Fairy Vanguard   作:TubuanBoy

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鉄の森
姉御と番長


 

 

「う〜〜〜ん………

"魔法の腕輪探し"に"呪われた杖の魔法解除"

"占星術で恋占い希望"!?"火山の悪魔退治"!!?

へぇーーーー依頼って色々あるんですね。」

 

「気に入った仕事があったら私に言ってね。

今、マスターいないから。」

 

様々な依頼書が貼り出されている依頼版の前で悩んでいるルーシィに看板娘のミラが言っておく。

マスターは地方のギルドマスターが集い定期報告をする定例会に出席する為出張していた。

 

「つーか早く仕事選べよ。」

「前はオイラたち勝手に決めちゃったからね。今度はルーシィの番。」

 

「冗談!!チームなんて解消に決まってるでしょ。」

「何で?」

「あい」

 

ルーシィは先日の本の破壊依頼の任務の時の事をいう。

 

「だいたい金髪の女だったら誰でも良かったんでしょ!!」

「何言ってんだ………その通りだ。」

「ホラーーーーー!!!」

「でもルーシィを選んだんだ。いい奴だから」

「……………///」

 

なんの含みもなく言われた言葉にルーシィは言い返せなくなる。

 

「なーに、無理にチームなんて決める事ァねえ

聞いたぜ大活躍だってな、きっとイヤってほど誘いが来るぜ。」

「ルーシィさん!僕らのチーム、Q4に入らない!?」

「ほら、フェアリーテイル最強チームからの直々の勧誘だぜ。」

 

チームの話になり、ナツとチームなんて止めておけと言うグレイ。

そしてQ4のリーダーのアイチが勧誘を始めた。

 

「雪山でも本の件での活躍、カイくんやカムイくんから聞きました。ルーシィさんなら皆んなも喜びます。」

「…………アレ?本の件ならともかく雪山の件ではほとんど何にもできなかったわよ?………」

 

「『ワザと敵に捕まって上手く敵の情報を掴んでくれた……』ってカイくんが褒めるなんて中々ないんだよ。」

「話を大きくしたのはあの人ですか!?」

 

何処からか傭兵二人もメイドゴリラも倒したのはルーシィであると噂が広がり、今や期待の新人である。

 

 

 

「あっ、でも五人だとQ5になっちゃうな………五つ葉のクローバーとかレア度がまた一段と上がるね。」

「そう言えばQ4の最後の一人ってどんな人?」

 

 

ピクッ!!!

向こうで日常茶飯事的な喧嘩しているナツとグレイもその名前を聞いて手を止めた。

 

 

「……………ああ、ルーシィさんまだミサキさんと会ったことなかったっけ。」

 

Q4最後のメンバーについて話そうとしているとナオキが走ってやってきた。

 

「ナツ!!!グレイ!!!マズイぞ!!!姉御と番長が帰ってきたぞ!!!」

「「あ!!!!!?」」

 

ズシン………ズシン…………

 

次第に音が大きくなりその場の誰もが息を飲む。

「…………俺、帰るわ…………」

危険を察知したロキはそそくさと帰っていった。

 

音の正体は巨大な角、それを赤髪で鎧を着た綺麗な女性が運んできたのだ。

共に入ってきたのも女性、銀髪で大胆なスリットのあるスカートを履いている。

 

「………ただいま。」

「今、戻った。マスターおられるか?」

 

「お帰り!!マスターは定例会よ。」

二人を迎えるミラ。

 

巨大な角は討伐依頼が出された魔物のツノを地元の者が綺麗に装飾した物らしいのだが、綺麗だからと持って来たのだと。

こんなバカデカイ物迷惑以外の何物でも無いが、二人の威圧感に誰も反論しない。

 

二人は自分達の事を棚に上げて日常的に空気を吸うレベルで素行不良をするギルドのメンバーを注意していった。

 

「また、問題ばかり起こしてるようだな。マスターが許しても私達が許さんぞ。」

 

「カナ………なんという格好で飲んでいる。」

「う………」

 

「イザキ、表でモリカワがノビてる。さっき、エルザに勝負を仕掛けて返り討ちにあってた。」

「……どこに行ったかと思ったら……世話がやける……………」

 

「ビジター踊りなら外でやれ、ワカバ吸殻が落ちてるぞ。」

 

「カイ、またそんな所で寝て、邪魔!!」

「zzzzzzz…………」

 

 

「全く………世話がやけるな。今日のところは何も言わないで置いてやろう。」

「(随分色々言ってたな…………)」

 

あの血の気の盛んなメンバーたちがただ注意を受けている現状に驚きながら二人を見た。

 

「……風紀委員か何かで?」

「エルザとミサキです。」

 

「風紀委員?あの二人はそんなんじゃねーよ。」

「え〜〜っと…………ナオキさんでしたっけ?

「ナオキでいいぜ!

あの二人は別名『妖精組の牡丹と薔薇』俺たち地元の不良間柄では裏で有名だからな。」

 

「ナオキ〜〜!!!!

変なこと吹き込んでじゃないわよ!!!」

「そっちの子は見ない顔だな。新人か?よろしく。」

 

「あっ!………はい……ナツとアイチくんの推薦で先日メンバー入りしたルーシィです………よ、よろしくお願い……します。」

 

先程のナオキの言葉に硬直するルーシィ。

 

「そう、身構えなくても大丈夫だ。ナオキが勝手に言ってるだけだ。

そんな事実どこにも無い。」

「でも姉御、火のないところに煙は立たないって………」

 

どごぉ!

ミサキはナオキに見事な上段蹴りをお見舞いする。

 

「ナオキ、いい加減にしないと蹴るわよ?」

「………もう、蹴ってます…………」

 

 

そこにアイチが他のメンバーと違い何の気負いも無く近づいてきた。

 

「エルザさんミサキさんお帰りなさい。」

「アイチか。留守中、良い子にしてたか?」

「エルザさん、ボクそんな子供じゃないですよ〜〜」

「フッ!可愛い奴め。」

 

ゴンッ!!

「痛っ!!」

所々仕草が乙女チックで可愛いアイチをエルザが抱き寄せるが鎧を着ている為逆に痛い。

「エルザ、アイチ痛がってる。」

「ああ、すまん。」

ミサキはエルザからアイチを取り上げ逆に抱え込む。

 

「所でナツとグレイはいるか?」

「あい」

 

「や……やあエルザ……オ……オレたち今日も仲よし……よく……や…………やってるぜぃ」

「あい」

「ナツがハッピーみたいになった!!!!!」

 

アイチとは正反対に二人はガチガチになって肩を組む。

二人とも昔、エルザにボコボコにされたことがあり、それ以来二人に取って恐怖の対象である。

 

「実は二人に頼みたいことがある。

仕事先で少々厄介な話を耳にしてしまった。

本来ならマスターの判断を仰ぐトコなんだが早期解決が望ましい私達は判断した。

二人の力を貸して欲しい。ついてくれるな。」

「え!?」

「はい!?」

 

エルザの言葉に二人だけではなく、ギルドのメンバー全員がどよめく。

あんな巨大な角を持つ怪物を倒せる二人が力をかりる自体なんて異常だ。

 

「腕に自信のある奴なのは勿論、それなりに頭数が必要なのよ。アイチも手伝ってくれる?」

「はい!ミサキさん!」

「カイも手伝っ…………」

「何者も俺の眠りを妨げる事は出来な………むにゃむにゃ………」

 

「寝言でも偉そうね。」

「やっぱりカイくんは凄い!!」

「………………(絶対に違うと思うんだけどな。)」

 

 

※※※※※※※※※※

 

マグノリアの駅

 

エルサとミサキに呼ばれたメンバーが集まっていた。

人が賑わう駅の中、不穏な空気を漂わせる者達がいた。

 

「なんでエルザみてーなバケモノが俺たちの力を借りてえんだよ。」

「知らねえよ。

つーか”助け”ならオレ一人で十分なんだよ」

「じゃあ、オマエ一人で行けよッ!!!オレは行きたくねぇ!!!」

「じゃあ来んなよ!!!後でエルザに殺されちまえ!!!」

 

「迷惑だからやめなさいっ!!!」

 

顔を合わせれば息をするように喧嘩を始めるナツとグレイ。

巻き込まれた大荷物の商人らしき人は可哀想だ。

 

ルーシィはそんな二人の仲裁を取るためにミラに頼まれついてきたのだ。

 

「あ!!エルザさん!!!」

 

ビクっ!!

「今日も仲良くいってみよー!」

「あいさー」

 

エルザの名前を聞くだけで態度が一変する。

いったい二人は今までどんな仕打ちを受けたのだろう。

 

「すまない……待たせたか?」

そこに現れたエルザの荷物を見てルーシィは驚く。

山のように積み上げられたカバンを引きずるエルザ。

 

「荷物多っ!!!

…………何が入ってるんですか?……………」

 

何と無く気になったのでルーシィはこの大荷物の中身を聞いた。

 

「ん?………女の旅は色々物入りなのはわかるだろ?私の場合は殆どが服だな。」

「服?…………」

「アイチに似合いそうな服も色々と持ってきた…………」

 

なしてアイチが関係しているのかわからなかったが、その答えはすぐに分かった。

 

「アイチくん?…………そう言えばまだ来ていませんね」

「いや、もう来ているが。」

 

あたりを見渡してもアイチの姿は見えない。

するとエルザの大荷物の陰からアイチが姿をあらわす。

 

「エルザさ〜〜ん…………もう、いいでしょ。着替えてきても…………」

 

出てきたアイチはなんとメイド服を着ていた。

可愛さを基調とし、フリフリをふんだんに使ったものであった。

 

「あ…………アイチくん……その格好………」

 

ハルジオンでも潜入の為、変装していたがここまでくると何か危険な香りがする。

 

「うむ、やはり私の身立ては間違っていないようだな!似合っているぞ。」

「う…………嬉しくないです……………」

 

アイチは同世代の中でも背は低く、顔も童顔で言動も乙女チック、ゆえにエルザにチョクチョク着せ替え人形にされていた。

 

ルーシィはまだ知らないがエルザにはコスプレの趣味が少しばかりあって、際どい服装やあざとい服装を趣味で着る傾向がある。

 

しかし、自分には似合わないと思っている服は買うだけで放置してあったのだ。

 

そこで目をつけられたのがアイチである。

アイチなら下手な女の子よりも可愛く、恥じらう姿もいい。

女装故の背徳感もまたそそられるらしい。

今ではアイチはエルザのお気に入りである。

 

ハルジオンでも抵抗少なく変装ができたのはエルザの日頃の行いの賜物である。

 

いや〜慣れって怖いですよねwww

 

 

 

「アイチ〜アイチ〜こっち見て〜〜。」

カシャ!!カシャ!!カシャ!!

「やめて!ハッピー!!撮らないで!!」

 

ハッピーがメイド服のアイチをどこからか持ってきたカメラで激写した。

本当にこのネコは自重という言葉を知らないのか…………

因みにこの写真は後日、匿名【黙示録の炎】が高値で購入していったとかなんとか………

 

 

「お待たせ……」

 

集合時間少し前に最後の一人ミサキが到着した。

 

「アイチ、ちゃんと約束は守ったみたいだね。」

「ミサキさん。もう、許してくださいよ〜〜」

「ダ〜メ!私達を置いてナツとハルジオンに行った罰として今回の仕事はその格好でやる事。」

「そんな〜〜」

 

どうやら今回は一緒に行く筈のクエストをほったらかしてナツとハルジオンに向かったアイチへの罰としてミサキとエルザが結託したようだ。

 

「心配しなくても良いよアイチ、とっても似合ってるから。」

「も〜〜、ミサキさんまで〜〜〜」

 

彼女達もまた、フェアリーテイルの魔導士。

ルーシィの言う真面な人間とは到底言えないのであった。

 

「(あ〜〜〜もう、受け入れるしかないのね〜〜ここには真面な人なんかいないって事を……………)」

 

ルーシィが何かを悟っているとアイチが助けを求めてきた。

 

「もう〜僕、これでも男なんですよ。似合うわけないじゃないですか。

ね?ルーシィさんもそう思うでしょう?」

「え?……私?…………」

 

ここでルーシィが否定すればアイチは助かるかもしれなかったが、ルーシィはアイチの謎の魅了に支配されてしまう。

 

可愛い服、童顔、女顔に加え。

羞恥心からくる恥じらいからくる不安そうな表情、瞳は涙でウルウル状態。

女の子顔負けの可愛さにルーシィさえもが苦し悶える始末であった。

 

「うっ!!……………わ、私も…………似合ってると…………思うかな…………(可愛い過ぎる!!)」

 

その様子を見たエルザとミサキはすかさずルーシィをそっちの道に引きずり込もうとする。

 

「確か、ルーシィって言ったね。流石、期待の新人、話がわかるじゃない」

「さあ……………こっち(・・・)に来るんだ………」

 

 

「それは謹んで遠慮します…………」

 

なんとか理性を保ち断ったルーシィだが、本能には逆らえない。

近い将来、ルーシィ・ミサキ・エルザで【アイチ完全包囲網】が完成する事になるのを誰も知らなかった。

 

※※※※※※※※※※

 

 

メンバーは全員、機関車にの乗り込み、目的地へと向かった。

 

乗り物という事は勿論…………

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

毎度の事ながらナツはグロッキーである。

見るに見かねたエルザは力技を行使した。

 

「仕方ない……」

 

ドスっ!!

 

エルザはナツの腹に拳を叩き込み気絶させた。

 

「これで少しは楽になるだろう」

「「「「………………」」」」

 

ルーシィは空気を変えようと、それぞれが使う魔法について聞いた。

 

「そういえばエルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

「エルザでいい。」

「エルザさんの魔法は僕と同じなんだけどとってもカッコいいんだよ〜〜」

 

アイチが嬉々としてエルザの代わりに答えた。

 

エルザの魔法は異空間から武器や武装を取り出す魔法、【換装】という魔法である。

 

「…………カッコいいか……嬉しい事を言ってくれるが私はグレイの魔法の方がいいと思うな。」

 

するとグレイは自分の魔法を披露する。

両手を合わせ、魔力を貯める。

すると中から妖精の尻尾の紋章を形取った氷の結晶が現れた。

 

グレイの魔法は【氷の造形魔法】、氷属性の魔力に形を与える魔法である。

氷は火の魔導士であるナツとは大局に位置する存在。

二人が仲が悪いのはそのせいなのかもしれない。

 

自分の魔法を引き合いに出されたグレイが本題に入るようエルザに言った。

 

「つーか、そろそろ本題に入ろうぜ、エルザ。

いったい何事なんだ?」

「そうだな話しておこう。」

 

エルザは先の仕事であった事を語り出した。

一緒に行っていたミサキは説明をエルザに任せ、自分は本を読んで暇をつぶしている。

 

※※※※※※※※※※

 

先の仕事の帰り、ミサキが欲しい本があるから買い物にいきたいと言い出した。

エルザはそこまで本が好きと言うわけでもないため一度別れ、魔導士がよく集まる酒場で待ち合わせをすることにした。

そこで気になる連中をみかけたのであった。

 

『コラァ!!!酒遅えぞ!!!」』

『ビアード、そうカッカすんなよ。』

『うん』

 

四人組の柄の悪そうな男達がいた。

 

『これがイラつかずにいられるかってんだ!!!』

『せえっかくララバイ(・・・・)の隠し場所を見つけたのにあの封印だ!!!

何なんだよあれはよォ!!全く解けやしねぇ!!!』

『バカ!声がでけぇよ。』

『うん、うるせ』

騒ぎ立てる男とそれに対し怒る男が二人。

 

すると最後の一人の男が口を開いた。

『あの封印は人数がいれば解けるなんてものじゃないよ。

後は僕がやるからみんなはギルドに戻ってるといいよ。

エリゴールさんに伝えといて、必ず三日以内にララバイ(・・・・)を持って帰るって』

『マジか!?解き方を思いついたのか?』

『おお!!さすがカゲちゃん!!!』

 

そうしてその男は席を立った。

これがエルザが仕事先で遭遇した事だ。

 

※※※※※※※※※※

 

「ララバイ?」

「子守唄……眠り魔法か何かかしら……」

 

封印されている事から強力な魔法であると思われるが、しかしそれだけでは仕事かもしれないため気にする事もない。

しかし、エリゴールと言う名をミサキに聞き覚えがあり、後でミサキに確認すると驚くべきことがわかった。

 

魔導士ギルド 【鉄の森(アイゼンヴァルト)】のエース。【死神 エリゴール】

 

暗殺系の依頼ばかり遂行し続けついた字名、本来暗殺依頼は評議会の意向で禁止されているが鉄の森は金の為に動いた。

結果、6年前にギルド連盟を追放され、今は【闇ギルド】と言う無法者の集まりとなっている。

 

「不覚だった………

あの時エリゴールの名を思い出していれば……

全員、血祭りにしてやったものを…………」

 

エルザは悔やみながらも殺意を撒き散らした。

 

 

「……それにしても、よくエリゴールの名前だけでそこまで思い出しましたね。」

「ん………まぁ、記憶力には自信があるからね。……………」

 

 

ミサキは魔法とは別に忘れる事のない完全なる記憶。直観像記憶《アイデテック・イメージ》、某シューティングゲーム風に言うならば【一度見た物を忘れない程度の能力】をもっている。

一家に一人欲しい便利さだが、その能力に目覚めるきっかけが忘れてしまいたいと思わせるほどに辛い過去が原因である為本人は余りその事を自慢しない。

 

とにかく、そんな危険人物がララバイなる強力な魔法を手に入れ、何か考えているとなれば手を打たなければならない。

 

故にエルザは言った。

 

「鉄の森に乗り込むぞ」

 

 




久しぶりの更新です。すいません。

エルザは原作より早く柔らかくしました。
大荷物の中身が服なのは僕の勝手なイメージです。
もっと二次創作よりのキャラにしたいな〜〜原作キャラとの絡みを増やしたいな〜〜…………結果こうなりました。
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