はてさて。
『会いに行こう!』と意気込んだのはいいものの、そう簡単に実現するわけではなかったりする。
まずはそう、メインの移動手段になると思われる『転移』についてきちんと把握しておかなければ。
時空魔法、すなわち空間魔法の代表的な能力のひとつ。
転移すなわちテレポートというのは、登場する作品によってその仕様が大きく変わるのだ。
生半可な知識のまま使うのは危険極まりない。
ドラゴンボールの世界には悟空の使う『瞬間移動』があるけれど、俺の予想では空間転移はそれとまた違った技なのではないだろうか。
とにもかくにも、まずは仕様の確認をしたい。
流石にチュートリアルくらいあるじゃろと、俺はリラックスしたまま目を閉じて意識を"自分の中"へと集中させた。
オッケーグー○ル、空間魔法について教えて!
そんな冗談を飛ばしつつ、意識は真剣に研ぎ澄ませたまま自分の中をくまなく探っていく。
するとなんとなくではあるが、この力がどういうものなのか次第に認識することが出来た。
―――空間転移。
長距離転移と短距離転移で微妙に仕様が違い、長距離の場合は自分が認識したことのある人物もしくは訪れたことのある場所を目標として移動。対象は自分もしくは自分の触れたもの。
短距離の場合は自分の視界を射程範囲として自由に微調整の利く移動が出来る。対象は自分と自分の触れたものに加え、短距離に限り詳細に指定した範囲をまるごと移動させることが出来る。
なお長距離短距離関わらず、移動そのものは相互転移として行われるため移動元と移動先に存在する物質は例外なく"入れ替え"として処理が実行される。
―――以上。
ん~~~・・・?
ちょっぴり解りにくいところはあったものの、まあ概ねは理解した気がする。
つまりは自分か触ったものを対象にして、長距離なら知ってる人の所かもしくは行ったことある場所。短距離なら見えてる視界のどこにでも。入れ替え式で転移が出来るってことだ。
・・・で、合ってる?
コレ合体事故起こるタイプの転移方法だな・・・そこだけは気を付けておかないと。
それじゃ、時間転移のほうはどうだろう?
再度自分の奥底に問いかけてみる。
―――時間転移。
自分の現在位置は惑星を中心としたローカル軸として記憶したまま、指定した過去・未来の同位置へ転移することが出来る。
―――以上。
おや?そんだけ??
空間転移と違って条件付けとか無いんだ。シンプル。
位置云々はあれだろ、星の自転や公転を含めるととんでもない場所に飛んじゃってどうのこうのってやつ。詳しくは知らんけどその辺は自動で合わせてくれると思っとけばいいんだろうか。いいらしい。便利ぃ~。
それとさっきからコスト関係の話が出ないのは気にしなくていいってことなのかな。流石は転生チート。
ただ一応、回数とかに限界がないのかどうかは早めに確かめといたほうがいいだろうな。いざというときに限界が来ちまったら困るし。
・・・よし、難しい話はこんくらいでおしまいだ!
そろそろ実際にこれからどう動いていくかを計画立てていこう。
原っぱを出て、近くに見えている町のほうへポテポテ歩きながら考える。
現状の目的はブロリーに会うことだ。
もちろん俺のほうから赴くことになるんだけど、彼の居る場所・時間が正確にわかっているタイミングは概ね二度。
生まれてすぐの頃の惑星ベジータか、もしくは映画本編の舞台となる新惑星ベジータだ。
・・・本当はもう一ヶ所凸れそうな箇所はあるっちゃあるんだが、映画2作目となるあそこは候補外。
あのときのブロリーは既に色々と手遅れになってしまっている状態だから。出来ればそれまでに何とかしたいと思ってる。
第一候補は惑星ベジータのほうだ。
理由はふたつ。
まず映画本編当時の大人のブロリーに突然会いに行ったと仮定して、初対面の幼女に対して彼はどういう反応をするだろうか。
恐らくたぶん、どうもしない。
ネットで散々見たMADでの彼なら「\カワイイ!/」となるだろうがそれは流石に毒されすぎである。
ネタ的な要素を一切排除して考えれば、見知らぬ異星人の子供などただのムシケラかクズの一匹としか認識しないはずだ。
いくら俺の見た目が可愛かろうと!絶世の美幼女であろうとも!
良くて無視、下手すりゃ普通に殴り殺されるのがオチに決まっている。俺は死なないけど。
実際彼は子供含めて奴隷を大量に何の良心の呵責もなく爆殺しているのだ。似たような目に遭うのは想像に難くない。俺は死なないけど!
よって赤ん坊の頃にファーストコンタクトを取り、その後何度か継続して様子を見に行く。それにより映画本編に入ったときに会いに行っても、すぐには殺されないであろうという程度の顔見知りになっておきたいのだ。
ちなみに干渉のし過ぎも禁物だ。映画本編に入るまでの流れは極力そのままにして、大きく変えてしまうという事態は避けたいと思っている。
本来の流れ通りに覚醒した伝ブロをこの目で見たいっていうのもあるし、歴史に下手に手を出すことで"刺激したくない奴ら"がいるからだ。
なお自重するのは映画本編に入るまでの話で、それ以降は好きにさせて貰おうと思ってる。
・・・本来の流れ通りということは制御装置に苦しめられる彼をそのままにしておくということになるのだが、あれは心苦しくはあるもののちょっとやそっとでどうにかなる問題でもない。
暴走を抑えている以上完全に悪いものとも言えないし、俺の独断でどうこうするのはリスクが大きすぎるし正直手に余る。
あくまで時々様子を見に行く程度だ。そうだなあ・・・惑星ベジータの崩壊からおよそ30年。5年刻みくらいがちょうど良さそうかな?
あと、理由のふたつめは単純に赤ん坊のブロリーを見てみたいからである。ついでにお隣のカカロットもね。
まあしかしいずれにせよ、俺の使える長距離転移は知ってる人物か行ったことのある場所だけが対象になる。
だから、手順としてはまず悟空を探そう。
惑星ベジータに行くにしろ新惑星ベジータに行くにしろ、どっちもそこにいる悟空を頼らせて貰うことになるからだ。
座標マーカー扱いしてごめんやで。でも悟空も瞬間移動するとき他人に対してそんな感じなんだからまあええやろ。
というわけで、まずはこの時代の悟空がどこにいるのか見つけなくちゃいけなんだが・・・。
町に入ったようで綺麗に整えられた道をしばらく歩いているうち、掲示板に貼られたチラシが目に入った。
「およ?なになに・・・『第21回天下一武道会開催』?」
おお、これは僥倖かもしれない!確かこの頃の天下一武道会ってほぼ毎回悟空も出場してたよな!?
じゃあそこの会場で決勝まで観ればどこかしらで悟空の姿は確認できるだろう。らっき~!
日付を見ると開催は三日後。
とりあえずそれまでは会場を探しつつ、時間潰しも兼ねて転移の練習でもしようかな。
るんるん気分で鼻歌交じりに、俺はその場を後にした。
筆が進む進む・・・。
たくさんの閲覧ありがとうございます!
たった一日で別でやってる本連載のほうのブクマ数あっさり抜いててびっくり。