Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
「そう、私はすでに死者でしかない。ここにいるのは、この星のガイドとしての役目を持たされた仮想人格でしかない」
マリスビリーは、動揺する様子もなくそう言う。
「カルデアスが完成した時点で、マリスビリー・アニムスフィアの人生は
「うん、そうだ。キミはキミを殺す事で最初の証拠を消した」
ダ・ヴィンチが言う。
「でも、その前提は今や成立しなくなってしまった。ムチャクチャになってしまった、と言ってもいい」
「なぜ、そう考えるんだい?」
やはり動揺を見せることなく、マリスビリーは問い返す。
「最初の躓きは冬木の特異点だ」
ダ・ヴィンチは言う。
「キミはここにAチームを送り込んで、特異点ごと蒸発させるつもりだった。
それを聞かされて、立香とマシュが息を呑みながら愕然と口を開き ──── いや、ブーディカやデオンまで、驚愕の表情になった。
当のマリスビリーは、口元で薄く笑っている。
「うん、正解だ。彼らはレイシフト先で消滅する予定だった。特異点X ──── 冬木が消去された後に、他の7ヶ所の特異点もシバに観測され、そこへAチームが送られる事になっていた」
マリスビリーが肯定すると、ダ・ヴィンチが続ける。
「でも、レフ・ライノールによってカルデアの管制室が爆破された事で、Aチームを冬木に送ることはできなくなった。冬木は特異点Xとして残り続けた」
「うん、そうだ」
それに対しても、マリスビリーは肯定した。
「それは達成できなかったが、皮肉なことに、ビースト
「ま、待ってください」
そこで、マシュが慌てた声を出した。
「私もAチームの一員でした。ですが私に大令呪は……」
「キミは召喚の要だ。最後まで残って貰う必要があった」
マリスビリーが答える。
「ただ、あるAチームの1人……クリプターが妙な反対をしてね。『マシュ・キリエライトに大令呪を受け付けない事』。それを条件にAチームの監視役になった魔術師がいた」
そこまで言った時、マリスビリーの表情が少しだけ、戸惑いを感じるようなものになった。
「……今にして思えば、彼はどうしてそんな事を言ったのだろうね。あの口ぶりでは大令呪の用途に気付いていただろうに」
ダ・ヴィンチは更に続ける。
「『最悪の場合に備えた、最終的な特異点破壊手段』。キリシュタリアあたりにはそう伝えられていたのだろうね。実際にはその状況に関わらず、大令呪は起爆されることになっていた。地球とカルデアス地球、どちらの文明もキミには不要なものだったからだ」
「不要ではないよ。ただ少しの間だけ消えて欲しかった。地表を一掃する必要があった。カルデアス地球の文明だけをリセットした場合、君達の地球との置換は成立しなかっただろう」
マリスビリーがそこまで説明した時、
「ああ、やっぱりそう言う事ね」
と、セレスタが言った。
「どういう……意味です?」
立香が、セレスタの方を向いて問いかけた。
「後で説明する。それよりダ・ヴィンチの質問を続けて」
セレスタは、どこか淡々とした様子でそう言った。
「でも、その白紙化が皮肉な結果を招いた」
促されて、ダ・ヴィンチは言う。
「キミの想定外に成長した
「ほとんど当たっているが、1ヶ所だけ訂正させてもらうよ」
マリスビリーは、そう言うと、口元で笑ったまま、視線を立香に向けた。
「地球が白紙化されていたことで
「ッ」
ブーディカがマリスビリーを睨みつけ、立香の前に出ようとする。
「大丈夫だよ」
立香がそれを制するが、
「でも」
と、ブーディカは自分の方が不安げに声を出す。
「大丈夫。私も解ってきたから」
立香は、口元で笑って見せながら言った。
そして、立香はマリスビリーに視線を向ける。
「“人類最後のマスター” が汎人類史を諦めて
「その通り」
マリスビリーは、澄ました表情のままそう答えた。
ダ・ヴィンチが言う。
「そう、そして、地球に
すると、マリスビリーは、軽く驚いた表情をする。ただ、わざとらしくもあった。
「
それを見て、ダ・ヴィンチが、唇の端を吊り上げた。
「残念ながら、と言うべきなのかな? 魔術の研究に関しては、汎人類史より
アナスタシア・オルタがカドックの大令呪に凍結の概念を打ち込み、術式の稼働を止めると同時に、脆くする。後は、カドックの検査をした東京帝大魔研局の魔術師達によって術式本体を破壊した。
魔術回路に絡みついた根の部分は残っているものの、それだけだ。もう、カドックの生命を削ることもない。
「いずれにせよ」
ダ・ヴィンチが言う。
「人理定礎を破壊することで、
統治者として生み出され君臨するものの、元々人の意識の集合体故に独裁の対極となる具現化人格軍艦の存在。
サーヴァント召喚の詠唱にある、『灯籠の守り手』。文明の灯りの守護者を意味する
時代時代の文化の要素が廃れずに残りつつも、代謝を続けている社会。
神秘、秘蹟に対して働きにくい抑止力。
科学技術を主としつつも、神性が否定されず両立されている世界。
「人類が
ダ・ヴィンチは、ニュートラルな表情でそう言った。
「それでも」
マリスビリーが言う。
「再度地球を白紙化することは不可能ではないよ。マリスビリーの計画は、修正可能な範囲だ」
「それは、選ばれた
立香が言いかけ、一旦言葉を途切れさせた。
「── ううん、もう誤魔化して言うのはやめよう。
「それは誤解だ。私は人類を継続させているし、
立香に問われ、マリスビリーは、心外だ、というように表情を変えた。
「私は人間を愛している。人間だけを愛している」
「いいえ、違います」
マリスビリーはまだ言葉を続けようとしていたが、立香はそれを遮った。
「あなたが愛しているのは “ヒトのカタチ” です。それは人間を愛しているんじゃない。ヒトのカタチから出力されるものに執着しているだけです」
「わからないな」
立香の言葉に、マリスビリーは、軽く困った、というような口調で言った。
「私は中身に価値を見いだせない。けれど、ヒトのカタチから出力されるもの、というキミの言うものを愛している。それだけで充分じゃないか」
「それなら」
マリスビリーの言葉に、立香は更に問う。
「セレスタさんを愛せますか?」
「何」
マリスビリーが言葉に詰まった。
「それは……」
「愛せるわけないわよね」
立香に代わり、セレスタが言う。
「私の今のこの身体は人間じゃないもの。サーヴァントのように元になったカタチがあるわけでもない。
「だから、私はそんな世界なんか要りません。貴方の人理保障は要りません」
セレスタの言葉に、立香が更に続けた。
「新しい世界を壊させません。貴方の計画を阻止します」
立香が宣言する。
マリスビリーはしかし、余裕のある表情に戻った。
「残念ながら、その帰還可能点はとっくに過ぎているよ。
立香が言い返す。
「そんな事はないはずです。
「そうだね、カルデアスが消滅すれば、宇宙の更新は止まる」
マリスビリーは、その点について立香の言葉を肯定したが、
「だが、カルデアスの破壊は不可能だ。すでに宇宙全体と紐付いている。たとえ実際の地球を破壊できる
と、言う。
「ここに私がいる時点で事態はもう終了している。申し訳ないが、君達は何もかも手遅れだった」
「それはどうかしら?」
断言したマリスビリーに対し、セレスタが即座にそう言った。
「そうだ」
ダ・ヴィンチが言う。
「確かに、
「そう、先ほど説明した通り、解決できる時期はすでに過ぎている。マリスビリー・アニムスフィアは滞りなく完結している。今の私は、ここに汎人類史の人間が訪れた時の為に用意された案内役に過ぎない。その役目も終えた今、後は消滅する」
マリスビリーの姿が、その像が薄くなり始める。
「だけど」
セレスタが言う。
「
「キミの存在の事か」
消えかけながらも、薄く微笑んだままマリスビリーは言った。
「キミが疑似地球モデルだったとしても、私のカルデアスを止める事はできないよ」
「そう、そう言う認識なら良かった。消えちゃえ、バカ親父」
セレスタのその言葉に送られるかのように、マリスビリーの像は消えていった。
「しまった、1つ訊き忘れた」
マリスビリーが消えたのを確認したところで、立香が言った。
「なにかあったかい?」
ダ・ヴィンチが問いかける。
「いえ……あの、『異星の神』がどうしてオルガマリー所長の姿をしていたのかって……」
「え、その話、ちょっと聞かせてもらっていいかしら?」
「えっと……『異星の神』を名乗っていたサーヴァントがいて、それがオルガマリー所長そっくりの姿をしていたんです」
「神、ね、私の柄じゃないと思うんだけど……」
セレスタは腕組みをして、首をかしげる。
「あ、ただ “神” と名乗ってただけじゃなくて、『地球大統領』とも名乗っていて……」
「地球……大統領……?」
立香の言葉に、セレスタは腕組みをしたまま目を
「はい、えっと……────」
立香は、『異星の神』、U-オルガマリーについて、セレスタに説明をする。
……………………
…………
……
セレスタの姿勢が、腕組みの直立から、段々と頭を抱える姿勢になっていった。
「ここにお姉ちゃん、というか、それ以前にアストルフォがいなくてよかったー……」
「どんなはしゃぎ方をするか、見当がつくというか、逆につかないといいますか……」
セレスタの吐露に、デオンが苦笑しながら同意した。
「私としては、できればそれに記憶容量を割いて欲しくないところなんだけど……」
「二度目の冬木のオルガマリー所長と、同じ事言ってます」
驚いたような表情でマシュが言うと、セレスタは更に首を傾けた。
立香が続ける。
「最初に会ったときは、私達の事も解らなかったみたいなんですけど……」
「あーあーあー、それで解った」
セレスタは、脱力した様子で手を振りながら、言う。
「カルデアスにオルガマリーの魂が融け込む時に、私がサルベージされた後に再生された精神が分離されたのよ。カルデアスのシステムが自然とそうしたのか、
「でも、最後には私達の為に、レイプルーフの制御を、自分の身を犠牲にして……」
マシュが言う。
「うん、あなた達のことは、見捨てられないわよ」
セレスタは、少し寂しそうな表情になって、視線を伏せ気味にした。
「認識できなくても、 “春の記憶” だもの。意識下では想っていたんでしょうね」
タイトショーツ版ネモ・ガールマリーン。(試作品)
https://x.com/kaonohito2/status/2029218406021624101
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