TS転生幼女は伝説の超サイヤ人を救いたい。   作:こねこねこ

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12:幼女の告解

「・・・・・え?・・・あの・・・・・えぇ・・・??」

 

あまりにも予想外なセリフをぶつけられて内心の俺は完全に宇宙猫と化していた。

 

「か、カカロット・・・しらない・・・???」

「知らん。そんな名前は聞いたこともない」

 

・・・聞いたことが、ない?

 

ちょっと待て。

そもそも原作のほうで、ブロリーはいつカカロットという名前を認識したんだ?

惑星ベジータ崩壊から約30年間、二人は一度も会ったことは無かったはずだ。

パラガスも恨みの対象のベジータのことはともかく、たまたま隣同士で寝ていただけの赤子の存在に触れたとは考えにくい。映画劇中でもあの時初めて思い出したと言わんばかりの反応だったし。

だとすると赤ん坊の頃隣にいた時に何かしら・・・・・、

 

・・・え、アレか!?

あの、名前すら出てこない声だけのおっさんの野次!?

 

『戦闘力たったの2のバーダックの倅がパラガスの倅を泣かせたぞ』

『戦闘力は低いがカカロットと名付けられたガキ、根性だけは大したもんだ』

 

あれかぁぁぁ!!!

た、確かに・・・!!俺もあのセリフ聞いてない気がする!!

二人を宥めまくりあやしまくっていた結果、カカロットにブロリーが泣かされていた時間は原作よりも極端に少なくなっていたはず。

そのせいで知らぬ間にあのイベントを丸ごと潰してしまっていたらしい。

 

や、やってもたぁぁぁぁぁ!!!

 

俺がカカロットを泣き止ませていた理由は、ブロリーのあの深すぎる恨みと執着が少しでも軽くなればと思ってのことだった。

それは確かだ。・・・だけど!

 

こんな綺麗さっぱり、丸ごと何もなくなるなんてことあるか!!??

 

うわぁぁぁ!!と頭を抱えて床を転げ回り出した俺をブロリーが変な目で見ている。

ひとしきり暴れた俺はえうえうと泣きながらブロリーに謝った。

 

「ご、ごめん・・・ごめんなしゃい・・・・・おれ、とんでもないことしちゃったかもしんないぃ~・・・・・」

「何の話だ・・・?」

「ブロリーのアイデンティティなくしちゃったぁ・・・!!」

「・・・・・??」

 

多分引かれている。

困惑しているブロリーをよそに、俺はいつもの幼女ムーブも忘れ今生初めてのギャン泣きをかましていた。

 

カカロットカカロット言わないブロリーなんて想像がつかん・・・。いや目の前にいるんだけども・・・。

 

激しい後悔に見舞われる俺の脳裏に"再走"の二文字が過ぎる。

・・・そうだ。時間を遡ることができる俺はもう一度最初からやり直すことが出来る。

 

だけど・・・・・。

 

ここまでずっと続けてきた全部を、あの交流の数々を、ぜんぶ無かったことにするのか?

ここまで懐いてくれたブロリーを置き去りにして、目の前から今更消えるのか?

 

「・・・いやだぁ・・・・・いやだよお・・・・・」

 

そんなことできるわけねーじゃんかよお・・・・・!!

 

 

 

「シロ」

「うぅぅ・・・ぁい」

 

ふいに名前を呼ばれて、顔を上げる。

困惑の色は抜けて、至って真面目な面持ちでブロリーは真っ直ぐに俺を見ていた。

 

「オレは、お前が今何故泣いているのか理解が出来ん」

「・・・だろうね」

「だから話せ」

「え・・・・・?」

「お前はオレのことばかり聞き出す癖に、終ぞ自分のことは何も話さないままだった」

「・・・・・そう、だっけ」

「何を隠している」

 

常識的に考えて言えるわけがない。

ブロリーにとってはどれもこれもが荒唐無稽な戯言に聞こえることだろう。

 

・・・でも、それでも聞きたいと言ってくれた。

恐らくそれは、ここまでの関係を築き上げてきたからこそ。俺がまさしく後悔してしまっている"今"だからこそなのだろう。

 

 

 

だから、打ち明けてしまった。

 

全てではない。・・・が、俺が元々別の世界で別の人生を歩んでいたこと。

その中で、この世界のことを物語として知る機会があって、ブロリーの存在もその行く末も知識として知っていること。

転生して特別な力をもらって、それを使ってブロリーの結末を変えようと思ったこと。

・・・そして、そのせいで結果として"本来のブロリー"とかけ離れた存在へ歪めてしまったこと。

 

半泣きのまま言葉も辿々しく、所々つっかえながら吐露していくそれらをブロリーは黙って聞いていた。

 

粗方吐き出し終えた頃には俺の情緒もだいぶ落ち着き、最後にこれだけは言っておこうと再度口を開く。

 

「・・・・・信じて、もらえないかもしれないけどさ。おれはブロリーに会うために、そのためだけにこの世界に来たんだよ」

「・・・何故だ?」

「大好きだったから。お前に会うよりももっとずっと前から、おれはお前に憧れてて、大好きだったんだ。・・・だった、じゃないな。今もずっと好きなまんまだよ」

 

だってやっぱりかっこいいんだもんなあ、と力なく笑った。

 

ブロリーは全て聞き終えて、少しの間逡巡していたような様子を見せたあと床にへたり込んでいた俺の身体を軽々と抱え上げて膝に乗せる。

目線が近くなって、少しだけ眉間に皺が寄ってるブロリーの真剣な顔に俺も若干の不安感に苛まれながらも視線は逸らさずに見返した。

 

「・・・一先ず、言いたいことは言わせて貰うぞ」

「はい・・・」

「お前が話していた、お前が拘っている"元のオレ"とやらのことなんぞオレは知らん。お前が齎した影響がどれほどのものなのかは知らないが、オレはそれなりに己で選び取れるものは選んでここまで来ている。今この世界において、お前の目の前にいるオレが全てでありその他はただの幻影だ。"在り得たかもしれない仮の姿"のひとつでしかない・・・そんなものは取るに足らん。気に病むくらいなら忘れてしまえ」

「・・・でも、おれの勝手なわがままで、ブロリーの人生振り回しちゃった」

「オレはそうは思っていない。その"カカロット"とやらに拘って破滅へと向かったというかつてのオレの生きる様は、今ここにいるオレの人生よりも良いものだったと断言出来るか?」

「それは、ちがうよ・・・そうなってほしくなくて、変えたかったんだ」

「ならば何も問題はあるまい。先ほども言ったが、仮定の歴史も違う自分とやらもそんなものは知ったことではない。オレは今生きているこの世界で、オレ自身の道をこのままただ進んでいくだけだ。・・・だから、いつまでも囚われるな」

 

・・・囚われるな、か。

俺はずっと目の前のブロリーそのものとちゃんと関わってきていたつもりだけど、やっぱり脳裏に残る"キャラクター"という型に嵌められた姿に引っ張られてしまっているのかもしれない。

"ブロリー"という存在の大部分を占めていたカカロットとの因縁をほとんど消し去ってしまったことに対して罪悪感を抱いてしまった。

でも彼の言う通り、そのかつてのブロリーの末路をどうにか変えたくて行動して・・・そしてその結果が今だ。

 

変えたいと願っていたのに、実際に変わったらそのことに対して後悔するなんてそれこそ自分勝手じゃないか。

 

俺はブロリーが生き延びた、『もしも』の世界が見たくてここまで来たんだ。

恐らく既に道は分岐している。だったら行くところまで、このまま歩いていこう。

 

「ブロリー」

「なんだ」

「ごめんなさい。・・・ううん、ちがうな・・・ありがと」

「謝罪も礼も言われる筋合いはない」

「ううん・・・ブロリー、すっごくやさしくなったんだよ。ちゃんとこんなに真剣に言葉を交わしてくれるなんて、思ってもなかったから」

「それは、恐らくお前が齎したものが返っていっただけだ」

「そっかぁ・・・そう思っていて、いいんだな・・・・・」

 

へへ、とはにかむように笑った。

なんだかずいぶん、胸のつっかえがとれたような気がする。さっきまでぐっちゃぐちゃだったのに。

 

「なあ、ブロリー・・・これからずっと、このまま一緒に居ていい?」

「そういえば、帰らんと言っていたな」

「うん。・・・おれ、異邦人だからさ。ほんとは帰る場所なんてどこにもないんだ。家族も家も、この世界では何も持ってないから」

「・・・そうか。オレは構わんぞ」

「ありがとう。・・・やっぱり、やさしいよ」

「お前以外にこんな返しはしない」

「え?」

 

訊き返したがブロリーはそれには答えず、俺の頭を大きな掌でぐりぐりと撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ところで、身の上話の中で俺が元々男だってことも言ったんだけど。

んで割と素の言動を晒してしまったわけなんだけども。

 

「そのあたりのことについて、なにかおもうところはありますか」

「・・・大して変わりはせんと思うが」

 

 

 

え?俺もしかしてガキっぽいって言われてる???

 

 

 

 

 





元々ブロリーのキャラをここまで変える予定はなかったんだ。書いてるうちに自然に寄って行っちゃったんだ。
キャラ崩壊と言われても文句は言えない。のでタグにキャラ崩壊入れました。
何もしてないのに勝手に壊れたー!
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