いよいよ。
いよいよだ。
5年後の5月中旬まで時期指定して跳んだ俺は、街頭に設置されたテレビを黙って見つめていた。
画面には完全体となったセルが意気揚々とセルゲームの開催を予告する姿が映っている。・・・楽しそうだなアイツ。
一方俺にとっての本番は、ここからセルゲーム開催までの10日間のどこか。
悟空達の修行が一段落して、僅かな休息をとっているタイミングだ。なので恐らくは後半になるだろう。
とりあえずは真ん中の5日まで進めて、そこでブロリーの元へ跳ぼうかな。
詳細な日付を正確に絞るなら悟空のところへ行って『面接っていつ?』とでも訊けば一発でハッキリするだろうが・・・なんかそれは流石にな・・・・・。
うおおおおマジでほんとに始まるんだやべえ緊張してきた吐き気ー!!おえー!
・・・しかしこのために、ここまでずっとやってきたんだから。
今更後戻りする気はない。
いつまでもうだうだしてないで行くか。
覚悟を決め、転移を実行する。
宇宙に出た。
おやぁ???
この独特の息が詰まった感じ。いや物理的にね。
一瞬でわかった。宇宙空間だ。ガチで空気一切ないほうの。
ブロリーはどこに?と見回そうとした途端、辺り一面で連鎖的な爆発が起きた。
にょわー!!!
視界がちかちかして衝撃でぶっ飛ばされる。
ダメージは受けないし悲鳴も出ないものの無重力空間じゃ慣性殺せないし身動きがとれないー!
ちょちょちょ待って一旦戻ろう!
再転移した先の地面にべちゃっと落っこちてそのままひっくりかえった。
視界がくりょくりょ回ったまましばらく落ち着くのを待つ。
・・・今のって・・・アレかなあ・・・・・??
『南の銀河をスーパーサイヤ人が襲った!』の現場・・・??
ブロリーの姿は見つけられなかったが近くにいたのは間違いない。
星をまとめて消す瞬間に運悪く凸ってしまい巻き込まれたんだろう。
いや~、チート持ちじゃなかったら死んでたな。
まあその前に宇宙空間に生身で放り出された時点でアウトだけど。
普通なら息が出来ないだけじゃなくて全身の血液が沸騰したり色々ヤベェことになるから、よい子のみんなはちゃんと宇宙服着てから宇宙に出るんだぞ!
まあそう考えるとバリア一枚でどうにかなってるブロリーも大概おかしいんだよな・・・。規格外すぎんよ。
とにもかくにも、今は間が悪かったようだ。
これはもう1日ズラしたほうがベストだな。銀河が消えたことに気づいた界王様から悟空へ連絡がいくのももーちょい後になるだろうし。
ようやくフラつきが治まったところで立ち上がり、ふーやれやれと伸びをして仕切り直し。
いったん1日後に時間転移して、それから改めてブロリーの元へ向かった。
着いた先は、どことなく見覚えのある部屋の中。
先日の、5年前のとは違う。俺はここに来たことがない。けれど、知っている。
新惑星ベジータの、宮殿にあるブロリーの部屋だ。
目の前の大きな椅子、この前の部屋のものよりも装飾が豪華になっているそれに腰かけたブロリーがいる。
眉根を寄せて、何かに耐えるような表情をして項垂れていたが俺が姿を現すとすぐに視線をこちらに向けてくれた。俺の気を覚えているんだろうか?
「・・・シロ、か」
「うん。・・・だいじょうぶ?つらそう」
「そうか・・・・・今日、だったか」
ポテポテと歩み寄って膝に乗り上げじっと見る。
昨日暴れた影響なんだろうか?それとも原作のように何かしら制御が危うくなってきているとか・・・?
「・・・間が、悪いな」
「"計画"がはじまるから?」
「そうだ。恐らく荒れるぞ」
「・・・だからだよ。わざといまきたの」
本当は昨日だったんだけどね。気づいてないっぽいし攻撃に巻き込まれた件は黙っておこう。
「何故だ?」
「・・・んー・・・・・かんたんに言うと、ブロリーのこと助けたくて」
「ふ・・・お前に、何が出来る」
「わかんない。けど、やれることはやるよ」
鼻で笑われてしまった。
まあ普通に考えたらそうなんだけども・・・。
戦うことは出来ないが、他の部分でやっておきたいことはある。
「ね、パラガス・・・おとうさんは?もう地球にいった?」
「いや、明朝に出る予定のはずだ」
「そっかー」
「・・・お前は、どこまで知っている」
「この星にベジータよんで彗星ぶつけるんでしょ。そんなにうまくいくとおもってないけど」
「そうだ。回りくどいことこの上ない」
「まあふつうは星がばくはつしたらしんじゃうからね」
ブロリーや俺がおかしいだけで。
俺は笑顔から切り替えて出来るだけ真剣な表情で、まっすぐブロリーを見た。
「たぶん、おっきなたたかいになる。そのまえにやっておきたいことがあるんだ。ブロリーにめいわくかけるつもりはないから、あしたまでわたしがここにきたことナイショにしておいてくれる?」
「何をする気だ?」
「たいしたことじゃないんだけど、まだひみつ。おわったら言うね」
腑に落ちない顔はしていたものの、ブロリーは俺を止めないでいてくれた。
信頼とまで言っていいのかはわからないが・・・ここまで長年かけて接してきた効果は感じている。
もう日が落ちかけていたため、今のうちから少しでも動き始めておくことにした。
バルコニーから外に出て、仰ぎ見る空。
えーと・・・あった。月みたいにぽつんと大きめの星がハッキリ見えてる。
そして目視できるということは、俺の短距離転移の範囲内ということだ。
さっそく転移し、シャモ星の表面へと降り立った。
荒らされた跡、壊された村の残骸が放置されている。誰もいる気配はない。
村の跡地を転移先のポイントとして認識できたことを確認して、新惑星ベジータのほうへ戻る。
そして奴隷用のぼろっちぃ宿舎へ赴き、シャモ星人たちに『明日こっそり星に帰してあげるから、そのつもりですぐ集まれるように皆に話を通しておいてほしい』と伝えておいた。監視には悟られないよう、気を付けるようにとも言い含めて。
今すぐに帰すと明日の朝までに監視に勘付かれてパラガスのほうへ伝わる可能性があるので、今は準備だけ。パラガスが地球に向かって不在になったときに一気にみんな送ってしまおう。
やりたいことというのはこの準備からわかるように、シャモ星人を先んじて星へ帰しておくことだ。
劇中で起きたブロリーによる奴隷の爆殺と、シャモ星の破壊。この2点をひとまずは食い止めるつもりでいる。
単に可哀そうだからというだけじゃなく、明確な理由がふたつ。
この一連の暴挙によって悟空側のブロリーに対する『コイツは生かしちゃおけねえ!』という意思が決定的になるためそれを抑えたいのと、もうひとつはブロリーの罪状の軽減だ。
ぶっちゃけあの暴挙はどちらも、やった側の理由としては嫌がらせの範疇を超えないものだったはず。止めて困る者など誰もいない。
今のブロリーの俺への甘さであれば、頼み込むだけで伝ブロになった後も覚えていてくれるんじゃなかろうか。・・・無理なら俺が頑張って食い止めます。いくらポーヒーしようが片っ端から転移で消してやらぁ!!
下準備は済んだため、一旦ブロリーの部屋へ戻る。
今のうちに言っておいてもいいかなあと思い、試しに話を通してみた。
久しぶりの俺からの"おねがい"に、一応は耳を傾けてくれている。
奴隷にもシャモ星にも手を出さないで欲しいと言うと、怪訝な顔をしながらも拒否反応は返ってこなかった。
「・・・なぜそこまで気に掛ける?」
「えっと・・・かわいそうだから・・・ってことで、なっとくしてくれない?」
「まあオレには興味ない。態々手は出さん」
「よかった、ありがと。・・・あした、ベジータがきたらブロリーはたたかうつもりでいるの?」
「楯突くなら叩き潰す。俺の方から突っかかる気は無いが・・・親父がどうするかだな」
「そっか・・・できれば、おんびんにすんでほしいんだけど」
「それは無理な話だろう」
「うぅ・・・やっぱりそうかなあ・・・?あのね・・・ほんとはね、・・・・・カカロットとも、たたかってほしくないんだよ」
「・・・カカロット?」
今名前を出すことでブロリーの精神に余計な波を立ててしまう可能性はあったが、恐る恐る頼み込んでみる。
するとブロリーは眉間に皺を寄せてその名を口にした。そして、
「誰だ?そいつは」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え???
お察しかもしれませんが原作から結構ガッツリめに乖離するとおもいます。幼女氏の明日はどっちだ