鉄の森 その2
エルザ率いる妖精御一行は封印された謎の魔法ララバイを手にしようとした闇ギルドアイゼンヴァルトに乗り込もうと士気を高めているとルーシィが異変に気付いた。
「やだ……嘘でしょ!!?
ナツがいないんだけどっ!!!」
「「「「あ!!!」」」」
乗り物酔いで真面に動けないナツは一人、列車に忘れ去られていた。
※※※※※※※※※※
一人、苦しんでいるナツに話しかける男性、それこそ、エルザが見た酒場でララバイの封印を解くと言っていた男、カゲヤマであった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「お兄さんここ空いてる?」
「ふーーふーー」
「あらら……辛そうだね、大丈夫?」
カゲヤマはナツの肩の妖精のマークに目が止まる。
「妖精の尻尾か……羨ましいね。」
早速というか、やはりと言うか。
ナツは常にトラブルの中心にいる男である。
※※※※※※※※※※※
「何と言う事だっ!!
話に夢中になるあまりナツを列車に置いてきた!!アイツは乗り物に弱いと言うのにっ!! 私の過失だっ!!とりあえずアイチ!私を殴ってくれないかっ!!!」
「まぁまぁまぁ」
「エルザ、落ち着いて。とにかくおいかけよ。」
取り乱すエルザを落ち着かせるアイチとミサキ。
しかし、ハッピーが無理やり電車を止めようとしたりグレイが服を脱ぎ出したりてんやわんや。
なんとか車を借りてナツを追いかけることができた。
エルザが運転席に座り魔導四輪車を走らせた。
この車は運転手の魔力を使うクリーンな車だ。
「はぁ〜〜なんでこうなるんだろ。」
電車を無理矢理止め、ナツを追いかける御一行、その事態に頭を抱えるミサキ。
「苦労しますね、ミサキさん。」
頭を抱えるミサキにルーシィが隣から声をかけた。
「こいつらは昔からそうなのよ。
グレイは服を脱ぐし、ナツは暴れるし、エルザはこんなんだし。
モリカワやカムイはバカだしカイはあんなん出し…………etc」
「アイチくんだけが良心な訳ですね。」
「それがそうでも無いのよ。アイチはあれで結構頑固で一度決めたことにはとことん突っ走るから心配で目が離せないのよ。」
今日も昨日も、エルザのインパクトの強さに押されていたルーシィはミサキと初めてまともな会話をした。
ミサキはどうやらギルドの中でも古参メンバーで皆の姉的な存在らしい。
「アンタ、ナツとアイチの推薦でこのギルドに入ったんだろ?」
「はい。」
「あいつらと付き合う一番の方法は自分自身もあいつらと一緒にいることを楽しむことだから。」
ミサキはギルドの中でもキャラの濃い連中達と付き合う方法を心得ていた。
「楽しむですか………………」
「そう……」
「この露出狂(グレイ)と怪獣(ナツ)がいるこの環境をですか?」
「…………うん……………
大丈夫。救いはあるから…………」
ルーシィのツッコミに苦笑いするミサキ、そんなミサキを見て笑顔が漏れるルーシィであった。
「フフフ、参考にさせてもらいます。」
確かにこのギルドのみんなは喧嘩はするがみんな楽しそうだ。
ルーシィが他の大きなギルドではなく、妖精の尻尾を選んだのはとても楽しそうなギルドであった事も一つだ。
確かに変わった人の多いギルドだがそれもひっくるめて楽しんでしまえばいいのだ。
「こんな時に談笑してんじゃねーよ。
ほら、列車に追いつくぞ。」
二人の会話は車の上に乗ってるグレイの言葉によって遮られた。
ガシャン!!
前方を走る列車の窓が割れ、中からナツが飛んできた。
「なんで列車から飛んでくるんだよォ!!!」
飛んできたナツは屋根にいたグレイに激突、エルザは慌てて車を止め駆け寄る。
「みんな、ひでぇぞ!!俺を置いてくなんて!!」
ナツの無事を確認したエルザは喜び、鎧を着込む胸へと抱き寄せた。
「すまない、しかし無事で何よりだ。よかった。」
ガシャ!
「硬っ!!」
「無事なモンかっ!列車で変な奴に絡まれたんだ!!」
「?」
「なんつったかな?アイ……ゼン……バルト?」
「バカモノぉっ!!」
バチィ!!
「鉄の森は私達の追っている者だ!」
「まぁまぁ、ナツくんは気絶して何にも聞いてないんだから。」
「うむ、そうだったな。」
ナツに列車で絡んできた男こそ、封印されし魔法ララバイを手にし、ギルドのメンバーと合流するため、列車を利用していたカゲヤマと言う男であった。
「さっきの列車に乗っていたのだな。
今すぐ追うぞ!どんな特徴をしていた?」
ナツは自分に絡んできた者の様子を話し出した。
「あんま特徴なかったなぁ……
なをかドクロっぽい笛持ってた、三つ目があるドクロだ」
「何だそりゃ、趣味悪ぃ奴だな。」
笛の特徴を知った時、読書家の二人が反応した。
「三つ目のドクロの笛…………
ううん……まさかね……あんなの作り話よ。」
「そういう話し私も聞いた事がある。
でももしそれが本当なら大変な事ね………」
深刻そうな顔をする二人にグレイが問う。
「なんだよ。自分たちだけで納得すんなよ。」
ミサキは自分の記憶にあるその魔法の情報を皆に語り出した。
「その笛が
アンタたちも知ってるでしょ?禁止されてる魔法に呪殺ってのがあるの。
対象者に呪い”死”を与える黒魔法、元々その笛は”呪殺”の為の道具の一つだったんだけどね。伝説の黒魔道士ゼレフがさらなるまてきに進化させたって言い伝えられてるの。
その音を聞いた者全てを呪殺する……
”集団呪殺魔法”【
何に使うのか知らないが少なくともとんでもないことになる事は確かであろう。
「そんな危ねぇ魔法が……」
「私も物語でしか聞いたことない魔法だけど間違いないと思う。」
「…………そんな危険な魔法がエリゴールの手に!?…………」
「急ぐぞ!!」
6人と一匹は急いで次の駅、クヌギ駅に向かった。
6人が向かうクヌギ駅ではその頃鉄の森によるトレインジャックが行われていた。
そして到着したカゲヤマの手からエリゴールに禁断の魔法が手放されそうになっていた。
「この列車で戻ると聞いて待ちわびたぞ、カゲヤマ。」
「なんとか封印は解きましたよ。」
「これが禁断の魔法……呪歌か……」
その時、偶然にも鉄の森を訪れようとしていた者がジャックされた列車に現れた。
その者が声を発するまでそこにいる全員がその者の存在に気づかなかった。
「全く…………厄介な物を掘り起こしたもんだ………………」
『!!!!』
その男は東洋の剣士の服を着ており腰には日本刀を差していた。
「おい!テメェ!!乗客は降りろって言っただろぉ!!」
「仕方ねぇ、こいつバラしちまおうぜ!」
男の存在に気付き、男に襲いかかる鉄の森のモブ魔導士二人。
「黙れ……」
キーーーーーン!!!
男は素早く刀を抜き差しし、それによって発せられた超高周波の音を近距離で二人に聞かせた。
バタッ!!
二人は倒れ、あたりに緊張が走る。
「誰だテメェ。」
エリゴールはその瞬間悟る。
こいつは只者ではないと、故に下手に仕掛けず素直に男に言葉を放ったのだ。
男は自らの素性を明かした。
「闇ギルド【
【
人ならざる力を持った為故郷を追われた者、力を求めて禁呪法や改造手術で異形となった者達など、世界の常識や秩序、同調圧力などから弾き出された者達の集まりである。
彼等の仕事は表に出せない仕事が多い。
故に闇ギルドに区分されているがその性質は他の闇ギルドとは大きく違う。
他の闇ギルドの大半は闇ギルドの三代勢力、通称バラム同盟に所属しているが、ダークイレギュラーズだけは違う。
バラムに参加しなくともバラムや国に潰されない事からバラムに匹敵するほどの戦力を持ち合わせている。
彼等の仕事は決して表には出ない、闇から闇へ誘われる為、表の者は勿論、裏の者でさえその存在を認識できない事がある。
大国と言う大きな器にはそういった流れが存在するものだ。
そういった仕事しかこなせない異端者達が仕事を求める場所でもある。
普通の仕事もこなせるのに金や力の誇示の為に違法な仕事をこなす他の闇ギルドの連中とは大きく違う。
見るのは初めてだがエリゴールもその存在を知っていた。
だからこそ今、この時にコイツが現れた事に疑問を感じていた。
「俺たちに何の用だ…………」
エリゴールの問いにヴァンピーアは答えた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ギャギャギャ!!
エルザの運転する四輪車が物凄い勢いで走行する。
「エルザ!飛ばし過ぎだぞ!SEプラグが膨張してんじゃねぇーか!」
前述の通りこの車は魔力で動く。
かなりの馬力とスピードを出す為には大量の魔力が必要になる。
SEプラグは使用者と車を繋ぐ魔力を通す回路である。
「あの笛が吹かれれば大勢の人が死ぬ…………急がざるを得ないだろう。」
「わかってっけど奴等の目的もはっきりしねぇし……一戦交える可能性もある。
そんなにスピードを出したらいざって時に魔力が枯渇しちまうぞ。」
グレイの言う通り危険な魔法を手に入れた彼等だが、それを誰に行使するのか全くと言ってわからない。
それに電車をジャックした理由もわからない。
線路の上しか走れないし奪ってもそれ程メリットはない。
無理に車を走らせるエルザを心配するアイチ。
「そうですよ……エルザさん、無理しないでください。」
「ありがとう。しかし、大丈夫さ……いよいよともなれば棒切れでも持って戦うさ。お前らもいるしな、頼りにしてるぞ!!アイチ!」
「はい。」
アイチは頼りにされている事に喜んでいるのか、元気よく答えた。
「(誰かナツの心配してあげなよ……いつもの事とはいえかなり苦しそうよ?……私だってこの荒っぽい運転に…………うっ!)」
更に次の駅、オシバナ駅に到着すると此処でも騒ぎになっていた。
野次馬からの情報で鉄の森の連中は此処でジャックした列車を止めたようだ。
駅は封鎖され、周りには野次馬が大勢群がっていた。
軍の小隊が突入したようだが既に全滅していた。
相手は一つのギルド、すなわち全員が魔導士、敵うわけもない。
「急げ!!!ホームはこっちだ!!!」
急ぐ御一行を鉄の森の魔導士が出迎えた。
「やはりきたな、妖精の尻尾!」
やはり、カゲヤマにより、ナツたちの存在は知られついたらしい。
連中の中でひときわ目立つ姿で大鎌を持つ男に向かってエルザが尋ねた。
「貴様がエリゴールだな…………貴様らの目的はなんだ?返答次第ではタダでは済まさんぞ!」
「遊びてぇんだよ。仕事もねぇしひまなもんでヨォ…………」
『きゃははははは!!』
エリゴールの口調に鉄の森の連中が笑う。
「何がおかしいんだ!全部自業自得じゃないか!」
可愛い姿をして怒りを燃やすアイチ。
「まだわかんねぇのか?駅には何がある?」
エリゴールは風魔法で飛び立ち、駅にあるスピーカーに手を当てた。
「呪歌を放送する気か!?」
「そうだよ!この駅の周辺には何百……何千もの野次馬が集まってる。
いや……音量をあげれば町中に響くかな……死のメロディーが」
「大量無差別殺人だと!?ふざけるな!!」
「これは粛清なのだ!権利を奪われた者の存在を知らずに権利を掲げ生活を保全している愚か者どもへのな…この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ。
よって死神が罰を与えに来た。
死という名の罰をな!」
エリゴールの考えに同調できないルーシィは激怒した。
「そんな事したって権利は戻ってこないのよっ!!」
「此処まできたら欲しいのは権利じゃなくて権力だ。権力があればすべての過去を流し未来を支配する事だって出来る。」
「バッカじゃないの!!」
呪歌を持ってきた男、カゲヤマは突っかかってきたルーシィに影の魔法で攻撃した。
「残念だな
「やっぱりオマエかぁぁぁ!」
その瞬間、四輪車の酔いでグロッキーなナツが列車で因縁をつけられたカゲヤマ声に反応し復活した。
襲いかかる影の魔法をナツはぶった切り、声を上げた。
「今度は地上戦だな!!!」
ナツの復活により現状、現実可能な妖精の尻尾の最強チームが戦闘態勢を整えた。
「(かかったな……妖精の尻尾、多少の修正はあったがこれで予定通り、笛の音色を聞かせなきゃいけない奴がいる……
必ず殺さねばならねぇ奴がいるんだ!!)」
※※※※※※※※※※※※
「こっちは妖精の尻尾最強チームよ!覚悟しなさい!」
にらみ合う妖精の尻尾最強チームと鉄の森の魔導士たち。
するとエリゴールが喋る。
「あとは任せたぞ、俺は笛を吹きに行く。身の程知らずの
エリゴールはそう言い残し、風魔法で空を飛んで行ってしまった。
「逃げるのか!?エリゴール!!……くそっ!ナツ!グレイ!二人で奴を追うんだ!」
「「む?」」
「お前たち二人が力を合わせればエリゴールにだって負けるはずがない!」
「「むむ!?………」」
エルザはよりにもよって犬猿の仲の二人に共闘の命をかす。
「此処は私とミサキでなんとかする!」
「………あれ?僕達二人、頭数にも数えられてないね……」
「うん……」
「聞いているのか!!!」
「「も………もちろん!!!!」」
「ならば、行け!!!」
「「あいさー」」
ナツとグレイ、二人がエリゴールを追いかけると鉄の森の幹部、カゲヤマとレイユールが二人を追いかけていった。
「オレが仕留めてくる!!」
「こっちも!!!あの桜頭だけはゆるさねぇ!!!」
好戦的な二人を見て残る幹部、ビアードとカラッカが言葉を漏らす。
「あんなのほっておいて姉ちゃんと遊んだ方が楽しいだろうに」
「作戦のためだよ、お前よりずぅーっとエライ。」
メンバーの目線が残された者に向けられた。
「それにしても四人ともいい女だなぁ〜〜」
「とっ捕まえて売っちまおう。」
「待て待て、妖精の脱衣ショーを見てからだ。」
四人?………忘れてる人もいるかもしれないが現在アイチは罰ゲームでメイド服の状態できている。
アイチの顔立ちで女装していたら大抵の人は勘違いをするであろう。
そしてそれに目をつけた鉄の森の変態が、ただでさえ妖精の尻尾をハエと呼ばれし怒りを露わにしている二人の闘志に火をつけた。
「特に青髪のメイドちゃんなんか良いねぇ。
あの初心そうな表情が歪む様がみたいねぇ〜〜。」
ゾクっ!!!
「下劣な……」
「このクズ共っ!!」
流石にこの扱いに慣れたアイチでさえ、この言葉には鳥肌を立て震えた。
すると二人が彼らとの間にたち、視界に入らないようにした。
「アイチ、こいつらは私達が片付ける……落ち着け………」
「…………………はい………」
エルザが落ち着かせたが、アイチは人を呪殺出来そうな殺気を抱え剣を握ろうとしていた。
「貴様ら……これ以上妖精の尻尾を侮辱してみろ。明日は保証しないぞ……」
「あんた達はアイチの教育に悪い………とっとと失せろ。」
エルザは剣を異空間から取り出し、ミサキは杖を取り出した。
「オーソドックスな魔法剣士と魔法使いのコンビか!?めずらしくもねぇ!」
「こっちにも魔法剣士はたくさんいるぜぇ」
「その鎧、ひん剥いてやる。」
その瞬間、エルザが目にも止まらね速さで魔法剣士たちを切り刻んで行く。
「ち!遠距離魔法でもくらえ!」
敵の一人が遠距離魔法を放とうとすると突如剣が槍に変わり男をなぎ払った。
「槍!?」
次から次へと変わっていく武器に一同は唖然とする。
「今度は双剣!?斧!?」
「こ……この女なんて速さで換装するんだ!?」
聞きなれない言葉を耳にしたルーシィはハッピーに尋ねた。
「換装?」
「そう、魔法剣は別空間にストックしてある武器を呼び出すって原理なんだけど、その武器を持ち帰る事を換装って言うんだ。」
後方でエルザの援護射撃をしていたミサキに白羽の矢が飛んできた。
「へっ!前に出過ぎだぜ鎧のねーちゃん!!
後衛がガラ空きだぜ!」
後方支援に長けた魔導士は接近戦に弱い。
エルザが調子に乗って前に出過ぎたところを狙ったのだろうが、エルザは初めから”
ミサキに魔法剣を振りかざす。
「神託………」
スカッ!!
敵の攻撃をミサキは難なく回避、続く他の攻撃もすべての避けた。
「なんだ!こいつ!攻撃が全くあたらねぇ!!!」
「ハッピー、あれは何!?」
「あれは占術の一種、神様の御告げによる未来
神の声は本来未来予知。しかし、神の言葉には抽象的な声を含まれ語彙解釈が含まれる。
ミサキはそれを他の占術や物理演算により限りなく可能性の高い未来を導き出している。
「”預言者の蹴りは必ず命中する……”」
ミサキは回避の合間に見事な蹴りを繰り広げ、敵を蹴り飛ばした。
「……まだこんなにも居るのか……」
「面倒だね……」
「一掃する!!」
「わかった。」
「二人とも凄い!」
「でも、二人が凄いのはそれだけじゃない
エルザは武器だけじゃなくて自分を強化する魔法の鎧も換装できるんだ。
【
エルザの鎧は剥がれ、別の鎧へと変わる。
ミサキは杖をしまい、鏡を取り出した。
「ミサキの能力は神様の声を聞きだけじゃない……神様の力の片鱗を借りる事ができる。
「舞え!剣たちよ。」
「日輪の光よ、我に害なす者に裁きを!」
「
「
妖精の尻尾、最強の女と最恐の女が鉄の森の魔導士を殲滅した。
ダクイレは同盟非参加の闇ギルド、オラクルシンクタンク
ジェネシスは存在するけどノーブルのユニットを崇めるヒューマンやエルフ(魔女やシスターがメイン)の会社って感じです。
後、ミサキさんの神霊魔法は滅神魔法とは違います。寧ろ天敵です。