存にも使えて、しかも効率は100%というもので……その、これ、答えていいのか解らないんですが……』
「今更、多少のことで動揺はしない」
言い澱んだネモ・プロフェッサーに、カドックがそう言って答えを促した。
『では……サンプル自体は入手できなかった、とは言っておきますが、トリスメギストスIIが答えたのは……────』
『
────────
────
──
数時間後。
「マム、目的地に到着しましたー」
ネモ・ガールマリーンが告げる。
「よし、見えている範囲を、地下まで潜って探索してみろ」
ネモ・キャスターが言う。
「植物の存在は確認できます。動物のものは、人間を含めて存在しませーん」
ネモ・ガールマリーンの1人は、そう答えてきた。
「よーし」
そこまで確認したところで、ネモ・キャスターは、ノウム・カルデアのメンバーと、同行している万国カルデア天文台関係者の方を向き、
「現在、エリア51つってた未漂白地帯の上空だ。基地内に人間の反応は無いけど、軍事基地だ。トラップの類は想定して行ってきた方がいいだろうな」
と、告げる。
すでに、立香とマシュ、ブーディカと星麗禰、それにダ・ヴィンチ、そして ────
「って事だから、中でなにかあったら守ってよ」
「ええ、お任せください」
セレスタが言い、護衛、パートナーサーヴァントのデオンが、安心感を与える笑顔で答える。
「じゃあ、行ってきます、司令官」
「うむ」
立香が声をかけると、ゴルドルフが言葉を返す。
「現状、手がかりらしき場所はここしかない……万全の注意を払って調査にあたってくれ!」
「はいっ!」
そして、立香達は降下していく。
大地に降り立つと、セレスタが周囲をキョロキョロと見回し、
「なんだか、妙に殺風景ね……」
と、言った。
「本来、この基地はとっくに閉鎖されていたはずなんだ。汎人類史ではね」
ダ・ヴィンチが言う。
「未確認飛行物体かと賑わせた、米軍 ──── アメリカ合衆国空軍の試作機の姿もない。それが表向きの、エリア51の姿なんだよ」
そう説明されると、航空機の姿のない格納庫も、薄っすらと砂が被り、路面の荒れた滑走路も、寂寥感を感じさせる。
研究施設と思われる建物の、その最大のものの中に進入を試みる。どういう理由か、扉に鍵はかかっていなかった。そんな事をする間もなく、人類は滅亡してしまったということなのだろうか。
建物の中は、日が差し込まず、暗い。
カツン、カツン、カツン、カツン…………
その暗い通路の中、金属の床に靴音を立てて、暗い通路を進んでいく。
「ここしか残っているものがないって、入ってきたけど、一体何があるっていうんだろう」
立香が、それを声に出して言った。
「今の所、見当もつかないな、なぜ此処なのか……」
隣を歩いていたダ・ヴィンチが言う。
やがて、施設の更に内部に続く、重厚な扉の前に辿り着く。
「待って」
扉の取っ手に手をかけた立香を、ブーディカが制する。
「トラップの可能性はあるって言ってたろ? あたしが開けるよ」
ブーディカは、そう言って、立香を少し下がらせ、自身が扉の取っ手を握った。
そのブーディカの背後に、星麗禰が、クナイを手に立つ。
「じゃあ、開けるよ……」
ブーディカが、言いつつ、そろっと扉の取っ手に力を入れる。
ギギギッ……
やはり、鍵はかかっていなかった。重々しい軋み音を立てながら、扉は開いて ────
「ようこそ、待っていたよ、藤丸立香」
パンッ
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ネモ・ガールマリーンの衣装について
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原作マリーンと同じ短パン
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スカートにしたら?
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ちょい色気のあるショーパンにならない?