またまた林檎を補充して、色々と思うところはありつつも再度訪れた5年後の同日。
映画本編開始までの、最後の接触タイミングだ。
しかし・・・なんだか状況が妙なことになっている。
ブロリーとパラガスの仲が、いつの間にやらかなり険悪になっていた。
なんでぇ??さっき(5年前)まで普通に話してたじゃん!
まあ5年という月日は何かが変わるには十分長い月日ではあるけども・・・。
ブロリーに話を聞いてみた。膝の上に乗っかった俺のほっぺたをぶにっと引っ張りながら彼は言う。
「・・・方向性の、違いだな」
なにそのバンドの解散理由みたいな。
「親父は今とある計画に向けて事を進めている最中だ。・・・が、オレはそれに賛同しかねている」
計画・・・やっぱり、あれだよなあ。例の復讐計画。
星ひとつ使って大掛かりな宮殿まで建てたりして、組織的にもそこそこ大きくなっていたみたいだから今のうちから年単位での準備が始まっているのだとしても驚きはない。
しかし、ブロリーがここまで反発しているのは意外だ。
まあ映画本編での描写的にもそこまでブロリーが積極的に協力していたかというとそうでもないんだが・・・ていうか、あの劇中でブロリーとパラガスってほぼ会話してないんだよな。ブロリー側からパラガスに何か言葉を発したのって最後の殺害シーンくらいなもんだし。
そう考えると原作のほうでもあんまり親子仲はよろしくなかったのかもしれないけど・・・まあ制御装置で抑えつけている時点でそれは今更の話か。
「納得もしていないが・・・結局は、手伝わされることになるだろうな」
額の制御装置がある以上、ブロリーの意向は関係なくその力を隠すも振るうもパラガスの思いのままだ。
既に何かしらに利用されているのだろうか、思うところのありそうな表情でブロリーは目を伏せる。
部外者である俺が何を言ってもしょうがないのかもしれないけども・・・せめて何か言葉をかけようとしたが、ほっぺた引っ張られたまんまでは母音しか出なかった。やめれ。
その後パラガスにも話を聞きに行ってみたが、けんもほろろな対応だった。
「お前は恩人ではあるが、これは俺達親子の問題でもある。サイヤ人でもないお前は口を出さないでくれ」
オマケに『ブロリーに余計なことを吹き込んでくれるなよ』と釘まで刺された。なんだよ余計なことって~~~。
・・・まあ少なくとも今回は、俺も邪魔をする気はない。
映画本編通りにシナリオを開始するには、パラガスの計画の実行が大前提になるからだ。
少なくともそれまでは。俺が何か行動を起こすのは次回の訪問後・・・パラガスが地球へ発ったあとだ。
とはいえ、そもそも俺に何が出来るんだって話ではあるんだけども・・・。
最終目的はもちろん、ブロリーを生き延びさせること。
正確にいえば原作でも瀕死の状態で2作目の舞台へ繋がるんだが、出来る事なら敗北そのものを避けてやりたい。
これは後年になって製作者側から出てきた裏設定のようなものだが、ブロリーは本心ではパラガスのことを殺したくはなかったらしく2作目ではそのことが影響して精神状態がおかしくなってしまっていたようなのだ。
そんな事態は少なくとも回避したい。パラガスの殺害を止めつつ、どうにか本来の決着前に戦いを収めて、平和的に解決できれば・・・・・うぅ、難しいかぁ・・・??
場合によっては悟空側への説得も要るかもしれないな。ここまで交流を一切持たなかったのが仇とならなければいいんだが。
最悪の場合はもう何もかも投げ捨ててブロリーだけ転移で逃がしてやろっと。ホントのホントに最終手段としてね。
うんうん唸りながら再度ブロリーの元へ戻ると何か言われたのかと怪訝そうな顔で訊かれたから、取り繕って笑顔でなんでもないよと返しておいた。
これ以上の関係悪化は防ぎたいところだ。
「・・・ブロリーはさ、おとうさんのことどうおもってる?」
「どう、とは?」
「うーん・・・・・すき?きらい?」
「どちらでもないな」
「んんん・・・ごめん、ききかたわるかったかも」
「・・・しかし、少なくとも親父にとってのオレはただの駒でしかないだろう」
「そんなこと・・・ないと、おもうんだけどな・・・・・」
そんな諦めたような顔しないでくれよ。悲しくなるじゃんか。
今はそう見えてしまうのかもしれないけど、最初のあの頃は間違いなくブロリーのことを大切に思っていたはずなのになあ。
ほんの数年でここまで変わってしまうものか・・・。もしくは、それほどまでにパラガスが押し込めていた復讐心が大きかったのか。
なんだか今の二人を見ていると、昔読んだ漫画版AFでの二人を思い出す。
トランクスに蘇生されカプセルコーポから脱出したブロリーが地球の一般仲良し親子を見てクソ苛ついてるシーンがあったんだが、そこで断片的な回想が挟まってたんだ。自分の境遇と対比してたんだろうな。
そこには嫌がるブロリーを無理矢理制御装置で抑えつけているパラガスの描写がされていた。確かにあれにはパラガスがブロリーのことを駒呼ばわりしている場面もあって、その記憶に苦しむブロリーの姿をよく覚えている。
正直表立って公式扱いは出来ない微妙な立ち位置の作品ではあったんだが、作者直々に後々DB超へ逆輸入された要素がめちゃくちゃ多かったからブロリーの件もあれがベースになって超ブロの設定が作られたんじゃないかと思ってる。それを考えるとアレも繋がってる可能性はじゅうぶんあるんだよな~・・・。いや、下手に邪推するとフラグになるからこれ以上はやめておこう。
しかしどちらにせよパラガスが復讐と野心に憑りつかれている今の状況、このまま放置してもいいものなのだろうか・・・?
さっき一度突っぱねられてるし俺から何を言っても聞いてくれない可能性のほうが高いけど。
原作映画でブロリーがパラガスを殺すのは、パラガスがブロリーのことを見捨てて逃げようとしたのが直接のトリガーになっていた。
今のこの世界でもブロリーはパラガスに反抗しつつも結局離れることは出来ていない以上、何かしらの状況でパラガスに見捨てられたと認識した途端にブロリーが絶望する可能性は否めない。どういう経緯であれブロリーが制御装置を振り切って伝説形態に変わったらパラガスは逃げようとするだろうし、そこでどうにか止めるしかないか・・・??
う~~~んあっちもこっちも考えることが多いよどうすんだよ~~~!!
「・・・何を一人で唸っている」
「んぇ?あ・・・ごめんちょっとかんがえごと・・・・・」
「考え事?」
「うん。いろいろ、むずかしーなーって」
収納から取り出したりんごをしゃくしゃくかじりながら、溜息ひとつ。
ちなみに今回もブロリーへお土産としてあげたりんごは既に机の上に小山のようにして鎮座している。たぶん数日も保たずに消えるだろう。
「・・・後にしろ」
「ぶぇっ」
「お前は能天気に笑っていたほうが、それらしい」
眉間に寄っていたらしいシワをぐりぐりされた。
・・・ここで『笑顔のほうが似合ってる』とか言わないあたり、ブロリーらしくはあるな。彼は世辞も言わないし良くも悪くも裏表が無い。
「んー・・・そだね」
折角の貴重な交流の機会なんだもんな。
へにゃっと笑ってみると、ブロリーも口角を僅かに上げた。
ブロリーってなんというか不敵な笑みとかニヒルな笑い方とかそーゆーのが似合うよな。カッコイイ。うらやましい。俺が女子だったら惚れてるよ。いーなー。
彼の言う通り微妙な雰囲気のままでいるのもなんだったので、残りの時間はとりとめもない話でつつがなく過ごさせてもらった。
そして帰る前に、ひとつ伝えておくべきことがある。それと、頼み事も。
「・・・あのね、よこく」
「なんだ」
「つぎにくるのは、5年後なんだけど・・・5年後のいまより、ちょっとはやいタイミング。3か月・・・えっと、100日くらい早くなるかも。詳しくはそのあたりにならないとわかんないんだけど」
次に訪れるのはいよいよ映画本編開始のタイミング。セルゲームが告知されてすぐくらいにこっちへ来ようと思っている。パラガスが移動する前日付近がベストなタイミングではあるんだが、詳細な日付が特定できないためある程度は前後するかもしれない。
「そうか」
「それでね、その・・・つぎにきたときは・・・・・」
「?」
「・・・たぶんもう、かえらない」
「帰らない・・・?」
ブロリーは眉根を寄せて疑問符を浮かべている。
突然だもんな。ごめんな。
「うん。そこからあとは、ブロリーといられるだけいっしょにいたい。だからね、ずうずうしいおねがいなんだけど・・・そのときになったら、ねとまりできるばしょ、かしてくれる?どっかのすみっこでいいから」
「・・・・・わかった。覚えておく」
「ごめんね、いきなりだったらこまるかなっておもってさ。もちろん、めいわくだったらことわって」
「構わん」
「あ、ありがと」
ちょっと食い気味に遮られて、驚きつつもニヘヘと笑う。
ブロリーの膝から飛び降り、振り返って手を振った。
「それじゃ、きょうはこれで。また"そのとき"になったらくるね」
「ああ」
別れの挨拶と共に、転移で姿を消す。
このやりとりの流れも、きっとこれで最後になると。・・・そう信じたい。
だんだんと収拾がつかなくなってないか?気のせいかな。気のせいだ()
そろそろリアルのほうも込み入ってきたので、更新タイミングが空いてくるかもしれません。
予定は未定。