クレムノスの殺戮者   作:同乗者

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更新が遅れてしまった25話目です。
ちょっと執筆サボり過ぎましたね...
これからも不定期の更新になりますが、エタる気は一切ないのでよろしくお願いします

感想、ここすき、どちらも大変励みになっています!
誤字報告も良ければよろしくお願いします。


決闘

 

 

 オクヘイマの復興作業を進めながら日常を過ごしていた俺たち。

 しかし束の間の休息は早くも終わりを迎え、俺たちは進軍を開始した。

 目的地はヤヌサポリス、狙いは《法》の火種。

 最早向かう所敵なしの今、高い士気を保ったまま俺たちはドロス平原へと踏み入った。

 だがそう順調にヤヌサポリスへ辿り着けるわけもなく、目の前に空に浮かぶ要塞が目に入る。

 要塞の下には無数の兵士が立ち並び、こちらの到来を待っていたようだ。

 その正体はクレムノス、彼らは俺たちと決着を付けるためにヤヌサポリスへの進軍経路のど真ん中に立ちふさがった。

 当然彼らを除かなければ俺たちは通れない。

 各自が手に武器を持ち、目の前の敵へと突貫する。

 そしてドロス平原が血で染まる戦いが始まったーーー。

 

「と思ったんだけど...どういう状況?これ」

 

 戦場の前線から遠く離れた本陣から、俺は戦場全体を観察する。

 どこもかしこも戦士たちが戦いあっている...それにおかしい所は無い。

 だが、そのどれもが命の取り合いとはまた別のもの...どちらかといえば競技のようなただ競いあうものになっていた。

 その様子は、遠い昔に見たクレムノス祭典を彷彿とさせる。

 それに思わず懐かしさを憶える────わけもなく、俺の頭は完全に困惑に埋め尽くされていた。

 

「なぁカイザー、俺って遂に幻聴だけじゃなく幻覚まで見えるようになっちまったのかな。

 それかもしかして相手ってクレムノスじゃなかったりする?」

 

「...混乱するのも無理はないが、いい加減に戻って現実を見ろ巡剣卿。

 アレは間違いなくクレムノスの軍勢だ。

 ほら、ニカドリーの眷属の姿も見えるだろう?」

 

「あぁ見えるさ、前線じゃなくって後方の方で突っ立てる姿がな!

 マジでどうしたクレムノス!?

 遂に馬鹿が一周回ってイカレちまったか!?」

 

「それが仮にも生まれ故郷に対する感想か?

 まぁ、それほどクレムノスの新王の影響が大きいのだろうな」

 

「..オーリパンってやつか。

 改革を進めてるって話だったけど..こんなに変わるもんなのか?」

 

「それほど力を入れてきたのだろうな。

 元々根付いた考えを打ち崩すのは容易なことではない、どうやら確かな手腕を持っているようだ」

 

 ケリュドラが笑みを浮かべながら戦場を見渡すと、俺もそれに続いて再度戦場に目を向ける。

 そして俺の目に映るのは、かつてのクレムノスとはかけ離れた姿。

 死して栄光を掴むその姿は消え去り、今は戦いそのものをただ楽しんでいるようにも見える。

 俺の頭の中にある光景と乖離が激しく、未だに受け入れることが出来なかった。

 

「クレムノスも...変わるんだな...」

 

「なんだ、巡剣卿は昔のクレムノスの方が良かったか?」

 

「そうは言ってねぇよ。

 むやみやたらに戦争を仕掛けるより、今の方がずっといい。

 ..でもやっぱり違和感が凄くてな。

 良い変化だってのに、素直に喜べないんだよ」

 

 俺の胸中は複雑なことになっている。

 困惑、喜び、寂寥...その他色々な感情が胸の内で渦巻いていた。

 この感情たちをどう片づけたものかと頭を悩ませるほどだ。

 

「良い変化だからといって喜ぶ必要もないだろう。

 子が巣立っていく親のようなものだ。

 その中には、喜びの中に悲しみも混ざっている。

 わざわざ混沌としたものを正す必要のないものも、世の中にはあるのだ。

 巡剣卿、それは自らの胸の内にしまっておけ」

 

「...はいよ」

 

 正直言って、ケリュドラが言っていることはよく分からない。

 だが、その言葉は確かに俺自身の血肉になるという確信がある。

 俺はケリュドラの言ったことを反芻しながら、戦場の観察を続けようと目を向けようとしたその時戦場に勇ましい声が響き渡った。

 

「火追いの殺戮者よ!!

 貴様に決闘を申し込む!!

 その身体にニカドリーの加護を宿しているのなら!!恐れることなく我が前に立つがいい!!」

 

「お呼びだぞ?巡剣卿。

 分かっているとは思うがやりすぎるなよ」

 

「言われなくてもまだ本調子じゃないからやり過ぎることもねぇよ。

 まぁ、程々にやってくるさ」

 

 俺は戦場に響いた挑戦状に応えるため。

 声の下へと向かう。

 そこに着く頃には、人だかりが出来上がり円形の闘技場が出来上がっていた。

 そして、そこに立つ人影が一人。

 見た目は若々しく、その片目には大きな傷跡が刻まれている。

 手には丸盾と直剣が握られており、威風堂々とした佇まいで俺を待っていた。

 

「来たか、殺戮者。

 よくぞ私の呼びかけに応じた」

 

「あんなにハッキリと呼ばれちまったら来ないわけにもいかないだろ?

 それで?アンタは俺のことを知ってるみたいだけど、俺はアンタのことを知らないんでね。

 教えてくれるか?」

 

「いいだろう、私の名前を貴様の魂に刻み込むがいい!

 我が名はケラウトルス!

 クレムノス王オーリパンの近衛兵にして《紛争》の戦士である!!」

 

 クレムノスの戦士、ケラウトルスは声高々に名乗り上げる。

 その声には、《紛争》への誇りや自信が垣間見えるものだった。

 ならば、俺もそれに応えるべきだろう。

 

「聖女の従者...若しくはクレムノスの殺戮者、ポネウス。

 別にポーネリウスの方でもいいけど、好きな方で憶えな」

 

「言われずともよく知っているとも。

 《紛争》を裏切り、《紛争》を打倒した者...クレムノスの戦士で貴様の名を知らぬ者は居ないだろうよ」

 

 互いの名乗りが終わると、どちらともなく得物を構える。

 お互いの一挙手一投足を見逃さないように目を光らせ、意識を張り詰めさせていく。

 俺とケラウトルスの集中は周囲の者たちにも伝播して、空気すらも緊張を強めていくのを肌で感じる。

 その緊迫した空気を先に打ち破ったのは、俺の方だった。

 

「フッ!!」

 

「なんのっ!!」

 

 俺は一息で目の前の戦士に近づいて両剣を振り抜く。

 ケラウトルスは少しだけ顔を歪めはしたが、落ち着いて自らに振られる刃を防ぐ。

 身体を逸らし、盾を構え、時には直剣で軌道をずらす。

 その戦い方には目立ったものこそ無いが、只管に堅実なものだった。

 手堅く、機を待つような戦い方は確かに本人の技量が感じられる。

 クレムノス王の近衛兵という肩書も伊達ではないのだろう。

 だが──。

 

「まだまだ俺には敵わねぇよ!」

 

「くっ....!」

 

 俺の絶え間ない連撃に徐々に守りが疎かになっていく。

 そこは流石に経験の差といったところだろう。

 確かに目の前の戦士は強い、それは誰が見ても明らかだ。

 何度も修羅場を潜り抜けてきたのだろう、数多の強敵と鎬を削ってきたのだろう、血反吐を吐きながらも戦ってきたのだろう。

 だが、それなら俺だって負けてはいない。

 どのような怪物であろうと、戦士であろうと....神であったとしても戦ってきたのだ。

 何が相手だったとしても負けるつもりなんてなかった。

 ましてや、剣を交える相手が同郷の戦士であれば尚のことだ。

 

「っ!舐めるなぁっ!!」

 

「!なんだよ、まだまだやれるんじゃねぇの」

 

「当たり前だ!

 クレムノスの戦士がただやられるだけだと思うなよ、殺戮者ぁ!!」

 

 しかし、ケラウトルスもただ大人しくやられている気は無いようだ。

 いつまでも守っているだけでは埒が空かないと思ったのか、俺の攻撃に割り込むように直剣を走らせるようになった。

 当然、攻撃の頻度を上げるということ守りは疎かになる。

 徐々にケラウトルスの身体には大小様々な傷が増えていく。

 だが彼は気にした風もなく、ただ愚直に己の獲物を振り続ける。

 そんな様子を見て、俺の口角は自然と上がりつつあった。

 命を取る必要のない特異な戦場に祭のような盛り上がり、そしてそこで戦う己という殺戮者。

 そのどれもが普段とは違った状況で、そのどれもが俺の気分を高揚させる。

 俺は湧き上がる歓喜のまま、両剣の刃を叩き込む速度を上げていく。

 

「ほらほら、まだ戦えるだろう!?

 やっと調子が戻ってきたんだ、早々にやられてくれるなよ!!」

 

「言われ....なくとも!!」

 

 際限なく振るわれる刃と刃、飛び交う血飛沫。

 そんな乱舞の只中にいても尚、俺もケラウトルスもどちらも笑みを浮かべていた。

 傍から見れば、どちらも気が狂ってしまったのかと疑うような状況。

 だが俺にとっては久しぶりの、何も考えずにただ剣を振ることに集中すれば良い戦場だった。

 余計な思考は存在せず、ただ闘争に耽る。

 それは凄惨な殺し合いよりも、何倍も価値あるものだった。

 しかし、その戦いも終わりが近づく。

 流石に無茶な戦い方をしていたからか、徐々にケラウトルスの反応が鈍くなってきていた。

 終わらせることに若干の口惜しさはある、だが一応は戦場である以上身勝手な真似は出来ないというものだ。

 だからこそ、動きを鈍らせてきたケラウトルスが次に隙を見せた瞬間に吹き飛ばすなりして終わらせようと意識を切り替える。

 

(いや、それで良いのか?)

 

 意識を切り替えようとした瞬間、ふと別の考えが頭に浮かぶ。

 目の前の戦士はかなりの実力者だ。

 今はまだ経験が足りていない面もある、しかし経験ならこれからも積んでいけるだろう。

 彼はこれ以降も成長を続けるのは間違いないと言える。

 ──だからこそ、今この場で息の根を止めるべきではないだろうか。

 どうせこれから先もクレムノスとの小競り合いは続くのだから、今のうちに脅威になりえる者を殺しておくのは間違ってはいない筈だ。

 まぁ彼を殺したら先ほどまでの空気は瓦解するのは目に見えている。

 そこから始まるのはいつものような凄惨極まる地獄絵図だろう。

 しかしそれはそれで別に構わない、なにせ大勢殺せるのだから。

 ──いや、殺すのではない。

 俺はただ奪うだけだ。

 足りないものを補うために、欠けたものを埋めるために、乾きを満たすために奪い尽くす。

 あぁ、それなら俺は「決闘の真っ最中に考え事とは随分と余裕があるようだな!!」

 

「っ!?」

 

 考えに耽っていた俺の意識が、ケラウトルスの直剣の一振りで引き戻される。

 その一振りに先ほどまでの勢いはない、だがそれには俺の命に届きうる可能性があった。

 それを本能で感じ取ったのか、俺の身体は反射的に回避を選択したようだ。

 .....いや、今はそんなことどうでもいい。

 俺は今、何を考えていた?

 先ほどまでの考えが消え去った代わりに、俺の頭は混乱の極みに達していた。

 殺すことを正当化して、それを望む。

 悪鬼の類としか思えない思考を己がしていたことに困惑を隠せない。

 今までに戦場で敵を殺していた時に気分が高揚することは何度もあった。

 だがそれは闘争に対するものだったはずで、殺すことへの歓喜ではなかったはずだ。

 だというのに先ほどの俺は確かに殺戮を望んでいた。

 何故、何故、何故、何故、何故。

 俺の頭は只管に疑問を挙げ続ける。

 思考は纏まらず、そんな頭では答えも出るはずもない。

 生まれ続ける疑問に答えは出されず、延々と堂々巡りを繰り返す。

 そんな状態では、頭だけではなく身体の方に問題が出るのも当然のことだった。

 回避行動を取らせたケラウトルスは、その隙を見逃さずに瞬時に俺に詰め寄ってくる。

 当然そこからは彼の猛攻が始まった。

 振って、薙いで、突き出しての連撃に思考が纏まらない俺は回避や受け流しに徹する。

 少なくとも一度落ち着けるまでそれを繰り返そうとして──目に映った光景を見てそれを取りやめた。

 俺が見たもの、それはケラウトルスの表情だった。

 その顔には勝利が得られるかもしれないという喜びも、希望も見られなかった。

 そこにあるのは怒りだけ。

 決闘の最中に考え事に耽り、明らかに本気になっていない俺への激しい怒りだった。

 

「....流石に、これはないな」

 

 彼の表情を見て、思考を一度捨てることにした。

 先ほどの異常を考えるのは後回し、今はただ目の前の戦士に報いることに集中する。

 そうして意識を切り替えたのと同時に、自らに振られる直剣に合わせて両剣を全力で振り抜く。

 鋼同士が甲高い音をたてると、ケラウトルスは大きく後ろに吹き飛ばされる。

 俺はその間に体勢を整えて、得物を構え正面を見据えて息を吐く。

 狙いを定め、意識を固めて尖らせる。

 目の前の相手を倒すために。

 

「さっきは悪かったなケラウトルス。

 こっから先は本気で行くぞ」

 

「急に余所事に意識を割いたと思えば....まあいい、貴様の本気など乗り越えて見せようではないか!!」

 

 再び丸盾を構えるケラウトルス目掛けて、先ほどの焼き増しのように正面から突き進む。

 彼は突進に合わせて直剣を振るうが、それは軽く身体を捻って回避する。

 そのまま捻った身体を利用して両剣の刃を走らせた。

 当然ケラウトルスは丸盾でそれを防ごうと構えるが....それは俺の狙い通りだ。

 彼の防御の腕前はかなりのものだ。

 その丸盾に幾度も俺の攻撃を防がれていた。

 ならば俺が狙うべきはまずは丸盾だと判断して、得物を振ると軋むような音が丸盾から鳴り響く。

 その音が生じた部分へと目を向けて、笑みが溢れた。

 確かに丸盾には歪みがあったからだ。

 俺はそのまま歪み目掛けて刃を叩き込み続ける。

 直剣を躱し、刃を合わせ、確かに歪みを広げていく。

 だが当然同じところだけを狙っていればケラウトルスも気づいてしまう。

 彼は丸盾だけではなく、身体を逸らしたり攻撃をいなすことで回避を続ける。

 しかしわざわざ刃から身体を動かして躱す以上、体力の消耗は先ほどよりも激しくなってしまう。

 このまま攻撃を続けるだけで、その内彼の体力も底をつくだろう──だが、本気を出すと言った手前そんな幕引きは認められない。

 相手の防御を正面から砕いたうえでの勝利か、体力が尽きた結果の不完全燃焼か──どちらを選ぶかなんて考えるまでもないことだ。

 例え躱されたとしても、強引に盾へと刃を走らせる。

 その際傷を負うのは避けられないが、多少の傷は気にしない。

 

「このまま、押し切る!!」

 

「させる...ものかぁ!!」

 

 執拗に攻撃を繰り返す俺に対し、守りながらも剣を振るうケラウトルス。

 その攻防は、間もなく終わりを迎えた。

 俺が一際強く両剣を打ち込んだ瞬間、盾の歪みが一気に大きくなる。

 形こそギリギリの所で保っているが、最早先ほどのように持ち主を守ることは叶わないだろう。

 そしてそれの持ち主であるケラウトルスは、盾が歪んだ際の一撃により体勢を崩していた。

 このままでは自らが直剣を振るう前にやられてしまう、そう考えると彼は一度後退する。

 俺は両剣を振り抜いた姿勢のままだったが故に、即座の追撃には移れない。

 周囲で決闘を見守る者たちは機会を逃した、そう思ったことだろう。

 

「逃がすわけねぇだろ!!」

 

 しかし、折角追い込んだ相手がわざわざ体勢を整えるのを待つほど俺は辛抱強くない。

 俺は振り下ろしていた両剣を担ぐように持ち直す。

 その間に一歩大きく前へと踏み込み、前方にいるケラウトルスへと狙いを定める。

 全ての準備を済ませた後は、狙った場所へと両剣を投げつけるだけだった。

 俺の手から離れた長尺の刃は凄まじい勢いでケラウトルスに迫る。

 それに直撃してしまえば、胴体に風穴が空くのは明白。

 体勢を整える間もなく襲い掛かる凶器を避けることも出来ずに、彼は正面から歪んだ盾で受けることを選択した。

 ケラウトルスが構えた盾に衝撃と共に両剣が着弾する。

 手には痺れが走り、盾が悲鳴を上げるが彼はそれらを無視して自らを襲う凶刃を弾き飛ばす。

 その代償に盾が完全に崩壊してしまう。

 だが、ケラウトルスは一切盾に目を向けない。

 今彼の目の前には自らに迫る二つ目の凶刃が迫っていたからだ。

 その凶刃は拳を構え、得物も持たずに突貫してくる。

 ケラウトルスには最早攻撃を防ぐ術はない。

 故に彼が取る手段はただ一つ。

 

「来い!殺戮者ぁ!!」

 

 迎撃、ケラウトルスが突貫する俺に対して選んだ行動だ。

 彼は俺に合わせて直剣を振り下ろす。

 俺の拳と彼の直剣、先に目標へと届いたのは──直剣の方だった。

 僅かに剣のリーチが勝ったが故の先手。

 それを活かすように直剣は俺の肩から胴体を袈裟切りにするような軌道を辿る。

 俺の拳が彼の胴体に届く前に俺の身体が裂かれてしまう。

 ならば、もう一手だけ行動を増やすだけだ。

 目標をケラウトルスの胴体から変えて、直剣の側面目掛けて拳を振るう。

 鈍い音と共に一瞬だけ拳と直剣の勢いが拮抗するが、一瞬の後に軍配は拳の方へと上がった。

 振り下ろされる筈だった刃は側面を殴られることで後ろへと弾かれる。

 結果として盾は無くなり、迎撃の手も止められた。

 完全に無防備になった胴体に前蹴りを叩きこむ。

 蹴りの衝撃によって、ケラウトルスの身体がくの字に折れ曲がったまま後方へと吹き飛ぶ。

 そのまま周囲を囲っていた人混みへと突っ込んだケラウトルスを少しの心配と共に観察する。

 どうやら意識は無くなっているようだが、息はしているようで一息つく。

 決闘の終わりを察した周囲は俺とケラウトルス、両者を称えるように歓声を上げる。

 俺はその歓声の中、ケラウトルスに弾かれた両剣を取りに向かう。

 地面に突き刺さっていたそれを手に取りながら先ほどのことを思い返す。

 

「.......マジで何だったんだ」

 

 思い返したが、結局答えは出ずに釈然としない気持ちが胸を満たす。

 周りの盛り上がりとは裏腹に、俺の頭は晴れないままだった。

 

 

* * *

 

 

 俺とケラウトルスの決闘が終わってからも、あちこちで両軍の戦いは続く。

 幸いあれから誰からも挑まれることも無く、自陣に戻った俺は戦場全体を観察していた。

 俺の目に映る戦場には怪我人こそあれ死傷者は存在せず、依然として祭りのような空気に満ちていた。

 ──その空気を、俺は壊すところだったのだと戦場を観ていると嫌でも思いだしてしまう。

 

「......」

 

 自陣に戻ってからというもの、先ほどの思考について考えているが全く纏まらない。

 あの急激な殺意はあれから全く姿を見せることなく今に至っている。 

 一時は気のせいかとも思いもしたが確かにあの殺意は本物だった。

 ケラウトルスの一撃で正気に戻らなければ彼の命を奪っていたのは間違いない。

 

「まさか『殺戮者』なんて言われ続けたせいとかか?」

 

 原因を考えている内に突拍子も無いことも口から出てくるようになってしまう。

 普段ならこんな事になった辺りでで考えるのを止めるのだが、今回はそうもいかない。

 自分自身の意思で制御が出来ていなかった上に急に発現した以上、下手に放置すれば何をしでかすか分かったものじゃない。

 だからこそこうして必死に頭を悩ませて無理にでも原因を探っているのだ。

 

「つっても思い当たる節なんて無いんだよなぁ....」

 

「...ポネウス、今大丈夫?」

 

「トリビー?いつの間に...いや、気づかなくって悪かったな。

 それで何か用か?」

 

 唸りながら考えていると背後から声がかけられる。

 声の正体はトリビーだったのだが、その顔は優れない。

 もしや考え事に没頭しすぎたせいで彼女に気付かなかったことを気にしているのだろうか。

 だがトリビーはただ心配そうに俺を見つめるだけで、特に咎めたりもしてこない。

 それでは決闘の最中に負った傷について心配しているのかと、慌てて弁明を試みる。

 

「あ~さっきの傷についてか?

 アレならもう治ってるし気にすることないぞ」

 

「ううん、その事じゃなくってね。

 さっきの決闘の時、様子がおかちかったでしょ。

 それに、こっちに帰ってきてもずっと考え事ばっかりで難ちい顔ちてたから」

 

「そういうことね。

 ..まぁ何というか、大したことじゃ「本当に?」...」

 

「本当に大変じゃないならいいの。

 ポネウスの事は信じてるち、嘘は吐かないって知ってるから。

 ..でもポネウスってば誤魔化ちたりはするでちょ?」

 

「それは...まぁ..うん、誤魔化しとかはするけどな...。

 ...分かったよ、全部話すから聞いてくれるか?」

 

 トリビーの指摘に思わず口を紡ぐ。

 彼女の言った通り、俺は先ほどの件について誤魔化そうとしていた。

 それはトリビーに余計な心配をさせたくない気持ちからくるものだったのだが、彼女には隠せないようだった。

 観念した俺は、決闘の最中に突如湧いてきた殺意についてトリビーに説明する。

 

「う~ん..やっぱり加護が原因なのかな。

 ポネウスが感じた強い『奪う』って気持ちの源泉は多分そこだと思うち」

 

「でも今までの三百年近くあんな状態になったことなんて無いぞ?」

 

「多分ジョーリアとの戦いの時に『天罰の鉾』を再現ちたからだと思うの。

 幾ら無理に真似ちただけでもタイタンの権能を再現するなんて何が起きても不思議じゃないち...」

 

 成程、と頷く。

 確かに天罰の鉾を再現した後は身体が碌に動かせなくなったりと色々な不調があった。

 その不調が加護にまで及んでいる可能性も完全には捨てきれないだろう。

 だが、もしも原因が加護であるのなら即座に対応は出来ない。

 だとしたら俺はこれから────

 

「軍から離れた方がいいのかね....」

 

「え?

 ど、どうちたの急にそんな事言うなんて...」

 

「いや今回は戦ってる最中になったけど次はいつああなるか分からないし...それに殺意の向き先がトリビーたちに向くなんて事があったら俺は自分を許せなくなる。

 そんな事になったら本当にただの獣と大差ねぇしな」

 

 多分、今から軍を離れてオクヘイマか昏光の庭に駆け込むのが最善なのだろう。

 殺意の矛先が親しい誰かに向いてしまう前に。

 ...そりゃあ軍を離れる事には抵抗はある。

 今のヤヌサポリスや《法》の火種、トリビーたちの事など気がかりな事柄が多くあるのだから。

 だがヤヌサポリスや《法》の火種はケリュドラが何とかするだろうし、トリビーたちは俺が居なくてもライアやセイレンスたちが居る。

 きっと俺が居なくなったとしてもそこまで大きい問題は無いはずだ。

 そう考えてトリビーに提案してみると、彼女の様子に違和感を覚える。

 俺がその違和感の正体に気付く前に、トリビーが慌てたように口を開く。

 

「で、でも離れる必要は無いんじゃないかな!

 多分だけど...戦ったりちないんなら加護の影響もそんなにない出ないと思うち...。

 それに何かあったらあたちたちでどうにかするからポネウスが離れる必要は無いよ!」

 

「...ト、トリビー?」

 

 トリビーは軍から離れる必要はないと捲し立てる。

 その勢いは長い付き合いの俺でも数える程度しか見たことが無いほどだった。

 俺自身、彼女の勢いに押されてしまいたじろいでしまい落ち着かせることも出来ない。

 しかし、何とか声を振り絞ってトリビーに声をかける。

 

「一回落ち着けってトリビー。

 そんなに慌ててどうしたんだ、らしくないぞ」

 

「あたちたちは!...あたちたちは.....ポネウスに離れてほちくないだけだよ。

 皆の所からも..あたちたちの所からも..」

 

「いやいや別に離れるつったって一生会えないってわけじゃないんだから、そんなに慌てる必要なんてないだろ。

 加護の不調を調べて、それも解決したらまたいつも通りだって」

 

「でもそれで解決ちなかったら、ポネウスは皆から距離をとるでちょ?」

 

「それは....」

 

「...今まで、ずっと一緒だったんだよ。

 ポネウスがこういう時どうするかなんて、あたちたちが一番分かってる」

 

「...でもしょうがないだろ。

 もし俺がトリビーたちに剣を向けたらどうするよ。

 それこそ俺を抑えられるのなんてセイレンスかライアの金糸ぐらいしかないんだぞ?」

 

「だったら尚更一緒に居た方がいいでちょ!

 何かあった時に止められる人が居ないと危ないだけだよ!」

 

「俺の為にアイツらに時間を割けってか?

 そんな邪魔になるような真似は御免だぞ」

 

「邪魔なんて...二人ともそんな事思わないよ!」

 

「二人がどうってより、俺の感情の問題だ。

 ...トリビー、頼むから聞き分けてくれ。

 火を追う旅だって別に離れても参加出来ないわけじゃないだろ」

 

「っ!!あたちたちが言いたいのはそういうことじゃ───!」

 

 俺がどれだけ説得しようとしてもトリビーは一向に聞き入れる気は無いようで、自然と俺とトリビーの言い合いが熱を帯びていく

 というか、こうしてトリビーと言い合いになること自体が珍しい。

 普段なら俺かトリビーたち、どちらかが先に折れるのだが今回はそうもいかないようだ。

 彼女の中で譲れない一線があるのか、トリビーは一歩も引かない姿勢を見せる。

 その一線が何なのか分からない俺はなんとかトリビーを説得しようと言葉をかけ続けるが、それが火に油を注ぐことになったのかトリビーの勢いを強めてしまった。

 そのままトリビーは、抱いた激情のまま口を開いて言葉を紡ごうとする────だが、いつの間にか近づいていた人陰に気付いてそちらを視線を向ける。

 その人影は動揺を隠せていないようでこちらを見ていたが、俺たちの視線が自分に向いていることに気付くとほんの少しだけ声を震わせながら口を開いた。

 

「師匠に師範も...何かあったのですか?

 声がかなり響いていましたよ」

 

「ライアちゃん!?

 えっと、ポネウスとはお話をちてただけだよ!

 その時に声が大きくなっちゃったみたい...ね、ポネウス」

 

「...あぁ、心配させちまったなライア。

 次からは気を付けるよ」

 

「...そう、ですか。

 いえ、ただの話し合いなら何も問題はありませんね」

 

 俺とトリビーの雑な言い訳に納得したように頷くライア。

 しかし、ライアの金糸の前に嘘は通じない。

 それでも彼女が納得した風にしてくれたのなら、それはライアの気遣いなのだろう。

 それに申し訳なさを感じながら、俺はライアに声をかける。

 

「まぁトリビーとの話し合いは置いておくとして、ライアは俺たちに何か用でもあったのか?」

 

「用件があったのは私ではなくカイザーですよ。

 それに、カイザーが呼んでいたのは師範だけです」

 

「俺だけ、か。

 今度はどんな命令をされるのやら」

 

「急いで行った方が下される命令は変わらなくても、機嫌が悪くなることはないでしょうね」

 

「そりゃ重要だな、とっとと行ってくるとするよ。

 ....トリビー、話し合いはまた後でな」

 

「...うん」

 

 俺は一声だけトリビーにかけると、急いでケリュドラが居る天幕へと向かう。

 その最中にも、先ほどのトリビーの顔が浮かんでくる。

 滅多に見ないトリビーの本気で怒った顔、それがどれだけ経っても一向に頭から離れることはなかった。

 

 

* * *

 

 

 今、俺の顔は間違いなく引きつっている。

 そう確信出来るほどの状況に、俺は単身放り込まれていた。

 目の前で座る若々しくも威厳を持った男が、こちらを値踏みするような視線を向けてくる。

 その視線は、戦士や賢人といった者たちから放たれるものではない。

 強いて言うなら、ケリュドラが時たま見せる王者特有のものだ。

 そうして暫くの間こちらを値踏みしていた男、現クレムノス王オーリパンは重々しく口を開いた。

 

「お前が殺戮者か、想像よりも随分と若い姿で面食らったぞ。

 ケラウトルスの報告を聞いたときは、頭にいい一撃でも食らったかと思ったのだがな。

 もしや、お前が戦場で血を浴びるように敵を殺すのはその姿を保つためか?」

 

「.......」

 

「ふむ、だんまりか。

 報告で聞く限りでは堅苦しい空気を嫌っていると聞いたからこそ、わざわざ余自ら冗談を言ってみたのだがな」

 

「いきなり見た目の若さについて振られても返し方が分かんねぇよ、ていうか冗談なのか判別できないし」

 

 先ほどの視線と威厳はどこに行ったのか、冗談とも本気とも取りづらい話を振ってくるオーリパン。

 それに対していつもの態度で返してしまったが、当人は気にした風もない。

 俺が想像していた改革を進める新しいクレムノス王の姿が、ガラガラと音を立てて崩れていくのを幻視する。

 

「...ケラウトルスは元気か?

 数刻前にぶっ飛ばしちまったけど」

 

「あぁ、奴なら目を覚ました途端に戦場に戻っていったぞ。

 何でも、お前との戦いを身体が忘れてしまわぬうちに経験を積むと言っていたな。

 まったく、王の親衛隊としての役割を何だと思っているのか」

 

「それを言うならアンタも人のこと言えないんじゃないか?

 確かラビエヌスと戦ってたって聞いたけど」

 

「あぁ、あの者も素晴らしい戦士だったな。

 技量、精神性共に高く練り上げられていた。

 ...出来る事ならお前とも手合わせをしたかったのだが、ケラウトルスとの決闘が終わるとすぐに自陣に戻ってしまったからな...残念なことだ」

 

 そう言って心底残念そうにするオーリパン。

 クレムノスの改革を進めていると聞いてクレムノス特有の性質は控えめだと思っていたが、どうやらそうでもないようだ。

 少しだけオーリパンの性格が見えた気がした俺は、気を取り直して早速本題に入ることにした。

 

「それで、クレムノス王が何だって俺を呼び出したんだ。

 それもわざわざカイザーに借りを作ってまで...一体何を考えてる?」

 

「...余は、お前に一つの提案を持ちかけるだけだ。

 それを受け入れるか否かはお前次第だがな」

 

「提案?

 それは──」

 

「単純なことだ。

 クレムノスに戻り、余に使える気はないか?」

 

「....は?」

 

 今、彼は何と言った?

 オーリパンの言葉は、確かに俺の耳に届いていた。

 ...届いていたにも関わらず、俺はその内容を理解出来ていない。

 その様子を見ていたオーリパンは少しだけ不思議そうな顔をする。

 

「それほど理解が難しい話ではないだろう。

 お前がクレムノスに戻るかどうかの話なのだから」

 

「...いや、おかしいだろその話。

 俺はクレムノスの軍を出奔してるんだぞ?

 そんな相手を王直々に呼び戻すとか、周りのお偉いさんが黙ってないだろ」

 

「それなら問題はない。

 まずお前が軍を出奔した時に司祭を務めていた者たちは既にその役職を終えている者が殆どだ。

 その上、お前はクレムノスに戻るだけの十分な功績がある。

 それがあれば異議を唱える者も出てこぬだろうよ」

 

「功績?

 そんなモノ、挙げた覚えは無いんだけど」

 

「第一次オクヘイマ包囲戦での活躍、トレートス平原でのニカドリーの撃破、オレノス高原でのジョーリアの討伐...他にもまだあるだろう」

 

 俺が今までにやってきたことをオーリパンは功績として挙げていく。

 確かに、彼が語ったものは功績という面では十分すぎるものだろう。

 特にタイタンに相対して勝利を収めた、というのはそれこそどんな偉業にも負けることはないものだ。

 武勇を誇るクレムノスの者たちを納得させる程度には効果があるだろう。

 

「...確かに、それなら文句は言われないだろうな。

 けど、一番大事なのはどうしてアンタが俺を連れ戻したいのかだ。

 アンタは俺に何をさせようとしてる?」

 

「...余がクレムノスに続く悪習を断ち切ろうとしているのは知っているな?

 血に塗れ、栄光を叫びながら殺戮を許容する...そのようなモノを余は終わらせたい

 だが改革には反発がつきものだ、それが古くから伝わるモノであるのなら尚更な。

 だからこそ、余には力が必要なのだ」

 

「力ねぇ...それが俺だって?」

 

「そうだ。

 余が改革を強行したところで、着いてくるものなど数が知れている。

 だがクレムノスの思想に囚われることなく、皆の先頭に立ち導くことが出来る者であるのなら話は別だ。

 余は、それをお前が適任だと判断した」

 

「過剰な評価じゃないか、それ。

 俺は誰かを導けるような人間じゃないぞ」

 

「...クレムノスにはお前の武勇を聞きながら育ってきたものも多い。

 《紛争》から逃げ出しながらも数多の武功を打ち立て、遂には我らの神すら打ち破った英雄...殺戮者の名は確かにクレムノス人の胸に刻まれている。

 その者が余の改革に付き従うのであれば、余の目的の成就も容易くなる...お前の勧誘はそういう目算だ」

 

 オーリパンの回答を聞いて、少しだけ考える。

 俺をクレムノスの改革に利用する、彼の思惑は理解した。

 だが、一つだけ懸念が残る。

 

「....俺がその提案を受けるとして、火を追う旅はどうなる。

 クレムノスが国家を挙げて協力してくれたりするのか?」

 

「...正式なクレムノスの帰還への許可では不満か?

 この提案を受け入れれば、お前の唯一といっていい汚点は拭えるのだぞ」

 

「生憎だけど、俺はそれを汚点だとは思ってないんでね。

 で、俺の質問には答えてくれないのか?」

 

「.....」

 

 オーリパンは先ほどまでの饒舌ぶりは鳴りを潜め、こちらを睨んで黙り込む。

 その反応で疑問に対する答えは十分出たのだが、今は彼の言葉を待つことにする。

 

「...少なくとも、改革が十分に為されればそれも一考に値するだろうな」

 

「要は協力する気は無いんだろ?

 それならアンタの提案は断らせてもらう。

 火を追う旅を辞める気は毛頭無いんでね」

 

 オーリパンの返答を聞いて、間を置くことなく彼の提案を切り捨てる。

 提案を断られたオーリパンは、大きくため息を吐きながら椅子にもたれ込む。

 その顔には、ぱっと見では分からないほどに複雑な感情が渦巻いているように見える。

 だがその煩雑とした感情の中にも、納得の表情が浮かんでいるように見えた。

 

「...一つ、聞いておきたいことがある。

 もし余が火を追う旅に協力すると言っていれば、お前は余の提案に頷いていたのか?」

 

「あ~どうだろうな?

 なんとなく協力しない気がしてたから聞いたんだけど...まぁ結局は断ってたと思うぞ」

 

「...火を追う旅に我々の武力を全面的に貸すとしてもか?」

 

「そりゃあクレムノスが力を貸してくれるんなら心強いけどなぁ、正直言って今の時点で俺らに勝てる勢力なんて存在しないだろ。

 そこにクレムノスの軍勢が加わっても流石に戦力過多だろ、それは。

 それに──」

 

「それに?」

 

「俺が帰る場所はもう決まってるんでね。

 今更クレムノスに戻るなんて選択肢は取らねぇよ。

 ...ニカドリーにも、次会うときが最後なんて言っちまったし」

 

「そうか...。

 はぁ...最初から負けが決まっている戦いだったとは思わなかったな。

 玉座に戻った時に来るであろう大臣たちの小言が今から億劫でならん」

 

「他人に弱みを見せるな、だっけか。

 ...なぁ、俺に弱みを見せてまで勧誘する価値はあったのか?」

 

「大いにあったとも。

 なにせ、幼き頃に憧れた戦士をクレムノスに連れ戻す好機なのだ。

 少しの弱みを見せるぐらいなら構わないとも」

 

 オーリパンは呆気に取られている俺の顔を見て笑い声を上げる。

 それにつられて思わず俺も声を漏らしてしまう。

 そうして、クレムノスの王と殺戮者の話し合いは瞬く間に過ぎていった。

 

 

* * *

 

 

 オーリパンとの会合が終わってすぐ、俺はケリュドラの元に向かい報告を終えた。

 その際に加護の不調についての報告も済ませたのだが、俺の扱いに関しては保留だそうだ。

 まぁ、それは置いておくとしてその後はトリビーたちを探し回っているのだが一向に見つからない。

 ──いや、完全に見つからないわけではないのだ。

 探している最中にトリアンを見かけることはあった...あったのだが、すぐに見失ってしまった

 というか、完全に避けられている。

 やはり先ほどの言い合いが尾を引いているのだろう。

 正直俺もあの後にどう話したものかと悩んでいたが、まさか話し合いの場にすら着けないとは。

 結局、クレムノス軍との戦いを終えてヤヌサポリスへと進軍を再開しても尚トリビーたちと話すことは叶わなかった。

 

 

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