Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order   作:神谷萌

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Chapter-06

「よく戻ってきてくれた」

 立香達がストーム・ボーダーの管制室に戻ってくると、ゴルドルフがそう言って出迎えた。

「疲れているだろうが、早速報告を頼む」

 ゴルドルフは、エリア51調査に向かった立香達の疲れを労いつつも、指揮官として真摯な表情と口調で言ったのだが ────

「は、はい! それが!」

 それに対して、立香が弾んだ声を出す。

 他の内容をさておいて、マシュと2人して、その事を、軽く息が荒くなるほど興奮しながら言う。

「な、な、な、なんだってぇえぇぇぇ!!!?」

 中央にゴルドルフ、その左右にカドックとムニエルと、横に並んで、目と口を開いて驚愕の表情になり、一斉に声を出した。

「こ、この小娘がオルガマリーだと……?」

 ゴルドルフは驚愕の表情のまま、セレスタを指差してしまいながら言う。

「小娘って、私こう見えても、セレスタ(いま)の人生23年目なんだけど……」

 照れたような笑顔を引き攣らせて、そう言うものの、

「? 23ならまだまだ若輩者だろう?」

「う、まぁ一般的にはストレートでも大卒2年目だもんね」

 真顔になって不思議そうに言うゴルドルフに対して、セレスタは首を前にカクン、と倒してそう言った。

「い、いくらなんでも信じられないって! いきなりそんな事言われたって」

 ムニエルがそう言うと、セレスタはニターっと笑う。

「ムニエル、アンタの性癖バラしてあげようか? それともコトが済んだ後の再就職先自力で頑張る?」

「ひぃぃぃっ、それはどっちも勘弁!!」

 ムニエルは表情を引き攣らせながら、バタバタと手を振った。

「キャラが違いすぎないか?」

 カドックが言う。

「僕の知っているオルガマリー所長はいつもなにかにイライラしている様子だった。キリシュタリアの側にいるときはそれがあからさまに際立ったし、逆に僕が近くにいると常に見下すような態度をとる人間だった」

「うん……」

 セレスタは、少しだけ寂しそうに苦笑する。

汎人類史のオルガマリー(前の人生)はそう言う生き方してた自覚はある。父に認められたい、誰かに認められたい、…………認めさせたい。だから、常に余裕もなくて……」

「あ、それじゃあ、冬木にいた所長にかけたあの言葉は」

 立香がそれに気がついた。

 

『じゃあなんで他者を認めない!? 他者を解ろうとしない!? 他者の判断を尊重しない!?』

 

「うん……あれ、自分への戒め。『まずは普通に生きてみろ』、って。まぁ、実際には全然普通じゃないかもしれないけどね」

 苦笑したまま言い、頬を掻く仕種をした。

「私も驚いたわよ」

 オルガマリーが ──── 異聞世界のオルガマリーが、妹である存在に向かって言う。

「異世界の私の同位存在が、私の妹をやっていたなんて」

 まだ信じられない、といった様子で、オルガマリーはセレスタを凝視している。

「……多分、この事情を知っていたのは私だけでしょう」

 デオンが、やや苦笑気味の穏やかな表情でそう言った。

「え!? デオンは知ってたの!? ボクはなんにも知らなかったのに!?」

 オルガマリーに付き従っていたアストルフォが、素っ頓狂な声を出した。

「ええ、私の召喚に関わる事でもあったので、私にだけは」

 デオンは視線をアストルフォに移し、手振りを加えつつそう言った。

「うー、なんかずるい気がするー」

 アストルフォがそう言って口を尖らせた。

 セレスタは、苦笑したまま申し訳無さそうに言う。

「どっちの人も、今まで黙っていてごめんね。私には目標があったから」

「マリスビリーの計画を阻止することですか?」

 立香が訊ねた。

「えっと、それは目的なんだけど、最終的な目標に対しては、手段的なところがあって……」

「と、言いますと?」

 マシュが訊ねる。

 すると、セレスタは、オルガマリーと向かい合った。その両手を自分の手に取る。

 2人は見つめ合う。セレスタは優しげに微笑み、オルガマリーは少し唖然としたようにしている。

「貴方に、別世界の同位存在の私に幸せに生きて欲しかった。少なくとも、あんな常に追い詰められていた汎人類史のオルガマリー(わたし)みたいな生き方じゃなくて。そうすることで、私も救われるから」

「な、何言ってるのよ……私の……私は、それを知っちゃったら、どうしろっていうのよ……」

 言われたオルガマリーの方は、視線をセレスタから逸してしまい、戸惑いで言葉を詰まらせてしまう。

「確かに、所長がそう願うのは理解できますが……それって結局、オルガマリー所長が犠牲になるって事なのでは……」

 マシュが、見た目ニュートラルな表情で、そう言った。

 それを聞いたオルガマリーが、逸らした視線を更に深く伏せてしまう。

 すると、セレスタは、オルガマリーの手を離して、マシュの方を向く。この時点で、立香は目元を手で覆っていた。

「自己犠牲があるかないかで言えばあるって言うしかないけど、私は私で2回目の人生、結構好き勝手やってるつもりよ?」

 セレスタの言葉に、それまで困惑して視線を伏せていたオルガマリーが、顔を上げてジト目でセレスタを見た。

「そう言えばコイツ、結構図太く妹やってたわね…………」

「南極行くまでは、()の顔役はある程度オルガマリー(お姉ちゃん)にやってもらえちゃうから楽だったのは事実だしぃ? コレクションもまだまだ増やしたいしぃ?」

「まだ買うつもりなの!?」

 ヘラヘラ笑って言うセレスタに対し、オルガマリーは呆れたような驚いたような声を出す。

「コレクション、ですか」

「日本のちょっと旧いコンパクトカー集めるのが趣味なんだって」

 意外そうに言ったマシュに、気力が削がれたような様子の立香がそう言った。

「カローラII(2)(あか)のリトラのGPターボ~状態確認は他人(ひと)に頼んだけど、今から現物見るのが楽しみで楽しみで」

「ノーコメントだ」

 カドックはそう言って、片手で頭を抱える。

「でもまぁ、趣味があるくらい余裕がある人生なら、性格変わって見えるようになるものかもしれないな」

 ムニエルが苦笑しながら言った。

「再会できた喜びが大きいのは解るけど、そろそろ本題に移っていいかな?」

 ダ・ヴィンチが言った。

「あ、はい」

 立香が言い、ダ・ヴィンチ自身も含めたエリア51探索班は、改めてゴルドルフと向かい合った。

 ……………………

 …………

 ……

「なるほど、エリア51での出来事はだいたい把握した」

 ゴルドルフが真顔で言う。

「…………マリスビリーはやはり死んでいたか」

「ええ」

 やはり、先程から一転、真面目な表情でセレスタが言う。

「カルデアスを使って死亡を偽装した可能性もそれなりにあると思ってたけど、その推測は外したみたいね」

「『生涯をかけた目的を達成した以上、現世に未練はない』。時計塔の君主(ロード)らしい精神性であり、人生の幕引きだよ……──── と、言いたいところだが、実の娘と対照的すぎるな」

 ゴルドルフは、セレスタを見ながらそう言った。

「……私も汎人類史(前の世界)のままだったらその価値観から抜け出せなかったと思う。今でも理解自体はできるわよ。正しいとは思わないけど」

 セレスタも言った。

「マリスビリーを捕らえる、という事はできなかったわけだけど……でも」

「うん、そうだ」

 立香の言葉に、ダ・ヴィンチが続いた。

「もともとそれは期待薄だった。セレスタの見立てで、 “カルデアスを使って自身の死亡日をスキップする” という可能性が示唆されていただけで、それが元の前提に戻っただけだ」

「つまり、カルデアスとの直接対決って事ですね」

 立香が言うと、ダ・ヴィンチが頷く。

「とは言え、これからどうすりゃいいんだって話ですよ」

 ムニエルが、少し疲れたような表情で言う。

「カルデアスと対決するって、俺達はそのカルデアスの上にいるんですよ?」

「それは私に任せてくれていい……と、言いたいところなんだけど」

 セレスタは言うが、言葉の歯切れが悪くなる。

「この地表でできることは少ない……カルデアスと直接対決するにも、その核となる部分のところまで辿り着かないと……」

「その核というのはどこにあると言うんだ」

 ゴルドルフが焦れたような声を出す。

「…………アニムスフィアの冠位指定に、ヒントがあるんじゃないか?」

 ボソリとつぶやくように、カドックが言った。

「あ」

 セレスタがハッとする。

「そうか、そうか、こっちのカルデアス(わたし)を基準に考えてた。そうじゃない、アニムスフィアの、原点の理想と思想を元に考えればよかったんだ」

 そう言って、視線をネモ・キャスターに向けた。

「艦長」

「なんだい?」

 操縦区画との境から前方を見ていたネモ・キャスターが振り返る。

「プロフェッサーに計算させて。条件は ────」

 セレスタがネモ・キャスターに伝える条件を聞いて、ゴルドルフとムニエルは驚愕の表情になったが、

「うん、そうだ、そう言うことだね」

 と、ダ・ヴィンチはそう言って口元で笑い、カドックとともにそれを理解した様子だった。

「キリシュタリアも言ってたろう? アニムスフィアの秘伝 ────」

 

『天体は空洞なり、空洞は虚空なり、虚空には神ありき』

 

 

 ストーム・ボーダー、前部甲板。

 ガチャッ、ガチャッ

 マシュが、甲板上の固定具に自身の装甲具足を嵌め。固定する。

「ひゃー……やっぱり空は風が強いな。吹き飛ばされないかい? マシュ」

 ハベトロットが訊ねる。

「はい、大丈夫です。両足は固定しました」

 マシュは言う。その表情は真剣そのものだが、険しい。

「それよりハベトロットさんの具合はどうですか? 盾にも相当の負荷がかかっている筈ですが……」

 セイバーに騎位(クラス)転移(シフト)したマシュだが、小型化された円卓の盾は副武装としてマシュの左腕に取り付けられている。

「盾の状態も辛いけど、それよりこっちの地球の空気のが辛いかもだ。ボク達を拒絶している。と言うか、認知されていないのかも」

 ハベトロットはそう言った後、

「マシュも今は完全なサーヴァントだろう? 影響は受けてないのかい?」

 と、問いかけた。

「…………私は、若干の抑圧は感じる気がしますが、抵抗に感じる程ではないです」

 マシュはそう答えた。

 それを聞いて、ハベトロットはハッとしたようにマシュを見直す。

「そうか……うん。ボクはかなり現界しにくくなっている。多分、ここから先はもっと厳しい! 守護妖精としてキミを守れるのはここまでかもだ」

「はい、ありがとうございます。私は大丈夫です。今の私は ────」

 

「── ()()()()()()()()、なのですから」

 

「しかしホントにいいのかねコレ!?」

 管制室では、ゴルドルフが緊張した表情で、その緊張を緩めようとする口調で言っている。

「カルデアスを駆動する核が惑星の内部にある、という話はまぁ理解できるとして、だからといって物理的に突入する、というのは、無茶というか自殺行為なのでは!?」

『心配はありません。解析、立証は済んでます。シバの観測結果も「虚空(なし)」だと』

「キツネノメの観測結果も同じ。惑星のコアを含む地圏の95%が空洞って事」

 ネモ・プロフェッサーとセレスタが、相次いで答えた。

「ただ、そうと言っても地殻から内部に至るまでには魔力と空間の乱れが生じている層がある。そこを、艦体を防御障壁と時空泡で防護しながら、次元穿孔で突破するってわけだ」

 ネモ・キャスターが、妙に楽しそうに唇の端を吊り上げながら言う。

「楽観視はできねーが、一発でバラバラになっちまう事はないとも保証してやるぜ」

「どこまで安心していいのかな、それ!」

 ゴルドルフは、気が気でないような表情で、ツッコミを入れるように言う。

「それに、そもそも、地殻を切り裂くのは……キリエライト1人でできることなのか!?」

「彼女にやってもらうのが、今の目的に一番沿っているの」

 セレスタが言う。

「魔力炉と機関のコンディションは問題ないが……機関室の連中、ちゃんと配置についたな!?」

 ネモ・キャスターが、ネモ・ガールマーリン達に問いかける。

「配置完了してます、マム!」

「よし、…………マシュに伝えろ、『おっぱじめろ』」

 

 セイバーへと騎位(クラス)転移(シフト)した時の不安は、最初に剣を抜いた時に霧散した。

 かつてギャラハッドが自分の中にいたときのように、戦い方、宝具の展開法が、自分の頭の中に鮮やかに展開され、そして、身体はそのように動いた。

 それは最初、異聞(しん)世界の不可視の本質、英霊の座が存在する “整然たる混沌の渦” からもたらされるものかと思っていた。

 いや、それ自体は間違いではなかったのだと思う。

 だけど ────

 宝具として与えられた剣とその技。

 ギャラハッドの伝承にある、選定の剣の名前を冠したそれは、自分の中から湧いて出てくる不思議な力だと思っていた。

 だけど。

 立香(せんぱい)が、新しい世界の為に戦うと決めた時。

 二度目の冬木で、セイバーオルタと戦った時。

 そして、セレスタの精神(こころ)が汎人類史の所長(オルガマリー)と知った時。

 その力の正体を知った。

「第3宝具、展開 ────」

 それは、心を持った星の力。

 

「── 『勝利を必す運命の剣(エクスカリバー・オブ・カルデアス)』」

 

「なんだかこっ恥ずかしいわねー、もう……」

 





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ネモ・ガールマリーンの衣装について

  • 原作マリーンと同じ短パン
  • スカートにしたら?
  • ちょい色気のあるショーパンにならない?
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