織田の天主は揺るがず   作:戦国大好き侍

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摂津への合流

6月2日 正午 摂津大坂・四国遠征軍集結地

 

織田信長は、摂津大坂の四国遠征軍の陣屋の一室で、三男織田信孝、重臣丹羽長秀らを前に、京からの報告を受けていた。本能寺の炎上から半日、彼の表情には疲労の色はなく、ただ冷徹な勝利への確信が宿っていた。

 

「光秀めは、余が死んだと信じ、京の朝廷工作に躍起となっているであろう。だが既に信忠が動いていると情報も入っておる」

 

長秀が畏敬の念を込めて口を開いた。「上様の御策略、神算鬼謀にございます。」

 

その時、一人の侍が慌ただしく部屋に飛び込んできた。

 

「ご報告! 信忠様が、わずかな供回りと共に到着されました!」

 

信長は感情を見せず、「通せ」とだけ命じた。

 

東山から京の混乱を潜り抜けてきた織田信忠は、泥と埃にまみれ、疲れ切った様子であった。だが、その瞳には、父の策を完遂した安堵と、緊張感が滲んでいた。

 

「父上!」

 

信忠は信長の前で深く頭を下げた。

 

「無事であったか、信忠」

 

信長は言葉少なに迎えたが、その声には微かな安堵が窺えた。信忠は即座に京での朝廷工作の成果を報告した。

 

「はっ。正親町天皇陛下は、明智光秀を『朝敵』とする綸旨を下されました。光秀めが京を掌握する前でございましたゆえ、大義名分は完全にこちらにございます」

 

「うむ。做得した」信長は初めて満足げに頷いた。「これで、光秀を討つに大義名分を失う心配はない。奴めはただの賊となった」

 

「三法師はどうした?」信長は嫡孫のことを聞く「三法師は玄以と長益叔父上に任せて安土へ脱出させました」

 

三法師は信長の嫡孫であり、織田家の正統な後継者であった。その安否こそが、信長の生存と同じく、織田家の未来にとって極めて重要であった。

 

「うむ。玄以と長益か。良き采配であった」信長は安堵したように、微かに目元を緩めた。

 

信忠が到着し、軍議が再開されて間もない頃、再び侍が駆け込んできた。

 

「ご報告! 徳川様、海路より到着なされました!」

 

信孝と長秀は顔を見合わせた。家康は京での滞在中に本能寺の変を知り、三河へ帰ったものと誰もが思っていた。

 

信長は目を細め、静かに命じた。「通せ。奴は余の想像以上に賢い」

 

徳川家康は、本多忠勝、酒井忠次ら少数の供回りと共に、松井友閑に先導されて部屋に入った。彼らもまた、海上の緊張を潜り抜けてきた疲労が見えたが、家康の態度は崩れていなかった。

 

家康は信長を見るなり、深々と平伏した。

 

「信長殿! ご無事で何よりです、 明智光秀の大逆無道の報に接し、三河への帰還を諦め、光秀の目を欺くべく海路を使い参りました」

 

家康の言葉は、完璧な信頼を示していた。信長は家康を座らせた。

 

「家康殿、そなたの判断、見事であった。三河へ帰還し兵を整えるより、この大坂の数万の軍に合流することが、光秀を討つに最も早いと見たか」

 

「はっ。光秀は信長殿が討ち死にしたと思い込み、油断しております。この大坂の兵力とそして信長公の御指揮があれば、光秀など容易に討ち果たせましょう。今必要なのは兵力の分散を避け、一気に京へ迫る速度でございます」

 

信長は満足そうに笑った。家康は、信長の非情な戦略を理解しその戦略に乗ることを選んだ。これは、光秀討伐後の天下の構図においても、徳川家が不動の地位を築くことを意味した。

 

 

信長は、信忠、信孝、長秀、そして家康という、織田家と徳川家の最高指導部を前に、地図を広げた。

 

「光秀めは、京と安土の間の近江を固め、余の軍勢の進軍を阻もうとするであろう。我々には、光秀に時間を与える暇はない」

 

信長は地図上の大坂と京の間に線を引いた。

 

「討伐軍の主軸は、この大坂に集結した四国遠征軍とする。信忠が総大将となり、光秀を正面から圧し潰すのだ」

 

信忠は緊張した面持ちで、その大任を受けた。

 

「また安土の蒲生、丹後の細川、大和の筒井に密使を送り奴の裏で蠢動させよ、また兵庫の恒興、高槻の高山、茨木の中川に大坂への合流を命じよ、信雄は伊勢衆の大部分がこちらに居るので安土に詰めさせろ」

 

 

信長は京を囲むように次々と策を練った。




織田の源五は人ではないよ お腹召せ召せ 召させておいて われは安土へ逃げるは源五 むつき二日に大水出て おたの原なる名を流すで有名な織田有楽斎は今世界線では三法師の護衛という重要な役目が任されました、やったね源五!
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