Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
ストーム・ボーダー、サーヴァント並列召喚システム。
『まだ不具合は直らないか!?』
艦内通信越しに、ゴルドルフの訊ねる声が聞こえてくる。
「ダメです! 動作不良解消されません!」
マーカスがまず声を上げる。
その間に、基盤を覗き込んでいたオルガマリーが、装置の筐体内から這い出してきた。
「術式の一部を修正したら、霊基グラフを読み込むようにはなったんだけど、肝心の召喚式が途中で止まっちゃうのよ!」
オルガマリーが通信に向かってそう返した。
通信の相手がダ・ヴィンチに代わり、
『外的要因かも知れない。周囲は地球じゃない、カルデアスの概念の中にあるんだ』
と、険しい表情で言った。
「もうちょっと弄ってみる」
『それはいいが、これから荒事になるかも知れない、作業するなら気をつけてくれ!』
今度はネモ・キャスターの声が通信越しに聞こえてくる。
「なにか始まってるの!?」
アストルフォが訊ね返す。
『
「!」
筐体内を再度覗き込もうとしていたオルガマリーの動きが止まり、振り返る。
「アストルフォ」
「えっ」
「行ってきて」
「でも……」
オルガマリーに言われ、アストルフォは一瞬躊躇し、オルガマリーと、通路の方とを交互にキョロキョロと見てしまう。
『艦内は大丈夫だ! あたしが保たせる!』
ネモ・キャスターが言ったのを聞いて、アストルフォは、
「──── ッ、解った、行ってくる」
後ろ髪を引かれる様子を見せながらも、通路を飛び出していった。
ストーム・ボーダー前部甲板 ────
いや、そこに
立香はそんな感覚に置かれていた。宙に浮いているのか、きちんと立っているのか、その感覚がぼやける。魔術礼装の防御がなければ、もっと酷い事になっているのかも知れない。確実に感じられるのは、隣にカドックが立っている事ぐらいだ。
「これ……どうすればいいって言うんだい?」
前に出ているブーディカの声が聞こえてきた。
前方に見える、虹色に光る花のような存在。金属質に見えるのにうねっているように見える。
それはまだ簡単に届かないところにあるのか、それともぶつかりそうなぐらい間近にあるのか、それすら立香には曖昧に捉えられていた。
「今見えているのは外殻だろう。ダメージを入れるにはまずそれを剥ぎ取る。アナスタシア、頼む!」
カドックが言うと、それに
「この
固有結界には至らないものの、凍てついた都市の概念が、相手に向かって投影される。実際の温度の問題ではない。アナスタシア・オルタが操る凍結の概念を、彼女を
虹色の花の表面が凍てつき、その動きが止まる。
「はっ!」
アナスタシア・オルタは、そのまま、凍りつかせたその存在に向かって、手にしていた霊装AKを撃ちかける。
パキンッ、キンッ、パキンッ
まったくのノーダメージというわけではないものの、劇的に外殻を砕くには威力が足りていない。
そこへ ────
「独善の王! 復讐の炎で灼かれろ! 『
ブーディカが迸るかのように迫る。なお凍てついたままの相手の、花状のその中央部に、神殿の柱ほどもある赤黒い炎の槍を突き立てる。
パキ、パッキィィン
凍りついていた表面の殻が、砕け、剥がれ落ちていく。
「ハーッ!!」
ブーディカに続き、エスィルトが飛びかかっていく。
「『
それは直接の打撃技ではなかったが、エスィルトの剣が赤い光を帯び、その剣を大振りにして斬り裂く。
「『
スッ
「よーし! ボクもいっくぞー!」
後から到着した彼が、光の如く一気に相手に迫る。
「舞ってまーす! 巻きつきまーす!
アストルフォが握る、網の名を持つ蛇剣が伸び、渦を巻くように広がる。外殻が剥がされた相手の本体を、広範囲に渡って斬り裂き、抉る。
アストルフォが、相手に向かって正面に向かう軌道から逸れるように離脱した後、マシュが踏み込みかけて ────
『なるほど、貴方達の意志は解りました』
その物体が声を発しているのか、脳に直接響いてきているのか、立香にはどちらか解らなかったが、とにかく、相手の声が聞こえてきた。
『例外は認められません。旧人類史の痕跡を削除、異聞帯の遺物を消去します』
「まずっ!」
立香とカドックの後ろから声が発された。そこに、セレスタがいた。
「イケニの女王! 貴方防御できると言っていたわよね!? 早く展開して! マスター2人だけでも!」
セレスタは、そう言いながら、サーヴァント達より前に出ようとする。
「アンタは ────」
「早く!」
ブーディカが唖然とした表情で聞き返す言葉を、強い声で制する。
「アンタ達、あたしの後ろに!」
ブーディカが槍を掲げる。槍から炎が吹き出すが、それは『ヴィクトリアス・マトリアーク』の時と異なり、その穂先から放射状に広がる。
「『
炎はドームを形成し、ブーディカ自身、エスィルトとタスカ、そして立香とカドックを覆う。
「艦長! 聞こえてるんなら全力で逆噴射! 一旦離脱して!!」
セレスタは叫びながら、左手で手首を支えるようにして右手を掲げる。
唱えるような “声” が聞こえてくる。
『ここに、一片の余地もない完全な世界を。ロストベルト・ナンバーゼロ』
『「
「『
「エンジンリバース!! 全力!!」
「自分のスラスターの余波で艦体に傷が付きますよぉ!」
ネモ・キャスターの怒声に近い命令に、ガールマリーンの1人が悲鳴を上げた。
「構うもんか! あれに巻き込まれたら木っ端微塵どころかチリも残らないぞ!!」
ネモ・キャスターは更に怒鳴った。
「だけど ────」
今度は、操縦席のムニエルが悲鳴を上げる。
「ダメだ! 全方位から別の攻撃が迫ってる! こんなの回避なんか ────!」
「
前方の破滅から辛くも抜け出したところへ、ムニエルが言った通り全方位から迫る、巨大な魔弾のような攻撃を、後進のまま、捻りこみつつカーブを描く、アクロバットのような機動で回避する。
「クッ」
額を右手の指で抱えるようにしたネモ・キャスターが、表情を歪める。
攻撃を躱しきり、それが止んだところで、ストーム・ボーダーはスラスターを釣り合いにし、静止状態に入った。
「くっ……そ、流石に魔力炉、エンジンにあんな操縦までやるのは限界半歩越えてる……」
そう言いながら、ネモ・キャスターはよろめき、管制室の仕切りに寄りかかった。
「次、こんなのやられたら、流石に保証できねー」
「な、なんだったのかね、今のは……」
唖然呆然という様子のゴルドルフの声がする。
『ごめんなさい、私の想定が甘かった』
通信越しに、セレスタが申し訳無さそうに言う。
『私達をその存在の概念ごと無にしようとしたのよ……私がカウンターしたけど……』
「存在を無にすると……ソイツは弱っていたんじゃないのかね?」
ゴルドルフは、顔色を悪くしながら重ねて問う。
『全力を出せてないのは事実よ。そうでなかったらあなた達はとっくに消去されているわ。でも私が想定した程には制限されてなかった』
セレスタは、悔しそうな、苦悩しているような、
「し、しかし、キミの能力で防げた、という事じゃないのかね?」
『今のはね……でも、撃ち合いになったら、正直持久戦になったら流石に自信がない』
『これで解ったでしょう?』
ゴルドルフの縋るような声に、セレスタが苦しそうに答えると、そこへ “声” が割り込んできた。
『貴方
前部甲板。
「ごめんなさい、本当に私のミス」
セレスタは、髪をかきあげる仕種をしつつも、立香を見上げて、申し訳無さそうに言った。
「私……私は……────────
最初は「生きるため」だった。
時間神殿で、ゲーティアにそう答えた。
その次の旅は「取り戻すため」だった。
いつも最悪の状況だった。
そう言い聞かせなければ、戦えなかった。
でも。
“戻れる場所” ができたことで、
初めて、「守るため」に、「戦いたい」、と思った。
──── 嫌だ、嫌……私…………」
立香は、ボロボロと涙を零しながら、言う。
「諦めたくない……」
「…………」
マシュが、ブーディカが、甲板にいたサーヴァント達が、言葉もなく立香を見ているしかできずにいた。
しかし、やがて、
「…………解った」
と、セレスタが言って苦笑した。
「私が全力でぶつかってくる。勝機は五分五分だけど…………」
「セレスタさん!?」
泣きじゃくっていた立香が、顔を上げて、驚いた表情をセレスタに向ける。
セレスタは、その視線に背中を向ける。
「あなた達は、その間に離脱して」
「待って、待ってください」
立香は、慌ててセレスタの背後に駆け寄り、その片腕を掴む。
「貴方がいる世界を守りたいんです! 貴方がいなかったら意味がないんです! セレスタさん…………オルガマリー所長!!」
セレスタが振り返る。
「私も同じなの!
『まだ、理解が不充分なようですね』
“声” が割り込んできた。
『原初証明宇宙 支柱七
「っ……!?」
今は一時的に離れている核、メインシステムを取り囲むように、尖端の尖る空想樹7本が姿を表した。
『貴方
「そんな……私達が今までしてきた事って……」
マシュが、その光景を見ながら、愕然として、漏らすように声に出した。
「空想樹だけでも押さえないと、どうしようもない。でも、もう追加の戦力は……カルデアのサーヴァントを呼べないのでは……」
「カルデアの……汎人類史のサーヴァント……」
マシュの言葉の一部を、立香は、目を
そして、甲板に手を向ける。
「
素に銀と鉄。 礎に石と契約の太閤
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、
「先輩!?」
マシュが驚いた声を出す。
「召喚は……────」
うん、これは、賭けだ。
でも、今起きているのが、
世界の不可視の本質、 “整然たる混沌の渦”。
英霊の座があるそこは、並行世界までもから流れ込む、想造、空想、妄想が情報の載ったエネルギーとして流れ込む坩堝。
だから、あの戦いも流れ込んできているはず。
あの、誰も知らない、
幻想の寄るべに従い、この意、この理に従うならば
だから、汎人類史には絶対にいない、
このカルデアスが認識するはずのない、
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
我が記憶の奥底より蘇り、
汝三大の言霊を纏う七天となりて、
整然たる混沌より来たれ、灯籠の守り手よ ────!
「召喚、が、発動、する…………!!」
マシュが、呆然とそれを見ていると、その光の中に、その人物が現れた。
「そんな……先輩、先輩、こんなことって!!」
「まいったな。僕を、この姿でサーヴァントにしようだなんて無茶苦茶だ。本質は写し取った情報とは言え、こんな形で再会するなんてな…… まぁ、しょうがないか」
カルデアの制服に、白衣を着けた長身の男性は、決まり悪そうに言ってから、表情を引き締める。
「サーヴァント・キャスター、ロマニ・アーキマン、召喚に応じ参上だ」
アストルフォ(sabre)/No Event Version
https://x.com/kaonohito2/status/2030600142215344167
シュヴァリエ・デオン(assassin)
https://x.com/kaonohito2/status/2030613904502792660
どうしても「銃と正装」ってーとルパン三世の影響が抜けねーな……
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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Discordは「一時メンバー」となりますので、私のオフライン時に来られた方は、「エントランス」及び「一時メンバーの連絡用チャンネル」のアナウンスに従って必要事項を書き残してください。
ネモ・ガールマリーンの衣装について
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原作マリーンと同じ短パン
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スカートにしたら?
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ちょい色気のあるショーパンにならない?