Resurrection of Rising Sun ~Failed Grand Order 作:神谷萌
キャラヘイト要素ありです。
『支柱七樹 消滅しました。 疑似宇宙の構築は停止されました。外部からマリス・カルデアスへの接触が可能となりました。対応指示を出してください』
ナビゲーション端末が告げる。
「現時刻を以て空洞世界の全演算を破棄します。リソースを宇宙の更新のみに」
マリスはそう、淡々と告げるが ────
『警告します。その手段では第8異聞帯の情報は消去することができません。敵性疑似宇宙体セレス・カルデアスによる宇宙更新が実施されます』
「いいえ、阻止する方法はあります。人間の醜い心を、今は利用します」
端末の警告に対して、マリスはそう答えた。
「私は絶対の人理、私の存在を最優先する事でこの危機的状況を回避します。私の稼働を止めることは許されません。私が稼働し続けることが人類にとっての幸福です」
ストーム・ボーダー管制室。
「全ての空想樹の切除を確認! 空洞惑星の中心、マリス・カルデアスの霊基反応を観測可能になりました!」
ガールマリーンが報告する。
「証明宇宙の消滅により空洞が収縮を始めています! 今なら最大戦速で、5分で到達可能です」
それを聞いて、ゴルドルフが笑顔になる。
「ついにチャンスが来たか! 総員、よくここまでやってくれた! 見たところ、もう我々を迎撃できる武装は無いようだ。接近する前に休息を入れよう。最後の最後でミスを犯しては無意味だからな」
「…………でも」
立香が、怪訝そうなと言うか、どこか険しい表情で言う。
「追い込まれているのは解っているのに、どうして動かないんだろう?」
「それもそうだ」
立香の隣にいた、カドックが言う。
「慎重とは少し違うが、今までの行動は明らかに臆病者のそれだった。ハイそうですかと機能停止や破壊を受け入れる相手じゃないはずだ」
「で、ではまだ、奥の手を残しているというのかね!?」
ゴルドルフは緩んでいた表情を険しくし、問い質すように言った。
「いえ。ただ、何もできないのよ。今は ────」
セレスタが、そこまで言ったときだった。
『カルデアの、汎人類史の皆さん』
マリスの “声” が伝わってきた。
「!?」
『提案があります。今一度話し合いましょう。貴方
ゴルドルフが、忌々しそうに表情を歪める。
「この期に及んで提案だとぅ!? 我々を殺すつもりで攻撃してきておいて、虫が良すぎる話ではないかね!?」
『勘違いなさらないように。私には、まだ貴方方を消去するだけの力は保持しています』
「…………ウソだと思わないほうがいいわ」
マリスの言葉に、険しい表情のセレスタがそう言った。
「むぅ……」
渋い表情をしたゴルドルフだったが、
「で、では提案とやらを聞こうではないか。我々は紳士だからな」
と、言う。ただ、表情から不快感は消しきれていなかった。
『それでは』
マリスはそう言ったかと思うと、 “異星の巫女” の姿になって、ストーム・ボーダーの管制室に姿を表した。
「貴方方も既に解析しているでしょうが、空想樹の喪失によって宇宙の更新に充分なリソースを確保できていません」
「可能かどうかはわからないけど、リソースの大半を喪失したっていうのは、本当の事だろうね」
マリスの言葉に、ダ・ヴィンチが返す。
「そこで、提案というのは、汎人類史を一旦、貴方方に返還する、というものです」
「!?」
その場にいた、主だったメンバーの顔色が変わる。
立香が、そっとブーディカの傍に寄った。
「そ、それは本気で言っているのかね?」
ゴルドルフが、目を
「はい」
マリスは、単調な様子で答える。
「……なんの交換条件もない、という訳ではないんだろう?」
ダ・ヴィンチが、胡散臭そうに目元を険しくしながら問い質す。
「交換条件と言いますか、汎人類史を復旧するためには、マリスビリー氏が
「…………カルデアの歴史が……ここまでの私達の経験が、なかった事になる?」
マリスの説明を聞いて、立香が問いかける。
「残念ですが、それは必須条件になります。ですが、貴方方が望む汎人類史本来の姿になるだけです」
「…………」
「…………」
葛藤の沈黙が、僅かに流れる。
誰もが息の詰まったような、唖然とした表情をする中、セレスタだけが、挑発するような、皮肉めいた笑顔を浮かべる。
「……そうして、
「いずれにせよ、第8異聞帯は人理の継続の障害。再構築の際に切除します」
マリスは、動じる様子もなく、そう答える。
「…………」
「…………」
再び、緊張した沈黙が僅かに流れる。
「汎人類史の皆さんにお伝えしておきます。セレス・カルデアスもまた、宇宙の更新を企図しています」
「な!?」
ゴルドルフが、ダ・ヴィンチが、カドックが、ムニエルが、その場にいたメンバーの殆どが、驚愕に目を剥いてセレスタを見る。立香とデオンだけが動じていない。
「それは否定しないわよ。でも、私は冠位指定の矛盾を解消するだけ。人間も、全ての生命も、都市も、国も、 “
セレスタは、驚いた様子もなく澄ました表情でそう言った。
「冠位指定の矛盾って、それはどういう意味だい?」
唖然とした表情から俄に眉を険しく歪ませ、ダ・ヴィンチが問い質す。
「もうここに現に矛盾があるじゃない。『天体は虚空なり』。その理想モデルと言いながら、完全に空虚なカルデアスは1体として存在しない」
「!?」
ダ・ヴィンチの表情が、再び驚愕に目を見開いたものになった。
「スキャンダルでこの世界の
「そ、そりゃ、今の世界のマリスビリーが隠居なんかしちゃうわけだ! 現に
ダ・ヴィンチが声を上げる。
「そう、私はそれを是正したいだけ。アニムスフィア家の人間としてね」
セレスタはそう言ってから、立香に視線を向ける。
同時に、マリスも立香に視線を向けた。
「立香、あなたはどっちを選ぶ? “人類最後のマスター”」
「藤丸立香、あなたの家族も、友人も、誰ひとり欠けていない世界に戻りたいでしょう?」
「わたし、私は ────────
人理焼却からの特異点修復の旅。苦しかったが、輝かしい日々。
異聞帯切除の旅。消される運命の世界の人々との約束。
それを、
──── 私の過ちも、罪も、消しちゃいけない。無かった事にはできないよ!」
「…………そうか、そっちを選ぶか」
誰かが反発の声を出す前に、ゴルドルフがそう言った。
「僕も賛成だ」
カドックが言う。
「僕達クリプターの罪を消すべきじゃない。何より、マリスビリーの罪、カルデアス地球人の罪を消すべきじゃないんだ! それは教訓とすべき犯罪の消去だ!!」
「セレスタさん」
立香の声に、セレスタが頷く。
その口から、柔らかくも厳とした声が紡がれ始める。
星の形。宙の形。神の形。我の形。
天体に魂有り、魂に心あり、其の隣に神ありき。
『やめなさい! やめろ!!』
マリスの声が響くと同時に、虹色に輝く花のようなメインシステムのコアが蠢く。
「させるか! 斉射!!」
ストーム・ボーダーの前部甲板から、9つの光条が迸り、それがメインシステムに突き刺さる。命中箇所が剥がれるように崩壊する。
「億光年級のきさまに対して、万光年級の私だが、時間稼ぎぐらいはできるさ」
少しだけ緊張に引きつらせつつも、不敵に笑いながら、大和は言った。
Stars Cosmos Gods Animus
Primal ReBirth Anima Animusphere!!
「なにが……」
起こったんだ、と、ゴルドルフが言いかけた時。
ストーム・ボーダーの外側から、周囲に向かって、不思議な色の光が広がっていく。
『Error Error Error 宇宙の定義に深刻な逸脱が発生しました 新しい定義を設定し直してください 定義の自動補正の範囲を逸脱しています 新しい定義を設定し直してください 新しい定義を設定し直してください……────』
「…………」
大和が見据えていた、マリス・カルデアスのメインシステムのコアが、虹色の輝きを失っていく。金属のような光沢も喪われていき、石化と言うべきか凍結と言うべきか、硬化した動かぬ存在へと変わっていく。
「今の詠唱は、まるで……」
ダ・ヴィンチが、唖然としたままの表情で呟く。
セレスタが視線をダ・ヴィンチに向けて、不敵な笑みを浮かべた。
パンッ
乾いた発砲音、セレスタの、左の胸が赤く爆ぜた。
「な!?」
立香やゴルドルフ、ダ・ヴィンチが驚愕の声を上げる。
「そこ! 逃さない!!」
朝日が、コンソールの並んでいる中で、そのひとつに向けて、クレーンを実体化させて伸ばし、その通路を塞ぐ。
タッ
アナスタシア・オルタが飛び出し、朝日のクレーンが伸びたその先に立つ。
クレーンの下をくぐり抜けようとした、その人物に対してアナスタシア・オルタが霊装AKの銃口を突きつけた。
同時に、その人物もアナスタシア・オルタに、先程セレスタに対して発砲しただろう拳銃を向ける。
その人物を見て、
「シオン!?」
と、声が上がった。
「セレスタさん!」
立香は、先にセレスタに駆け寄った。
「シオン、どうしてこんな事を……」
セレスタを支えるようにしながら、立香はシオンに問う。
「簡単なことですよ」
アナスタシア・オルタに銃口を向けられたまま、シオンは、そう言いつつ、立ち上がって管制室が見渡せる場所まで出てくると、悪びれた様子もなく、口元で笑いながら言う。
「
「シオン、君はまだ、汎人類史を戻す事を……」
「もちろん」
ダ・ヴィンチが訊くと、シオンは楽しそうに笑いながら言う。
「だが、確かにここには汎人類史のテクスチャは存在しているが、肝心の人類は存在していないのだぞ?」
ゴルドルフが、憔悴したような表情で問い質す。
「それは問題になりません。
シオンはそう説明するが、
「いや、今の世界の定着は “人類最後のマスター” の選択によるものだ。カルデアスを消しただけじゃそれを解消することはできない」
と、ダ・ヴィンチは唖然とした表情のまま、否定の言葉を口にする。
「ええ、ですから」
シオンは、満面の笑顔でそう言うと、アナスタシア・オルタが反応するより早く、銃口を立香に向けようとする。
「はっ!」
拳銃が上がったところで、それを鋭い蹴りがシオンの手から弾き飛ばした。
「こいつ!」
ブーディカは、吊っている細身の剣の方を抜き、シオンの首元に刀身を突きつける。
「カドックの仲間だと思って油断があった。次はない」
アナスタシア・オルタも、そう言ってシオンの後頭部に銃口を突きつけ直した。
「……お生憎様」
「セレスタさん!?」
立香が驚きの声を出す。セレスタはよろめきつつも、横の立香、背後のデオンの助けを借りず、自らの脚で立ち、皮肉な笑みを浮かべながらシオンを見据える。
「流石にちょっと苦しいけど……私はカルデアスと
「…………!」
シオンの表情から笑みが消え、一気に切羽詰まった顔になる。
「私の方が
セレスタは、口元で笑ったまま言った。
それに対して、シオンが言い返す。
「…………いいえ、あなたによる宇宙更新は認められません。日本の論理を適用した宇宙など、全ての魔術師への冒涜です」
「冒涜? しばしば命の冒涜を平気でやる、汎人類史の西洋魔術師や錬金術師に言われる筋合いはないわよ。まぁ私もかつては
セレスタは、まずそう言った後、
「何故、汎人類史では西暦以降の人理定礎が安定しないのか。何故、
「だから、日本式……」
立香が、気づいて声を出す。
「今の世界の
「……受け容れられない、受け容れられない、日本に見るべき魔術的技術はあるけど、そうでないもの、小さな島国で信じられている “生活者の宗教感情” の話に過ぎないもので、システムとして世界を扱う理論じゃない!」
シオンは頭を抱え俯く。ブーディカは剣をシオンから放したが、アナスタシア・オルタともども、警戒は緩めない。
「
「理解不能、理解不能、理解不能 ──── カットカットカットカット!!」
セレスタに突きつけられて、シオンは頭を抱えたまま苦悩しながら、膝も突いてしまう。
その時、
「もういいだろう、シオン?」
と、管制室に新たに入ってきた者が、そう声をかけた。
「キャプテン!」
ノウム・カルデアにとっては、異聞帯をともに巡った方のネモ、ネモ・キャプテンが、シオンのそばに寄る。
「君が認められないのは解る。君がカルデアを助けるためにどれだけのモノを捨ててきたか考えれば、この結果は君には納得できないだろう。ただ、それを知ってなお、僕のワガママを口にしてもいいだろうか?」
「キャプテン……」
シオンが視線を上げ、膝を突いた状態からネモ・キャプテンを見上げる。
決して身長が高い方ではないネモだが、今のシオンに合わせて、軽く前屈みになる。
「君が生きている未来が見たい。カルデアの為に人類史から自ら異聞の存在になった事も、その先がなくなる事も受け容れて飛び出してきたことも知ってる。でも、今の僕は君が、カルデアの仲間と大団円を迎える事、そしてその先の君を見届けたい」
「…………」
それは、まったく彼女らしくなかった。
あるいは、とっくに彼女らしくなくなっていたのかも知れない。
「…………ぅ、あ……」
ネモ・キャプテンが手を伸ばすと、シオンはその手を自身の両手で取った。
「う、うぁ、わぁぁぁぁぁぁっ」
ネモ・キャプテンの手に縋って、シオンは泣きじゃくった。
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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ネモ・ガールマリーンの衣装について
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原作マリーンと同じ短パン
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スカートにしたら?
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ちょい色気のあるショーパンにならない?