厳密にというよりもふんわりそんなもんなんだな程度に見てて頂けるとうれしいです。
なんだ?
何がどうしてこうなった??
動揺して混乱する俺達に、しかしセルは待ってはくれない。
咆哮を上げたかと思うと、大きく開けた口から強烈なエネルギー波が飛び出した。
・・・魔口砲!!
間違いない、アレやっぱり大猿だ。
明らかにブロリーを狙っていたそれを隣の彼ごと転移で避ければ、飛んでいったそれは後方にあった山を砕き空中で盛大に爆発した。
うぎゃー!超ブロの映画で見たことあるやつー!
ひぇぇと慄いていると、そんな暇もなく次の瞬間には牙を剥いたセルが飛び掛かってきている。やはり理性はカケラも残っていないようだが、ブロリーを執拗に狙ってきているようだ。
「下がっていろ」
俺を後ろに放り投げてブロリーが迎え撃つが、本当にセルが大猿の力を得たのだとすると今の彼に正直勝ち目はない。
DBにおいての戦闘力というのは人造人間編以降非常に曖昧な情報しかなく、おおよその倍率や『誰が誰より強い』などといった表現しかされないため詳細な比較は難しいものだ。
しかし、公式から出ていた情報ではSS1から2は2倍、SS2から3へは4倍戦闘力が跳ね上がるとされている。
これは悟空達を基準にしたものだが、形態変化における上昇倍率という意味においてはブロリーにもそのまま当てはまると考えていいだろう。
つまりは、SS1である今の状態から仮に2段階進化を起こしてSS3に至ったとしても戦闘力は今の8倍にしかならないのだ。
それをブチ抜く10倍という数字。大猿ってのはそれくらいヤバい。
そんなバグみたいな超強化が大人から赤ん坊までもれなくデフォで備わっているサイヤ人ってやっぱおかしいんだわ。
そしてそんなサイヤ人の細胞をも取り込んだセルとかいう化けモンは、その真価を遺憾なく発揮してしまっているらしい。
しかしどうしてだ・・・?なんでいきなりそんなことになった?
自爆後復活したときは、恐らく原作通りにパーフェクトセルだったんだろう。
そこから、この地球に戻ってくるまでに何かが・・・・・、
・・・え、これもしかして俺のせいか・・・・・??
瞬間移動を使い一瞬にして地球へ舞い戻った原作と違い、直接飛んできたのであればその道中には様々な星の・・・そして様々な衛星の傍を通ってきたんだろう。
もしその中に、地球の満月と比べ遜色ないほどに光を放っている衛星があったとしたら。もしくは満月まで至らずとも、複数の衛星からの光を浴びてブルーツ波の量が1700万ゼノを超えてしまったのだとしたら。
・・・そして、今もなお荒れ狂うセルから迸るように撒き散らされている"怒りの感情"。
DB超において超ブロには尻尾が無いが、代わりに強い怒りの感情がトリガーとなって人間形態大猿への変化が起きたような描写がされていた。
全く同じ前提ではないのだろうが、揃ってしまったそれらの条件にセルの中のサイヤ人の細胞が反応し覚醒してしまったとすれば・・・一応辻褄は合う。
な、なんてこった・・・・・。
現場はもう大混乱である。
直接取っ組み合っている二人のみならず、ちょくちょくエネルギー波や気弾が流れ弾のように辺りにまき散らされるせいで他のZ戦士たちも精一杯辛うじて避けるのみ。
そして投げられて吹っ飛ばされてた俺はというと、悟空達の近くにべしゃっとひっくり返りながら着地。・・・受け身なんて出来ないんだもん。
今回は受け止めてくれなかったようだが、逆さまに埋まりかけた俺の足を引っ張って向きを戻してもらった。申し訳ねえ。
起き上がり改めて周りを見る。
飛んできたセルの攻撃にトランクスが巻き込まれ、激昂したベジータが突撃して割り込みをかけるが原作よりもあっけなくあしらわれて吹っ飛ばされてしまった。・・・あのイベント回避したのかと思ってたのに似たような状態になってら。
サタンたちのほうは16号に守られているようだった。自爆装置がもう無いことは昨日カプセルコーポに泊まったときに話してあるから16号も無茶な行動はしないと思う。あのままやり過ごして欲しい。
そしてブロリーは・・・・・。
「・・・マズいな、こりゃ」
「げきまず・・・。ごめん、ここまでの事態になるとはおもわなかったよ」
隣で冷や汗を流している悟空に謝ると彼は首を振った。
「こんなの予想できっこねえさ。悟飯に任せてたとしても多分・・・アレはどうしようもねえ・・・」
「・・・だろーね。悟飯ちゃんが覚醒できたとしても今のブロリーのほうがつよいもん」
そのブロリーでさえ、全く太刀打ち出来ていない。
差が大きすぎることを本人も解っているんだろう、さっきから攻撃をいなして受け流すだけでも精一杯のようだ。その上それも全てではない。
受け損ねた打撃に弾かれた隙を狙われ、片足をとられたブロリーのその巨体をものともせずセルが片手で振り回し岩場に叩き付けた。
使う技まで超ブロみたいなことしてんじゃねーよぉ!!
「あああブロリーが~!!」
俺も頭では解ってるんだけど目の前の光景を受け入れたくはない・・・・・。
あのブロリーが負けんの??マジで言ってる??やだ~~~!!
先ほどまでのお返しとばかりに瓦礫に沈んだ胴をセルに踏みつけられ、ブロリーが血を吐いたところで俺は頭を抱えた。やっぱり今の状態のままで巻き返しはどうやっても無理そうだ・・・。
パーフェクトセル、SS2に覚醒した悟飯、伝説の超サイヤ人状態のブロリー。この三者は概ね近い位置で横並びの戦闘力をしているらしい。もちろん細部の差や技での差別化もあるし、俺が出場を推したのも実力が近いとはいえそれでもパーフェクトセルよりも伝ブロのほうが強いと思っていたから。
しかし、隔絶した差といえるほどまで大きな差は恐らく存在しない。
その上で10倍という超強化で大幅に突き放されてしまったのだ。
ブロリーが自力で限界突破して伝説の超サイヤ人2や3への覚醒というのも正直望み薄な上、仮に出来たとしても大猿化の10倍という数値には及ばない。
ブロリーには単純な戦闘力に加え継戦状態が続く限り戦闘力が上がっていくというチートみたいな特性もある。しかしそれも有利に働くのは長期戦前提の話であり、力が充分に上がり切るより前に格上の存在や力をもって叩かれれば負けるのだ。
恐らく原作で悟空に逆転負けしたのもそのせいだろう。
・・・一見して、ほぼ詰んでいるように思える状況だ。
「や、やべぇ・・・ブロリーすらあんな一方的に・・・・・誰が勝てるってんだよ、あんなの・・・!!」
クリリンの泣きそうな声。周りの皆にも徐々に諦めの雰囲気が広がり始める。
頭を抱えていた俺は肩を落として項垂れ、盛大にため息をついた。
「・・・しゃ~ない。切るかぁ、奥の手」
こうなったのも半分くらいは俺の責任だしなあ・・・。取り返しがつかなくなる前にやれることはやらないと。
げんなりとしながら呟いたのが聞こえたらしいピッコロさんが驚いたように視線を向けてくる。
「な・・・!?まだ、何か策があるというのか!?」
「策ってほど大層なもんじゃないよ。いまここに揃ってる条件で、まだできることは残ってるってだけ」
しかし正直、"コレ"に手を出すのは早くてもブウ編以降になると思っていた。完全に想定外だ。
ゆえに、情報の周知や根回しなども一切出来てはいない。ぶっつけ本番だし賭けになる。
「このままでは人類も地球もお終いだぞ。打てる手があるなら出し惜しむな!」
「ごめん。でもいちおーいっとくけど、これもけっこうな博打になるよ?」
「全員死んじまうよりはマシだろ!」
ピッコロさんに加えクリリンにもそう言い募られ、そだねと頷いた俺は行動を起こすことにした。早くしないとブロリーが死んでしまう。
俺は向きを変え、両手を口元に添えるとおもいっきり息を吸い込んで叫んだ。
「べじーーーたーーーーー!!!」
「な、何・・・ッ!?」
まさか自分の方に呼びかけが来るとは思わなかったのか、突然名前を叫ばれた王子はギョッとした顔でこっちを見る。
「パワーボールつくってーーーーー!!!!」
「「な・・・!!??」」
パワーボール。
その名を聞いて反応したのは悟空とベジータの二人だけだ。
悟空は覚えてないんじゃないかと思ったが、何をする気なのかは察したらしい。
他の連中は何のことかわからないだろうし聞き覚えすらないだろう。地球でパワーボールが使われたのは過去二回だけであり、一度目に居合わせたのは悟空とベジータだけだし二度目は確か名前も出されてなかったからな。
・・・俺は知っている。普段あの赤い腰布で隠れてて見えないけど、ブロリーには今も尻尾が残っていることを!
バケモンにはバケモンぶつけろってよく言うだろ?
大猿には大猿ぶつけんだよ!!!!
なんで幼女氏が尻尾の有無を知ってるのかというと設定画に描かれてるのを見たことがあったからであって、別にブロリーの尻を触ったとかではないと思います。たぶん。