SS級ギフト〈収納〉が無能と言われ無様に追放されたので奴隷メイドとともに復讐します!! 作:poyonight
「そうですか…ありがとうございます。こんな私をわざわざ起こしてくださいまして」
「いえいえ、私としては当たり前のことなので。でも、ありがとうございます。ここに泊まってくれて。絶対に満足させますからね」
どうして…彼女は私にこんなにまで優しく接してくれるのだろうか。私が欲しいの?それともやっぱり〈収納〉目当てなのかなぁ…いや、〈収納〉は私がわかっている通りの無能ギフトだからそんなことはないはず。
「はい、どうぞお召し上がりください!久しぶりのお客様だったのでいつもより腕によりをかけて作りましたよ!」
階段を下った先にはいくつかのテーブルとイスがあり、その中の一席に料理が置かれている。本当に今ちょうど完成したようであったかそうな湯気が上っている。あぁ…こんなにホカホカなものを食べるのなんていつ以来だろう…
私はそのイスに座る。目の前にある料理は柔らかそうなパンと、具だくさんの野菜がたっぷりと入ったスープに結構大きめのハンバーグが!どれもすごい完成度が高く、パーティで料理もしていた私でもこんなものは作れそうになかった。
…そうだ。私はみんなに頑張ってもらうために精一杯料理を作ってきたのに私の分はなかったんだ。私の〈収納〉には時間減速があるのをいいことにして食材を中に詰め込み、安全地帯で料理をする。でも私だけは時間といざという時のためにと食材がもったいないからと言われて保存食を食べてたんだっけ。そんなのが続いてたから、まともなものなんて本当に最近食べた記憶なんてない。
「ん?どうかしましたか?冷めてしまうまでに食べてみてください、美味しいですからね!」
「…いただきます」
私は言われるがままにまずはパンを一口食べる。その瞬間、私は感じたことのないような未知の味に襲われる。なにこれ…今まで食べてきたようなボソボソのパンと違ってちゃんとふわふわしてるし、変な酸味とか苦味もしないでほのかに甘い。しかもそれは何もつけていないのにである!大体いつものパンならたっぷりとジャムとかを塗って食べないとあんまりおいしくないのにこっちはむしろそれが必要なくていいなんて!
そのままスープを飲む。味付けは過剰ではなくもともとの野菜の味を引き立てるように作られている。でもそれが物足りたりないなんて思うことはなくベストな状態だといえる。野菜も一緒に食べると中までしっかりあったかいしちゃんと味が染みわたっている。
ハンバーグなんて言うまでもなく最高だといえる。フォークで少し切り込みを入れただけでおいしそうな肉汁がたくさん出てくる。それだけではなく口に入れると固くなく、それでいて柔らかすぎないほど良い柔らかさで本当に彼女が料理が上手いということが一番に伝わってくる。
「ごちそうさまでした」
…いつの間にか我を忘れて完食してしまった。少しだけ恥ずかしい。こんな自分が厚かましく無我夢中に食事に集中してしまうなんて。でもこれまでにもおいしかった食事は先にも後にもないと思う。すると彼女がすごいほどの満面の笑みでこちらを見ていた。少し怖いほどだ。
「どうでしたか…おいしかったですか?」
「うん、すっごいおいしかった」
多分、私は追放されてから初めてこんなに良いことが起こった。そして正の気持ちを一切恥じらうことなく放出することができた。それもこれも全部彼女のおかげだろう。
「ありがとうございます、では私は後片付けをしますのでごゆっくり」
「えっ、わた、私が片付けをするからっ」
私が後始末とかは全部やらないとみんなにもっと迷惑かけちゃうことになるからやらないといけないのに…店員さんがやってくれたなら私は何をすればいいの…いらないってことなの!?もしかして邪魔されたくないってこと!?むしろお前は何もしないことが一番の手伝いだっていうやつ!?あわあわ…
「大丈夫ですよ。あなたはゆっくりしてていいんです。あなたがお手伝いしたい気持ちは十分わかります。けれども私は店員、あなたはお客様です。それもお客様にさせてしまったら私が店員失格です…だからこの場は譲ってもらえませんか?」
ずるい…そういわれると私はこれ以上何も言えなくなる。分かってる、でも私の今までの行動がそれを押さえつけてるんだ。これも全部あいつらのせい!…でもそんなことより今日はもうゆっくりしたい。
「わかりました、では今日はこれで。ありがとうございました」
そう私が言うと彼女はまたにこっと微笑んでくれる。本当にどこまでもいい人だ。でも心の底からは信じることなんてできない。もしかしたら…ということが無限に頭から浮かんでは離れない。
そう思いつつ再び部屋に戻り、そのままベッドに寝転ぶ。
「明日…大丈夫かな…嫌だ、怖い、もしかしたら店員さんもあんなことしてくるかもしれないし…今日が全部夢だったらいいのに…そうだったら〈銀帝〉と一緒にいれるのに…」
そうありもしないとわかっていることを願い続けた。
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