01:TS転生幼女、爆誕。
オッス!オラ社畜!
いま死にたてホヤホヤだ!
デスマーチ続きの激務にやられてフラフラになりながら帰宅していたらトラックに轢かれて、気が付いたら真っ白な世界で次の転生先への説明が唐突に始まり頭こんがらがってるところ!
・・・・・勘弁してくれんか??
要はアレだ。
異世界転生。
漫画だのアニメだので散々見たことのあるテンプレ展開に、まさか自分が巻き込まれる羽目になろうとは・・・。
転生特典はある程度自分で選べるらしい。
ずらっと並んだ選択肢から、直感と独断と偏見で3つをチョイス。
不老不死。ダメージ無効。時空魔法。
選択肢の内容からどうせファンタジー系の世界なんだろうなと思ってコレにした。
不老不死とダメージ無効が効果被ってるんじゃないか?と訊かれそうなものだが、ダメージ無効には痛覚の無効も含まれているらしい。
死なないからといっても痛いのはイヤじゃん。そして一方不老不死のほうには状態異常の無効も含まれているとのこと。というわけで類似なのは承知の上でこの二つ。
残りのひとつだが、持論としてあらゆる魔法の中でも時間と空間を操るものは頂点にして極地だと思っている。応用の幅がものすごいのだ。というわけで魔法の類も色々並んでたけどコレ一択。
特典3つを選び終えて、次に転生先の世界の話になった。
なんとこれも希望すればある程度好きな世界に行けるらしい。
アニメやゲームの世界も含まれると聞いて、俺は様々な作品のことを頭に思い描いたあとでぽつりと呟いた。
「・・・ブロリー。ブロリーに会いに行きたい」
魅力的な作品、世界は色々あれどその中でも一番好きなドラゴンボール。
そしてそのキャラクターの中でも一番愛してやまないのがブロリーだ。
俺はたぶん俗にいう"ブロリスト"と呼ばれる類のファンなのだと思う。
声高に愛を叫ぶタイプのオタクではなかったものの、映画は幾度となく見てきたしグッズもある程度買い集め動画サイトでは新しく上がっているブロリーMADは概ね目を通してきた。
ネタ的な意味で長年擦られまくってるキャラではあるが、元々のブロリーも強くてカッコよくて俺は大好きだったのだ。
実際にこの目で見てみたい。伝説の超サイヤ人を。
そして出来ることなら関わってみたいとも思う。
特典で不死とダメージ無効がついてるからある程度殴られたって平気だろうし。
これで行先も決定だ。
そしていざ転生となったところで、案内役の女神様みたいなやつが忘れてたと言わんばかりにぽつりと爆弾を落としていった。
『転生先の性別は女性となります』
・・・は?なに?TSってこと!?
ちょっと待て聞いてないぞこらあああぁぁぁl!!
ドップラー効果で尾を引く叫び声と共に気が遠くなって、次に気づいたとき俺はベッドの上にいた。
・・・知らない天井だ。
がばちょ、と勢いよく起き上がってみたら被せられていたらしい酸素マスクがポトリと落ちた。
おや??
視線を下げると腕に点滴の管が刺さっているのが目に入る。
「・・・びょういん?」
思わず呟くと、知らないロリ声が出てビックリした。
そうだ、転生って聞いてたけど赤ん坊からじゃないのか?
自分の手のひらを目の前に翳してみる。
子供の手。どっちかっていうと幼児に近い。
キョロキョロと見回してみると備え付けの小さな洗面台があったので、ベッドからぴょんと飛び降りて鏡を覗き込んでみる。
知らない銀髪美少女がそこにいた。
・・・いや、美幼女と言うべきか。
その場でピースやら百面相やらしてみると、鏡の中の幼女もそっくりそのまま同じ動きをトレースしている。
うん。間違いない。これが今の俺だ。
マジでTSしてしまったらしい。
・・・あれ、ちょっと待て。
俺転生特典で不老不死とったよな?
一生幼女のままってこと!!!??
赤ん坊から始まらなかったのは不幸中の幸いか、それともその辺考慮されてのこの姿なのか・・・。
どうせならもう少しくらい上の年齢にしてくれたら良かったのに。
こんなちいちゃいお手手で何が出来るというのだ・・・?
トホホとショボくれながら再び鏡を見る。
いや、しかし見れば見るほど絶世の美幼女じゃないか。
肩を過ぎる辺りまで伸びた、ふんわり柔らかそうな銀髪。
ぱっちり大きな瞳と幼児特有のふっくらしたほっぺ。もちもちじゃん。
フリフリのついた動物柄のパジャマからは短い手足が伸びていて、白い肌は白磁・・・というよりお餅のようだ。
なんか全体的に白いな?もしかしてアルビノか?
でも目茶苦茶かわい~。
鏡の中の自分に見とれてにへ~と笑うと鏡の銀髪幼女はこれまた可愛らしくにっこり笑みを浮かべていた。
美人って得だなあ。元の俺だったら絶対気持ち悪いただの不審者になるだけなのに。
そんなこんなでしばらく鏡とにらめっこしていたら、看護師さんらしき人が病室に入ってきてビックリしてた。
慌てた様子で誰かを呼びに行って、すぐにお医者さんやら数人の大人が駆け込んでくる。
ベッドの上に戻されて、痛いところや苦しいところは無いかと矢継ぎ早に投げかけられる質問の嵐。
特に不調だと思う部分は無いし、答えるついでにこっちからも質問してみた。
「あの、いまはエイジなんねんですか?」
「え?エイジ750だけど?」
「ななひゃくごじう・・・」
看護師さんの答えをオウム返しに呟く。
ドラゴンボールの詳細な年表って覚えてないんだよな~。
でも恐らくは原作序盤、少年編のどこかじゃなかろうか?
ちなみに今の質問はひとつ大事な確認も兼ねていた。
本当にここがドラゴンボールの世界なのかどうか、『エイジ暦』という単語が通じるかどうかで判ると思ったから。
特に違和感もなく答えてくれたことから、間違いなくここはドラゴンワールドなのだろうと確信が持てた。
「ところでお嬢ちゃん、あなたのお名前は?」
「へ?」
名前?入院してるんだったらカルテとかに書いてあるんじゃないの?
しかし聞くところによれば、俺・・・というかこの幼女は昨日一人で行き倒れていたところを通報されて病院直行だったため一切の身元が不明なんだとか。
持ち物にも特に身分証など情報がわかるものは無かったらしい。
この身体の家族とかは居なかったんだろうか・・・?
わからないものはしょうがない。
仕方ないので俺は名前も含め、素性や住所などに関して全て『何も覚えてなくてわからない』と押し通した。
元の名前を名乗ってもよかったんだけど男の名前だしなあ・・・さすがにこの見た目には合わないと思う。
身体の調子には問題ないので退院の許可は下りたものの、身元不明の幼児をそのまま放り出すわけにはいかない為どうやら施設の人に預けられるらしい。
・・・この辺りが潮時だな。
倒れていたときに着ていたという服を返して貰って着替えたあと、施設の人とやらが来る前にコッソリ病院から抜け出した。
一応、『おせわになりました。おうちをおもいだしたのでかえります』とメモ書きだけは残してある。願わくば拐われたわけではないとコレで察してくれ。
ちなみに元の服は黒が基調の、ちょっとオシャレなところ以外はごくごく普通の子供服だった。スカートじゃなくキュロットズボンだったのが非常に助かる。
ともかくこれで。
「わ~い自由だあ~~~~~!!」
快晴の青空の下、青々とした原っぱをキャッキャとはしゃぎながらひとしきり走り回った。
なんかすっげえ開放感!
だってこちとら元社畜だぜ!?常日頃から分刻みに詰め込まれたスケジュールに縛られ・・・もとい追われるだけの毎日を送っていたのだ。
それらの一切から解放され、何もしなくていいという自由のなんと素晴らしいことか!!
ちょっとくらい見た目相応の童心に帰ったところでバチは当たるまい。
ひゃっほいひゃっほいと小躍りしたあとに草っぱらをごろごろ転げまわり、ひとしきり気が済んだあとごろんと寝転がって高い空を見た。
「・・・・・ふぅ」
ここからは何をしてもいい。どこに行ってもいい。
何をしたい?
・・・とりあえず、ひとつだけは決まっている。
会いに行こう!ブロリーに!
ほんの息抜きのつもりでちょっと書き始めたら思ったより筆がのっちまったーぃ。