ドラゴンを呼ぶ笛が墓地に置かれたのでカードをドローさせてもらうぞ 作:マメットナイツ
これも全部、鴻上博士のせいだ………!
改めて見直しても面白いヴレ、みんなも見よう!!!!!
[八番隊:執務室]
この一室には、2人の美少女が居た。
1人は、木板の腕章とメガネを身につけた黒髪の美少女。
1人は、木刀を背に携え、こっくりこっくりと顔を傾ける金髪の美少女。
2人はそれぞれが筆を持ち、壁の如く積み重なった紙を捲り、一つ一つに書き記していく。
しかし流れるような黒髪の美少女の手際に対し、金髪の美少女は机の木目を盛りに見つめては、小刻みに震えていた………
「よみーきーれない、雑誌のページ、読まなくちゃーいーみがないのかなー………な〜………
なぁ〜〜〜〜〜〜………………
………………んなわけねぇだろォォォ!!!!!」
突如として金髪の美少女は立ち上がり、絹のような自らの髪を掻きむしる!
嗚呼!哀れなり金髪の美少女よ!終わらない雑務におかしくなってしまったのね!
「ひっぇ!?……閃刀三席!?…ど、どうされましたか?」
対面に座っていた黒髪の美少女は突然の狂乱に脳が追いついていないではないか!
嗚呼!悲しきかな黒髪の美少女よ!同僚がおかしくなってしまうとは!
「んぇ………あ、ご…ごめんなさい!七緒さん!そのぉ………つい、ストレスが………その、はい…すいませんでしたぁぁぁ!!」
「ちょっ、ちょっと!?どこに行くんですか!?待ってくださいレイさん!?」
金髪の美少女は自らの醜態に気づいたのか、顔を真っ青に染め上げるとそのまま部屋から走り去ってしまった。
自分が手をつけていた書類と自分が処理しなければならない書類のみを手に持ちながら………………変な所で気がきくの気持ち悪いな…。
さて、そんな金髪の美少女、そうだよ。
「はぁ………白髪できそ……辛い…。」
俺だよぉ!!!閃刀レイだよ!!!!!
最凶最悪な実質ラスボスに脅されて!敵落ちした転生デュエリストだよぉ!!!
いやぁ………敵落ちしてからもう90年が経ちました!!!!!
………………
経ちました☆じゃあねぇよクソぉ!なにやってんだ俺ぇ!?
いやね!?この90年の間にね!?いろーいろありましたよ!?
破面育成に協力(戦力確認の為のサンドバッグを)したり!
なんなら仲間入りしたギンの教育係もしましたし!!
その他諜報諸々に使わされましたよ!!!!!
90年間も!!ここでクエスチョン!!!!!約前世3回分の時間を執務と悪事と木刀に捧げた俺の心理状況を答えよ!!!!!
正解はクソだ!もうやだまじむりを言い続けて50年だよ!
「はぁぁ…………結局この時期になるまで、なんにも出来なかった………。」
そして何より最悪なのは、もう90年経ったのにこの時の為に何も出来なかったことだ。
つい昨日、藍染からホワイトという虚が完成したことを知らされて、それはもう頭を抱えたもん………もうそんな時期かよって。
ホワイトの実戦テスト………つまりBLEACHという物語の主人公、黒崎一護の両親、真咲さんと一心さんの出会いイベントまで秒読み。
まぁ確かに干渉ポイントは少ないイベントだよ?
でも重要なのはBLEACH本編開始まで後20年も無いってこと………いや短けぇよ!?
まだ俺!卍解習得できてねぇんだが!?藍染達とやり合える最低レベルに達せてねぇんだが!?
幾ら最近は仕事が減って鍛錬に時間使えるようになったっていっても、死神基準の20年なんてすぐだぞ!?
………マジで最悪。
「あらら、どしたん?レイちゃん、そないな荷物持って。」
「げっ」
このドブカス(ドブカス抜き)ボイスは………
「げぇって………出会い頭にひどいなぁ。」
「隊長羽織を見せびらかすような後輩に、先輩はいい思いしないものですよ。霊術院でも最速卒業抜かれましたし………。」
「まぁ、ボク優秀やし。」
「そういうことは自分で言わないことです。」
「ボクに初対面で席官なことを自慢してきた先輩は誰やったかなぁ?」
「………揚げ足取りをする後輩は嫌いです。」
ギンぃ………なぁんかコイツ距離感近いんだよなぁ………
おい、そこ。俺のことをギンの夢女と勘違いするなよ?
何十年前かコイツが藍染にスカウトされた後、俺がギンを鍛えることになったんだが………何故かその内めんどくさい後輩ムーヴをし始めたんだよ!それがなぁ!こっちからしたら迷惑どころじゃない!
ギンとの関わりが増えるとな、京楽さんからの眼がこう………キツくなるんだよ!
ただでさえ暗躍加担のアレコレがバレないように神経擦り減らしてるのにさぁ!?現場出勤も少なくなって、書類仕事で京楽さんの側に居ることが多くなってるのにさぁ!?そこにコイツの謎の可愛い(当社比)後輩ムーヴだぞ?????
レイちゃんボディじゃなきゃハゲ散らしてカイクウになってたわ!
「………ところでレイちゃん。当たり前のように歩きながら書類の束捌いてるけど………どうなっとるんソレ?」
「簡易的な縛道で書類を浮かせているんですよ。」
「へぇ〜、なんや器用なことやね。なんでそんなことしとるん?」
「何処ぞの誰かさん達のせいで部屋で中々できないからですよ…!」
「はっはっは!それはぁ…ま、ご愁傷様やね!」
「あの時みたくぶっ飛ばしますよ?」
「………それは、堪忍してや。」
そんな俺の脅迫紛いの反論にあからさまに顔を顰めて、ギンは足早にどっかへ行ってしまった。
いやしまったじゃねぇか、行ってくれてよかった。
「はぁ………これ終わったら竹光振っておこ………。」
今だと竹光の素振りが1番リラックスできるよ………もうホワイトと一緒に現世に逃げよっかな………。
………。
………………?
………………………!
「いいじゃん、それ。」
ごめん、京楽さん、七緒ちゃん。
俺は………行くよ!
『俺は行くよって何処に………』
思いたったが吉日!それ以外は全て凶日!
いざ行かん!90年振りの現世へ!!!!!
……………………今のツッコミ誰ぇ!?
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「へ?レイちゃんが文書だけ持って散歩に?」
「はい…。まぁ………あの動転の様子から、散歩というより…座り疲れの気晴らし………でしょうか。」
「なるほどぉ〜。うーん、最近2人の仕事量が増えたからかなぁ。」
八番隊執務室にて、京楽は仕事を終えた七緒からの相談に茶を喉に通しつつ聞いていた。レイが外出してから既に3時間程の時が経っていおり、しかし未だレイは戻ること無く、執務室で1人読書に勤しみながらレイを待っていた七緒の元に、京楽はやって来たというあらましである。
「………1つ疑問に思い、聞きたいのですが。」
「ん?どうしたのぉ藪から棒に………別に構わないけど?」
「では僭越ながら………なぜ、レイさんを前線から引き離しているのですか?彼女程の実力者ならば、このように執務室に籠らせるより、現世常駐や流魂街のパトロールなどの方がいいのではないですか?」
「…………そっか、やっぱり七緒ちゃんは気づいてたんだね?」
七緒がそう言うと、京楽は僅かに茶で喉を潤すと湯呑みを置き、無精髭を指でなぞる。
その指の仕草に七緒は何か不安を感じとった。
しかし、京楽の表情は暗く深刻なものではなく………唇を捻るような、まるで親が子供に、なぜ子供が産まれるのか、と問われた時のような、なんとも名状し難いものだった。
「七緒ちゃん、これからする話は他人に話すな、とは言わないけど………なるべ〜く、言わないようにしてね。」
「わ、わかりました………。」
七緒は再び不安を感じた。
先ほどの不安とは、また異なる………微妙な不安を。
「レイちゃんを前線に出さなくなった理由………それはね。」
「………。」
「レイちゃんの武器が木刀だから。」
「えっ………?あ、えっと……それだけ、ですか?」
「うん、そうだよ。理由、これだけ〜。」
「そ、そのようなことだけでレイさんを!?」
「いやいやぁ、これ結構深刻なのよ?」
七緒は一瞬の戸惑いの後、京楽のいい加減のような態度から思わず身を乗り出し、詰め寄る。
対する京楽は口笛でも吹くかのように口を窄め、まるでいじけた子供のような反論を始めた。
「そうだねぇ………例えば七緒ちゃんが木刀の斬魄刀を武器にして、虚と戦うなら………どう戦う?」
「………それを私に聞きますか?」
「まぁまぁ、あくまで例えばの仮定の話だよ。」
七緒は顎に手を当て、数秒、考えを巡らす。
「………斬魄刀を始解させず、戦います。」
「なるほどね、いい選択だ。でもただの刀だけじゃ虚には勝てない。」
「なら、鬼道を合わせて使います。火力を考えれば始解前の斬魄刀より、破道が主な攻撃手段になるでしょうか…。」
「うーん100点。その通りだね。実際、七緒ちゃんが言った通り、始解ができない一般隊士の多くが鬼道を主軸にして戦っている。」
「………レイさんは違う、と?」
「そうだねぇ、何せ彼女は始解を会得した………死神として一歩上のステージに行ったわけだ。こうなると多くの死神は始解を使い、斬魄刀の能力向上の為の修練に入る。」
「つまり、始解を使用した実戦を積む段階………レイさんは必然的に木刀……、竹光を使わなければならなかったのですか?」
「正解。元々、殆どの修行を竹光を解放した状態でやってた彼女は、実戦でも竹光の使用を欠かさなかった。そのおかげで、今では竹光をほぼ常時解放できるだけの習熟に至ってるからね。」
思い出されるは、常に始解状態の竹光を腰に帯刀しているレイの姿。
京楽や七緒、八番隊隊士達にとっては既に当たり前のようなその佇まいも、レイの90年の修練の果てのものである。
「でも、レイちゃんの竹光はどこまでも木刀でね。流石に真剣とは打ち合えないレベルの代物だった。」
「では、実戦はやはり鬼道を主とした戦闘を?」
「………いや、彼女はね。それでも必ず竹光を使って虚を倒し続けた。鬼道については、彼女は縛道しか使っていないね。」
「しかし………それは不可能です。レイさんの竹光で虚を倒すなんて………。」
「できちゃうよ。簡単さ、彼女はとてもシンプルな方法で虚を倒していたんだ。」
「それは……いったい…?」
京楽は暫し、眉間に指を当て、苦虫を噛み潰したように言葉を漏らす。
「撲殺だよ。」
「………はい?」
七緒の思考が堰き止められる。
瞬きを数度繰り返し、そして………京楽の言葉理解し、言葉を出す余裕も無く、思わず手で口を覆った。
「そ、それは………」
「彼女が虚と戦う時………仕留め方の大半は縛道で虚の動きを封じた後、竹光で何度も虚の頭を殴りつけるんだ。何度も、何度も何度も、虚の仮面が割れても、虚の頭が歪んでも、虚の頭が胴体に陥没しても、決して振り下ろす手を止めること無く。最終的に虚の頭が完全に潰れて、その残骸が霊子に還る瞬間までね。」
「そんなこと!あのレイさんが………そんな戦い、かたを、するのですか…?彼女はそんな………そんなことは…。」
「しないように思えるかい?まぁそうだね、僕も同じ気持ちだったさ。」
七緒は、素直で明るく、金髪も相まって太陽のような少女、レイの姿を思い浮かべる。
しかし京楽の言葉通りの情景に、その中心に立っているレイの姿を………七緒は想像することが出来なかった。
正確には、想像することを拒絶した。
この数十年間、互いに支え合って隊に支えていた友が、そのような残酷な………狂気的な戦いをする存在だと、彼女は思うことができなかった。
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ある時、僕は聞いたことがある。/ 昔ぃ、ボク聞いたことがあんねん。
「なんで、虚を倒す時、そこまで執拗に竹光で殴るのか。」ってね。/ 「なんで、虚や人殺す時、原型も残らんぐらいの撲殺に拘るん?」って。
その時、彼女は笑顔でこう言ったんだ。/ そん時、レイちゃんは能面みたいな無表情でな、こう言ったんや。
「だって、まだライフが残って………あぁっいや…、生きてるかもしれないじゃないですか。」
閃刀レイ(デュエリストとしてゴーズ、フェーダー、かかし、拮抗ケアはしておかないと………なんか落ち着かないというか……勝った気がしない。)